少年事件における処分

2020-08-30

少年事件における処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県姫路警察署は、特殊詐欺に関与したとして、県外に住むAくん(18歳)を詐欺および窃盗の容疑で逮捕しました。
Aくんの両親は、今後のどのような手続になるのか、最終的な処分はどうなるのか心配でたまりません。
ネットで検索し、すぐに対応してくれる少年事件専門弁護士を見つけました。
(フィクションです)

少年事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官による調査が行われ、審判が開かれます。
審判では、非行事実の有無・内容、および要保護性の有無・程度が審理の対象となります。
非行事実に争いのない事件では、通常は1回の審判期日で決定の言渡しまで行われます。

家庭裁判所による決定には、最終的な処分を決定する終局決定と、終局決定前の中間的な措置としてなされる中間決定とがあります。

(1)中間決定

中間決定には、「試験観察」というものがあります。
試験観察とは、保護処分を決定するために必要があると認めるときに、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付するとする家庭裁判所の決定のことです。
この試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間留保し、その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われるものです。

試験観察には、以下の2種類があります。

①在宅試験観察
少年は、在宅のまま、定期的に調査官と面談し、指導・観察を受けます。

②補導委託
調査官による観察に加えて、適当な施設、団体または個人に補導を委託します。
少年は、補導委託先に居住し、そこでの生活や仕事を経験しながら、定期的に調査官と面談し、指導・観察を受けます。

(2)終局決定

終局決定には、①審判不開始、②不処分、③保護処分、④、検察官送致、⑤都道府県知事または児童相談所長送致の5種類があります。

①審判不開始
調査官による調査の結果、そもそも非行事実がないことが明らかで審判に付すことができない場合、そして、少年の要保護性が解消している、事案が軽微であるなどといった場合で審判に付するのが相当ではないと認める場合には、審判不開始の判断がなされます。

②不処分
審判の結果、非行事実がないなど保護処分に付することができない場合や、非行事実は認められるが、少年の要保護性が解消されている、事案が軽微であるなどといった場合に保護処分に付するまでの必要がないと認められる場合には、不処分が決定されます。

③保護処分
保護処分には、3種類あります。

(a)保護観察
少年を施設に収容することなく、社会内での生活を送らせながら、保護観察所の市道監督および補導援護という社会内処遇によって、少年の改善更生を図ることを目的として行われる保護処分を「保護観察」といいます。
保護観察の最大の特徴は、他の保護処分と異なり、少年を施設に収容せずに社会内で処遇することにあります。
保護観察の期間は、原則として少年が20歳に達するまでです。
しかし、決定のときから20歳に達するまでの期間が2年に満たないときは、2年とされます。
ただ、少年の改善更生に資すると認められるときには、期間を定めて保護観察を一時的に解除することや、保護観察を継続する必要がなくなったと認められるときには、保護観察は解除されます。

(b)少年院送致
少年を少年院に収容する保護処分を「少年院送致」といいます。
少年院は、保護処分の執行を受ける者および少年院において懲役または禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、これらの者に対して矯正教育その他の必要な処遇を行う施設です。

(c)児童自立支援施設・児童養護施設送致
児童自立支援施設は、不良行為をなし、またはなすおそれのある児童等を入所させ、または保護者の下から通所させて指導を行う施設です。
児童養護施設は、保護者のない児童、虐待を受けている児童等を入所させ養護する施設です。
これらの施設は、本来児童福祉法上の要保護児童を収容するための福祉施設であり、矯正施設である少年院とは本質的に異なります。
これらの施設へ送致されるのは、年少少年である場合や、少年自身の非行性は強くないけれど、家庭環境などに問題がある場合などです。

④検察官送致
家庭裁判所は、(i)調査あるいは審判の結果、本人が20歳以上であることが判明したとき、および、(ii)死刑、懲役または禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質および情状に照らして刑事処分が相当と認めるときは、事件を検察官に送致する決定をしなければなりません。
事件が検察官に送致されると、成人の場合と同様に刑事事件として処理されます。

⑤都道府県知事・児童相談所長送致
家庭裁判所は、調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもって、事件を権限を有する都道府県知事または児童相談所長に送致しなければなりません。
当該決定の対象となるのは、18歳未満の児童です。
その中でも、児童福祉法の規定による措置は、「要保護児童」、つまり、保護者のない児童や保護者に監護させるのが不適当であると認められる児童が対象となっています。

家庭裁判所は、送致された事件の少年に対して、上のいずれかの決定を言い渡します。

特殊詐欺事件については、初犯であっても厳しい処分を科す傾向にあり、少年院送致となる可能性もあります。
しかし、要保護性の解消により、試験観察を経て保護観察となる余地もありますので、早い段階から弁護士に相談し、要保護性解消に向けた活動を行うのが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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