覚せい剤所持事件で故意を否認

2019-11-19

覚せい剤所持罪故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県たつの市に住むAさんは、ある日突然兵庫県たつの警察署の家宅捜索を受けました。
自宅から覚せい剤が見つかったとして、Aさんは覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持罪)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、取調べにおいて、「知人から借金の担保として預かっていただけで、自分で使用したり誰かに売ったりする気は一切なかった。」と供述しています。
(フィクションです)

覚せい剤所持罪について

覚せい剤の所持については、覚せい剤取締法第14条で次のように禁止されています。

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。
一 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚せい剤を所持する場合
二 覚せい剤製造業者が覚せい剤施用機関若しくは覚せい剤研究者に覚せい剤を譲り渡し、又は覚せい剤の保管換をする場合において、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第二項に規定する信書便(第二十四条第五項及び第三十条の七第十号において「信書便」という。)又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚せい剤を所持する場合
三 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚せい剤を所持する場合
四 法令に基いてする行為につき覚せい剤を所持する場合

覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合などを除いて、覚せい剤の所持行為を禁止しています。
覚せい剤所持罪は、①覚せい剤を、②みだりに、③所持すること、によって成立します。

①覚せい剤

覚せい剤の定義については、覚せい剤取締法第2条第1項で次のように規定されています。

第二条 この法律で「覚せい剤」とは、左に掲げる物をいう。
一 フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
二 前号に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するもの
三 前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

②みだりに

「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
つまり、第14条に規定されるような除外事由が存在するときは、所持罪の構成要件該当性が阻却され、本罪は成立しません。

③所持

所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)

また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。

所持罪の故意について

覚せい剤所持罪が成立するには、「覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること」が必要となります。

他人の覚せい剤所持していたケースでは、「自分のために置いていたのではない!」といった故意否認をすることが多くあるようです。
しかし、覚せい剤所持罪の成立には、積極的に覚せい剤を自己または他人のため保管する意思、自ら所有し又は使用、処分する意思などは必要でなく、ともかく覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立すると解されます。
ですので、上記ケースにおいては、Aさんは「知人から借金の担保として預かっていただけで、自分で使用したり誰かに売ったりする気は一切なかった。」と供述しています。
Aさんは自分のための持っていたんじゃないと容疑を否認していますが、この内容からすると「覚せい剤」を借金の担保として知人から預かっていたとなり、自分のために自宅においていたかどうかは問題ではなく、「覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していた」と言え、所持故意は認められるでしょう。
また、そもそも預かった物を「覚せい剤」であるとは知らなかった場合にはどうでしょう。
これについては、所持していた物が「覚せい剤」であることを少なくとも未必的には認識・認容している必要があります。
つまり、所持していた物が「覚せい剤である」と確信していた場合のみならず、「覚せい剤かもしれない」「なんらかの有害で違法な薬物かもしれない」との認識・認容を有していた場合もアウトです。

覚せい剤所持事件は、初犯であれば執行猶予付き判決となる可能性もありますので、覚せい剤所持事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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