詐欺の実行犯に協力したとして、詐欺罪の共同正犯として逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事例
神戸市の投資信託の会社に勤めるAさんは、SNSで知り合い仲良くなった知人から、何か手っ取り早く金儲けになる話しはないか?と相談を受けました。
そこでAさんは、資産家に嘘の投資話を持ち掛けて出資金を募る詐欺の方法を、この知人に伝授しました。
ただAさんは、自分が事件に関与するのは嫌だったので、自分の会社で扱っている資産家の個人情報を提供する見返りとして情報料を受け取ることにしたのです。
そして知人は、Aさんが提供した情報をもとに、複数の資産家から出資金名目でお金を騙し取ったようで、実際にAさんは、知人から数百万円の取り分を受け取りました。
それから数か月して、知人が詐欺罪で兵庫県芦屋警察署に逮捕されてしまい、後日Aさんも共犯として警察に逮捕されました。(フィクションです。)

共犯とは
共犯とは、2人以上の者が共同して犯罪を実現することをいいます。
共犯には、共同正犯・教唆犯・幇助犯という3つの類型があります。(広義の共犯)
共同正犯・教唆犯には正犯の刑が、幇助犯には正犯の刑を減軽した刑が科されます。
共同正犯は、刑法60条に規定があり、それは以下の通りです。
「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」(刑法60条)
この条文の「すべて正犯にする」という文言から、共同正犯においては、犯罪行為の一部を行えば、それによって生じた犯罪の結果の全部について責任を課されるという一部実行全部責任の原則が適用されるとされています。
共同正犯の成立要件
共同正犯の成立には
①共同実行の意思(意思の連絡)
②共同実行の事実
の2つが必要とされています。
今回事例では、知人は、Aさんから伝授された詐欺行為を実行し、実際に資産家からお金を騙し取っています。
また被害者となる資産家の個人情報を知人に提供し、知人は、その情報をもと犯行に及んでいます。
こういった点から、Aさんに共同実行の意思(共謀)はあったと言って間違いないでしょう。
ただAさんは、実際の犯行には関与していません。
ですので、共同実行の事実は認められません。
共同実行の事実が認められない以上、共同正犯は成立しないのではないでしょうか。
次回のコラムでは共謀共同正犯について解説します。
(共同正犯が成立しないとされた場合、より軽い幇助犯として処罰される可能性が高いです。)
~~~次回に続く~~~
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