特殊詐欺事件で試験観察を経て保護観察処分へ
特殊詐欺事件での試験観察について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
少年(19歳)は、他の共犯者らと共謀の上、特殊詐欺組織の現金受け取り役として被害者宅に赴き、被害者から現金300万円を受け取ろうとしていたところ、待機していた兵庫県淡路警察署の警察官に逮捕されました。
少年は、逮捕・勾留後、家庭裁判所に送致され、観護措置がとられました。
本件の他にも、同様の特殊詐欺事件に関与したとして、余罪についても家庭裁判所に追送致されました。
少年の両親は、このままでは少年院送致となるのではないかと心配になり、少年事件専門の弁護士に相談しました。
少年事件専門の弁護士を付添人に選任し、第一回審判では試験観察となり、3か月間の試験観察を経て、第二回審判では保護観察処分が言い渡されました。
(事実を基にしたフィクションです)
特殊詐欺事件と少年事件
「高額アルバイト」などと称して、少年に特殊詐欺の片棒を担がせるケースが後を絶ちません。
特殊詐欺に関与した少年たちは、何も非行歴のある少年に限りません。
その多くが、非行歴や補導歴もない少年たちなのです。
「簡単」「高収入」といった甘い言葉を鵜呑みにして、犯罪組織の末端の役割を担った結果、捜査機関に逮捕されてしまうケースが多く見受けられます。
特殊詐欺事件は、被害額も多く、社会的な影響が大きいことや、組織犯罪の資金源となっていることが多く、近年厳しく処罰される傾向にあります。
20歳未満の少年の場合、初犯であっても、いきなり少年院送致の処分となる可能性もあるのです。
試験観察とは
少年事件は、原則、すべての事件が、捜査機関による捜査が終了すると、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致されると、調査官による調査、少年審判を経て、少年の更生に適した処分が決定されます。
その処分には、中間処分と終局処分とがあります。
相当の期間、少年を調査官の観察に付すとする家庭裁判所の決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、少年に対する終局処分を一定期間保留し、その期間に少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。
少年の更生にとって保護観察がいいのか、少年院送致がよいのか、すぐに判断することが出来ない場合に、試験観察とし、その期間に少年の要保護性に関する十分な調査を行い、また少年自身の更生に向けた行動や態度の改善を期待する制度です。
少年が日記をつけることや、定期的に家庭裁判所に出向き調査官と面接することなどといった遵守事項が定められることが多くなっています。
試験観察の期間は、通常3か月から半年ほどです。
特殊詐欺事件の様な少年院送致の可能性がある少年事件の場合で、審判準備をする中で、ただちに終局的処分を決めるよりも、調査官による調査や関係者による働きかけや環境調整を行う方が、少年の更生のためになり、終局処分が少年にとってより良いものになると考えられる場合には、試験観察を利用することが良いこともあります。
この期間中における少年の様子から、社会内処遇での更生が可能だと判断されると、保護観察処分となる可能性は高まります。
そのため、付添人は、試験観察期間中、少年と定期的に連絡を取り、少年の生活を把握するとともに、面会を行い、少年の更生への意欲を高め、引き続き少年の生活環境の改善を行う等、試験観察の成果がより上がるよう努めます。
兵庫県の少年事件でお困りの方、少年院に収容されるのではと心配されていらっしゃるのであれば、少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談されてはいかがでしょうか。
詳しくは、フリーダイアル0210-631-881までお問い合わせください。