覚醒剤使用罪で逮捕された方の事件を参考に、逮捕の種類と逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
覚醒剤使用罪で逮捕された事件
Aさんは、覚醒剤使用で過去に執行猶予判決を受けた前科があります。
現在は、その執行猶予期間も経過しているのですが、先日、知人から誘われて覚醒剤を使用してしました。
そして、使用して1週間も経過しないうちに、高砂市のスナックで他の客とトラブルを起こしてしまい、警察官が臨場する騒ぎになってしまったのです。
トラブル自体は警察沙汰になることなくおさまったのですが、そこで覚醒剤の前科があったAさんは、警察署に任意同行されて任意採尿されてしまい、その尿から陽性反応が出たことから、Aさんは覚醒剤取締法違反(使用罪)で緊急逮捕されたのです。
(フィクションです。)
覚醒剤使用事件で逮捕される場合、Aさんのように、採尿後に簡易鑑定されて、陽性反応が出た時点で、緊急逮捕されることもあれば、採尿された数日後に、通常逮捕されることもあります。
逮捕とは、被疑者の身体を拘束し、引き続き短期間の拘束を継続することをいい、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3種類があります。
そこでまずは、逮捕の種類について解説ます。
通常逮捕
通常逮捕とは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状によってする逮捕をいいます。
通常逮捕の特徴は、裁判官のあらかじめ発する逮捕状を必要とする点です。
つまり、この逮捕状がなければ被疑者を通常逮捕することはできません。
では、どういう場合に逮捕状が発せられるのかといえば、
〇逮捕の理由(=被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること)
〇逮捕の必要性
が存在する場合とされています。
裁判官から発布された逮捕状が捜査機関により、いつ執行されるのかは分かりません。
発布された逮捕状には有効期限が定められていますから、その有効期限内であればいつでも執行することができますし、それなりの理由があれば、時効を迎えるまで逮捕状の有効期限は更新し続けることができます。
ちなみに逮捕時に逮捕状がなくても、逮捕状を緊急執行されて、通常逮捕されることがあるので注意が必要です。
現行犯逮捕
現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人といい、これらの者を逮捕することを現行犯逮捕といいます。
現行犯逮捕の特徴は
〇裁判官の令状(逮捕状)が不要なこと
〇私人(捜査機関以外の者)でも逮捕が可能なこと
です。
これは、現行犯人は、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であることから、誤認逮捕のおそれがなく、犯人を確保し、犯罪を制圧するなど速やかに犯人を逮捕する必要も高いことがその理由とされています。
覚醒剤事件の場合、所持事件では現行犯逮捕されることがあります。
~次回に続く~
次回のコラムでは、緊急逮捕と、逮捕後の流れについて解説します。