取調べの受け方

取調べとは

取調べには、逮捕されていない者に対してなされる任意でのものと、逮捕・勾留により身柄拘束を受けている被疑者・被告人に対して行われるものがあります。

前者は容疑者に限らず、事件について何らかの事情を知っている者などを広く対象にしており、あくまで任意で行われるものです。
ですから、取調べを受ける者が、明確に拒否しているのにも関わらず、取調室に引き留めることは出来ません。

これに対して、後者は容疑者を裁判にかけるかどうか等の処分を決定するために強制的になされるものです。
供述を強制されることはありませんが、取調べ自体を拒否することは困難です。

そして、取調べの中で話したことは、供述録取書という形で書面化され、全て証拠となり得ます。
取調べは密室した空間で行われ、ときには長時間にわたって厳しく追及されることもあります。
そのため、どんなに意思の強い方でも、思いもよらず不利な供述をさせられたり、知らず知らずのうちに捜査官に都合の良い調書を作成されたりすることがあります。

ここでは、逮捕・勾留後に取調べを受ける人の権利を紹介したうえ、取調べの受け方について説明します。

1 弁護人選任権

被疑者・被告人には、自己の言い分を主張し、十分な防御を行うために、いくつかの重要な権利が認められています。
ただ、被疑者・被告人は、通常一般の方が多いため、自己を防御するための権利を十分に理解して行使することはできません。

そこで、被疑者や被告人の防御権を十分に行使できるように、法律のプロである弁護士を自分の弁護人として選任することが法律上保障されています。

弁護人選任権を行使して、弁護士に相談することで、取り調べにおける具体的なアドバイスを受けることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件を専門に扱っていますから、警察や検察でどのような取調べが進められるのかということも熟知しています。
また、取調べにおいて、どのように対応することがベストであるかを個別の事件に応じて判断することができます。

2 接見交通権

逮捕・勾留された被疑者・被告人は、外部との自由な連絡が制限され、家族であっても、勾留中に限られた時間の面会が許されるにすぎません。
また、逮捕直後や勾留に接見禁止が付いている場合は、一切の面会ができないこととなっています。
しかし、このような場合でも弁護人だけは自由に被疑者・被告人と接見をすることが認められています。

被疑者・被告人には、弁護人選任権が認められていることは上述しましたが、これを実効性あるものとするためには、弁護人との自由な接見を保証する必要があるため、接見交通権として厚く保障されています。

弁護士との接見は、警察官の立ち会いや、時間制限なく行うことができます。
被疑者・被告人は、この接見交通権を利用して、弁護士から取り調べ対応や、今後の弁護方針等について助言を受け、十分な防御活動を行うことができるのです。

3 黙秘権

黙秘権というのは、ご存じのとおり、言いたくないことは言わなくても良いという権利です。憲法によって保障される極めて重要な権利です。
自分に有利となるか不利となるかを問わず、また、終始沈黙することも認められています。
事件について事実を争う場合には、黙秘権を行使するのが最も効果的な手段の一つといえます。

とはいっても、人間というものは、なかなか一貫して沈黙を続けるのは難しいものです。
取調官は、話を聞き出すのに非常に慣れた方が多いです。
完全黙秘を貫く被疑者には、事件とは少し離れた話とか、全く関係のない世間話などから、何とか話を聞き出す糸口を見つけようとします。
一般には、取調室に怒号が飛ぶというようなイメージを持たれているかもしれませんが、案外そうでもありません。
確かに、高圧的な対応をする捜査官はいますが、老練な検察官などは、被疑者との信頼関係を上手く築いて、何日もかけて話を聞き出します。
はっきり言って、普通の人が連日の取調べに黙秘し続けるのは困難だといえるでしょう。

また、黙秘したことにより不利に扱われることはないといわれますが、実質上そうも言えません。
罪を認めて正直に告白しているものと、黙秘を続けているもの、どちらも犯罪の成立は間違いないという場合には、前者の方が、より犯行内容などが明らかとなるうえ、反省もみられるとして情状で有利に扱われます。
後者の場合、黙秘しているからといって、反省していないとみなされるわけではありませんが、前者と比較して実質上不利な扱いがなされることになります。

4 署名押印拒否権

上述のように、完全に黙秘を貫くのは非常に難しいものです。

そこで、採りうる手段としては、取調官が作成する供述調書に署名・捺印をしないことです。
被疑者には、この署名・捺印を強制されないという権利があります。
取調べでは、取調官が聞き取った事実のうち、証拠として残しておきたい事柄について、調書という書面を作成します。
そして、調書を作成した後は、必ずこれを被疑者に読み聞かせ誤りがないことを確認したうえで、署名・捺印をするように求められます。

この署名・捺印がなければ証拠とすることができません。
もちろん、自分が本当に話した内容で、納得できるような調書が作成されているのであれば、署名・捺印しても構いません。
しかし、供述調書は、被疑者が話した言葉をそのまま書き起こすわけではなく、多くは取調官が聞き取った内容をもとにストーリー形式に直して文章が作成されます。
このとき、事実としては大方間違いないから、署名・押印してしまうという場面があります。
しかし、文章のニュアンスなどで本当に話した内容よりも不利な内容に誘導されて作成されることがあります。

また、厳密な違いにより、法律上の扱いが大きく異なるような個所について、よく分からずに署名・捺印してしまうことも良くあります。
ですから、調書に署名・捺印する際には、慎重に書面の内容を確認してから行う必要があります。

5 増減変更申立権

取調べを受けた被疑者・被告人は、読み聞かせを受けた調書の内容を修正して欲しい場合、取調官に調書の修正を求めることができます。
ただ、この場合、取調官が素直に応じて訂正する場合もあれば、説得される場合もありますし、署名・捺印しない限り調書の作成自体を断念することもあります。
調書の作成は、義務ではないですし、被疑者側から作成してもらう権利もありませんから、こういった調書を作成してくれ、と要求したとしてもその通りの調書を必ずしも作成してくれるとは限らないのです。

ただ、最終的に立証責任を負うのは検察官ですから、事実を争っている場合には、決して不利な内容の調書をとらせないことは重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件を専門に扱う弁護士が、被疑者・被告人の防御権を十分に行使して、公正な刑事司法の実現を目指します。取調べに不安がある方は、ぜひ弊所にご用命ください。

 

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