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児童と性交類似行為に及んだ場合

2020-04-01

児童性交類似行為に及んだ場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース①~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Vさんは「家出中なので、しばらく家に泊めてほしい。そうしてくれるなら、口ならいいよ。」と言われ、口淫に及びました。
その後、Aさんは2日間、Vさんを自宅に泊めました。
(フィクションです)

~ケース②~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った高校生のVさん(16歳)とカラオケに行きました。
Aさんは、Vさんと話をしているうちに劣情を催し、Vさんに口淫をするように頼むと、Vさんが応じたため、口淫に及びました。
(フィクションです)

児童と性交類似行為に及んだ場合に成立する罪とは?

18歳未満の者(以下、「児童」といいます。)との性交や性交類似行為をする場合、その対価として現金等を渡すケースが少なくありません。
対価の提供やその約束がある場合には、児童買春に該当することになります。
しかし、そのような対価がない場合には、各都道府県が規定する条例違反が成立します。

1.児童買春

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下、「児童買春法」といいます。)は、児童買春を禁じ、違反者に対して5年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すものとしています。

児童買春法における「児童買春」というのは、児童児童に対する性交等を周旋した者、または児童の保護者に対して、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることと定義しています。(児童買春法2条2項)

「性交等」には、性交、性交類似行為、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触る若しくは児童に自己の性器等を触らせる行為をいいます。
性交類似行為には、手淫、口淫などが含まれます。

2.兵庫県青少年愛護条例違反

各都道府県において、18歳未満の者とのみだらな性交・性交類似行為を禁止する内容の条例が制定されています。
兵庫県では、「青少年愛護条例」において、その21条は、青少年(=18歳未満の者)とのみだらな性行為等を禁止しています。
青少年との性交等一切を禁止したものではなく、「みだらな」と限定されており、18歳未満の者を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不正な手段により行うものや、単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしかみえないようなものについて禁止しています。
そのため、真摯な交際中の場合、例えば、親公認であったり、性交に至るまで相当の期間があった場合などは、「みだらな」とは言えず、条例違反に当たらないことがあります。

児童買春、条例違反ともに、18歳未満の者に対し、みだらな性交や性交類似行為等を行うことを禁止する点でおおむね共通しています。
両者の違いは、性交等に対する対価を与えたか、もしくは対価を与える約束をしたか否か、です。
対価の供与や対価供与の約束をした場合には、児童買春にあたることになりますが、「対価」とはどういったものをいうのでしょうか。

「対価」は、児童に対して性交等をすることに対する反対給付としての経済的利益を供与する、又は、その約束をすることです。
現金を渡すほかにも、食事を御馳走することや、プレゼントを渡すこと、親の雇用を約束することなどが対価に当たります。

ケース①の場合、Vさんを自宅に泊める代わりに口淫していますし、行為後、実際にVさんを自宅に泊めています。
自宅に泊めることも、口淫したことへの反対給付としての経済的利益の供与に当たります。
よって、Aさんは、児童買春の罪責を負うものと考えられます。

一方、ケース②では、出会い系サイトで知り合ったVさんと、交際も経ずに性交類似行為を行っています。
よって、Aさんは、条例違反の罪責を負うことになります。

どちらのケースも、AさんがVさんを18歳未満だと分かっていながら行為に及んだことが前提です。
Vさんが、偽造の免許証を提示するなど、年齢を18歳以上と偽っており、Aさんも誤信したことに過失がない場合は、犯罪が成立しないことになります。
ただし、「相手が18歳以上と言ったから信じた」というだけでは足らず、身分証明書を見せてもらうなどして相手の年齢を確認する必要があります。

このように、児童性交類似行為に及んだ場合には犯罪が成立する可能性があります。

児童買春事件や条例違反事件でお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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兵庫県青少年愛護条例違反事件が発覚

2020-03-28

兵庫県青少年愛護条例違反事件が発覚するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、出会い系サイトで知り合った16歳の高校生と何回か性交しました。
ある時、相手の父親と名乗るものから連絡があり、「娘との関係について、警察に相談しました。あなたも大人としてしっかり対応してください。」と言われました。
いきなりの連絡に驚いたAさんでしたが、すばらくすると兵庫県宍粟警察署から話が聞きたいから出頭するようにとの連絡を受けました。
困ったAさんは、出頭する前に、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

兵庫県青少年愛護条例違反事件について

全国の地方公共団体は、青少年保護育成とその環境整備を目的とした条例を公布しています。
この条例は、「青少年保護育成条例」や、「青少年健全育成条例」などと呼ばれ、地方公共団体によって正式名称に多少の違いはあります。
兵庫県は、「青少年愛護条例」を制定しています。
本条例は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある営業等の制限や行為の禁止等について定めています。
ここでは、青少年愛護条例違反となるもののうち、弊所の法律相談で取り扱うことが多い違反行為について解説します。

(1)みだらな性行為等の禁止違反

第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

いわゆる「淫行条例」です。
暴行や脅迫を用いずとも、また、金銭のやり取りがなくても、18歳未満の者と性交等をした場合に成立し得る罪です。
どういった行為が「みだらな性行為・わいせつな行為」にあたるのか、という点については、福岡県青少年保護育成条例違反事件ではありますが、「淫行」の内容についての解釈を明らかにした最高裁判例が参考となります。

『…「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。…』(最高裁判所大法廷、昭和60年10月23日)

このように、淫行条例は、青少年との性行為すべてを禁止としているのではなく、「淫行」、つまり、みだらな性行為を禁止対象としているのです。
ですので、婚約中の青少年またはこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上処罰対象とするのは考え難い場合は、淫行条例違反には当たりません。
しかしながら、単に「真剣に付き合ってました!」と主張するだけでは、淫行ではなく真摯な交際の上での性行為であったことは認められないでしょう。
淫行にあたるか否かは、当事者それぞれの年齢、性交渉に至る経緯、その他両者の付合いの態様等の諸事情に照らして判断されます。

淫行条例違反に対する罰則は、1項については2年以下の懲役または100万円以下の罰金です。2項については30万円以下の罰金または科料です。

(2)児童ポルノ等の提供の求めの禁止

第21条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。

青少年の自画撮りによる被害が多いことを受け、平成30年4月1日に条例改正に伴い、児童ポルノ自画撮り勧誘行為の禁止が新設されました。
条例は、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノや電磁的記録等を提供するよう求める行為を禁止するとともに、欺き、威迫し又は困惑させる方法や、青少年に対し、財産上の利益を供与し又はその供与の申し込み若しくは約束をする方法により提供を求めた者に対し罰則を科しています。

単に、青少年に裸の写メを送るように頼んだだけでは、条例違反とはなるものの、頼み方が、青少年を騙したり、脅したり、困惑させるようなものだった場合や、お金やプレゼントをあげる代わりに裸の写メを送るように頼んだのであれば、30万円以下の罰金または科料が科される可能性があります。

これらの兵庫県青少年愛護条例違反が警察などの捜査機関に発覚する経緯としては、主に以下のような場合です。

①被害児童やその保護者からの被害申告

被害児童が親に事件のことを相談したり、親が被害児童のスマートフォンを見たことで事件が親にバレ、親と一緒に警察に相談しに行き、被害届を提出するケースは少なくありません。

②被害児童が別件で補導・逮捕されて発覚

被害児童が、本件とは別の事件を起こして、警察に補導や逮捕された際に、所持していたスマートフォンを調べられて、相手とのやりとりが見つかるということもあります。

③一緒に居るところを警察に職務質問されて発覚

淫行条例違反事件では、被害児童と一緒に繁華街などでいるところを警ら中の警察官に発見され、職務質問を受けて事件が発覚することもあります。

どの経緯であれ、捜査機関に事件が発覚した場合、捜査が開始されることになります。
捜査を行う上で、被疑者の身柄確保の必要性ありと判断されれば、逮捕の可能性もあります。

兵庫県青少年愛護条例違反事件を起こし、事件が捜査機関に発覚して対応にお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件の手続について~家庭裁判所送致後~

2020-03-23

少年事件手続家庭裁判所送致後)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県美方郡香美町に住む中学生のAくん(14歳)は、路上で帰宅途中の女児の身体を触るなどした疑いで兵庫県美方警察署に逮捕されました。
逮捕後、勾留されずに釈放となりましたが、家庭裁判所送致された後に身体拘束される可能性もあると警察から聞いて心配になったAくんの両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

前回は、少年事件の捜査段階の手続について説明しました。
今回は、家庭裁判所送致された後の手続についてみていきましょう。

家庭裁判所への送致

家庭裁判所が事件を受理する経路は、関係機関からの送致と通告があります。
ここでは、送致の経路についてみていきます。

①検察官からの送致

検察官は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると考えるとき、および、犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があるときには、少年の被疑事件について家庭裁判所送致しなければなりません。

②警察(司法警察員)からの送致

(a)犯罪少年の場合
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「直送」と呼んでいます。

(b)虞犯少年の場合
少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると考えるときは、事件を家庭裁判所送致しなければなりません。

③都道府県知事または児童相談所長からの送致

触法少年や14歳未満の虞犯少年については、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り、家庭裁判所の審判に付することができます。
触法少年に対する調査が警察により実施された事件については、調査の結果、事件が警察から児童相談所長に送致された場合には、都道府県知事または児童相談所長は原則事件を家庭裁判所送致します。

④簡易送致

司法警察員が捜査した少年事件で、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因および動機、少年の性格、行状、家庭の状況や環境などから見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官や家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、少年ごとに少年事件簡易送致書と捜査報告書を作成し、これを身上調査票などの関係書類を添付して、1か月にまとめて検察官または家庭裁判所送致する処理手続があります。
簡易送致の対象となるのは、窃盗、詐欺、横領、盗品等に関する罪、その他長期3年以下の懲役もしくは禁錮、罰金、拘留、科料に当たる罪であって、被害額がおおむね1万円未満といった法益侵害が極めて軽微なものとされます。

観護措置について

さて、家庭裁判所が事件を受理すると、事件が家庭裁判所に係属している間はいつでも、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

捜査段階で、逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致された場合、家庭裁判所に到着してから24時間以内に、家庭裁判所は観護措置をとるか否かの決定をしなければなりません。
実務上、捜査段階で逮捕・勾留されていた少年については、家庭裁判所送致されると、引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

観護措置の要件は、以下の通りです。

①事件の係属
事件が観護措置をとる家庭裁判所に係属していること。

②審判条件
審判条件が満たされていること。

③審判に付すべき事由があることの蓋然性
審判に付すべき事由(非行事実・ぐ犯事由等)が認められることの蓋然性がある。

④審判開始決定を行う蓋然性
審判開始が見込まれる事件であること。

⑤観護措置の必要性
次のいずれかが認められることが必要。
(ア)身柄確保の必要性
   住所不定または逃亡のおそれがあるなど、少年の出頭を確保する必要がある場合や、証拠隠滅のおそれがあり、証拠保全のためには必要である場合。
(イ)緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性
   自殺や自傷のおそれがある場合、家族から虐待を受けている場合、暴力団などの反社会的活動を行う集団の悪影響から保護する必要がある場合など。
(ウ)収容鑑別を実施する必要性
   少年の心身の状況や性格傾向などを考慮し、継続的な行動観察や外界と遮断された環境で鑑別する必要がある場合。

以上のような要件を満たし、観護措置がとられた場合、原則2週間、実務上は4週間少年鑑別所に収容されることとなります。

観護措置は長期間の収容となるため、少年は学校や職場を休まざるを得ず、後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、付添人である弁護士は、家庭裁判所が観護措置を決定する前に、観護措置をとらなうよう意見書を提出したり、裁判官と面談するなどし、観護措置回避に向けて動きます。
逮捕・勾留により捜査段階から身体拘束を受けている場合には、事件が家庭裁判所送致されたタイミングで、意見書を提出し、裁判官が少年と面談する前に少年が抱える事情を考慮してもらう必要があります。
また、捜査段階で身体拘束を受けていない場合でも、事件内容や少年の性格等から観護措置をとる必要があると判断されるケースもありますので、この場合も事件が家庭裁判所送致された段階で、観護措置をとらないよう説得的に主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください
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痴漢事件で勾留に対する準抗告認容で釈放

2020-03-19

痴漢事件で勾留に対する準抗告認容で釈放される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
酒に酔った会社員のAさんは、兵庫県加古郡播磨町の路上で、女性のお尻を服の上から触るなどし、通報を受けて駆け付けた兵庫県加古川警察署に逮捕されました。
警察署に連行されたAさんは、酔いが冷め、真摯に反省しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、すぐに釈放されるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

痴漢事件で逮捕された場合の流れ

痴漢事件で逮捕された場合、通常の刑事事件と同じ流れとなります。

逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、または証拠物や関係書類と共に被疑者の身柄を検察庁に送致します。
被疑者の身柄を受けた検察庁は、身柄を受けてから24時間以内に、担当検察官が被疑者の取調べを行った上で、被疑者を釈放するか、それとも当該被疑者に関して勾留請求を行います。
検察官が勾留請求をした場合、今度は被疑者の身柄は裁判所に移り、裁判官と面談します。
その後、裁判官は当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束となります。

兵庫県では、通常、警察から検察庁に送致された日に、勾留まで決定してしまいます。
つまり、たった一日で勾留が付くかどうかが決まってしまうのです。

勾留となれば、長期間身柄が拘束されることになり、その間学校や会社には行くことができません。
ですので、事件が学校・会社に発覚し、退学や懲戒解雇となる可能性が高くなってしまいます。

痴漢事件で逮捕された場合の身柄解放活動

長期間の身体拘束を回避するため、弁護士は以下のような身柄解放活動を行います。

(1)勾留決定前

勾留が決定する前の段階においては、検察官や裁判官に対して、勾留をしないよう働きかけます。
具体的には、警察から検察庁に被疑者の身柄が送致された段階で、担当検察官に対して、勾留の要件を充たさないことを主張し、当該被疑者について勾留請求を行わないよう、意見書を提出するなどして働きかけます。

検察官が勾留請求した場合には、今度は勾留状を発付する裁判官に対して、被疑者に対して勾留しないよう意見書を出します。

これらの働きかけは、あくまでお願いという形ですが、検察官や裁判官が把握していない被疑者に有利な事情などを提示することで、勾留の要件を充たさないとして検察官が勾留請求をしない、若しくは裁判官が検察官の勾留請求を却下する可能性も十分あります。

(2)勾留決定後

勾留が決定してしまった後でも、勾留という裁判に対する不服申し立てを行うことができます。
これを勾留に対する「準抗告」といいます。
準抗告は、身柄拘束や接見に関する処分、証人や通訳人の費用負担など裁判官による裁判(決定)に対する不服申立手続で、法律で被疑者や弁護人に認められているものです。

勾留は、1人の裁判官によってなされますが、準抗告についての判断については、勾留決定をしていない3人の裁判官によってなされます。

準抗告を申し立てる場合も、勾留の要件を充たさないことを主張する必要があります。
・罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること。
・定まった住居を有しないこと。
・罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること。
・逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること。
加えて、上のような理由がある場合でも、被疑者を勾留する利益と、これにより被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留する必要があることが求められます。

容疑を認めている場合には、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことに加え、勾留することにより被る被疑者の不利益が著しいことから、勾留の要件を充たしていないと主張することになります。
例えば、被疑者と被害者の接点がなく、被疑者が被害者に供述を変えるよう迫る可能性がないこと、家族の監視が期待でき、家族も仕事もあるので逃亡する可能性はないこと、勾留されることで仕事を失い、家族の生活に支障をきたすおそれがあることなどを述べます。

勾留に対する準抗告が認容されれば、被疑者は釈放されます。
釈放される時期が早ければ早いほど、早期に社会復帰することができ、退学や懲戒解雇といった不利益を回避する可能性を高めることができます。

ご家族が痴漢事件で逮捕され、早期釈放とならないか心配されているのであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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少年事件:学校への対応

2020-03-16

少年事件を起こした場合の学校への対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町に住む高校生のAくんは、ある日、兵庫県加古川警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しました。
Aくんの両親は、今後学校にどのように対応すればよいのか分からず困っています。
(フィクションです)

少年事件において、少年本人や少年の家族が懸念する問題のひとつに、事件を起こした少年が、学校に所属する場合、事件が原因で学校を退学せざるを得ない状況になるのではないか、ということがあります。

今回は、少年事件において、どのように学校対応すべきか、また、学校にどのような協力を得る必要があるのか、という点について考えてみましょう。

学校が事件を把握する時期について

事件が学校で起きたり、学校関係者が関与している場合には、すぐに学校側は事件について把握します。
しかし、学校外で起きた事件については、学校もすぐには把握することはできません。

学校が事件について把握する経緯としては、おおまかに次の3つがあります。

①警察から連絡がいく場合

地域によっては、警察と学校が連絡を取り合う制度(「警察・学校相互連絡制度」)が実施されています。
例えば、神戸市では、教育委員会と兵庫県警察本部との間で「学校と警察における相互情報連絡制度に係る協定」を結んでいます。
この協定における連絡対象事案には、犯罪または触法事案、またはそのおそれのある事案が含まれています。
つまり、神戸市の公立学校に所属する少年が何等かの事件を起こした場合、事件について所属の学校に連絡がいくことになっているのです。
この制度によって、少年や保護者が知らないうちに警察から学校に連絡が入り、学校に事件のことを知られるという事態が生じることがあります。
しかし、警察は、必ずしもすべての対象事件について自動的に学校に連絡しているわけではないようですので、学校への連絡を避けるべき事情がある場合や連絡に際して配慮が必要となる場合には、早期に警察にその旨を申し入れ、対応を協議する余地はあるでしょう。

②保護者から連絡する場合

事件を起こした少年の保護者から、学校に連絡を入れることによって学校が事件を把握することもあります。
とりわけ、逮捕・勾留され、学校を欠席せざるを得ない場合に、保護者が学校に事件のことを報告することがあります。

③被害者などから連絡がいく場合

事件の被害者や関係者が、少年の所属先を知っており、学校に連絡することもあります。
被害者が少年と同じ学校に所属している場合には、被害者の保護者から学校に被害申告がなされることが多いようです。

学校に事件が発覚した場合、義務教育中の公立学校の場合には退学はありませんが、私立学校や高校、大学では、事件が原因となり退学となってしまう可能性もあります。
後で説明するように、学校は少年の環境調整においても非常に重要な役割を担いますので、退学により少年の更生を害することにならぬよう慎重に対応する必要があります。

環境調整における学校の位置づけ

環境調整は、保護者を含めた家族との関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することです。
少年審判では、非行事実だけでなく、要保護性についても審理されるため、少年の更生に資する環境調整を行うことは、裁判官が少年に対する処分を検討する上でも重要な要素となります。

調整を行う環境のなかでも、少年が一日の中でも大半を過ごす学校について環境を調整することは必要不可欠です。
学校に在籍する少年の場合、今後も在籍できるかどうか、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考えるうえで重要な事項となります。
しかしながら、前述したように、学校が少年を退学にするなど、学校の対応が要保護性を解消する上での障害となることも少なくありません。
そこで、学校に関する環境調整を行うにあたっては、少年や保護者から、学校の状況やこれまでの学校や教師との関係性について聞き取った上で、適切に学校にアプローチしていかなくてはなりません。

学校が事件について把握している場合には、少年事件の手続や理念について説明したり、少年が自身の行為を猛省していることや復学を希望していること、少年の更生には学校の協力が必要不可欠であることを伝え、学校側の積極的な受け入れを要請することが必要となるでしょう。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続となりますので、少年事件については少年事件に強い弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

お子様が事件を起こし、学校への対応にお困りの方は、少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談ください。
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略式手続で正式裁判を回避

2020-03-15

略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市兵庫区の駅構内の階段で、女子学生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反で兵庫県兵庫警察署に逮捕されました。
翌日、Aさんは釈放されました。
ある日、神戸地方検察庁に呼び出されたAさんは、担当検察官から略式手続についての説明を受けました。
そのまま同意していいか判断できなかったAさんは、いったん保留にしてもらい、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

略式手続とは

略式手続」というのは、簡易裁判所が、その管轄事件につき、検察官の請求のより、公判手続を経ないで、主として検察官の提出した証拠を審査して、一定額以下の罰金または科料を科す簡易裁判手続のことです。

事件の捜査を終えると、検察官は被疑者を起訴するか否かを決めます。
起訴するとした際も、検察官は正式裁判を請求することもできますし、略式命令を請求することもできます。

略式手続の特徴

略式命令の請求は、公訴の提起と同時に書面でしなければなりません。
また、被疑者が略式手続によることについて異議がないことことを書面で明らかにしなければならず、これを略式命令の請求書に添付しなければなりません。

略式手続は、非公開で、検察官が提出する書面や証拠物を審査した上で、略式命令が言い渡されます。
公判請求のように、起訴状一本主義の適用はなく、必要な書類・証拠物も裁判所に差し出さなければなりません。

略式命令では、100万円以下の罰金または科料を科すことができ、刑の執行を猶予することもできます。

略式命令を受けた者または検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができます。

略式手続のメリット・デメリット

被疑者から見た略式手続のメリットは、早期に社会復帰しやすいという点です。

公判請求された場合、裁判所に出廷しなければなりませんし、そのための準備に時間や労力を割くことになります。
また、裁判は公開で行われますので、身から出た錆とは言えども、自身が行った犯罪について世間に知られてしまうことになります。

この点、略式手続であれば、裁判所に何度も足を運ぶ必要はなく、普段の生活にそれほど支障をきたすことなく事件を終了させることができます。
特に、在宅事件であれば、事件について会社に発覚せずに事件が処理される可能性もあるでしょう。
逮捕・勾留されたとしても、略式手続がとられれば、その日に罰金を納めて釈放となりますので、早期に社会に復帰することができ、事件後の生活に大きな支障をきたすのを防ぐこともできます。

一方、略式手続がとられることのデメリットは、前科が付くということです。

略式手続といっても、裁判所に有罪判決が下されて、罰金または科料が科されるので、前科が付くことになります。
前科が付くことで日常生活に直接何らかの不利益が生じるのかと言えばそうではありませんが、ある一定の職に就く場合や資格を得る際に、欠格事由に該当してしまうこともあります。

また、検察官が略式命令を請求する前には、必ず被疑者に略式手続について詳しく説明し、被疑者の了解を得なければなりませんが、略式手続においては、被疑者被告人が自身の主張を行う機会はありません。

以上のように、略式手続には、メリットおよびデメリットがありますので、そられをよく考えた上で、略式手続に同意するか否かを判断しなければなりません。

そうはいっても、刑事手続には疎く、自分のケースではどちらがいいのかすぐには判断できないという方も多くいらっしゃるでしょう。
そのような場合には、略式手続に同意する前に、一度刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
上のケースのような初犯の盗撮事件であれば、被害者との示談が成立した場合には不起訴処分となる可能性も十分あります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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盗撮事件で不起訴処分に

2020-03-14

盗撮事件不起訴処分となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県伊丹市のゲームセンターで、女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、ゲームセンターの従業員に取り押さえられたAさん。
その後、通報を受けて駆け付けた兵庫県伊丹警察署の警察官に、迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
Aさんは容疑を認めています。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、事件について詳しいことが分からず不安になり、刑事事件に強い弁護士に接見を頼みました。
弁護士から接見の報告を受けたAさんの家族は、不起訴処分の可能性について弁護士に聞いています。
(フィクションです)

不起訴処分とは

目撃者や被害者からの通報、被害届の提出、職務質問などを端緒とし、事件が捜査機関に発覚すると、警察による捜査が始まります。
警察が犯人を特定し、逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されれば、犯人を逮捕することもあります。
警察は、証拠や関係資料を、身体拘束している場合には犯人の身柄と一緒に、検察庁に送ります。
そして、検察官は警察から送られてきた証拠などを検討し、追加の捜査が必要な場合は、警察に支持し捜査を行います。
捜査を終えると、検察官は犯人を起訴するか否かを決めます。
検察官は、全ての事件について起訴するのではありません。
犯人がある罪を犯したと疑う十分な証拠がある場合であっても、起訴しないとする決定を行うこともあるのです。
起訴しないとする決定を「不起訴処分」といいます。

不起訴処分には、主に以下の種類があります。

①罪とならず
そもそも犯罪が成立しない場合には、罪とはならないので、検察官は不起訴とします。

②嫌疑なし
犯罪を認定する証拠がない場合や人違いのケースがこれに当たります。

③親告罪の告訴取り下げ
被害者等による告訴がなければ公訴を提起することができない罪を「親告罪」といいます。
親告罪について、被害者等が告訴を取り下げた場合には、起訴することができませんので、不起訴となります。

④起訴猶予
犯罪を起こしたことが事実であり、その証拠もあるけれども、犯人の年齢や境遇、性格や犯罪
の軽重、情状、犯罪後の情状などを考慮し、公訴の提起を猶予し不起訴とするものです。

不起訴処分の大半は④起訴猶予によるものと言われています。
犯人が初犯で、自分の罪を認めて素直に反省している場合には、起訴猶予に向けた弁護活動を行うことが重要です。

盗撮事件で不起訴処分を獲得するには

痴漢や盗撮事件では、他の犯罪と比べ起訴猶予が認められる可能性が高いので、起訴猶予での不起訴処分獲得を目指した弁護活動を行います。
被害者のいる犯罪については、被害が金銭面で回復されたか、被害者が被疑者に対してどのような感情を抱いているのかといった点が、検察官が処分を決めたり、裁判官が宣告刑を決めるにあたって重要な意味を持ちます。

ですので、盗撮事件のように被害者がいる場合、起訴猶予に向けた最も有効な弁護活動は、被害者と示談をすることと言えます。
示談は、加害者が被害者に対して被害弁償を行い、被害者からの許しをえ、今回の事件については当事者間で解決したとする合意のことです。

示談交渉を行うにあたって、まずは、被害者の連絡先を把握する必要があります。
通常、事件の担当検察官や警察官を通じて、被害者の連絡先を教えてもらうことになりますが、性犯罪事件の場合、検察官や警察官が被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
被疑者が直接被害者と連絡をとることで、罪証隠滅のおそれが生じるからです。
また、性犯罪の被害者が直接加害者と連絡をとることに応じるケースは少なく、弁護人限りで、加害者には連絡先は伝えないと約束することで、弁護人に連絡先を教えてくれることが多いです。
被害者との示談交渉にあたっては、被害者の感情に配慮しつつ、加害者の謝罪の言葉や被害弁償の意思を誠実に伝える必要があります。
そのうえで、被害者が示談をするメリット・デメリットを丁寧に説明し、被害者および加害者の両者が納得のいく内容で示談が成立するよう粘り強く交渉していかなければなりません。

被害者との示談交渉には、刑事事件や示談交渉に長けた弁護士に依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件を起こしてお困りの方、被害者との示談交渉にお悩みの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

ストーカー規制法違反で逮捕②

2020-03-12

ストーカー規制法違反逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県内に住むAさんは、数年交際してきたVさんと最近別れたばかりです。
復縁を希望するAさんは、何度もVさんにLINEで連絡したり、Vさん宅に押し掛けたりしていました。
すると、兵庫県加東警察署から、「Vさんにこれ以上連絡はとらないように。」との警告を受けました。
しかし、Vさん宅にある荷物を処分するため、Aさんは何度かVさんと連絡を取ろうとしたところ、Vさんから回答がなかったため仕方なくVさん宅を訪問しました。
Vさんに、荷物を受け取るためにVさん宅にいることを連絡したところ、兵庫県加東警察署の警察官がVさん宅にやってきて、ストーカー規制法違反でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

前回は、ストーカー規制法で規制対象となる行為について解説しました。
今回は、ストーカー規制法違反逮捕された場合、どのような流れとなり、事件を穏便に解決するための弁護活動について説明します。

(1)ストーカー規制法違反で逮捕されたら

ストーカー規制法違反事件の一般的な流れとしては、被害者からの相談を受けた警察が、行為者に対してまずは警告がなされ、警告を無視してつきまとい等を繰り返しストーカー行為を行った場合に逮捕・勾留されることになります。
しかし、問題の行為がストーカー行為に該当し、その内容が悪質である場合には、警告がないままいきなり逮捕されることもあります。

ストーカー規制法違反逮捕された場合の流れは、他の刑事事件と同様です。

逮捕から48時間以内に、被疑者は釈放されるか、または、証拠書類と共に検察庁に送致されます。
警察から検察庁に送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被害者を釈放する若しくは被疑者を勾留すべきだと判断すれば裁判所に対して勾留請求を行います。

「勾留」というのは、被疑者または被告人を拘禁する裁判および執行をいいます。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
勾留は、逮捕に引き続き長期間被疑者・被告人の身柄を拘束するものですので、勾留とするには満たさなければならない要件が設けられています。

①勾留の理由

勾留するには、勾留の理由が必要です。
勾留の理由というのは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる理由」がある場合で、かつ、(a)住居不定、(b)罪証隠滅のおそれ、(c)逃亡のおそれの少なくとも1つに該当することです。

②勾留の必要性

勾留の必要性は、事案の軽重、捜査の進展の程度、被疑者の年齢や身体の状況等から判断した勾留の相当性のことです。

このような要件を満たすと検察官が判断すれば、検察官は勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は、勾留の理由および必要性があり、当該被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留請求を却下すれば、被疑者は釈放されますが、勾留となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられます。

検察官は、この勾留期間中に被疑者を起訴するか否かを決めます。

(2)ストーカー規制法違反事件における弁護活動

ストーカー規制法違反事件における重要な弁護活動のひとつが、被害者との示談交渉です。
ストーカー規制法違反事件では、ストーカーの被害に遭った被害者がいますので、まずは被害者との間で示談を成立させることが重要です。
示談というのは、加害者が被害者に一定の被害弁償金を支払うことで、被害者は被害届の提出や告訴を行わない旨を約束したり、既に提出している場合には被害届等を取り下げてもらい、当事者間で今回の事件は解決したと約束することです。
被害者との示談が成立することで、検察官も不起訴処分で事件を終了させる可能性を高めることができます。
また、身柄が拘束されている場合には、不起訴処分となれば、即日釈放となります。
ですので、ストーカー規制法違反事件において、被害者と示談を成立させることは、事件を穏便に解決する上では必要不可欠なのです。

しかし、加害者やその家族が直接被害者と連絡をとり示談交渉に取り掛かることはお勧めできません。
ストーカー規制法違反事件に場合、加害者が既に被害者の連絡先を知っていることが多いのですが、逮捕・勾留されている場合は加害者本人が被害者に連絡をとることはできませんし、警察が加害者の家族に被害者の連絡先を教えることはありません。
捜査機関は、罪証隠滅のおそれから加害者側に被害者の連絡先を教えることを避けますし、万が一連絡先を入手したとしても、ストーカー行為に対して恐怖や怒りを感じている被害者が加害者側と積極的に連絡をとることはあまりありません。
ですので、被害者との示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うのが一般的です。
弁護士限りであれば、連絡先を教えてもいいとする被害者の方も多く、被害者との連絡がつく可能性も高くなります。
また、法律の専門家である弁護士は、示談をするメリット・デメリットを被害者に丁寧に説明した上で、粘り強い交渉を行い、両者が納得いく内容で示談を成立させることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
所属弁護士は、これまで数多くの示談交渉を行い、示談を成立させてきました。
ストーカー規制法違反事件や示談交渉でお悩みであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

ストーカー規制法違反で逮捕①

2020-03-11

ストーカー規制法違反が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県内に住むAさんは、数年交際してきたVさんと最近別れたばかりです。
復縁を希望するAさんは、何度もVさんにLINEで連絡したり、Vさん宅に押し掛けたりしていました。
すると、兵庫県加東警察署から、「Vさんにこれ以上連絡はとらないように。」との警告を受けました。
しかし、Vさん宅にある荷物を処分するため、Aさんは何度かVさんと連絡を取ろうとしたところ、Vさんから回答がなかったため仕方なくVさん宅を訪問しました。
Vさんに、荷物を受け取るためにVさん宅にいることを連絡したところ、兵庫県加東警察署の警察官がVさん宅にやってきて、ストーカー規制法違反でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

どのような行為がストーカー規制法に違反するの?

ストーカー規制法で対象となる行為は、「つきまとい等」と「ストーカー行為」です。

(1)つきまとい等

まずは、「つきまとい等」の定義について説明します。

ストーカー規制法第2条1項によれば、「つきまとい等」というのは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し」て、次の8つの類型の行為をすることです。

①つきまとい・待ち伏せなど(1号)
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

②監視していると告げる行為(2号)
その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

③面会・交際などの要求(3号)
面会、交際その他の義務のないことを行うよう要求すること。

④乱暴な言動(4号)
著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

⑤無言電話・電子メールなどの送付(5号)
電話をかけても何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して電話をかけ、FAX送信し、若しくは電子メールを送信すること。

⑥汚物などの送付(6号)
汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

⑦名誉を害する行為(7号)
その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書・図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

この「つきまとい等」について、警察本部長等は、警告を求める申出を受けると、つきまとい等の行為者に対して、さらに反復してつきまとい等を行ってはならないと警告することができます。
警告を受けた者が警告に従わず、さらにつきまとい等を行った場合には、都道府県公安委員会は、行為者に対してさらに反復してつきまとい等を行うおそれがあると認めるときには、さらに反復してつきまとい等をしてはならない旨の命令を発することができます。

(2)ストーカー行為

「ストーカー行為」とは、同一の者に対して、つきまとい等を反復して行うことをいいます。
ただし、つきまとい等の第1号から4号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。

このように、「つきまとい等」は「ストーカー行為」の前段階の行為という位置づけとなります。

「ストーカー行為」が成立するには、「つきまとい等」を「反復して」行うことが必要となりますが、ここでいう「反復して」というのは、複数回繰り返してということを意味します。
また、つきまとい等の1号から8号までに掲げる行為のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為を「ストーカー行為」といいのであって、特定の行為あるいは特定の号に掲げられた行為を反復する場合に限定するものではありません。
つまり、上の①から⑧の「つきまとい等」が全体として反復されたと認められれば、ストーカー行為が成立することになるのです。

さて、ストーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰対象とするほか、公安委員会による禁止命令等に違反した者も処罰することとしています。

「ストーカー行為」をした者は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、禁止命令等に違反した場合、次のように類型に分けて規定されています。

(a)禁止命令等(第5条1項1号に係るものに限る。)に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。(ストーカー規制法第14条1項)
公安委員会からの禁止命令等を受けたにもかかわらず、禁止命令等に違反して第3条違反の行為(つきまとい等をして不安を覚えさせる行為)を反復して行った結果、「ストーカー行為」を行った場合です。

(b)禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。(同条2項)
禁止命令を受けた者が、命令に違反してつきまとい等を行った場合であって、命令前の行為から通して評価するとストーカー行為に該当する行為を行った場合です。

(c)禁止命令等に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。(ストーカー規制法第15条)
禁止命令を受けた者が、命令に違反してつきまとい等を行った場合で、命令前の行為から通じて評価してもストーカー行為に該当しない場合です。
行ったつきまとい等が、ストーカー規制法第2条1項1号から4号に掲げるつきまとい等であって、不安を覚えさせる方法では行われなかった場合です。

このように、問題となる行為の内容によって罰則やその後の流れも異なります。
相手方から「ストーカーで警察に相談する!」と言われてお困りの方や、警察から警告や禁止命令等が出されて対応にお悩みの方は、ストーカー規制法違反事件にも対応する刑事事件に精通する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0102-631-881まで今すぐご連絡ください。

少年事件の審判手続について

2020-03-10

少年事件審判手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神崎郡福崎町に住む高校生のAくんは、駅の構内で女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、兵庫県姫路警察署に逮捕されました。
Aくんは、逮捕された日の夜に、Aくんの母親が警察署に迎えに来て家に帰れることになりました。
その後、Aくんは何度か警察署で取り調べを受け、警察官からは「関係書類を検察に送ってから、家庭裁判所に送られることになる。家庭裁判所で審判を受けて、最終的な処分が決まる。」と言われました。
Aくんは、家庭裁判所の審判とはどのようなものなのか分からず心配になり、翌日、AくんとAくんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

少年事件の場合、警察官や検察官は、原則としてすべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
家庭裁判所が事件を受理すると、審判条件や非行事実の存否について捜査機関から送られてきた事件記録によって、書記官や裁判官が法的調査を行います。
法的調査というのは、主に事件記録に基づいて、審判条件と非行事実の存否について、法律的な視点から行われる審査・検査のことです。

法的調査の結果、非行事実が存在することについて、裁判官が蓋然的心証を得た場合、原則として調査官に要保護性の判断のために社会調査を命じます。
要保護性というのは、多義的に用いられる用語ですが、概ね次の要素で構成されるものと理解されています。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性
保護処分による保護がもっとも有効かつ適切な処遇であること。
調査官は、心理学、教育学、社会学などの専門としており、法律家である裁判官とは異なる観点から、非行少年が持つ問題性を探り、裁判官に調査結果を報告します。

社会調査が終了すると、調査官は、少年鑑別所の鑑別結果通知書などとともに裁判官に調査結果を提出します。
裁判官は、検察官や警察から送られた証拠書類などと併せて、調査官から提出された調査結果を検討してます。
その結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない決定をしなければなりません。

他方、少年が非行事実を行った蓋然性があり、調査官による教育的措置を経てもなお少年に要保護性が認められる場合には、審判開始決定がなされます。
ただし、家庭裁判所に事件が送致され、観護措置がとられた事件については、観護措置の要件として審判を開く蓋然性が求められるため、調査命令と共に審判開始決定が出されるのが通例となっています。

少年審判は、刑事裁判とは異なり、審判手続や進行についても裁判官の裁量が大きいのが特徴です。
審判の時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件であれば、40~60分ぐらいとなります。
審判の進行は、概ね、次のような順序で行われます。

①人定質問、黙秘権告知、非行事実の告知、それに対する少年・付添人の陳述
開廷後、裁判官は審判廷の在籍者を確認します。
その際、裁判官が少年やその保護者にどこの誰であるかを問い、出廷者が人間違いではないかを確認します。
次に、黙秘権の告知が行われ、裁判官から審判に付すべき事由の要旨が告げられ、これに対する少年の陳述が行われます。
また、少年の付添人に対しても非行事実に対する陳述が求められます。

②非行事実の審理
非行事実に争いのある場合、まずは、非行事実に関する審理を行い、その結果、裁判官が非行事実があるとの心証を得た場合に、要保護性について審理することになります。

③要保護性の審理
要保護性の審理では、少年本人に対する質問から始まり、少年の保護者や審判に在席している関係者に対する質問が行われます。

④調査官、付添人の処遇意見の陳述、少年の意見陳述
調査官と付添人は、裁判官の許可を得て、審判で意見を述べることができます。
最後に、裁判官が少年の意見を求め、少年が陳述します。

⑤決定の言渡し
審判手続がすべて終わると、裁判官が決定を言い渡します。
言渡しでは、まず初めに、裁判官は少年に対する処分の内容について述べます。
その次に、裁判官は、なぜ当該処分を決めたのか、理由を説明します。

概ね、以上のような流れで事件が処理されることになります。

少年事件手続は、刑事事件とは異なりますので、少年事件に精通した弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

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