現住建造物等放火事件で逮捕されたら

2020-03-26

現住建造物等放火事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡神河町に住むAさんは、職場の人間関係がうまくいかずストレスを抱えていました。
むしゃくしゃしていたAさんは、自分の部屋を燃やしてしまおうと思い、チャッカマンで部屋のカーテンに火をつけました。
異臭に気づいたAさんの家族が、Aさんの部屋に入ると、部屋の一部が燃えていることに気が付き、慌てて119番通報をしました。
駆け付けた兵庫県福崎警察署は、Aさんから事情を聞き、Aさんを現住建造物等放火の疑いで逮捕することにしました。
(フィクションです)

放火罪について

刑法の第9章は、放火と失火の罪について規定しています。
放火・失火罪は、火力の不正な使用によって建造物その他の物件を焼損し、公衆の生命・身体・財産に対して危険を生じさせる犯罪で、それらの罪に対する刑罰も重くなっています。

放火罪には、(1)現住建造物等放火罪、(2)非現住建造物等放火罪、(3)建造物等以外放火罪とがあります。
ここでは、最も重い罪である(1)現住建造物等放火罪についてみていきましょう。

(1)現住建造物等放火罪

現住建造物等放火罪は、①放火して、②現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を、③焼損する罪です。

①放火

「放火」というのは、故意によって不正に火力を使用し、物件を焼損sることをいいます。
判例によれば、自己の過失によって物件を燃焼させた者が、その既発の火力により建物が焼損せらるべきことを認容する意思をもって、あえて必要かる容易な消化措置をとらないことは、不作為による放火行為であるとして、不作為による放火を認めています。(最判昭33・9・9)

②現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑

・現住性
犯人以外の者が、放火行為当時現に起臥寝食の場所として日常使用していることが必要です。
放火行為の当時に、犯人以外の者が現在すると否とを問いません。

・建造物
家屋その他これに類似する工作物であって、土地に定着し、人の起居出入に適する構造を有するものを「建造物」といいます。(大判大13・5・31)
建造物の一部のようにみえても、毀損しないで取り外せるもの、例えば、布団、畳、障子、襖やカーテン等は、刑法261上における器物であって、本罪の建造物ではありません。

③焼損
「焼損」の意義については、学説上争いがありますが、判例は独立燃焼説をとっています。
つまり、被が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続し得る状態に達した時点を「燃焼」とする、との立場を採っています。(最判昭23・11・2)

また、放火行為と焼損との間には因果関係が必要です。

以上に加えて、人が現に住居として使用していること、または他人が現在する建造物であることの認識、および放火によりその客体を焼損させることの認識(未必的なものを含む)があったことが本罪の成立に求められます。

現住建造物等放火罪の法定刑は、死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役です。
死刑・無期懲役が定められており、非常に重い罪です。
殺人罪の法定刑も現住建造物等放火罪のそれと同じなのです。

そして、現住建造物等放火罪は、裁判員裁判の対象事件です。
通常、裁判は、裁判官が行います。
これは、民事事件も刑事事件も変わりありません。
しかし、一定の事件については、裁判官3名と、一般市民から選ばれた裁判員6名の合計9名で裁判が開かれます。
このような裁判のことを「裁判員裁判」と呼んでいます。
裁判員裁判対象事件は、①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件②故意の犯罪により人を死亡させた事件(①に当たるものを除く)です。
殺人罪や現住建造物等放火罪は①に当たり、傷害致死罪は②になります。
また、法定刑に死刑又は無期の刑がある事件は、人が死亡したかどうかを問いませんから、現住建造物等放火未遂罪も①によって対象事件となります。
これらに対し、過失運転致死罪は、故意の犯罪ではありませんから、①②のいずれにも当てはまらず、裁判員裁判対象事件ではありません。

現住建造物等放火事件で逮捕された場合、その罪の重さや逃亡・罪証隠滅のおそれから勾留される可能性は高いでしょう。
また、現住建造物等放火罪で起訴されれば、裁判員裁判となりますので、通常の刑事事件とは異なる手続となることに留意が必要です。

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