【少年事件】原付バイクで集団暴走した少年が、共同危険行為で逮捕されるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部支部が解説します。
参考事例
~姫路市在住の男性からの質問~
私には、17歳の息子がいます。
息子は半年前に高校を中退し、それから毎晩のように同級生と夜な夜な原付バイクで集団暴走しているようです。
暴走族には所属していないと思いますが、何度注意しても暴走行為を繰り返しており、最近は明け方になるまで家に帰ってきません。
数日前から自宅の周辺に警察官らしき人達がウロウロしており、息子が逮捕されるのではないかと心配です。
(この相談内容はフィクションです。)
集団暴走~共同危険行為~
道路交通法 第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
この条文をまとめると
①二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、
②道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、
③共同して、
④著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為
を禁止した内容で、暴走族の暴走行為にしばしば適用されます。
これに違反し、有罪が確定すると、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられますが、少年の場合は、原則として、少年法の定める少年保護事件として手続きが進行することになります。
逮捕される可能性はあるの?
少年による集団暴走行為(共同危険行為)を繰り返すと警察に逮捕される可能性は十分に考えらえます。
「道路交通法違反は現行犯でないと逮捕されない。」と思っている方が多いようですが、少年による集団暴走行為(共同危険行為)は現行犯逮捕よりも、裁判官の発した逮捕状によって、通常逮捕されるケースの方が多いようです。
その理由を、暴走族の捜査にたずさわったことのある元警察官に訪ねたところ「違反行為を繰り返す暴走族に対して警察官がその場で停止を求めても止まるはずはなく、絶対に逃走します。当然、警察官は追尾しますが、パトカーで小回りのきくバイクを検挙することは非常に難しく、無理な追跡で事故でも起こされては警察の責任まで追及されてしまいます。そのため警察はパトカーに車載したカメラで違反行為を撮影し、その映像を証拠に逮捕状を請求して後日逮捕するのです。」とのことです。
実際に警察官の停止命令を無視して逃走しているので、逮捕の要件は満たしていますし、集団で犯行に及んでいるために口裏合わせなどをして証拠を隠滅する可能性が考えられるので、警察は積極的に逮捕に踏み切っているようです。
~明日に続く~