ストーカー規制法違反で逮捕①

2020-03-11

ストーカー規制法違反が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県内に住むAさんは、数年交際してきたVさんと最近別れたばかりです。
復縁を希望するAさんは、何度もVさんにLINEで連絡したり、Vさん宅に押し掛けたりしていました。
すると、兵庫県加東警察署から、「Vさんにこれ以上連絡はとらないように。」との警告を受けました。
しかし、Vさん宅にある荷物を処分するため、Aさんは何度かVさんと連絡を取ろうとしたところ、Vさんから回答がなかったため仕方なくVさん宅を訪問しました。
Vさんに、荷物を受け取るためにVさん宅にいることを連絡したところ、兵庫県加東警察署の警察官がVさん宅にやってきて、ストーカー規制法違反でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

どのような行為がストーカー規制法に違反するの?

ストーカー規制法で対象となる行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

(1)つきまとい等

まずは、「つきまとい等」の定義について説明します。

ストーカー規制法第2条1項によれば、「つきまとい等」というのは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て、次の8つの類型の行為をすることです。

①つきまとい・待ち伏せなど(1号)
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

②監視していると告げる行為(2号)
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

③面会・交際などの要求(3号)
面会、交際その他の義務のないことを行うよう要求すること。

④乱暴な言動(4号)
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

⑤無言電話・電子メールなどの送付(5号)
電話をかけても何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して電話をかけ、FAX送信し、若しくは電子メールを送信すること。

⑥汚物などの送付(6号)
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

⑦名誉を害する行為(7号)
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書・図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

この「つきまとい等」について、警察本部長等は、警告を求める申出を受けると、つきまとい等の行為者に対して、さらに反復してつきまとい等を行ってはならないと警告することができます。
警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合には、都道府県公安委員会は、行為者に対してさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときには、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することができます。

(2)ストーカー行為

「ストーカー行為」とは、同一の者に対して、つきまとい等を反復して行うことをいいます。
ただし、つきまとい等の第1号から4号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。

このように、「つきまとい等」は「ストーカー行為」の前段階の行為という位置づけとなります。

「ストーカー行為」が成立するには、「つきまとい等」を「反復して」行うことが必要となりますが、ここでいう「反復して」というのは、複数回繰り返してということを意味します。
また、つきまとい等の1号から8号までに掲げる行為のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為を「ストーカー行為」といいのであって、特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限定するものではありません。
つまり、上の①から⑧の「つきまとい等」が全体として反復されたと認められれば、ストーカー行為が成立することになるのです。

さて、ストーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰対象とするほか、公安委員会による禁止命令等に違反した者も処罰することとしています。

「ストーカー行為」をした者は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、禁止命令等に違反した場合、次のように類型に分けて規定されています。

(a)禁止命令等(第5条1項1号に係るものに限る。)に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。(ストーカー規制法第14条1項)
公安委員会からの禁止命令等を受けたにもかかわらず、禁止命令等に違反して第3条違反の行為(つきまとい等をして不安を覚えさせる行為)を反復して行った結果、「ストーカー行為」を行った場合です。

(b)禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。(同条2項)
禁止命令を受けた者が、命令に違反してつきまとい等を行った場合であって、命令前の行為から通して評価するとストーカー行為に該当する行為を行った場合です。

(c)禁止命令等に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。(ストーカー規制法第15条)
禁止命令を受けた者が、命令に違反してつきまとい等を行った場合で、命令前の行為から通じて評価してもストーカー行為に該当しない場合です。
行ったつきまとい等が、ストーカー規制法第2条1項1号から4号に掲げるつきまとい等であって、不安を覚えさせる方法では行われなかった場合です。

このように、問題となる行為の内容によって罰則やその後の流れも異なります。
相手方から「ストーカーで警察に相談する!」と言われてお困りの方や、警察から警告や禁止命令等が出されて対応にお悩みの方は、ストーカー規制法違反事件にも対応する刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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