処分保留で釈放
処分保留での釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県川西市の自宅で、当時3歳の長男を暴行し死亡させたとして、傷害致死の容疑で母親のAさんと父親のBさんは兵庫県川西警察署に逮捕されました。
二人は、逮捕後、勾留となりましたが、Aさんは勾留10日満期に、処分保留で釈放となりました。
Aさんは、今後どのような流れになるのか、どのような処分となるのか心配しています。
(フィクションです)
処分保留で釈放とは?
ニュースなどで、「容疑者が処分保留で釈放となりました。」というような報道を聞かれたことはありませんか?
「処分保留で釈放」と聞くと、「何も処罰されないの?」、「無実だったってこと?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、「処分保留で釈放」について取り上げたいと思います。
保留される「処分」って?
被害届や職務質問、自首などを端緒に事件が捜査機関に認知されると、捜査機関は捜査を開始します。
捜査機関は、犯人であるものを特定し、必要があればその身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全します。
すべての事件が、原則として、検察官のもとに集められます。
これらの事件を処理するのは、検察官です。
検察官による終局的な処分には、「起訴処分」、「不起訴処分」、そして「家庭裁判所送致」があります。
「起訴処分」というのは、捜査の結果、起訴が相当であると判断し、検察官が公訴を提起することです。
公訴の提起には、①公判請求、②即決裁判手続の申立、③略式命令の請求、④交通事件即決裁判の請求の4種類があります。
①の公判請求により、ドラマなどでよく見る法廷での審理が行われるわけですが、検察官が起訴した総人員の内、ほとんどが③の略式命令の請求であり、公判請求は割合的にはそれほど多くありません。
次に、「不起訴処分」というのは、検察官が公訴を提起しないとする処分のことをいいます。
犯罪とならない場合、疑わしいがそれを立証するだけの十分な証拠がない場合、証拠はそろっているが様々な事情を考慮して起訴を見送る場合など、様々な理由があります。
最後に「家庭裁判所送致」ですが、少年事件の場合、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されますので、検察官が捜査を終了すれば、事件を家庭裁判所に送致します。
このような処分をせずにおくことを「処分保留」といい、これは「起訴しない」ことを意味するものではなく、「起訴するかどうかを未だ決めていない」というまでなのです。
処分保留で釈放となるのはなぜ?
検察官が終局的な処分を決めないまま釈放する理由とは、なんでしょうか。
その理由のひとつは、逮捕した事件の捜査・処分が終わっていない場合です。
逮捕された場合、逮捕に引き続く身体拘束の期間は法律で定められています。
検察官が勾留請求をした日から原則10日で、延長が認められれば最大で20日です。
この期間内に、証拠を収集し、事件処理を行わなければなりません。
しかし、この期間をもってしても処分を決定することができない場合には、処分保留で釈放とするのです。
この場合、被疑者を釈放した後も捜査を継続し、処分を決めるのに十分な証拠を集めます。
このように、「処分保留で釈放」となったからといって、事件が終了したというわけではありません。
「まだ起訴するかどうか決まっていない」という状態であり、「起訴される可能性はある」のです。
刑事事件の被疑者として逮捕・勾留されたが、「処分保留で釈放」となり、今後の流れや対応についてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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