亡くなった親の年金を不正受給 死体遺棄罪と詐欺罪で逮捕(併合罪)

亡くなった親の年金を不正受給し、死体遺棄罪と詐欺罪で逮捕された事件を参考に、併合罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

兵庫県明石市に住むAは母親の介護をしながら二人で暮らしていました。
しかし、あるとき母親が持病の悪化によって死亡してしまいました。
Aは、このままでは母親に支給されていた年金が支給されなくなってしまい、収入を失ってしまうと考え、母親を倉庫に放置していました。
しかし、周辺住民がAの母親をしばらく見ないことから不審に思い、兵庫県明石警察署に通報したことにより、警察官がA宅を訪れました。
そこで、A宅の倉庫から白骨化された状態の母親が発見されAは死体遺棄罪と詐欺罪の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

併合罪

さて、今回は二つの罪名にあたる行為をしてしまった場合にどのようになってしまうか検討してみましょう。
刑法第45条では、確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする、と規定しています。
そして、併合罪となった場合の有期の懲役及び禁錮についての処理は刑法第47条に規定されています。

刑法第47条
「併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない」

では、タイトルにもあるように、親の死を隠して年金の不正受給をしていた場合にどうなるか、具体的事例を検討してみましょう。

死体遺棄罪と詐欺罪

死体遺棄罪は刑法第190条に規定されており、死体を移動させて遺棄する場合のほか、今回のAのように葬祭をする責務を有する者が葬祭の意思なく死体を放置することも含まれます。
死体遺棄罪で起訴されて有罪が確定すると「3年以下の懲役」に処されます。
今回のAは年金を受給し続けるために母親の死を隠していた行為については「死体遺棄罪」に抵触するでしょう。

また死体遺棄罪だけでなくAは、不正に年金を受給していることから、詐欺罪(罰則:10年以下の懲役)も成立します。
詐欺罪と死体遺棄罪となってしまった場合、どのような刑を受けることになるのでしょうか。

併合罪について検討

では、詐欺罪と死体遺棄罪について、先述の併合罪の条文(47条)に当てはめて検討してみましょう。
詐欺罪の罰則は「10年以下の懲役」、死体遺棄罪の罰則は「3年以下の懲役」ですので最も重い罪の刑は「10年以下の懲役」となり、その二分の一を加えると「15年以下の懲役」となります。
しかし、47条のただし書きには「それぞれの刑について定めた刑の長期の合計を超えることはできない」とされているため、今回の場合は「13年以下の懲役」の範囲で処断されることになります。

まずは弁護士に相談を

このようにある事件について二つ以上の罪名に触れる場合、刑法に規定されている処断刑を計算しなければならない場合があります。
さらに、実際に予想される判決などはさまざまな状況やその後の弁護活動の内容によっても変わってきますので、刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。
なお、今回は併合罪となりましたが、この他にも牽連犯や観念的競合など二つ以上の罪名に触れる場合にはさまざまなケースがあります。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。

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