相生市の器物損壊事件で逮捕された事件を参考に、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
相生市に住んでいる無職のAさんは、車の駐車方法を巡って隣人のⅤさんとトラブルになっていました。
ある日、あまりにも腹が立ったAさんは、Ⅴさんが自宅前の路上に駐車していた車に石で傷付けたのです。
Ⅴさんが器物損壊罪で刑事告訴したことから、Aさんは兵庫県相生警察署に出頭を要請されましたが、出頭に応じず警察官が自宅を訪ねて来た際も無視して、警察の任意捜査を無視し続けました。
その結果、その1カ月後の朝に、兵庫県相生警察署の捜査員が自宅を訪ねてきて、Aさんは、器物損壊罪で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんの早期釈放を求めて、刑事事件に強いと評判の弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)
器物損壊罪
人の物を損壊すれば刑法第261条に規定されている器物損壊罪となります。
器物損壊罪における「損壊」とは、物質的に物そのものの形を変更又は滅失させるだけでなく、その物の効用を害する一切の行為を意味します、
つまり「物を壊す」という行為だけでなく、その物を本来の目的に供することができない状態に至らしめる場合も含むのです。
これまで、湯飲み茶わんに小便を入れたり、人に自転車を鎖で繋いで使用できなくする行為に対して、器物損壊罪が適用されています。
器物損壊罪は親告罪
器物損壊罪は、告訴権者の告訴がなければ起訴を提起することのできない親告罪(刑法第264条)です。
告訴権者とは、被害者本人はもちろんのこと、被害者の法定代理人や後見人といった被害者と近しい立場の者も含みます。
ちなみに親告罪は、告訴権者の告訴がなければ起訴を提起できないのであって、警察が捜査したり、犯人を逮捕したりすることは被害者の告訴がなくても可能です。
器物損壊罪の法定刑
器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金又は科料」です。
初犯であれば、よほど悪質な事件でない限り略式罰金となるケースがほとんどですが、再犯の場合は起訴される可能性が高く、再犯を繰り返せば実刑判決も十分に考えられる事件です。
器物損壊罪で逮捕されるリスク
器物損壊罪は、人の生命、身体に危害を与える犯罪ではないために、偶発的に起こした事件であれば、警察署に出頭して任意の取り調べを受けて検察庁に送致される方が多いようですが、被害者との間に遺恨があったり、計画的に犯行に及んでいる場合などは、逮捕されるリスクが高くなるようです。
また、Aさんのように任意捜査に協力しない場合は、逮捕される可能性が高くなります。
~明日に続く~