ネット犯罪

ネット犯罪というのは、インターネット等のコンピューターネットワークを通じて行われる犯罪行為の総称であり、刑事上、特にネット犯罪という名称の犯罪があるわけではありません。

近年のインターネットの発達と普及により、コンピューターネットワークというバーチャルな世界で様々なことが可能となりました。
それとともに、インターネットを利用して、不正な行為や違法行為が行われる犯罪事件も増加しています。

ネットワークは、わが国だけにとどまらず、世界各国のあらゆる地域をも瞬時につなげてくれるほど非常に便利なものですが、その分、システムは複雑となっていますし、これを犯罪行為に利用された場合には、対処するのが非常に困難です。

また、インターネットの利用に当たって、自分が何気なく行った行為が、無自覚のうちに犯罪に該当するということも考えられます。

以下ではインターネット上で問題となるいくつかの犯罪行為について、法律の規制を説明します。

 

不正指令電磁的記録に関する罪

正当な理由がないのに、コンピューターウィルスやウィルスプログラムを作成・提供した場合や、コンピューターウィルスをその使用者の意図とは無関係に勝手に実行される状態にした場合は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法168条の2)

正当な理由がないのに、その使用者の意図とは無関係に勝手に実行されるようにする目的で、コンピューターウィルスやそのプログラムを取得・保管した場合は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります(刑法168条の3)

 

名誉毀損罪

公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金になります(刑法230条)。

インターネット上で書いた内容が、名誉毀損罪の対象になる場合があります。現在では、FacebookやLINEやツイッターその他の通話チャットアプリケーションなど様々なSNSが、広く利用されていますが、軽い気持ちで書き込んだ内容が名誉毀損にあたる場合があります。

 

業務妨害罪

虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたり、威力を用いて、業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(刑法233条、234条)。

インターネット上での特定の者に対する脅迫や、嘘の犯行予告は、業務妨害罪が成立する可能性があります。

 

不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)違反

不正アクセス禁止法では、不正アクセス行為等を禁止するとともに、違反行為について罰則などが定められています。

 

不正アクセス行為の禁止

他人の識別符号を悪用する行為(不正アクセス禁止法2条4項1号)

他人の識別符号を悪用することにより、本来アクセスする権限のないコンピューターを利用する行為が禁止されています。

簡単に言うと、他人のIDやパスワードによる不正ログインを思い浮かべていただければ、わかりやすいと思います。

 

コンピュータプログラムの不備を衝く行為(不正アクセス禁止法2条4項2号、3号) 

アクセス制御のプログラムの瑕疵、アクセス管理者の設定上のミス等の安全対策上の不備、いわゆるセキュリティホールを利用して、システムに侵入する行為を禁止しています。

不正アクセス行為の禁止に反した場合には、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(不正アクセス禁止法11条)。

 

他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止

不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得する行為が禁止されており、これに違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(不正アクセス禁止法4条、12条1号)。

不正アクセス行為の用に供する目的には、取得者自身に他人の識別符号を用いて不正アクセス行為を行う意図がある場合のほか、第三者に不正アクセス行為を行う意図がある場合に、そのことを認識しながら、当該第三者に識別符号を提供する意図を持って取得する場合もこれに該当します。

取得とは、識別符号を自己の支配下に移す行為をいい、識別符号を再現可能な状態に記憶することを含みます。

 

不正アクセス行為を助長する行為の禁止

業務その他正当な理由による場合を除いて、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならないとされており、これに違反した場合には、1年以上の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(不正アクセス禁止法5条、12条2号)。

 

他人の識別符号を不正に保管する行為の禁止

不正アクセスを防止するために、不正に取得された他人の識別符号が不正アクセス行為の用に供する目的で保管する行為が禁止されており、これに違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(不正アクセス禁止法6条、12条3号)。

 

識別符号の入力を不正に要求する行為の禁止

いわゆるフィッシング詐欺を規制する規定で、これに違反した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます(不正アクセス禁止法7条、12条4号)。

 

ネット犯罪事件における弁護活動

不起訴・無罪の主張

ネット犯罪は、インターネット上という仮想空間の中で行われるため、犯人を特定するのは他の犯罪に比べ非常に困難な場合があります。
捜査機関は日々サイバー犯罪に対する対策を強化していますが、それでもネット上の犯罪はどんどん複雑化・巧妙化しています。
複数のサーバーをたどることで、第三者に成りすますことも容易であるため、全く身に覚えがないことで突然逮捕されてしまう恐れすらあります。

そのような場合は、自分が無実であることを強く訴えていくほかありません。
しかし、ネット犯罪は、証明し難い犯罪であるからこそ捜査機関が強引な取り調べによって自白を迫る可能性があります。
しかし、ネット犯罪容疑での取調や身体拘束の辛さに負け、嘘の自白をしてしまえば、それこそ取り返しのつかない事態となる恐れがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の弁護士は、取調べ対応についてしっかりとアドバイスを行うとともに、違法な取調べに対しては即座に抗議をし、虚偽の自白を作らせません。

そのうえで、ネット犯罪の容疑者とされている方が犯人ではないということを客観的な資料に基づき、捜査機関を説得し、早期の釈放と不起訴処分又は無罪判決による解決を目指します。

 

被害者対応及び減刑の主張

ネット上の犯罪では、それにより被害者が存在することも多くみられます。
そのような場合には、被害者との示談を成立させることが、罪を償う一つの側面であるとして、刑事処分に影響を与えます。

インターネット上で書き込んだ内容が名誉毀損に当たるとされた場合では、親告罪である以上、被害者に許しを得て告訴を取り下げてもらえれば、起訴されることはありません。

被害者が特定の人であるならば、謝罪のみではなく被害弁償なども含み被害者対応を行うべきでしょう。
しかし、ネット犯罪では、不特定の多数に被害を与えているケースもあり、そのようなケースで全ての被害者と示談交渉することはおよそ不可能です。

そのような場合であっても、犯行をするに至った経緯・動機・犯行態様・具体的な被害結果・前科前歴の有無など被疑者・被告人に有利な事情を検察官や裁判官に説得的に主張し、起訴猶予(不起訴処分)や執行猶予付き判決の獲得を目指すこともできます。

 

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