店長が売り上げを横領した事件を参考に、業務上横領罪の刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
30代のAさんは、神戸市の三宮繁華街にある飲食手店で店長をしています。
Aさんが店長をしている店は、全国にチェーン展開している飲食店で、Aさんは数年前からこのお店でアルバイトをはじめ、その後、正社員に登用されて半年前からは店長に昇進しました。
店長になったAさんは、お店の売り上げを管理する立場になり、毎日閉店後に、その日一日の売り上げを集計し、その金額を本部に報告するとともに、本部の指定銀行口座に振り込む業務を任されていたのですが、ある日から、欲に目がくらんだAさんは、実際の売り上げよりも少なく本部に報告し、差額を横領するようになったのです。
そして最近になって本部が調査に乗り出していたらしく、Aさんは本部から聴取を受けることになりました。
Aさんは、今後のことが不安で弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
お店の売り上げは誰のもの?
Aさんは、お店の店長の立場にありますが、店長だからといってお店の売り上げを自由にすることはできません。
あくまでもお店の売り上げの所有は、お店を管理する会社(本部)にあり、Aさんは、その売り上げの管理を任されているにすぎず、食材の仕入れや、人件費など、会社から認められている範囲でしかAさんの判断で、自由にお店のお金を使うことはできません。
このようなAさんの立場は、法律的に「他人の物を業務上占有する者」といわれます。
またAさんは、お店のお金を占有(管理)することを任されている立場にあり、Aさんと会社(本部)との間に、委託信任関係があるといえます。
業務上横領罪の刑事罰は?
お店の売り上げは、「業務上自己の占有する他人の物」であることから、これを横領した場合は、刑法第253条に定められている「業務上横領罪」が成立します。
業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役で、罰金刑の規定はありませんので、起訴されることは、公開で行われる刑事裁判を意味します。
もしAさんが、単なるアルバイトで、会社(本部)からお店のお金を占有(管理)することを任されていない場合、両者の間に委託信任関係がないので、業務上横領罪は成立せず窃盗罪となる可能性が高いでしょう。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、業務上横領罪とは違い罰金刑が規定されているので、略式起訴による罰金刑となれば、刑事裁判を免れることができます。
神戸の刑事事件専門弁護士
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Aさんのように、ご自身の起こした事件の今後の手続きや処分について不安のある方は、ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。