公判の弁護活動
公判での争い方は、大きく分けると無罪・無実を訴えていく方法と執行猶予付の判決や減刑を求めていく方法があります。
ただ、これらのうちでも、事件によってはいくつかのやり方が考えられます。
たとえば、無罪・無実を主張する場合、そもそも自分は犯人ではないということを訴える方法の他に、捜査手法・手続きの違法により証拠として認められない結果、検察官の立証が不十分であることを追及する、事件を起こしたことは間違いないが、やむを得ずに行った行為であり正当防衛が成立する、精神疾患のために刑事責任を問うことは相当でないなど複数の争い方が考えられます。
執行猶予や減刑を求めるには、事件を起こした背景には酌むべき事情があること、被告人の反省等主に情状についての弁護を行います。
公判での弁護活動については、法廷における弁護士の技術が判決結果に大きく影響を与えます。
また、判決内容は、公判の中であらわれた事情のみを基礎として判断されます。
そのため、本当は身に覚えがないにもかかわらず、十分な主張をしなければ、有罪とされてしまうことがあります。
内心では反省していてもそれが伝えられていなければ、無反省であるなどとして重い処罰が下されることもあります。
公判では、容疑者(被告人)本人のほか、ご家族も法廷で話す機会があります。
こちら側の主張を裁判所に対して、効果的に伝えるためには、質問の答え方や何を話すかなど、しっかりとした準備を行うことが重要であるといえます。
そのためにも、刑事弁護に特化した弁護士との入念な打ち合わせを行って公判に臨むことが有用です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件を中心に扱っており、刑事事件に精通した弁護士があらゆる刑事事件に対応するノウハウを持っています。
以下では、当事務所での公判における弁護活動のやり方を紹介しながら、説明します。
無罪弁護
~自分は犯人ではない、真犯人が別にいる~
自分は何もやっていないにもかかわらず、犯人であるとして起訴されてしまった場合、公判では起訴された事実は事実無根であるとして、徹底的に争います。
具体的には、容疑者にはアリバイが存在し、犯行を行うことは不可能であること、第三者による犯行の可能性が十分に考えられることなどを主張します。
反対に、検察官は容疑者が犯人であると結びつけるための証拠を提出して、有罪を立証しようとします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事弁護に特化した弁護士が、あらかじめ裁判の前に検察官から証拠の開示を受けて、検察官の提出する証拠を丹念に検討したうえで、入念な準備をして公判に臨みます。
また、こちらに有利な証拠がないかを独自に調査し、公判に提出します。
そして、公判では、検察側の証拠や証人を徹底的に追求し、検察官の立証を崩します。
~無理やり自白させられた、騙されて自白した~
近年では、自白に偏重した捜査や自白に頼った裁判には問題があるとして、自白の証拠価値が見直されてきました。
自白を重視するあまり、強引な捜査や違法な取調べを招く危険が高いと考えられたためです。
実際、ひと昔前までは、強引な取調べが頻繁に行われておりました。
現在では、科学捜査が発展したことにより、必ずしも自白に頼らなくとも十分な証拠を検察官が揃えることが可能となってきました。
もっとも、様々な事件の性質上、客観的な物証のみでは真実の解明はできないこともあり、依然として自白の証拠価値は高いのもまた現実です。
自白によって、犯人しか知り得ない事情が明らかとなったり、事件の真相が細部まで明らかになることがあるためです。
そのために、取調官によっては、容疑者から自白を引き出そうと、自白しないと一生出られないと強迫したり、自白すれば不起訴にしてやるなどと虚偽を述べたりする場合があり得ます。
しかし、このような手法で行われる取調べは違法です。
そして、違法な取調べによって得られた自白調書は証拠から排除されます。
したがって、虚偽の自白がとられてしまった場合には、捜査官の取調べに違法があったことを主張していくこととなります。この場合、取調べにあたった捜査官を証人として申請し、尋問で追及したり、自白調書が任意になされたものでないと思わせるような証拠を提出したりして、自白調書の証拠排除を目指します。
事実に争いがない場合―情状弁護
起訴された事実自体には、間違いないという場合には、出来得る限り寛大な判決となるように情状弁護を尽くします。
被告人が心から反省していること、再犯の恐れは小さいこと、犯行を行った経緯に酌むべきものがあることなどを裁判官に説明し、執行猶予判決を目指します。
特に、被害者が存在する事件では、被害者との示談が成立していることが、情状弁護にとって非常に重要であるといえます。
被害者から一応の許しを得ているという事実は、裁判官が判決内容を考慮する際に情状として最も考慮に入れる事由だと考えられます。
そして、起訴された事実を認めている場合は、1回の公判で終了することがほとんどです。ですから、情状弁護をしっかりと行うためには、速やかに準備を完了させておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件に特化した法律事務所です。最善の結果が得られるよう刑事事件専門の弁護士が迅速かつ丁寧に弁護します。
公判前整理手続 (刑事訴訟法316条の2~)
刑事訴訟法316条の2第1項
「裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため、必要があると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聞いて、第1回公判期日前に、決定で、事件の争点及び証拠を整理するための公判準備として、事件を公判前整理手続に付すことができる。」
公判前整理手続とは、充実した審理を迅速に行うために、公判準備として第1回公判期日前において争点整理等を行う手続きをいいます。
従前の事前準備の規定では不十分であったことから、平成16年の刑事訴訟法改正により新設されました。
公判前整理手続は、裁判員裁判(重大事件)対象の事件は必要的に行われ、その他では、複雑な事件で争点が多岐にわたることが予想される場合や被告人が否認して無罪を争っている場合に行われることが多いです。
裁判の手続き
・初公判(第1回公判期日)
・冒頭手続き
人定質問
起訴状朗読
被告人・弁護人の意見陳述
・証拠調べ手続き
冒頭陳述
検察官側証拠の証拠調べ
弁護側証拠の証拠調べ
証人尋問(通常は検察官請求の証人から)
被告人質問
・論告求刑
・弁論
・被告人の意見陳述
結審
・判決
結審後、1~2週間で判決となります。