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【事件速報】タクシーを乗り去った女 窃盗罪で緊急逮捕

2023-05-18

【事件速報】タクシーを乗り去った女が、窃盗罪で緊急逮捕された事件を参考に緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容5月18日配信の神戸新聞NEXTを引用

17日の夜、神戸市灘区において、客として乗車していたタクシーの運転手がタクシーから降りたすきに、そのままタクシーを運転して乗り去り、タクシーを盗んだとして、30代の女が、窃盗容疑で警察に緊急逮捕されました。

刑事事件を報道するニュースなどでよく「緊急逮捕」という言葉を聞きますが、緊急逮捕とは、通常の逮捕とは何が違うのでしょうか?
上記の窃盗事件を参考に、緊急逮捕ついて解説します。

逮捕は3種類

警察が犯人を逮捕する場合、その逮捕の種類は大きく分けると

  • 通常逮捕
  • 現行犯逮捕
  • 緊急逮捕


の3種類です。
警察官に「令状(逮捕状)が出てるから逮捕する。」と言われて、令状(逮捕状)を示されて逮捕されるのが、いわゆる通常逮捕で、通常逮捕は、裁判官の発付した逮捕状がなければ逮捕することができない、令状主義に基づく逮捕です。
そして、この令状主義の例外として認められているのが現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は、まさに事件を起こしたり、事件を起こした直後の犯人にしかできない逮捕で、令状(逮捕状)は必要とされません。
またその現行犯逮捕は、その特徴から、犯人と間違えて逮捕する可能性が低いことから一般人でも逮捕することができます。

緊急逮捕

それでは緊急逮捕について解説します。
緊急逮捕は、その名前のとおり、緊急性を要する時にしか許されない逮捕で、逮捕できる事件(罪名)が限定されているのが特徴で、逮捕時には裁判官の発する逮捕状は必要とされませんが、逮捕後に、裁判官に逮捕状を請求しなければならず、その際に裁判官が逮捕状を発付しなかった場合は、すぐに逮捕した犯人を釈放しなければなりません。
ここでいう緊急性を要するとは、どのような場合かというと、裁判官に逮捕状を請求していては犯人が逃げて逮捕できなくなってしまうような場合を意味します。
また緊急逮捕できる犯罪は、その法定刑が「死刑又は無期若しくは3年以上の懲役若しくは禁錮」に該当する犯罪(罪名)に限られています。
今回の場合「窃盗罪」で緊急逮捕されており、窃盗罪の法定刑(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)はこれに該当します。

緊急逮捕された場合の対処

ご家族が警察に緊急逮捕された方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスを提供していますので、初回接見サービスのご予約は
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キセルの刑事責任は?不正乗車が刑事事件に発展

2023-05-15

キセル(不正乗車)が刑事事件に発展した場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

姫路市に住むAさんは、バスや電車を利用してアルバイト先まで通っています。
アルバイト先から交通費は支給されていないことから、Aさんは交通費をうかすために、これまで何度も、バスや電車にキセル(不正乗車)しています。
そんなある日、改札を抜けようとしたところ、駅員に声をかけられて持っていたICカードを確認されてキセル(不正乗車)が発覚してしまいました。
その日は正規の電車賃を支払うことで帰宅することができましたが、今後、これまでのキセル(不正乗車)が発覚して警察沙汰になるのではないか不安です。
(フィクションです。)

キセル(不正乗車)

バスや電車の不正乗車をキセルと言います。
かつては乗車券を改札に立っている駅員に提示して改札を抜けていましたが、最近は、ほぼ全ての駅に自動改札機が設置されて、切符を挿入したり、ICカードをかざすだけで改札を通過することができます。
また電車内における、乗務員による乗車券の確認も新幹線や特急電車など、乗車券の他に特急券や指定席券が必要な場合しか行われていません。
このように時代の変化と共にバスや電車の乗車方法も進化していますが、いつの時代でも、正規の乗車賃を支払わずにバスや電車に不正乗車すればキセルとなります。

それではキセル(不正乗車)が刑事事件関した場合の刑事責任について解説します。

詐欺罪

公共交通機関での不正乗車は、犯行の態様によって適用されるのは、鉄道営業法や軽犯罪法等様々な法律があり、一概に取り締まられる法律が定まっていないと言えます。
常習的に不正乗車を繰り返し正規の乗車料金を支払っていないことが立証された場合は、詐欺罪の適用を受ける可能性があります。
人を騙して財物を得ることによって成立する詐欺罪は、刑法第246条に規定された法律で、起訴され有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられることになります。

絶対にキセル(不正乗車)に詐欺罪が適用されるとは限りません。
そもそも詐欺罪は人を騙して財物を得たり、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立する犯罪です。
そのため、その成立には「欺罔行為(人を騙す行為)」が必要不可欠となります。
しかし自動改札機が普及している現代、キセル(不正乗車)の全てに、この行為が存在するとは限りません。。

鉄道営業法違反

キセル(不正乗車)は、鉄道営業法が適用される可能性があります。
鉄道営業法第29条には、有効な乗車券をなくして乗車することを禁止しています。
これに違反した者には2万円以下の罰金又は科料が科せられる可能性があります。
詐欺罪とは天と地ほど違う罰則規定に驚いた方もいるのではないでしょうか。

まずは弁護士に相談を

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兵庫県内の刑事事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。

【事件速報】反則切符に元同僚の名前を署名 有印私文書偽造・同行使罪で逮捕

2023-05-12

【事件速報】反則切符に知人の名前を署名したとして、有印私文書偽造・同行使で逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容5月10日配信の神戸新聞NEXT引用

2019年9月2日、兵庫県葺合警察署管内で歩行者妨害の交通違反をしたとして警察官の取締りを受けた際に、「家に置いてきた」と偽って免許証の提示を免れ、元同僚の名前と生年月日を告げて警察官に反則切符を作成させ、署名や指印をしたとして、神戸市須磨区の男が、有印私文書偽造・同行使罪逮捕されました。
警察の発表によりますと、逮捕された男は、違反をした際は既に無免許だったようですので、無免許の発覚をおそれての犯行だと思われます。
なおこの事件は、名前を使われた元同僚が、免許更新のはがきに思い当たらない違反者講習の表記があったため、同署に問い合わせて発覚したようです。

有印私文書偽造・同行使罪

私文書を偽造し、その偽造私文書を行使することで成立するのが、有印私文書偽造・同行使罪です。
私文書とは、権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画のことをで、こういった私文書の作成権限がない者が、他人名義の文書を作成した場合に成立します。

反則切符は私文書なの?

交通反則切符自体は公文書ですが、その中の供述書欄に「上記違反をしたことに相違ありません」という不動文字で示された供述を内容とする「事実証明に関する文書」ですので、取締り対象の私人が自署することが予定されている私文書です。

有印私文書偽造・同行使罪で逮捕されると…

有印私文書偽造・同行使罪で逮捕されると、48時間は裁判官の許可なく身体拘束を受けることになり、裁判官が勾留を決定した場合はその後も身体拘束が続くでしょう。
法律的に、勾留の期間は10日~20日です。
今回の事件では、偽造された反則切符は警察が押収しているでしょうし、共犯者がいるような事件でもありませんので、証拠隠滅の可能性は低いと考えられるでしょうし、犯行に至る動機面もハッキリしていると思われます。
そういった意味で、逃走のおそれがなければ勾留を阻止できる可能性もあるでしょう。

刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
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盗撮事件で逮捕された場合の刑事責任について

2023-05-09

盗撮事件で逮捕された場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

最近は盗撮事件に関する報道が多くなされているため、このコラムをご覧の皆さんも盗撮事件を身近に感じているのではないでしょうか。
実際に、これまで全く刑事事件とは無関係だったような方、時として警察官等の社会的地位のある職業にある方が、つい起こしてしまって警察に逮捕されて世間を騒がせています。
こちらのコラムでは、これまで何度も盗撮事件を取り上げてきましたが、改めて盗撮事件で逮捕された場合の刑事責任について解説します。

兵庫県内の盗撮事件

盗撮行為は各都道府県の迷惑防止条例で規制されている違法行為で、ここ兵庫県では公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例という兵庫県の条例で規制しています。
その内容は以下のとおりです。

(卑わいな行為等の禁止)

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

盗撮で逮捕されると

公共の場所等人が多く行き交う場所で女性のスカート内を盗撮するような事件で逮捕される方のほとんどが、被害者や目撃者による現行犯逮捕です。
盗撮画像が警察に押収されて、その後逃走するおそれがないと判断されれば、勾留されることなく早ければ逮捕されたその日のうちに釈放されることもありますが、警察は「他にも盗撮しているのではないか?」と疑いますので、必ずと言っていいほど、自宅等のパソコンなどの保存データを確認されるでしょう。
そして余罪の存在が明らかになれば、そのことを理由に身体拘束が長引く場合があります。

盗撮の刑事責任は?

兵庫県の迷惑防止条例違反が適用された場合の刑事責任は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、常習性が認められた場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となる場合があります。
初犯であれば略式命令による罰金刑となるケースがほとんどですが、逆に常習性が認められた場合は初犯であっても公判請求されて厳しい刑事罰が科せられる可能性があります。

盗撮事件に強い神戸の事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、刑事事件専門の弁護士による法律相談を初回無料で、また逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス を即日対応していますので、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

覚醒剤使用罪で逮捕 逮捕の種類と逮捕後の流れについて~②~

2023-05-06

本日のコラムでは、緊急逮捕と、逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~前回の続き~

緊急逮捕

緊急逮捕は、被疑者が一定の罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合の逮捕状なしの逮捕(無令状逮捕)のことをいいます。

逮捕の時点で令状なしに逮捕されるという点では現行犯人と同様ですが、事後的に逮捕状を得る必要がありますし、逮捕者が現に犯行を目撃したわけでもありません。
また、逮捕状が必要という点では通常逮捕と同様ですが、逮捕時点では必要ありません。
緊急逮捕

〇逮捕できる罪が「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」と限定されていること
〇逮捕の理由としては、罪を犯したと疑うに足りる「充分な理由」が存在する必要があること

という点で、現行犯逮捕と異なります。
「充分な理由」とは通常逮捕の「相当な理由」よりも高度な嫌疑のあることを要するとされています。
これは、緊急逮捕が逮捕時点で無令状で逮捕できるとされていることから、逮捕に当たっては特に慎重を求める必要があるからです。
覚醒剤事件の場合、使用事案では緊急逮捕されるケースが多いようです。

逮捕後の流れ

何れの逮捕でも、逮捕後の流れ同じで、その流れは以下のとりです。

 逮  捕
   ↓
 留置場に収容
   ↓
 送  検
   ↓
 勾留請求
   ↓
 勾留決定
   ↓
 捜査(取調べなど)
   ↓
 起訴・不起訴
   ↓
 刑事裁判(起訴された場合)
   ↓
 判  決

逮捕から勾留決定までは、最長で3日間です。
勾留決定後、はじめは10日間、その後やむを得ない事由がある場合は最大10日間延長されます。
勾留期間中に取調べなどの捜査を受け、起訴あるいは不起訴の判断を受けます。
起訴された場合は刑事裁判を受けなければなりません。
なお、起訴後は保釈請求することができます。

覚醒剤事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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覚醒剤使用罪で逮捕 逮捕の種類と逮捕後の流れについて~①~

2023-05-03

覚醒剤使用罪で逮捕された方の事件を参考に、逮捕の種類と逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

覚醒剤使用罪で逮捕された事件

Aさんは、覚醒剤使用で過去に執行猶予判決を受けた前科があります。
現在は、その執行猶予期間も経過しているのですが、先日、知人から誘われて覚醒剤を使用してしました。
そして、使用して1週間も経過しないうちに、高砂市のスナックで他の客とトラブルを起こしてしまい、警察官が臨場する騒ぎになってしまったのです。
トラブル自体は警察沙汰になることなくおさまったのですが、そこで覚醒剤前科があったAさんは、警察署に任意同行されて任意採尿されてしまい、その尿から陽性反応が出たことから、Aさんは覚醒剤取締法違反(使用罪)緊急逮捕されたのです。
(フィクションです。)

覚醒剤使用事件で逮捕される場合、Aさんのように、採尿後に簡易鑑定されて、陽性反応が出た時点で、緊急逮捕されることもあれば、採尿された数日後に、通常逮捕されることもあります。
逮捕とは、被疑者の身体を拘束し、引き続き短期間の拘束を継続することをいい、通常逮捕緊急逮捕現行犯逮捕の3種類があります。
そこでまずは、逮捕の種類について解説ます。

通常逮捕

通常逮捕とは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状によってする逮捕をいいます。
通常逮捕の特徴は、裁判官のあらかじめ発する逮捕状を必要とする点です。
つまり、この逮捕状がなければ被疑者を通常逮捕することはできません。
では、どういう場合に逮捕状が発せられるのかといえば、

〇逮捕の理由(=被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること)
〇逮捕の必要性

が存在する場合とされています。
裁判官から発布された逮捕状が捜査機関により、いつ執行されるのかは分かりません
発布された逮捕状には有効期限が定められていますから、その有効期限内であればいつでも執行することができますし、それなりの理由があれば、時効を迎えるまで逮捕状の有効期限は更新し続けることができます。
ちなみに逮捕時に逮捕状がなくても、逮捕状を緊急執行されて、通常逮捕されることがあるので注意が必要です。

現行犯逮捕

現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人といい、これらの者を逮捕することを現行犯逮捕といいます。
現行犯逮捕の特徴は

〇裁判官の令状(逮捕状)が不要なこと
〇私人(捜査機関以外の者)でも逮捕が可能なこと

です。
これは、現行犯人は、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であることから、誤認逮捕のおそれがなく、犯人を確保し、犯罪を制圧するなど速やかに犯人を逮捕する必要も高いことがその理由とされています。
覚醒剤事件の場合、所持事件では現行犯逮捕されることがあります。

~次回に続く~
次回のコラムでは、緊急逮捕と、逮捕後の流れについて解説します。

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覚醒剤使用容疑で逮捕 任意採尿の違法性を主張して不起訴を獲得

2023-04-24

覚醒剤使用容疑で逮捕された方の、任意採尿の違法性を主張して不起訴を獲得した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

Aさん(覚醒剤使用の前科1犯)は、SNSで知り合った売人から覚醒剤を購入し、その覚醒剤を使用しました。
それからしばらくして、その売人が警察に逮捕されたらしく、Aさんの自宅にも、兵庫県川西警察署の捜査員が捜索に来ました。
捜索においては何も発見されませんでしたが、覚醒剤の使用を疑った警察はAさんに任意採尿を求めました。
数日前に覚醒剤を使用していたAさんが、警察官の任意採尿を断ったところ、警察官と押し問答になってしまい、Aさんは公務執行妨害罪現行犯逮捕されてしまったのです。
そして警察署に引致された後に採尿されて、その尿から覚醒剤成分が検出されたとして、覚醒剤使用容疑で再逮捕されてしまいました。
接見で、Aさんが採尿された時の経過に疑問を感じた弁護士は、事件を担当する検察官に任意性を指摘しました。
その結果Aは不起訴処分となり、釈放されました。
(フィクションです。)

採尿

ほとんどの覚醒剤使用事件で、覚醒剤の使用を裏付ける証拠は尿の鑑定です。
その尿は、任意採尿又は強制採尿によって警察に押収されます。
しかし任意採尿の経過に不備がある場合は、尿そのものが違法収集証拠となる場合があり、そのときは鑑定書の証拠能力が否定され、無罪となる可能性があります。
採尿に至るまでの経過が指摘され、無罪判決が言い渡された刑事裁判は何件もあるので、起訴までに、任意性を指摘することができれば、無罪を避けるために検察官は不起訴処分を決定するでしょう。
今回の場合、採尿することを目的に、公務執行妨害罪で逮捕した可能性があり、この逮捕が違法だと認定された場合、その後の採尿で押収された尿についても証拠能力が失われるでしょう。

不起訴処分

主な不起訴処分の種類は

  • 罪とならず(そもそも犯罪行為がなかった場合)
  • 嫌疑なし(犯罪を認定できなかったり、または犯人ではなかった場合)
  • 嫌疑不十分(犯人のようではあるが、決定的な証拠がない場合)
  • 起訴猶予(犯罪が存在し、犯人である事には間違いないが、様々な理由であえて起訴しない場合)

の4種類です。
今回のような覚醒剤使用事件の場合は、Aさんの尿から覚醒剤反応が出ているので、犯罪の事実は存在するが、尿についての証拠能力が認められなかった場合は、嫌疑不十分による不起訴決定となる可能性が大です。

まずは弁護士に相談を

川西市の薬物事件でお困りの方や、警察の証拠収集方法に疑問のある方は、一度、刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、薬物事件に関するご相談を
フリーダイヤル0120-631-881
にて、24時間、年中無休で受け付けております。

万引き事件の再犯 常習累犯窃盗罪とは・・・~②~

2023-04-21

~昨日の続き~

常習累犯窃盗罪

万引きなどの窃盗は再犯率の高い犯罪です。
窃盗を常習的に繰り返す「常習累犯窃盗罪」が特別法(「盗犯等ノ防止及処分二関スル法律」)で規定されています。

第三条 

常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

かなり昔に制定された法律なのでこの条文を読んだだけでは理解しずらいでしょう。
この条文を分かりやすくまとめると、常習としての窃盗等を行う習癖を有する者に対して、行為前の一定の前科を考慮し、その習癖のない者より重く処罰することが規定されており、常習累犯窃盗とは

①過去10年間に、窃盗罪等で6月以上の懲役刑を3回以上受けた者が
②常習として窃盗を行うこと

です。

①について、過去10年の内に、窃盗罪等で実刑判決を3回受けていれば当てはまるのですが、例えば、一回目が懲役6月の執行猶予判決、二回目が懲役1年の保護観察付執行猶予判決、三回目が懲役2年の実刑判決であった場合、一回目と二回目の執行猶予が取り消され、三回目の懲役2年の刑の執行後に、引き続き一回目と二回目の刑の執行を受けた場合においても、それらは合計3回の刑の執行を受けたことになる点に留意が必要です。
①の要件に加えて、「反復して犯罪行為を行う習癖」があるか否かという②の要件を満たして初めて常習累犯窃盗が成立するというわけです。

常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。
前回のコラムで解説した、刑法で規定されている窃盗罪の法定刑に比べると非常に厳しいものとなっているので注意しなければなりません。

まずは弁護士に相談を

万引きの前科前歴が多数あり、常習累犯窃盗にあたるのではとお困りであれば、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部にご相談ください。
初回無料の法律相談や、初回接見のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

万引き事件の再犯 常習累犯窃盗罪とは・・・~①~

2023-04-18

万引き事件の再犯を起こしてしまった方の事件を参考に、常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

参考事件

無職のAさんは、2週間ほど前に加東市内のスーパーで食料品を万引きしたところ、店内を巡回中の警備員に捕まり、警察に通報されました。
Aさんは万引きの事実を認めて、盗んだ食料品の代金を支払ったことから逮捕されずに済みましたが、Aさんは、万引きの前科前歴があり、刑務所に服役した経験があることから、在宅で警察の取り調べを受けています。
以前逮捕された際に選任していた弁護士から「次に万引きをしたら、窃盗罪ではなく常習累犯窃盗罪で起訴される可能性が高い。」と言われていたことから、Aさんは今後の手続きが不安です。
(フィクションです)

窃盗罪

当然、お店の商品を盗めば「万引き」となり、これは「窃盗罪」に当たります。
窃盗罪とは、「他人の財物を窃取」する犯罪です。
「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物です。つまり、他人が事実上支配し管理している他人のものをいいます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいいます。
窃盗罪が成立するには、これらの要件に加えて、次の主観的要件を満たす必要があります。

窃盗罪の故意

財物が他人の占有に属していること、及び、その占有を排除して財物を自己又は第三者の占有に移すことを認識すること。

不法領得の意思とは

不法領得の意思の要否については争いがありますが、判例では、「権利者を排除して他人の物を自己の所有物として経済的用法に従い利用処分する意思」をいうと解されています。
つまり、窃盗罪の成立要件には、故意に加えて、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用意思)から構成される「不法領得の意思」が求められます。

窃盗罪の量刑

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
あなたが万引きで捕まり、検察官に起訴され、有罪判決を言い渡された場合には、10年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金の範囲内での刑事罰が科されることになります。

万引きの場合、初犯であり、被害金額も少額で、被害弁償が済んでいれば、微罪処分として事件が処理されるケースも多く、検察官によって起訴されずに事件終了となることが多いでしょう。

~明日に続く~

「馬刺し」と称し牛肉を販売 不正競争防止法違反で略式命令

2023-04-13

加熱調理用の牛肉を「馬刺し」と称し販売した肉屋が不正競争防止法違反で略式命令を受けた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

事件内容4月13日配信のITVあいテレビの記事を引用

とある肉屋と肉屋の社長が、「馬刺しあります!」などと記載した広告を掲げ、「馬刺し」と称する牛肉計4点を販売したという犯罪事実で起訴され、不正競争防止法違反で罰金90万円(会社に対して60万円、社長に対して30万円)の略式命令を受けるという事件が報道されました。
この肉屋は、加熱調理用の牛肉を「馬刺し」と称して販売したとして、保健所から営業禁止処分を受けていたようです。

不正競争防止法

不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。(不正競争防止法第1条から引用)
簡単に言うと、不正競争防止法は事業者間の公正な競争の実現を目指す法律で、詐欺罪や商標法違反にまで該当しない行為であっても、事業者間の公正な競争を阻害する悪質な行為を処罰の対象としています。
今回の事件のように、誤解を招くような紛らわしい表示の商品や、他社の商品を模倣した商品を販売したり、営業秘密等を侵害する行為が規制の対象となっています。

今回の事件については、摘発を受けた肉屋は、一定の基準を満たさない生牛肉の販売が規制されているために、牛肉を「馬刺し」と偽って販売していたものと思われますが、この行為は、商品について誤認を生じさせる表示と言えますので、不正競争防止法でいうところの「品質等誤認惹起行為」となります。

不正競争防止法違反の罰則

今回のような不正競争防止法違反で摘発された場合、5年以下の懲役500万円以下の罰金懲役刑と罰金刑の両方が科せられる可能性があり、会社に対しても3億円以下の罰金の可能性があります。
この法定刑を考えると、今回の事件で略式命令は軽かったと言えるでしょう。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、このような刑事事件の弁護活動を専門にしている法律事務所です。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、初回の相談を無料で受け付けているだけでなく、逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス にも即日対応していますので、サービスのご利用にあたっては フリーダイヤル0120-631-881 までお問い合わせください。

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