兵庫県美方郡新温泉町の刑事事件で弁護士 逃走の罪とは?

兵庫県美方郡新温泉町の刑事事件で弁護士 逃走の罪とは?

逃走の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

兵庫県美方郡新温泉町の強制性交等事件の被疑者であるAさんは、兵庫県美方警察署に勾留されていました。
ある日、同警察署内の留置場からAさんが逃げ出したとして、同署はAさんの行方を追っています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

逃走の罪とは?

逃走の罪には、被拘禁者自身の逃走行為を罰する「単純逃走罪」及び「加重逃走罪」と、他の者が被拘禁者を逃亡させる行為を罰する「被拘禁者奪取罪」、「逃走援助罪」並びに「看護者等逃走援助罪」とに類型されます。
以下、前者について見ています。

《単純逃走罪》
「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」が「逃走」する犯罪です。
本罪の主体は、「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」に限られ、確定判決を受けて自由刑の執行のために拘置されている者、死刑の言渡しを受けて執行までの間に刑事施設に拘置されている者、勾留状の執行のために拘禁されている者、鑑定留置に付された者となります。
逮捕状により、又は現行犯人として逮捕された者は、本罪でいる被拘禁者には該当しないと理解されています。
逃走」とは、被拘禁者が拘禁状態から離脱することをいいます。
看守者の実力的支配を脱することを「離脱」といい、一時的であれ完全に離脱すれば既遂となります。
単純逃走罪の法定刑は、1年以下の懲役です。

《加重逃走罪》
単純逃走罪で主体となっていた者に加え、「勾引状の執行を受けた者」が「拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して逃亡」する犯罪です。
本罪には、単純逃走罪の主体及び逮捕状により逮捕された被疑者や勾引された証人などが含まれます。
本罪の行為は、①拘禁場・拘束器具の損壊(物理的に毀損すること)、②暴行・脅迫、③2人以上での通謀、いずれかの方法・手段により逃走することです。
①については、単に手錠を外して逃げただけでは該当しません。
本罪の法定刑は、3月以上5年以下の懲役です。

事例では、Aさんは勾留状の執行を受けて拘禁されているので、留置場から逃げ出した場合には、単純逃走罪が成立することが考えられます。
また、仮に①拘禁場・拘束器具の損壊(物理的に毀損すること)、②暴行・脅迫、③2人以上での通謀、いずれかの方法・手段により逃走したのであれば加重逃亡罪に問われる可能性があります。

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