薬物事件における身体拘束

2019-08-02

薬物事件における身体拘束

~ケース~
覚せい剤取締法違反の罪に問われた被告人Aさんは、逮捕・勾留により兵庫県明石警察署の留置場に拘禁されていました。
勾留決定と共に、接見禁止が付されており、Aさんは弁護人以外の者と面会することはできませんでした。
勾留延長の満期日に、Aさんは神戸地方検察庁に覚せい剤取締法違反の罪で起訴されました。
Aさんは、弁護人にすぐに保釈請求をしてほしいと話しています。
(フィクションです)

薬物事件で逮捕されたら

覚せい剤、大麻、麻薬、危険ドラッグなどの薬物に手を出し、警察に逮捕された場合、その後勾留される可能性は高いです。
勾留は、被疑者や被告人の身柄を拘束する裁判とその執行のことです。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
被疑者勾留は、逮捕が先行していること、検察官の請求によること、保釈が認められないこと、勾留期間が短いこと等の点で、被告人勾留と異なります。
被疑者を勾留するには、①勾留の理由、そして②勾留の必要性が必要です。

①勾留の理由
勾留の理由は、以下の通りです。
(a)被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある。
かつ、
(b)次の少なくとも一つに該当する。
 ・住所不定
 ・罪証隠滅のおそれ
 ・逃亡の恐れ
薬物事件の場合、薬物の入手先や譲渡先など被疑者本人だけでなく複数人が事件に関与しているため、釈放されることにより関係者と接触し、罪証隠滅を図るおそれが高いと判断されます。
そのため、勾留の理由があるとして勾留がなされるケースが多いのです。

②勾留の必要性
勾留の必要性というのは、勾留の「相当性」のことであるとされており、相当性のない場合に勾留は認められません。
被疑者や被告人を勾留することによる「公益的な利益」と、これによって被疑者や被告人が被る「不利益」とを比較衡量して総合的に判断されます。
多くの場合、勾留による長期身体拘束は被疑者や被告人が仕事を失う可能性を高めることになる旨の不利益が挙げられます。

被疑者勾留の目的は、
①捜査・公判の紛糾防止
②公判廷への出頭確保
③刑の執行確保
などが挙げられます。
これらの目的から導き出される「公益的な利益」が、被疑者の身体拘束を解いた状態では害される可能性があり、被疑者の身柄確保=勾留の必要性があると判断されると、例え被疑者が仕事を失うおそれがあり、それによって被る不利益や身元引受人が被疑者の監督を誓約していたとしても勾留が決定する可能性があります。

また、薬物事件においては、勾留と共に接見禁止決定がなされることも多いのです。
接見禁止となると、弁護士以外の者との面会ができなくなります。
これもまた、関係者と接触し罪証隠滅を図るおそれがあるためです。

このように、薬物事件においては、逮捕から起訴までは身体拘束される可能性は高いのです。
しかし、起訴後であれば、保釈で釈放される可能性もあります。

保釈は、一定額の保釈保証金を納めることにより、勾留を停止し、身体拘束を解くものです。
保釈保証金の相場は、150~200万円となっており、一般人にとってはとても安いとは言えない金額です。
ですので、被告人も容易に逃亡しようとは思えないというわけです。
もちろん、逃亡を思いとどまらせるだけの金額でなければならないので、被告人の経済状況によって保釈保証金の額も変わってきます。
保釈を許可するか否かの判断にあたっては、検察官は、確実に有罪にできる証拠を収集して被疑者を起訴しますので、起訴した段階では十分な証拠が取得できている状態にありますので、被疑者勾留の段階よりも罪証隠滅のおそれは低いと判断されます。
また、保釈保証金の納付により、被告人が逃亡するおそれも高くないとし、勾留の判断と比べると保釈の判断は緩やかだと言えるでしょう。
そのため、薬物事件で勾留や接見禁止が付いていたとしても、起訴後は保釈により釈放されることも多いのです。

ご家族が薬物事件で逮捕・勾留され、長期の身体拘束を受けてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。