兵庫県たつの市のひき逃げ事件 人身事故で刑事責任に問われたら弁護士
Aさんは、兵庫県たつの市の交差点で乗用車を運転中、自転車の女性をはね、そのまま助手席に乗せて逃亡した疑いで、兵庫県たつの警察署に逮捕されました。
Aさんは、女性は病院に連れて行こうとしたと供述しています。
(日本産経新聞 2017年10月8日23時掲載記事に基づいたフィクションです)
【ひき逃げとは?】
「ひき逃げ」とは、自動車やバイクの運転中に、人を死傷させてしまった場合、その自動車やバイクを停止させ、負傷者の救護や道路の危険を防止する等の行為を行わなければならないにもかかわらず、これらをせずに現場から離れる犯罪行為のことを言います。
道路交通法第72条1項前段は、「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」と規定しています。
つまり、事故発生時に加害者が行うべき措置は、以下の3点です。
①負傷者の救護、②道路上の危険の除去、③警察への報告。
【ひき逃げの刑の種類と刑罰の重さ】
ひき逃げをしてしまった場合、どのような罪に問われ、どんな刑罰が科されることになるのでしょうか。
《負傷者の救護と危険防止の措置違反》
人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務に違反した場合には、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
なお、人身事故が「人の死傷が当該運転手の運転に起因する」ものである場合に、救護義務・危険防止措置義務に違反すると、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となる可能性があります。
ここで言う「人の死傷が当該運転手の運転に起因する」場合とは、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪に問われ得るケースとなります。
《事故報告の義務違反》
交通事故の警察への報告を怠った場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金になる可能性があります。
《過失運転致死傷罪》
人身事故では、「運転上必要な注意」を怠ったことにより人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪に問われ、7年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金となることがあります。
《危険運転致死傷罪》
飲酒や薬物摂取、スピードの出しすぎなどで自動車の制御が困難な状態で人身事故を起こした場合には、危険運転致死傷罪に問われることがあります。
その場合、被害者を負傷させたのであれば15年以下の懲役、死亡させたのであれば20年以下の懲役となります。
ひき逃げのケースでも、単純に救護せず放置した場合は、運転過失致死傷罪・危険運転致死傷罪と救護義務違反の罪の併合罪となります。
しかし、いったん事故現場で負傷者を自分の車に乗せたが発覚を恐れて別の場所に遺棄したような場合は、救護義務違反と保護責任者遺棄(致死傷)罪は観念的競合の関係となり、両者を比較して最も重い罪により処断されることになります。
なので、過失運転致死傷等と、両者いずれか重い罪との併合罪となります。
また、ひき逃げを行い、それにより被害者が死亡する認識を持ちながら救護せず放置したような場合には、不真正不作為犯として殺人罪又は殺人未遂罪となることもあります。
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