兵庫県美方郡香美町の準強制わいせつ事件で逮捕 準強制わいせつ罪における主観的要素って?
兵庫県美方郡香美町にある鍼灸院の院長が、女性患者にはり・きゅうの施術を装い、女性患者の体を触ったとして、準強制わいせつ容疑で兵庫県美方警察署は院長を逮捕。
院長は、「わいせつな気持ちではやっていない」と容疑を一部否認しているという。
(産経WEST 2017年9月5日 7時10分掲載記事を基に、地名・警察署名を変更しています)
【準強制わいせつ罪】
準強制わいせつ罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為を」する犯罪です。
「心神喪失」とは、精神的な障害によって正常な判断力を失った状態のことを言い、熟睡、泥酔、麻酔状態、高度の精神病などです。
また、「抗拒不能」とは、心理的または物理的に抵抗ができない状態のことです。
例えば、恐怖・驚愕・錯誤などによって行動の自由を失っている状態です。
つまり、「心神喪失」、「抗拒不能」とは、抵抗するのが不可能又は極めて困難な状態のことです。
事例のように、治療と称して施術者が体を触ることは、患者にとってそれが治療のためだと信じ、心理的・精神的に拒否できない状態に陥れたと言えるので、抗拒不能の状態であったと考えられるでしょう。
さて、準強制わいせつ罪が成立するのに必要な「わいせつな行為」とは、どのような行為を指すのでしょうか。
わいせつな行為とは、公然わいせつ罪におけるわいせつ概念より広く理解されており、「被害者の性的羞恥心を害する行為」を意味します。
具体的には、乳房や陰部を触る行為、裸にして写真を撮る行為などが該当します。
さらに、準強制わいせつ罪の主観的要素として、わいせつ行為が「犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われること」が要件となります。
その点、被害者に復讐する目的で、被害者の裸の写真を撮影する行為は、強制わいせつ罪は成立しないとする判例があります。(最判昭45・1・29 百選Ⅱ14)
事例のように施術に際して行われた体を触るという行為が、準強制わいせつ罪に該当するのか否かは、加害者である院長が性的意図のもとで当該行為を行なったかどうかという点がポイントとなるでしょう。
性的意図の有無については、本人の供述だけではなく、様々な客観的な事情を総合して判断しなければなりません。
兵庫県美方郡香美町の準強制わいせつ事件で、ご家族やご友人が逮捕された、主観的要素である性的意図の有無を否認していらっしゃる場合には、刑事事件に豊富な経験と知識を有する弁護士が所属する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
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