横領罪で刑事事件に

2021-05-30

横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県小野市の店舗で店長として働いていたAさんは、会社に売上額を少なく申告し、差額を着服し、競馬やパチンコにつぎ込んでいました。
会社は、Aさんの不正に気付き、Aさんに着服分の返済と退職をもって警察には届け出ないと提案しましたが、Aさんとの間で着服額の認識について合意ができず、話し合いはなかなか進みません。
このままでは警察に届け出られ、逮捕されてしまうのではないかと不安に思い、Aさんは刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

横領罪について

刑法は、横領の罪として、①横領罪、②業務上横領罪、③遺失物等横領罪、について規定しています。

①横領罪

第252条 
1 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

■犯行の主体■
横領罪の犯行の主体は、「他人の物を占有する者」です。
「他人の物を占有する者」とは、委託に基づき他人の物を占有する者のことを意味し、委託に基づかないで自己の占有に帰した物を自己の物とする場合は、③遺失物等横領罪となります。
また、「公務所から保管を命じられた自己の物を占有する者」も、横領罪の犯行の主体となり、強制執行や滞納処分として差押えがなされた場合に、差し押さえられた者を債務者や滞納者に保管される場合などがこれに当たります。

■犯行の対象■
横領罪の犯行の対象は、「自己の占有する他人の物」です。
ここでいう「占有」という概念は、窃盗罪などにおける事実上の支配に加えて、法律上の支配をも含みます。
また、「他人の物」とは、他人の所有に属する財物を指します。
「公務所から保管を命じられた自己の物」については、物の占有者は、物の所有者又は公務所との間に、委託信用関係に基づく占有を有していなければなりません。

■行為■
横領罪の行為である「横領」とは、自己の占有する他人の物などを不法に領得することを言います。
つまり、他人の物などを占有する者が、権限なく、その物に対して、所有者でなければできないような処分をする意思を実現する行為のことです。
例えば、売却、贈与、交換、質入、抵当権の設定、譲渡担保の設定、債務弁済のための譲渡、預金、預金の引出し、貸与、小切手の換金、消費、着服などがあります。

■不法領得の意思■
条文にはありませんが、判例上認められた要件です。
不法領得の意思とは、権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思のことです。

■故意■
横領罪の故意は、自己の占有する他人の物などを横領することなどの認識・認容です。

②業務上横領罪

第253条 
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、犯行の主体の点で①横領罪と異なります。
業務上横領罪の犯行の主体は、「他人の物を業務上占有する者」です。
業務上占有していたか否かが、横領罪と業務上横領罪との分かれ目です。
ここでいう「業務」とは、社会生活上の地位に基づき、反復継続して行う事務であり、他人の物を占有保管することを内容とするものです。
他人の物を業務上占有する者の例としては、会社の現金出納担当者や、倉庫業者などです。

上記事例では、Aさんは売上金の管理など金銭管理を担当する店長であったため、①横領罪ではなく、②業務上横領罪に問われる可能性があるでしょう。
横領事件では、会社側も横領されたものを返してほしいと思っており、警察に届け出て刑事事件化させることよりも、全額弁済を優先させるケースが多く、警察に届け出る前に会社と示談を成立させれば刑事事件化を阻止できるという可能性もあります。
会社との示談交渉についても含めて、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にお電話ください。