窃盗罪成立?~一時使用行為~

2019-09-12

窃盗罪成立?~一時使用行為~

窃盗罪一時使用行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県宝塚市の駅から友人宅に向かう際、歩くには遠いけれどタクシー代を払うのももったいないと思っていたところ、駅付近の駐輪場に鍵が差し込まれたままの原動機付自転車を発見しました。
Aさんは、後で返すつもりでその原動機付自転車に乗って友人宅に向かいました。
3時間後、Aさんは原動機付自転車に乗って駅に戻り、駐輪場に止めようとしたところ、駐輪場の管理人に「ここは契約者以外は駐車できないから、他に止めてくれるか。」と言われ、対応に困っていたので、怪しいと思った管理人は兵庫県宝塚警察署に通報し、Aさんは警察署で事情を聞かれることとなりました。
(フィクションです)

人の原動機付自転車を使用したAさんは、警察署で事情を聞かれることになりましたが、Aさんは「後で返すつもりで乗って、実際に返しに駐輪場にいたので、原動機付自転車を盗んではいません。」と主張しています。
さて、Aさんの行為について、窃盗罪は成立するのでしょうか。

窃盗罪とは?

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です。
「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させることをいいます。

窃盗罪の成立を肯定するためには、主観的要件である「他人の財物を窃取することの認識」に加えて、「不法領得の意思」が必要とされます。
判例によれば、「不法領得の意思」というのは、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思」であるとされます。(大判大正4・5・21)
つまり、不法領得の意思は、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)、および他人の物をその経済的用法に従い利用・処分する意思(利用意思)から構成されます。

一時使用について

先述のように、窃盗罪が成立するためには、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」が必要となりますが、他人の物を利用し、利用後は元に戻す意思で物を持ち去って利用するような「一時使用行為」においては、排除意思が認められるかが問題となります。

この点、権利者を排除する意思を認めるか否かを判断するに当たっては、利用により価値の減少や消耗が生じ、または、その危険性が大きい場合には、権利者でなければできない利用である点で排除意思が認められ、利用の妨害の程度が大きければ排除意思が認められます。
上記ケースにおいては、Aさんは原動機付自転車を利用後は元の場所に返すつもりで利用し、実際に元の駐輪場に戻しています。
また、使用時間も3時間ほどであり、使用した原動機付自転車の所有者の利用の妨害も生じていません。
しかし、原動機付自転車を使用したことで、そのガソリンを消耗しており、使用した原動機付自転車で事故を起こし当該原動機付自転車を損傷させてしまう危険性もあると考えられることから、Aさんには排除意思が認められる、つまり不法領得の意思が認められ、窃盗罪が成立することになるでしょう。

「ちょっと借りるだけ」と安易に他人の者を勝手に使用すると、窃盗の罪責を負うことになりかねません。
もし、あなたが窃盗事件の被疑者として取調べを受けているのであれば、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
容疑を認めている場合には、被害者への被害弁償や示談を行い、不起訴処分獲得に向けて動く必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
窃盗事件をはじめ刑事事件でお困りの方は、今すぐフリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。