家出少女を家に泊めたら…未成年者誘拐罪で逮捕

家出少女を自宅に泊めたとして、未成年者誘拐罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、出会い系アプリを通じて家出中の少女と知り合いました。
Aさんは、この少女が未成年であることを知っていましたが、「うちに泊めてあげるからおいでよ。」と言って少女を自宅に招き、しばらく泊めていたのです。
その間に、少女の両親は、警察に捜索願を提出したらしく、少女の行方を捜していた兵庫県生田警察署によってAさんは、未成年者誘拐の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

未成年者誘拐罪とは

未成年者誘拐は、刑法224条に規定されており、未成年者を誘拐する罪です。
未成年者誘拐罪の保護法益(法令がある特定の行為を規制することによって保護、実現しようとしている利益)については争いがありますが、判例は、被拐取者(つまり、誘拐された未成年者)の自由、および被拐取者が要保護状態にある場合は親権者等の保護監督権が未成年者誘拐罪の保護法益であるとの立場をとっています。
このことより、未成年者を誘拐する際、未成年者の承諾があった場合も犯罪が成立するかという問題について、例え未成年者本人の同意があったとしても、保護者の許可を得ずに未成年者を自宅に連れ込む行為は、保護者の監督権を侵害することになるため未成年者誘拐罪が成立することになります。

また、「誘拐」と聞くと、無理やり車に連れ込んで運ぶといったことをイメージしがちですが、ここで言う「誘拐」というのは、欺罔または誘惑を手段として、人をその生活環境から不法に離脱させ、自己または第三者の実力的支配下に移すことをいいます。
家出したがっている未成年者を自宅に泊まるよう提案し、迎えに行ったり交通手段を支持したり交通費を支払ったりするなど、自宅までの移動を容易にするなどした場合には、誘拐と判断される可能性があるでしょう。

もちろん、相手が20歳未満だと知らなかった場合には犯罪は成立しませんが、相手の話し方や服装などから「もしかしたら未成年者かもしれない。」と思ったのであれば、未必の故意が認められることになります。

このように、未成年者の同意を経て行った行為であっても、未成年者誘拐罪が成立することがあります。
そのような場合、事件を穏便に解決するためには、当該未成年者の保護者との間で示談を成立させることが重要となります。
未成年者誘拐罪は、親告罪です。
親告罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない罪です。
告訴というのは、被害者などの告訴権者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示のことです。
そのため、被害者との間で、告訴をしない、告訴をしている場合には告訴を取下げる旨の約束ができれば、未成年者誘拐罪で起訴されることはない、ということになります。
被害者が未成年者の場合には、その保護者が代理人となるため、交渉も容易ではありません。
未成年者本人よりも処罰感情が大きいことが予想されます。
円滑な示談交渉は、当事者本人よりも、弁護士を介して行うのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
所属弁護士は、これまでに数多くの刑事事件を取り扱っており、被害者との示談交渉にも豊富な経験があります。
刑事事件を起こし被害者との示談交渉でお困りであれば、一度弊所にご相談ください。
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