理由なく警察署に居座った男が、不退去罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
男は、1月23日午後6時ころ、兵庫県伊丹警察署を訪れました。
男は、過去の署による自分への対応について説明を求めて警察署を訪ねて来たようで、警察官は、男を別の部屋に通して、そこで30分ほど説明をしたようです。
説明を受けた男は、一度は部屋を出て警察署を後にしようとしたようですが、警察署の受け付け前にある待合用のベンチに座り、そのまま逮捕されるまで居座り続けたとのことです。
そして午後8時ころから35分間にわたって、再三にわたって警察官から警察署から出て行くように求められたにも関わらず、その場に居座り続けた男は、不退去罪で現行犯逮捕されました。
刑法第130条
不退去罪は、住居侵入罪や建造物侵入罪等が規定されているのと同じ刑法第130条に規定されている犯罪行為です。
まずは刑法第130条を見てみましょう。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法第130条は、その前段で、住居侵入罪、建造物侵入罪、邸宅侵入罪、艦船侵入罪の、4つの犯罪について規定しており、後段で、不退去罪について規定しています。
ここで規定されている犯罪を起して、起訴後に有罪が確定すれば「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が科せられます。
不退去罪
不退去罪は、典型的な真正不作為犯です。
不退去罪は、その建物に立ち入った際は適法であったり、違法性の認識がなかった場合でも、その後、その建物の住民や、管理者から退去を求められたにも関わらず、その場に居座った場合に成立する犯罪です。
当然、最初からその建物に違法に立ち入った場合は、刑法第130条の前段に規定されている犯罪が成立し、その後、不退去罪は成立しません。
刑法第130条の条文にある「正当な理由がないのに」の文言は、住居侵入罪、建造物侵入罪、邸宅侵入罪、艦船侵入罪に係るものであって、不退去罪には係らないとされていますが、不退去についての正当な理由がある場合は、違法性を欠くことになるでしょう。
不退去罪が成立するには、管理者等、権限のある者の退去要求が必要不可欠となり、実務上は、一回の退去要求に従わなかったからといって、即不退去罪を適用しているわけではないようです。
刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、不退去罪等の刑事事件を専門に扱っている法律事務所で。
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