覚せい剤使用の否認事件

2020-02-23

覚せい剤使用否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の路上をふらつきながら歩く女性Aさんを警ら中の兵庫県尼崎東警察署の警察官が発見し、職務質問を行いました。
Aさんの言動から薬物使用を疑った警察官は、Aさんを警察署に連れて行き、尿検査を実施したところ、覚せい剤の陽性反応が出ました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反(覚せい剤使用)容疑で逮捕されましたが、Aさんは容疑を否認しています。
Aさんの供述によれば、昨夜交際相手から無理やり何等かの薬物を注射器で打たれたということです。
Aさんは、否認事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

覚せい剤使用罪

覚せい剤取締法は、覚せい剤の使用を以下の場合を除いて禁止しています。

①覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合。
②覚せい剤施用期間において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合。
③覚せい剤研究者が研究のため使用する場合。
④覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合。
⑤法令に基づいてする行為につき使用する場合。

覚せい剤使用罪が成立するための要件は、以下の通りです。
(1)法定の除外事由がないのに、
(2)覚せい剤を
(3)使用する。

「使用」の意義については、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいうとされます。(札幌高判昭54・7・3)
その目的や方法の如何については問いません。

裁判で、「使用」に当たるとされた事例をいくつかご紹介します。
・覚せい剤結晶を、自分の虫歯の痛みを緩和させようとして、虫歯内に詰め込んで、覚せい剤を嚥下して使用した事例。(宇都宮地判昭53・2・3)
・覚せい剤若干量を含有する水溶液を、自分の膣内に注入して使用した事例。(東京地判昭55.10.21)
・覚せい剤粉末を陰部に塗布して使用した事例。(松江地判昭53・2・23)
・覚せい剤結晶性粉末を唾液で溶かして自己の亀頭、尿道口などに塗布して使用した事例。(新潟地判昭55・12・23)

さて、先ほども述べたように、覚せい剤取締法における「使用」とは、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいいます。
そのため、他人の身体に覚せい剤を注射する行為も、その注射を受ける行為も「使用」に当たります。
一方の依頼を受けて他方が注射をした場合、注射をした者および注射をされた者との関係は、一般的に使用罪の共同正犯が成立すると考えられるでしょう。
依頼した者が、覚せい剤だと知りながら、それを自分に注射するように頼み、依頼された者もまた同様に、覚せい剤だと知りながら、それを相手方に注射している場合、両者が意思を相通じて使用罪を共同して実行したことになるからです。
しかし、一方が他方の意思に反して覚せい剤を注射した場合は、注射された者に対して使用罪は成立しません。
覚せい剤使用罪も、故意犯ですので、同罪の成立には、覚せい剤の使用を認識・認容したことが必要となります。
ですので、無理やり注射された場合、覚せい剤を使用することを認容していないので、覚せい剤使用罪は成立しないことになります。

他人から知らない間に覚せい剤を飲まされた、あるいは、無理やり覚せい剤を注射された場合には、被疑者本人に覚せい剤使用の認識・認容がなかったことを主張していくことになります。
否認事件の弁護活動は、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡ください。