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交通事故で身体拘束

2019-06-21

交通事故で身体拘束

~ケース~
兵庫県三田市の交差点で、横断中の歩行者に車が突っ込み、歩行者1名に全治3か月の怪我を負わせたとして、車を運転していたAさん(80歳)は兵庫県三田警察署に逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの娘は、すぐにAさんと面会をと思い、警察署に行きましたが、今は面会できないと言われてしまいました。
Aさんは、慌てて接見をしてくれる弁護士を探し、どうにかすぐに身体拘束を解いてもらえないかと相談しています。
(フィクションです)

多発する高齢ドライバーによる交通事故

社会の高齢化に伴い、高齢ドライバーの数も増えています。
それと比例して、高齢ドライバーによる交通事故も増加傾向にあります。
最近では、東京池袋や福岡で起きた交通事故が高齢ドライバーによるものであったという事件が記憶に新しいところだと思います。

高齢者の方々は、若い時に比べて様々な身体的変化が生じているため、それが事故につながっていると考えられます。
例えば、認知機能についていえば、視力の低下や視野が狭まることにより、相手の車を見落としたり、速度を誤認することで出合い頭の衝突をする恐れが高くなりますし、信号や標識、子供や自転車などを見落としてしまうことも多くなります。
更に、判断能力が低下することで、とっさの判断が遅れ、操作ミスを起こしやすくなります。
高齢ドライバーによる交通事故において、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」ということが多く聞かれるのも判断能力の低下が大きく影響していると考えられます。

さて、このような高齢ドライバーによる交通事故は、操作ミスや注意不十分によって引き起こされることが多いのですが、このような場合に誰かに怪我を負わせてしまったり、死亡させてしまったとしたら、「過失運転致死傷罪」という罪に問われる可能性があるのです。

過失運転致死傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定されています。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」というのは、自動車の発進から停止までの運転において必要とされる注意義務をいいます。
自動車を停止させる行為も運転に含まれますが、停止後降車するためにドアを開ける行為は運転に含まれません。

交通事故を起こしたら身体拘束されるの?

交通事故、中でも人身事故や飲酒運転をした場合には、逮捕される可能性は高いでしょう。
逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
交通事件で逮捕されるのは、現場から立ち去る「ひき逃げ」ではない場合は、ほとんど「現行犯逮捕」となります。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、検察に送致するかを決定します。
検察に送致した場合、検察官は被害者を勾留する必要があると判断した場合には裁判官に対して勾留請求を行います。
そうでない場合には、被疑者を釈放します。

勾留の要件は、①勾留の理由、および②勾留の必要性があることです。
①勾留の理由
・罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること、かつ、
・定まった住居を有しない、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある、または、逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある。
②勾留の必要性
被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留することが必要であるとすること。
これら勾留の要件に該当すると判断されると、検察官が勾留請求をしたり、その請求を受けて裁判官が勾留決定をしたりするのです。

そこで、弁護士は、勾留決定とならないように、勾留請求前に検察官に勾留請求をしないよう意見書を提出し、勾留請求後には裁判官に勾留決定をしないよう意見書を出し、身体拘束からの解放を目指した活動を行います。

あなたのご家族が交通事故を起こし逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
交通事件を含めた刑事事件を専門とする弁護士が迅速に対応します。

危険運転で裁判員裁判②

2019-06-16

危険運転で裁判員裁判②

~ケース~
Aさんは、通勤に車を使用していました。
ある日、会社の飲み会があり、Aさんは車は会社の駐車場に止めておいて、バスで帰宅しようと考え、飲酒しました。
相当酔っていたAさんは、バスで帰宅することが面倒に思い、自分で車を運転して帰ることにしました。
しかし、Aさんは車を走らせてしばらくすると、急に眠気に襲われ、運転中に眠りこけてしまい、車線をはみ出し、対向車線に進入し、Vさんが運転する対向車に衝突してしまいました。
Vさんは救急搬送されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aさんは兵庫県豊岡南警察署に逮捕され、その後神戸地方検察庁に危険運転致死罪で起訴されました
(フィクションです)

危険運転致死事件は、裁判員裁判の対象事件となります。
裁判員制度は、平成16年5月21日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、平成21年5月21日から当該制度が始まりました。
裁判員制度が始まって、今年で10年となります。
神戸地方裁判所姫路支部で行われた裁判員裁判は、その審理期間が200日を超えたことでも話題になりました。

裁判員制度とは

裁判員裁判とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、以下のことを裁判官を一緒に決める裁判制度のことをいいます。
・被告人が有罪か否か。
・有罪の場合にはどのような刑にすべきか。

裁判員裁判となる事件は、刑事裁判の中でも一定の重大事件だけです。
最も重い刑として死刑や無期懲役が定められている罪や、故意の犯罪行為で人を死亡させた罪に問われている事件です。
例えば、殺人罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪、危険運転致死罪などです。

兵庫県では、神戸地方裁判所と神戸地方裁判所姫路支部の2つの裁判所が裁判員裁判を行っています。

裁判員裁判の特徴

(1)公判前整理手続
裁判員制度の対象となる事件は、必ず公判前整理手続に付されなければなりません。
公判前整理手続では、検察官と弁護人の主張を聴き、事件の争点および証拠を整理します。
そして、公判の日程についても議論し、短時間で争点に集中した充実した審理ができるように準備します。
公判前整理手続を行うことで、公判を連日開廷し、集中して審理が行えるようになるとともに、裁判員に分かりやすい計画的で充実した審理を行うことができるのです。
弁護士は、公判前整理手続において、積極的に証拠開示を求めるとともに、弁護側からの主張を立て、どこが争点になるのかをしっかりと把握した上で、公判での訴訟活動に向けた準備を行う必要があります。

(2)裁判員の参加
裁判員は、証拠に基づいて、起訴状に書かれていることが常識に照らして間違いないと言えるかどうかを判断します。
有罪とした場合には、被告人にどうような重さの刑罰を科すべきかについても判断します。
これらの判断は、裁判官3名と裁判員6名の合計9名で行なわれ、過半数の5名の意見が一致すれば決定となります。
ただし、被告人を有罪にする場合や、被告人に不利益な判断をする場合には、裁判官のうち少なくとも1名が加わっていなければなりません。

以上のように、裁判員裁判では、事前に裁判官、検察官、弁護人が争点や証拠を整理した上で、一般市民の方が裁判員となり、事実認定や刑の量定を決めることになります。
そのため、裁判員が十分に理解し納得するために、通常の裁判よりも分かり易く丁寧な説明を心がける必要があると言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、これまでも数多くの刑事事件を経験してきました。
刑事事件における豊富な経験や知識を活かし、裁判員裁判にもしっかりと対応し最善の弁護活動を行います。

刑事事件でお困りの方、裁判員裁判の対応にお悩みの方は、ぜひ弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

危険運転で裁判員裁判①

2019-06-15

危険運転で裁判員裁判①

~ケース~
Aさんは、通勤に車を使用していました。
ある日、会社の飲み会があり、Aさんは車は会社の駐車場に止めておいて、バスで帰宅しようと考え、飲酒しました。
相当酔っていたAさんは、バスで帰宅することが面倒に思い、自分で車を運転して帰ることにしました。
しかし、Aさんは車を走らせてしばらくすると、急に眠気に襲われ、運転中に眠りこけてしまい、車線をはみ出し、対向車線に進入し、Vさんが運転する対向車に衝突してしまいました。
Vさんは救急搬送されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aさんは兵庫県豊岡南警察署に逮捕され、その後神戸地方検察庁に危険運転致死罪で起訴されました。
(フィクションです)

危険運転致死傷罪

「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称、「自動車運転死傷処罰法」)は、従前、刑法第208条の2(危険運転致死傷罪)及び第211条第2項(自動車運転過失致死傷罪)として規定されていたものを、自動車運転による死傷事犯の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、悪質かつ危険な自動車の運転により人を死傷させた者に対する新たな罰則を創設するなどして平成26年5月20日に施行され、現在は、危険運転致死傷罪及び過失運転致死傷罪の規定は、自動車運転死傷処罰法において独立して規定されています。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、自動車運転死傷処罰法の第2条及び3条に規定されています。

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

(1)危険運転致死傷罪(2条)
以下の行為を行い、その結果、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処するとしています。
①アルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為、
⑥通行禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。

(2)危険運転致死傷罪(3条)
アルコール、薬物又は一定の病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、そのことを認識しながら自動車を運転した上、客観的に正常な運転が困難な状態に陥って人を負傷させた者は12年以下の懲役、人を死亡させた者を15年以下の懲役に処するとしています。

上記ケースでは、飲酒運転の末の人身事故を事例として挙げています。
そこで、今回は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」、そして「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」について考えてみたいと思います。

1.アルコールの影響により正常な運転が困難な状態
これについては、平成23年10月31日最高裁決定において、以下のように解されています。「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」というのは、「アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい、アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態もこれに当たる」。
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあったか否かの判断に当たっては、「事故の態様のほか、事故前の飲酒量及び酩酊状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒探知結果等を総合的に考慮すべきである」とあり、事故の態様、アルコールの摂取状況、事故前の運転状況や事故後の言動等を総合的に評価して決定されます。

2.アルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態
先の「正常な運転が困難な状態」であるとまではいえないが、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力、操作能力が、そうではないときの状態と比べて相当程度減退して危険性のある状態や、そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態を含むと考えられています。

危険運転致死傷罪は、その法定刑が重く、危険運転致死事件は裁判員裁判の対象事件です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致死傷事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件でお困りであれば、今すぐフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。

身代わり出頭で書類送検②

2019-05-26

身代わり出頭で書類送検②

~ケース~
公務員のAさんは、兵庫県多可郡多可町を運転中、物損事故を起こしてしまいました。
事故を起こしたことが職場に発覚することを恐れたAさんは、慌てて家族に連絡を入れました。
事情を把握したAさんの母親のBさんは、急いで現場に駆け付けました。
Aさんの将来を案じて、今回の事故はBさんが起こしたことにしようということになり、Bさんは兵庫県西脇警察署に出頭しました。
しかし、取調べでのBさんの供述が腑に落ちないと感じた警察官が、Bさんを問い詰めたところ、実はAさんが事故を起こしたことが発覚しました。
兵庫県西脇警察署は、Aさんを道路交通法違反と犯人隠避教唆の疑いで神戸地方検察庁社支部書類送検しました。
母親のBさんも犯人隠避の疑いで書類送検されました。
(フィクションです)

身代わり出頭

前回は、身代わり出頭を頼まれた側の刑事責任について説明しました。
今回は、身代わり出頭を頼んだ側についてみていきたいと思います。

上記ケースでは、物損事故を起こしたのはAさんです。
自動車やバイク等を運転中に、他の車等に接触するなどの物損事故を起こしたにもかかわらず、道路の危険を防止することなく現場から離れています。
これは、いわゆる「当て逃げ」で、当て逃げは道路交通法違反となります。
運転手は、交通事故を起こした場合、人身か物損かを問わず、適切な処置を講じて警察に報告しなければなりません。
事故により道路上に危険が生じた場合には、それを防止する措置を講じなければならず、この措置をとらなかった場合には、危険防止等措置義務違反となり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。(道路交通法第117条の2)
また、報告義務に違反した場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。(道路交通法第119条第1項10号)
ですので、まず、Aさんに問われる罪としては、道路交通法違反が考えられます。

加えて、他人に身代わり出頭を頼んだ行為については、犯人隠避罪の教唆犯が成立する可能性があります。

教唆犯とは

「教唆犯」とは、「人を教唆して犯罪を実行させた者」をいいます(刑法第61条1項)。
教唆犯が成立するためには、
①教唆者が「人を教唆」して、
②被教唆者が「犯罪を実行」したこと
が必要となります。
ここでいう「教唆」というのは、他人を唆して犯罪を実行する決意を生じさせることをいいます。
判例は、「教唆犯の成立には、ただ漠然と特定しない犯罪を惹起せしめるにすぎないような行為だけでは足りないけれども、いやしくも一定の犯罪を実行する決意を相手方に生ぜしめる手段、方法が指示たると指揮たると、命令たると嘱託たると、誘導たると慫慂たるとを問うものではない」と解しています(最判昭26・12・6)。
日時、場所、方法、犯罪対象などの細部を常に特定する必要まではなく、具体的事情によって被教唆者に一定の犯罪行為をなすべきことを了解させる程度に達していればよいと解されます(大判大5・9・13)。

犯人隠避罪の教唆

犯人等が自ら逃げ隠れすることは犯人隠避罪の行為には当たりませんが、犯人自身を隠避させるよう教唆した場合に、本罪の教唆罪が成立するか否かについては議論があります。
大きく分けると、犯人自身による蔵匿が処罰の対象ではないならば、より間接的な犯罪への関与である教唆は、なおさら可罰性がないという消極説と、他人の教唆は定形的に期待可能性がないとはいえないとして処罰を求める積極説とが主張されています。
これに対して、判例は、防御権の乱用を根拠として、教唆罪の成立を肯定しています。
例えば、道路交通法違反の罪を犯した暴力団の組員が、配下の者を身代わりとして警察に出頭させた事件についても、犯人隠避罪の教唆罪の成立を肯定しています(最決昭60・7・3)。

教唆犯には、「正犯の刑を科する」と規定され、刑の必要的減刑が受けられる幇助犯よりも重い関与類型です。
教唆罪に問われているが争いたい、教唆罪が成立するのか知りたい、教唆犯として捜査を受けているが対応に困っておられる方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

身代わり出頭で書類送検①

2019-05-25

身代わり出頭で書類送検①

~ケース~
公務員のAさんは、兵庫県多可郡多可町を運転中、物損事故を起こしてしまいました。
事故を起こしたことが職場に発覚することを恐れたAさんは、慌てて家族に連絡を入れました。
事情を把握したAさんの母親のBさんは、急いで現場に駆け付けました。
Aさんの将来を案じて、今回の事故はBさんが起こしたことにしようということになり、Bさんは兵庫県西脇警察署に出頭しました。
しかし、取調べでのBさんの供述が腑に落ちないと感じた警察官が、Bさんを問い詰めたところ、実はAさんが事故を起こしたことが発覚しました。
兵庫県西脇警察署は、Aさんを道路交通法違反と犯人隠避教唆の疑いで神戸地方検察庁社支部書類送検しました。
母親のBさんも犯人隠避の疑いで書類送検されました。
(フィクションです)

身代わり出頭

交通違反や交通事故を起こしてしまったが、「免許の点数の残りが少ないから、これで行政処分を受けるのは避けたい…。」とか、「経歴に傷がついてしまうのは嫌だ…。」といった理由で、本人ではなく第三者が代わりに警察署などに出頭するという身代わり出頭事件は度々ニュースで話題になっていますね。

しかし、身代わり出頭を頼んだ側も、その要求を受けた側も刑事責任を負うことになるのです。

身代わり出頭を引き受けた側の責任

何らかの罪や法律違反に該当するような行為を行った者の代わりに、自らが行ったと警察署などに出頭した場合には、刑法上の犯人隠避罪が成立する可能性があります。

第百三条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

犯人隠匿罪の構成要件(犯罪類型)は、
①罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を
②隠避させたこと
です。

本罪の客体は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃亡した者」です。
前者の「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」における「罰金以上の刑に当たる罪」というのは、法定刑に罰金以上の刑を含む罪を指します。
「罪を犯した者」とあるので、訴追・処罰の可能性がある者でなければなりません。
過去の判例は、「罪を犯した者」の意義について、犯罪の嫌疑を受けて捜査・訴追されている者と解しています。
告訴権の消滅や、時効の完成などにより訴追・処罰の可能性がなくなった者については、本罪の客体とはなりません。
一方で、保釈中の者であっても、その行方をくらませば公判手続・刑の執行に支障が生じるので、保釈中の者は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当します。
また、後者の「拘禁中に逃走した者」についてですが、法令により拘禁されている間に逃走した者のことです。

次に、本罪の行為である「隠避」とは、「蔵匿」以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為をいいます。
「蔵匿」は、官憲による発見・逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することです。
逃走のために資金を調達することや、身代わり犯人を立てるなどの他にも、逃走者に捜査の形勢を知らせて逃避の便宜を与えるなどの場合も「隠避」に含まれます。

加えて、本罪の成立には、客体である被隠避者が罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であること、または拘禁中逃走した者であることを認識し、かつ、これを隠避することを認識すること(故意)が必要となります。
「罰金以上の刑にあたることの認識」について、過去の裁判例は、罪を犯した者または拘禁中に逃走した者であることの認識で足り、その法定刑が罰金以上であることまで認識している必要はないと解しています。(最決昭29・9・30)

以上のように、犯人の代わりに警察署などに出頭した場合には、犯人隠避罪に問われる可能性があるのです。

あなたが、犯人隠避の疑いで捜査機関から取り調べを受けてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、初回に限り無料法律相談を行います。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで今すぐご連絡を!

あおり運転で刑事事件

2019-05-19

あおり運転で刑事事件

~ケース~
兵庫県の高速自動車道を走行していたAさんは、追い越し車線を走行する前方の車の速度が遅いのに、車線変更して追い越し車線を譲らないことに腹を立て、前方の車の前に割り込み、1キロにわたって蛇行や低速走行を繰り返し、相手の車はやむを得ず走行車線上で停止しました。
相手の車の運転手は、最寄りのパーキングエリアから警察に通報し、事件が発覚しました。
兵庫県高速隊は、暴行と道路交通法違反の疑いでAさんを逮捕しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

あおり運転の急増

2018年の一年間に「あおり運転」をしたとして、各都道府県公安委員会が免許停止の行政処分とした事案が、過去最高となっています。
あおり運転は、死亡事故に発展する危険性を有しており、その取締りは強化されています。

あおり運転」とは、先行する車両との車間距離を極端につめたり、幅寄せ、蛇行運転、パッシングや急停止を行い相手方運転手を威圧し、故意に特定の車両の運転を妨害するような行為をいいます。

あおり運転は、重大な事故を引き起こす可能性がある危険な運転です。
交通事故を起こしていなくとも、あおり運転とみさなれる運転行為をしたことにより、車間距離保持義務違反、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反等の道路交通法違反、刑法上の暴行罪が成立する可能性があります。

道路交通法違反

あおり運転罪」という罪名はありません。
しかし、あおり運転とみなされる個別の運転行為が、道路交通法の規定に違反することになります。

1.車間距離を必要以上に詰める行為(車間距離所持義務違反)

第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

2.隣の車線に車を幅寄せする行為(進路変更禁止違反)

第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

罰則は、5万円以下の罰金です。

3.急ブレーキをかける行為(急ブレーキ禁止違反)

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反が成立し、刑事事件として処理されることになります。

また、あおり運転の結果、相手方に怪我を負わせてしまった、或いは死亡させしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。

ご家族があおり運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件も取り扱う刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

少年の交通事件

2019-05-17

少年の交通事件

~ケース~
高校3年生(17歳)のAくんは、運転免許証の交付を受けずに知人の車を運転していました。
ところが、一旦停止を怠り、兵庫県篠山警察署の警察官に車を停止させられ、運転免許証の提示を求められたことで、無免許運転が発覚しました。
Aくんは、そのまま警察署に連行され、調べを受けた後に、両親が身元引受人となり釈放されました。
警察から、いずれ家庭裁判所に送致することになると言われ、どのような処分が下されるのか不安になった両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。

少年の交通事件

少年事件

20歳未満の者(「少年」という。)が刑罰法令に触れる行為を行った場合、少年法に基づく手続が適用されます。
少年法は、少年をできるかぎり教育して構成させようという教育的機能と、刑事司法制度の一部としての司法的機能の2つの機能を併せ持ったものだと言われます。
成人であれば、検察官が捜査結果等に基づいて被疑者の起訴・不起訴を決定し、検察官は被疑者を不起訴として事件を終了することがあります。
しかし、少年が事件を起こした場合、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
これを全件送致主義といいます。
家庭裁判所が扱う少年保護事件の対象は、「非行のある少年」であり、犯罪少年、触法少年、そしてぐ犯少年です。

犯罪少年:罪を犯した少年
触法少年:刑罰の定めのある法令に触れる行為をしたが、行為時14歳未満であるため、刑法上罪を犯したことにはならない少年
ぐ犯少年:保護者の正当な監督に服しない、正当な理由がないのに家庭に寄り付かない、いかがわしい場所に出入りするなど、一定の事由があり、その性格や環境からみて将来罪を犯すおそれのある少年

上記ケースでは、17歳のAくんは、無免許運転をしており、道路交通法違反に当たると考えますので、「犯罪少年」として家庭裁判所に送致されるということになります。

少年の交通事件

警察・検察による捜査が終了し、家庭裁判所に事件が送致され、家庭裁判所は少年事件を受理します。
家庭裁判所が受理する少年事件は、交通事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件には、道路交通法違反(無免許運転、速度違反、安全運転義務違反など)、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件、車両運転に起因する致死事件(過失運転致死傷、危険運転致死傷など)などがあります。

交通事件では、集団審判が行われることが多くなっています。
少年保護事件は、原則個別処理されるのですが、交通事件では自動車運転に関する非行が問題とされ、一般事件とは異なる交通要保護性に着目した教育的措置や処遇が必要となります。
また、同種の事件が大量に繰り返し係属するので、処理の合理化・迅速化を図る必要があることから、交通事件に関しては一般事件と異なる取り扱いがなされます。
交通事件の処遇も、一般事件と同様に、不処分決定、保護処分、検察官送致などです。
交通事件における保護観察には、交通事件を対象としたものがあります。
交通保護観察と交通短期保護観察です。

交通短期保護観察:原則、保護観察官が直接集団処遇を行い、少年に毎月その生活状況を報告させるもので、実施期間は原則として3か月以上4か月以内とされます。

交通保護観察:交通法規や運転技術等に関するテキスト等を用いた個別処遇を行うことが多いようです。

少年交通事件は、一般事件とは異なる手続・処遇となることがあります。
お子様が交通事件を起こしお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

自転車事故で刑事事件

2019-05-09

自転車事故で刑事事件

~ケース~
兵庫県南あわじ市に住むAさん(20歳)は、イヤホンで音楽を聴いたり、スマホを操作しながら自転車を運転していました。
ちょうどAさんがスマホを操作しようと目を下にやっていた時に、前方に歩行者の女性がいることに気が付かずに、その女性に衝突してしまいました。
女性はその場で倒れ込み、Aくんは急いで女性の様子を確認しましたが、意識がありません。
Aくんは慌てて救急車を呼びましたが、女性は搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aくんは、現場に駆け付けた兵庫県南あわじ警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

自転車対歩行者の事故

自転車と歩行者の交通死傷事故は、交通事故死傷者全体でみると、対四輪車の事故が最も多くを占めており、自転車と歩行者の事故件数は少ないように思われるかもしれません。
しかし、スマホの普及により、いわゆる「ながら運転」によって生じる交通死傷事故は増加していると言われています。

自転車を運転するにあたってのルール

意外と知られていませんが、自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたります。

八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。(道路交通法2条1項8号)
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。(道路交通法2条1項11号)

「車両」には「軽車両」が含まれているので、自転車も自動車と同じ「車両」ということになります。
1.原則、車道を通行
歩道と車道の区別があるところでは、自転車は原則車道を通行しなければなりません。
また、軽車両である自転車は、車道の左側を通行しなければなりません。
2.歩道は歩行者優先
自転車は車両なのですが、例外的に歩道を通行することができます。
歩道に「自転車歩道通行可」の道路標識等がある場合、13歳未満の幼児・児童や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転している場合、そして、車道または交通の状況からみてやむを得ない場合です。
歩道を通行するときには、歩道の車道寄りまたは指定された部分をすぐに停止できる速度で走り、歩行者の妨げになる場合には一時停止しなければなりません。
3.安全ルール
二人乗りをしない、夜間のライト点灯、並走しない、飲酒運転しない、信号を守る、一時停止と安全確認をしっかりする、などといったルールも道路交通法に定められています。

自転車事故で問われる刑事責任

自転車対歩行者の事故を起こした場合、自転車だから刑事上の責任が問われない、なんてことにはなりません。
相手を死傷させた場合、道路交通法違反や刑法の過失傷害罪、過失致死罪、重過失致死傷罪に問われる可能性があります。

自転車を運転して相手に怪我を負わせた、死亡させてしまった場合、運転手の過失の程度によって、過失傷害罪・過失致死罪、または重過失致死傷罪となります。
重過失致死傷罪における「重大な過失」は、「人の死傷の結果がその具体的状況下において通常人として容易に予見できたのに、これを怠り、あるいは、結果を予見しながら、その回避の措置をとることが同様容易であったのに、これを怠ったというような注意義務の懈怠の著しい場合を指すもの」と解されます。(東京高判昭62.10.6)
イヤホンで音楽を聴き、スマホを操作しながら自転車を運転し、歩行者にぶつかり怪我を負わた、或いは死亡させた場合には、「重大な過失」の結果、人を死傷させたと言え、重過失致死傷罪が適用されるでしょう。

このように、自転車による事故であっても、刑事責任が問われることがあります。
被害の程度や過失の程度のより、適用される罪も異なります。
自転車で人身事故を起こしお困りの方は、一度交通事故を含む刑事事件に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお電話ください。

飲酒運転で刑事事件

2019-05-02

飲酒運転で刑事事件

~ケース~
会社員のAさんは、兵庫県美方郡新温泉町にある会社まで車で通勤していました。
飲み会があるときは、電車で帰宅するようにしていましたが、その晩は、疲れて駐車場に止めていた車の中で少し休むことにしました。
3時間ほど眠ったAさんは、もう車を運転してもいいだろうと思い、そのまま車で帰宅することにしました。
ところが、駐車場から出てすぐ、携帯の着信音がなり、電話に出ようと携帯に目をやった瞬間に、道路上の電柱に車をぶつけてしまいました。
ちょうどその時、周囲を巡回していた兵庫県美方警察署の警察官が、停止した車から出てくるAさんを見かけ、物損事故かと思い現場に駆け付けました。
その後、警察官に事情を聞かれ、呼気検査を受けたAさんは、そのまま兵庫県美方警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)

飲酒運転により問われ得る犯罪とは

今年のゴールデンウイークは10日と、例年よりも長い連休となりました。
この大型連休を利用して、外で飲食する機会も増えた方も多いのではないでしょうか。
心身ともにリラックスさせるのに最適な機会にしたいところですが、あまりに気を緩めて飲酒したにもかかわらず車を運転することは絶対にしないように気を引き締めましょう!

飲酒運転が発覚した場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。

道路交通法違反

飲酒運転は、道路交通法により禁止されています。
飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分けられます。

酒気帯び運転

道路交通法第65条は、

第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第六号及び第百十七条の三の二第三号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

第1項は、「酒気を帯びて車両等を運転すること」を全面的に禁止したものです。
「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいうものであって、運転手の顔色や呼気等で認知できる状態にあることをいうものと理解されています。
ですので、酒に酔った状態であることは必要ではなく、運転への影響が外観上認知できることも必要ではありません。
この禁止に違反した場合、その違反が後述する「酒酔い運転」または政令数値(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリ、または血液1ミリリットル中0.3ミリグラム以上)以上の酒気帯び運転に当たるときに限り罰則が設けられています。
政令数値未満の単なる酒気帯び運転については、訓示規定にとどめられています。
酒気帯び運転をする者だけでなく、アルコール提供者や車の提供者、同乗者も刑罰の対象となりますので、ご注意ください。

酒酔い運転

第百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
二 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

酒酔い運転が成立するには、第65条1項(酒気を帯びて車両等を運転してはならない)に違反している者であることが前提要件となります。
必ずしも政令数値以上の飲酒を必要とせず、「酒気を帯びている」ことに当たればよく、おちょこ2~3杯程度の飲酒であっても、顔色や呼気等から身体にアルコールを保有していることが認知できるときは、第65条1項に違反している者に当たるので、その者がアルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがあるときは、酒酔い運転の違反で処罰される可能性があります。
「酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。)」とは、法令に定められる身体内のアルコール保有量のみで判断するのではなく、感覚機能、運転機能、判断力や抑止力が著しくおかされている場合をいうものと理解されます。
このように「酒に酔う」というのは、個人差が大きいので、具体的にそれぞれの場合について判断すべきとされます。
身体内のアルコール濃度が高いだけでなく、取調べで呂律が回っていない、まっすぐ歩くことができない等、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがあると判断される可能性があるでしょう。

酒気帯び運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
一方、酒酔い運転は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒気帯び運転のそれよりも重くなっています。

兵庫県で飲酒運転をし、警察から取調べを受けている方、今後の流れや取調べ対応にご不安であれば、交通事件にも対応する刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の法律相談は、無料です。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

ひき逃げ事件で逮捕

2019-04-22

ひき逃げ事件で逮捕

~ケース~
兵庫県西脇市の路上で、男性が倒れているのを近所の男性が発見し、急いで通報しました。
通報を受けて駆け付けた兵庫県西脇警察署は、現場の状況から車にひき逃げされたとみて捜査しています。
被害男性は、救急車で近くの病院に運ばれましたが、まもなく死亡が確認されました。
事故現場周辺の防犯カメラの映像から、トラック運転手のAさんを被疑者として逮捕しました。
Aさんは、「人にぶつかった認識はない」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

ひき逃げで問われる罪とは

ひき逃げ」とは、自動車などの運転中に人身事故を起こしたにもかかわらず、必要な措置を講ずることなく、事故現場から立ち去る犯罪行為をいいます。
この「ひき逃げ」をした場合には、以下の罪に問われることになります。

道路交通法違反

道路交通法第72条は、交通事故を起こした場合にとるべき義務について、以下のように定めています。

第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

つまり、交通事故を起こしてしまった場合、事故を起こした運転手や同乗者は、現場にとどまり
・負傷者を救護する義務
・二次事故の発生を予防する措置を講じる義務
・警察への報告義務
といった義務があるのです。
交通事故を起こしたにもかかわらず、何もせずにその場から立ち去った場合には、上の義務違反となるでしょう。

過失運転致傷罪

過失運転死傷罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に以下のように規定されています。

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車を運転する上で必要な注意を怠ったことにより、人を死傷させる犯罪です。

危険運転致傷罪

飲酒やスピードの出しすぎなどで自動車の制御が困難な状態で運転し、人身事故を起こすと、刑罰が加重された危険運転致死傷罪に問われることになります。

正常な運転に支障がある状態で、危険な運転をし、人を負傷または死亡させた場合については、以下のように規定されます。

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

また、アルコールや薬物の影響により、正常な運転に支障があるおそれがある状態で自動車を運転し、人を負傷または死亡させた場合についても危険な運転致死傷罪に問われます。

第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

実際に交通事故を起こしたにもかかわらず、車を停止せずそのまま立ち去った場合であっても、交通事故を起こしたことに気づいていなければひき逃げは成立しません。
そのような場合には、弁護人は、客観的な証拠に基づく運転状況や被害者の行動、現場の状況などから、事故発生を認識することが困難であったことを主張・立証し、不起訴処分や無罪判決を目指す弁護活動を行います。
このような弁護活動には、交通事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

ご家族がひき逃げ事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください

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