覚醒剤の使用事件を参考に、採尿について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
神戸市東灘区に住むAさんは覚醒剤使用事件で、これまで前科が2回あります。
ある日の夜Aさんは、仕事帰りに飲みに行き、そこで店員とトラブルを起こしてしまいました。
店員の通報で駆け付けた兵庫県東灘警察署の警察官が仲介に入り、店員とのトラブルは治まったのですが、Aさんに、覚醒剤使用の前科があることを知った警察官は、Aさんに任意採尿を求めてきました。
実はAさんは、3日ほど前に知人からもらった覚醒剤を使用しており、この事が発覚することをおそれたAさんは、任意採尿を拒否したのですが、警察官はしつこく任意採尿を求めてきます。
(フィクションです)
任意採尿は拒否できる?
任意採尿は拒否することができます。
警察官は、無線機を使用して職務質問した相手の前科、前歴を照会します。
そこで覚醒剤等の薬物事件の前科、前歴が発覚した場合、任意採尿を求められる可能性が非常に高いです。
当然、任意ですので、警察官から任意採尿を求められても、それを拒否することができますが、拒否することによって「覚醒剤を使用している蓋然性がある。」として、強制採尿される可能性が高くなるので、任意採尿を拒否することはそれなりのリスクが生じます。
強制採尿
任意採尿を拒否した場合、警察官から見て覚醒剤を使用している蓋然性が高い場合は強制採尿されてしまいます。
強制採尿は、任意採尿と違い、裁判官の発した捜索差押許可状が必要ですので、警察官は裁判官に許可状を請求しなければなりません。
警察が許可状を請求している間、職務質問を受けている方はその場にとどまる必要はありません。
しかし警察官は、その場から立ち去ろうとして、数名で周りを囲んで移動できなくしたり、場所を移動したとしても複数の警察官が付いてくるようです。
そして裁判官が許可状を発せれば、その許可状の効力により、強制的に採尿されてしまいます。
強制採尿は、警察官に許可状を示された時点で始まり、その後、病院に強制的に連れて行かれて、病院の医師が、被採尿者の尿道にカテーテルを通し、膀胱に溜まった尿を直接採取する方法で行われます。
~明日に続く~