家出少女を自宅に泊めて未成年者誘拐事件に

2020-03-07

家出少女自宅に泊めたことにより未成年者誘拐事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Twitterに「家出中」と投稿した中学生のVさん(15歳)は、宿泊先を提供すると返信してきた男性Aさんと連絡をとり、VさんはAさんの住むマンションで泊まることにしました。
Vさんが自宅に帰ってこないので心配になったVさんの両親は、兵庫県福崎警察署に相談しました。
警察が調べたところ、Vさんは県内のAさん宅にいることが分かり、兵庫県福崎警察署の警察官はAさん宅に赴きたところ、室内にVさんがいることが確認できました。
Aさんは、仕事のため外出していたのですが、その後、Aさんは未成年者誘拐の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「Vさんが家出して泊まるところがなく困っていたから、自分の家に泊めただけで、何も悪いことはしていません。」と警察官に話しています。
(フィクションです)

家出少女を自宅に泊めたら刑事事件に?

自宅に家出少女を泊めた成人男性が、未成年者誘拐で警察に逮捕されるといった事件は少なくありません。
家出少女たちは、男性宅に泊まることに同意しているからいいのではないかと思われている方もいるようですが、未成年者の同意の有無にかかわらず未成年者誘拐罪は成立します。

以下、未成年者誘拐罪について解説します。

未成年者誘拐罪とは

未成年者を誘拐した場合に成立する犯罪を「未成年者誘拐罪」といいます。
未成年者誘拐罪は、刑法第224条に規定されています。

第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

◇主体◇
未成年者誘拐罪の主体に制限はありません。
未成年者の保護監督者であっても主体となり得ると考えられています。
例えば、別居中で離婚係争中であった妻が養育している長男を連れ去った行為について、たとえ行為者が親権者である夫であったとしても、当該行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり、行為者が親権者である事実は、行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情にすぎないとする判例があります。(最決平17・12・6)

◇客体◇
本罪の客体は「未成年者」であり、20歳未満の者です。
意思能力の有無、体力や発育の程度などは問わず、嬰児であっても客体となり得ます。

◇行為◇
問題となる行為である「誘拐」は、欺罔又は誘惑を手段として、他人の従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的な支配下に置くことを意味します。

◇未成年者の同意◇
未成年者が同意していたのであれば未成年者誘拐罪は成立しないんじゃないか、と疑問に思われたる方も多いのではないでしょうか。
この点、未成年者誘拐罪の保護法益の解釈と関連することになります。

未成年者誘拐罪の保護法益、つまり、法律がある特定の行為を規制することによって保護・実現しようとしている利益については、未成年者の自由、未成年者に対する保護者の監護権、自由と監護権の双方、とする立場がそれぞれ対立してきました。
判例では、保護法益は、被拐取者の自由、及び被拐取者が要保護状態にある場合は親権者等の保護監督権を含むとする立場をとっています。(大判明43・9・30)
ですので、未成年者を誘拐する際、未成年者の同意があった場合でも、保護法益には保護監督者の監督権も含まれていると考えられるため、未成年者が同意していたとしても未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。

未成年者誘拐罪は、親告罪であり、被害者等の告訴がなければ起訴されない犯罪です。
そこで、未成年者誘拐事件では、何よりも被害者の保護者と示談をすることが事件を穏便に解決するために重要となります。
示談交渉は、一般的に弁護士を介して行われます。
被害者の保護者は、加害者に対して怒りや恐怖心を抱いていることが多く、直接会って話をすることは、かえって事を荒立てる結果となる可能性もあります。
示談交渉は、刑事事件に精通し被害者との示談交渉の経験も豊富な弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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