西宮市の薬物事件を参考に、覚醒剤事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
西宮市の運送会社でドライバーをしているAさんは、10代の時に友人の勧めで覚醒剤を初めて使用し、それから10数年間、仕事で疲れた時などに覚醒剤を使用しています。
Aさんは、友人に紹介してもらった覚醒剤の売人から2~3ヶ月に1回覚醒剤を購入していましたが、半年ほど前に、この売人が警察に逮捕されたという噂を耳にしました。
この噂を聞いた時は「自分にも捜査が及ぶかもしれない。」と思い、自宅に隠し持っていた覚醒剤を処分し、一時は覚醒剤の使用を絶ちましたが、最近になって再び覚醒剤を使用し始めてしまいました。
新たにインターネットのSNSを利用して見つけた覚醒剤の密売人から覚醒剤を購入したAさんは、自宅で覚醒剤を炙って使用しています。
そんな中Aさんは、覚醒剤の所持容疑で、兵庫県西宮警察署の捜査員による家宅捜索を受けました。
覚醒剤は発見されませんでしたが、覚醒剤を炙る際に使用したガラスパイプが警察に押収されてしまいました。
そしてAさんは、捜査員によって任意採尿されてしまいました。
Aさんが覚醒剤を最後に使用したのは、捜索を受ける5日ほど前です。
Aさんは、今後、警察に逮捕されるのではないかと不安で薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
薬物事件で逮捕されるか~覚醒剤の使用事件~
警察が扱う他の事件と違い、覚醒剤の使用事件に関わらず薬物事件は被害者が存在しないので、警察等の捜査当局が事件を認知する端緒は、警察官の職務質問か、内偵捜査によるものがほとんどです。
内偵捜査についてみてみると、警察等の捜査当局が内偵捜査を開始するきっかけは、Aさんの事件のように別件で逮捕された被疑者からの情報であったり、匿名者からの情報提供の他、最近は、捜査当局が独自に、インターネット上の掲示板等の書き込み等から違法薬物の取引情報を得て内偵捜査を開始する場合もあるようです。
こうした内偵捜査を経て覚醒剤の使用や所持の容疑をかけられてしまうと、まずはAさんのように、自宅等の関係先に捜索に入られます。
そこで覚醒剤のような違法薬物が発見、押収された場合は、現行犯逮捕されることになるでしょうが、Aさんのように発見されなかった場合は、所持罪で逮捕されることはないでしょう。
ただAさんのように捜索差押の際に、採尿される場合があります。
採尿の5日前に覚醒剤を最終使用していた場合は、後の尿鑑定で覚醒剤成分が検出される可能性が高く、その場合は覚醒剤使用の容疑で逮捕されてしまう可能性は非常に高いです。
明日に続く