Archive for the ‘性犯罪’ Category

少年事件における示談

2019-09-16

少年事件における示談

~ケース~
兵庫県養父市に住むAくん(15歳)は、市内の商業施設内のエスカレーターで女子高校のスカート内にスマホを差し入れ盗撮しました。
女子高生の隣にいた友人がAくんの盗撮に気づき、「あなた友達のスカートの中を盗撮してましたよね!?」と言って、腕を掴んできました。
Aくんは、そのまま警備員室に連れていかれ、兵庫県養父警察署から駆け付けた警察官に警察署に連れて行かれ、取調べを受けることになりました。
警察からAくんの両親に連絡が入り、その日の夜には両親が迎えに来て釈放となりました。
Aくんの両親は、被害者の方に謝罪と被害弁償をしたいと考えており、警察にもその意向は伝えています。
(フィクションです)

示談とは

示談は、加害者が被害者に対して謝罪や被害弁償を行うことにより、被害者と加害者間では今回の事件は解決したとする合意のことです。
刑事事件においては、被害者感情が重視される昨今、告訴がなければ公訴を提起することが出来ない親告罪の場合のみならず、被害者がいる事件において、検察官が起訴・不起訴を決める際に考慮される要素のひとつとなっています。
被害者との示談が成立したからといって、検察官は必ずしも不起訴にするわけではありませんが、当事者間で示談が成立している場合には、不起訴処分で事件を終了することが多くなっています。
勿論、法定刑が重い犯罪や、犯行が悪質であったり、比較的軽微な犯罪であっても件数が多い場合には、被害者との示談が成立していたとしても、検察官が起訴(略式起訴も含め)に踏み切ることは大いにあります。

少年事件における示談

先述のように、成人の刑事事件では、被害者との示談が成立しているか否かは、不起訴処分を獲得する上で重要なポイントとなります。
それでは、少年事件において示談はどのような効果があるのでしょうか。

結論から言うと、成人の刑事事件のように、被害者との示談の有無により最終的な処分が大きく違ってくるというわけではありません。

少年事件の手続には、不起訴処分といった処分はありません。
捜査機関による事件の捜査が終了すると、原則すべての少年事件は家庭裁判所に送致されることになっています。
これを「全件送致主義」といいます。

家庭裁判所に送致されると、調査・審判を経て終局処分が言い渡されます。
審判において審理されるのは、「非行事実」と「要保護性」です。
前者は、少年が何をしたかということですが、後者は、①犯罪的危険性(少年の性格や環境等に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること)、②矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことで当該少年の犯罪的危険性を除去できる可能性)、③保護相当性(保護処分による保護が当該少年に対して最も有効かつ適切な処遇・手段であること)から構成されてます。
少年が行った行為が重い罪に当たるものであっても、要保護性が低い又はないと判断されれば、少年院送致といった収容措置がとれらないこともあるのです。
この点、刑事事件と異なります。

さて、示談成立によって家庭裁判所が決定する終局処分が大きく変わるわけでないのであれば、少年事件において被害者と示談をする必要がないのでしょうか。
いいえ、そうではありません。
少年が行った行為によって被害者がどれだけ苦しい思いをしたのかを理解させ、被害者に対する心からの謝罪をさせることを通じて、少年ははじめて内省を深めることができるのです。
この内省を深めるということが、少年の更生につながるので、要保護性の解消という点で重要なのです。
そこで、付添人である弁護士は、早期に被害者対応を行い、謝罪や被害弁償等をおこなうよう少年や保護者に働きかけを行います。
しかし、そこで留意する必要があるのは、単に示談金を支払い示談書を作成したということだけでは、要保護性の観点から評価されることにはつながらない、ということです。
重要なのは、少年や保護者が被害者の負った苦しみを理解し、いかに誠意をもって被害者に謝罪し被害者の被害回復に努めたかです。

少年事件の手続は、成人の刑事事件と異なります。
お子様が事件を起こして対応にお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

観護措置の回避に向けた活動

2019-09-15

観護措置の回避に向けた活動

~ケース~
兵庫県伊丹市に住む中学生のAくん(15歳)は、通学中の電車内で盗撮行為を行ったとして、兵庫県伊丹警察署に迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
Aくんの両親が身元引受人となり、Aくんはその日の夜には釈放となりました。
Aくんには他にも複数の盗撮を行っており、ネットで知り合った相手に裸の画像を送らすなど児童ポルノ禁止法違反に該当するような行為をおこなっていたことが明らかになってきました。
Aくんの母親は、知り合いから「捜査段階で身体拘束を受けていなくても、家庭裁判所の裁判官と面談するということで家庭裁判所に行ったら、そのまま少年鑑別所に収容された子の話を聞いた。」と聞き、Aくんのお母さんは、Aくんも少年鑑別所に収容されることになるのか不安です。
(フィクションです)

観護措置とは

捜査機関による捜査が終了すると、原則として、すべての少年事件は家庭裁判所に送致されます。
被疑者段階で逮捕または勾留されている少年が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に「観護措置」をとるか否かを決定します。
観護措置」とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。
監護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付する措置と少年鑑別所に送致する措置の2種類があります。
しかし、実務上、前者の措置はほとんどとられず、観護措置という場合には、後者を指します。

観護措置は、少年法において「審判を行うため必要があるとき」にとられると定められているのみですが、次のような要件が必要であると解されています。

①事件の係属
事件が観護措置をとる家庭裁判所に係属していること。
②審判条件
審判条件が満たされていること。
③審判に付すべき事由があることの蓋然性
審判に付すべき事由(非行事実・ぐ犯事由等)が認められることの蓋然性がある。
④審判開始決定を行う蓋然性
審判開始が見込まれる事件であること。
⑤観護措置の必要性
次のいずれかが認められることが必要。
(ア)身柄確保の必要性
   住所不定または逃亡のおそれがあるなど、少年の出頭を確保する必要がある場合や、証拠隠滅のおそれがあり、証拠保全のためには必要である場合。
(イ)緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性
   自殺や自傷のおそれがある場合、家族から虐待を受けている場合、暴力団などの反社会的活動を行う集団の悪影響から保護する必要がある場合など。
(ウ)収容鑑別を実施する必要性
   少年の心身の状況や性格傾向などを考慮し、継続的な行動観察や外界と遮断された環境で鑑別する必要がある場合。

以上のような要件を満たし、観護措置がとられた場合、原則2週間、実務上は4週間少年鑑別所に収容されることとなります。

観護措置を回避する活動

観護措置は長期間の収容となるため、少年は学校や職場を休まざるを得ず、後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、付添人である弁護士は、家庭裁判所が観護措置を決定する前に、観護措置をとらなうよう意見書を提出したり、裁判官と面談するなどし、観護措置回避に向けて動きます。
逮捕・勾留により捜査段階から身体拘束を受けている場合には、事件が家庭裁判所に送致されたタイミングで、意見書を提出し、裁判官が少年と面談する前に少年が抱える事情を考慮してもらう必要があります。
また、捜査段階で身体拘束を受けていない場合でも、事件内容や少年の性格等から観護措置をとる必要があると判断されるケースもありますので、この場合も事件が家庭裁判所に送致された段階で、観護措置をとらないよう説得的に主張する必要があります。

先述しましたが、観護措置がとられると約1か月少年鑑別所に収容されることになるので、その間学校や職場に行くことができないという不利益が生じてしまうことになります。
しかし、観護措置をとることにより、少年を外界と切り離した環境に置くことで、少年が自分のしてしまった行為やその原因についてゆっくりと考えることができ、ひいては少年の真の反省、そして更生に資するといった面もあります。

お子様が事件を起こし、観護措置がとられるのではないかとご心配されているのであれば、少年事件に詳しい弁護士にご相談され、お子様の更生にとってどのような方法が適するのか、一緒に考えてみてはいかがでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
少年事件でお困りであれば、弊所までご連絡ください。

ストーカー規制法違反事件で逮捕

2019-09-10

ストーカー規制法違反事件で逮捕

~ケース~
会社員のAさんは、アイドルグループXのメンバーVの大ファンで、追っかけにも力を入れていました。
出待ちだけでなく、家や宿泊先まで追っかけたりするので、Xの所属事務所やVのマネージャーからも再三注意を受けており、過去には警察を呼ばれて警告されたこともありました。
Xが地方公演で兵庫県神戸市中央区にあるコンサート会場で出待ちをした後、宿泊先ホテル付近で待ち伏せをしている際に、兵庫県水上警察の警察官に職務質問後にストーカー規制法違反で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

追っかけとストーカー行為との線引き

アイドルや俳優などの芸能人のファンが行き過ぎた行為により、ストーカーとして逮捕されるというニュースを度々耳にしますね。
芸能人にとって、ファンの存在は芸能活動をする上でも非常に重要ですが、彼らの行き過ぎた行為により当の本人が精神的な苦痛を負うことになってしまっては芸能活動を支えるファンのあるべき姿ではないでしょう。
追っかけとストーカー行為との線引きは明確にはありませんが、ストーカー規制法におけるストーカー行為に該当する場合には、犯罪が成立し警察に逮捕される可能性があります。

ストーカー規制法におけるストーカー行為とは?

「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、「ストーカー規制法」という。)は、平成12年に制定・施行された法律です。
トーカー規制法は、「ストーカー行為」を処罰しているほか、「つきまとい等」の行為を取り締まり、被害者に対してストーカーからの被害の防止のための援助などを行うこととしています。

ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことであるとストーカー規制法で定められています。

「つきまとい等」は、それが「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われたものに限られます。
ストーカー規制法における「恋愛感情その他の好意の感情」とは、恋愛感情その他の好意の感情が充足され得るものであることが予定されており、ただ一般的に好きだという感情だけではなく、相手方がそれに答えて何等かの行動をとってくれることを望むものとなります。
また、「それが満たされなかったことに対する怨恨の感情」とは、特定の者に対して抱いた好意の感情が満たされなかったことから生じた恨みの気持ちを意味します。
ですので、近隣住民とのトラブルにより加害者が被害者宅に執拗に押し掛けるといった行為は、ストーカー規制法のつきまとい等には当たらないことになります。
つきまとい等の行為態様は、以下の8つです。
①つきまとい・待ち伏せ行為など
 尾行してつきまとう、通勤通学途中など行く先々で待ち伏せする、自宅や職場などに押し掛 けるなど。
②監視していると告げる行為
 帰宅直後に「おかえりなさい」などと電話やメールなどをする、その日に取った行動や来て いた服装などについて告げるなど。
③面会・交際などの要求
 断られているにもかかわらず、何度も面会や交際、復縁を迫るなど。
④乱暴な言動
 家の前で大声を出す、車のクラクションをうるさく鳴らすなど。
⑤無言電話、電子メールなどの送付
 電話をかけて何も告げない、許否しているのに何度も電話やメールをするなど。
⑥汚物などの送付
 汚物や動物の死体といった人に不快感・嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送るなど。
⑦名誉を害する行為
 名誉を傷つける内容を告げる・メールで送るなど。
⑧性的羞恥心を害する行為
 わいせつな写真などを送る、インターネットに掲載するなど。

先述しましたが、「ストーカー行為」とは、「同一の者に対し、つきまとい等を反復してすること」をいいますが、つきまとい等のうち、上の①から④に関しては、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限られます。
この点、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」とは、社会通念上、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害されるのではないか、又は行動の自由が著しく害されるのではないかと相手方に不安を覚えさせると評価できる程度のものであることが必要となります。
ファンの追っかけがとる行為も、テレビ局や事務所にとどまらず、追っかけの対象である芸能人の自宅や宿泊先など、通常知り得ることが困難な場所にも待ち伏せするなどした場合には、当該芸能人が上の不安を覚える方法を取ったと言えるでしょう。
また、「反復して」とは、複数回繰り返してということを意味します。

ストーカー規制法違反の処罰規定

1.ストーカー行為に対する罪
ストーカー行為」をした者に対しては、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
本罪は、親告罪で、告訴がなければ公訴を提起することができません。

2.禁止命令等に違反する罪
禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる可能性があります。
禁止命令等に違反してつきまとい等をすることでストーカー行為をした者も同じです。
さらに、禁止命令等に違反した場合には50万円以下の罰金を科す旨が定められています。

ストーカー規制法違反事件は、被害者がいる事件ですので、早急に被害者対応を行うことが求められます。
刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ホテル代等の支払いで児童買春罪成立?

2019-09-07

ホテル代等の支払いで児童買春罪成立?

~ケース~
会社員のAさんは、出会い系アプリで知り合ったVさん(17歳)とホテルで行為に及びました。
ホテル代、交通費や飲食代はAさんが支払いました。
ある日、兵庫県神戸西警察署から、「Vさんとの児童買春の件で話が聞きたい。」との連絡を受けたAさんは、自身の行為は児童買春罪には当たらないのではないかと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

児童買春罪とは

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ禁止法」といいます。)は、児童買春及び児童ポルノに係る行為を禁止し、違反行為に対しては刑事罰を設けています。

児童買春罪の関連規定は、次の通りです。

第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

児童買春罪の法定刑は、5年以下の懲役または300万円以下の罰金となっており、非常に思い犯罪であることをご理解いただけると思います。

ここでいう「児童買春」とは、どのような行為かというと、児童買春・児童ポルノ禁止法において以下のように定義されています。

2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者

つまり、児童買春罪が成立する要件は、
①児童、児童に対する性交等を周旋した者、若しくは児童の保護者または児童をその支配下に置いている者に対して、
②対償を供与し、又はその供与の約束をして、
③当該児童に対し、性交等をする
ことです。

②の「対償」については、
(1)性交等の反対給付といえるか、
(2)供与されたものが社会通念上経済的利益にあたるか
により判断されます。
この「対償」は性交に先立って供与または供与の約束がなされることが必要です。
性交後に、はじめて児童から請求があった場合には児童買春にはあたらないことになります。
Aさんは、ホテル代、飲食代、交通費を支払っています。
AさんがVさんに直接現金を渡したり、欲しい物を買ってあげたりしていなくとも、債務の免除も「対償」に含まれますので、ホテル代等の支払いも「対償」に当たると考えられるでしょう。
このような「対償」の供与又は供与の約束を、性交等を行う前にしておらず、性交等を行った後にホテル代等支払ったのであれば児童買春罪は成立しないことになります。

また、児童買春罪の成立には、「児童等に対し、対償の供与又はその供与の約束をして当該児童に対し性交等をすること」についての認識・認容がなければなりません。
「相手が18歳未満だとは知らなかった」と主張する被疑者が多いのですが、身分証を目視で確認するなどして「18歳未満ではない」と確証があるなどしない限り、相手方の年齢を18歳以上だと思っていたとする主張は認めらることは難しいでしょう。

Aさんのケースでは、「対償の供与・供与の約束」が性交等の前にあったか否かが問題になりますが、相手方が18歳未満であれば、児童買春罪が成立せずとも淫行条例違反となる可能性もありますので、いずれにせよ刑事事件に強い弁護士に相談するのが得策でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、児童買春事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件の被疑者となり、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

AirDrop悪用で迷惑防止条例違反

2019-09-06

AirDrop悪用で迷惑防止条例違反

~ケース~
兵庫県警察サイバー犯罪対策課は、電車の正面に座った女性のスマートフォンにAirDropを利用してわいせつな画像を送りつけたとして、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで兵庫県内に住むAさんを逮捕しました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に被害弁償を行いたいと考えています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

AirDrop痴漢事件

AirDrop(エアドロップ)は、Apple制のディバイス同士で簡単にデータファイルの受け渡しができる機能です。
周辺のApple製ディバイス間で、写真やデータファイルなどのコンテンツを共有することができるので、友達と写真を共有する際には役立つ機能です。
しかし、AirDropの受信制限の選択を「すべての人」としている場合、まったく知らない人からの送られているデータを受信する可能性も生じてしまいます。
この機能を悪用し、わいせつな画像を見ず知らずの人に送信し、受信した人の驚く顔を見て楽しむといったAirDrop痴漢事件が起きました。
警察は、AirDrop痴漢事件を各都道府県が定める迷惑防止条例違反として摘発しています。
兵庫県の迷惑防止条例は、その第3条の2において次のように規定しています。

(卑わいな行為等の禁止)
第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

当該条項は、痴漢や盗撮に対して適用されることで知られています。
AirDrop痴漢の場合も、「人にわいせつな画像を見せる」という行為が「人に対する不安を覚えさせるような卑わいな言動」に当たると考えられるでしょう。
また、そのような行為を行った場所が電車内であれば、「公共の乗物において」行ったのであるから、迷惑防止条例第3の2第1項第1号に該当することになります。
当該違反行為の刑事罰は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として当該違反行為を行った場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と加重されます。

不起訴処分とするためには

迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが、被害者との示談が成立している場合には、検察官が不起訴処分とする可能性は、成立していない場合と比べて高いと言えます。
勿論、複数回違反行為を行っていたり、犯行が悪質である場合には、被害者との示談が成立していたとしても、略式起訴若しくは公判請求となる可能性はあります。
しかし、そうでない場合には、被害者との示談成立を考慮して、起訴猶予で不起訴となるケースが多く、不起訴処分を獲得し前科を回避するためには被害者との示談成立が重要となります。
痴漢事件や盗撮事件では、見ず知らずの人が被害者となることが多く、一般に加害者が被害者の連絡先を知っていることは稀です。
連絡を取るには、警察などを通して教えてもらう必要がありますが、被害者が自分の連絡先を教えることを拒否する、捜査機関が証拠隠滅のおそれから被害者との接触を避けるために、容易に被害者の連絡先を入手することは出来ません。
そのような場合には、弁護士を介して示談交渉を行うのがよいでしょう。
弁護士限りであれば、連絡先を教えてもいいと回答する被害者も多く、代理人である弁護士を通しての示談交渉は、感情論的になり交渉が決裂したり高額な示談金を請求されるといったことを回避することにもつながります。
また、法律のプロである弁護士に、しっかりとした示談書を作成してもらうことで、後々に民事事件で慰謝料等を請求されることのないようにすることもできます。

刑事事件で加害者となり、被害者との示談交渉にお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における弁護人・付添人の選任

2019-09-04

少年事件における弁護人・付添人の選任

~ケース~
兵庫県加古郡播磨町に住む中学生のAくん(14歳)は、帰宅途中の女子児童のおしりを服の上から触ったとして、兵庫県加古川警察署に迷惑防止条例違反の疑い取調べを受けました。
逮捕されることはありませんでしたが、どうやらAくんには他にも同様の事件を起こしていたようで、警察からは「あと何度か警察で取調べをした後、検察に送致されて、その後家庭裁判所に事件が送られることになる。」と言われ、今後どのような手続を踏み、どんな処分が言い渡されることになるのか、AくんもAくんの両親も心配です。
Aくんの両親は、少年事件に詳しい弁護士に相談してみようかと話をしています。
(フィクションです)

少年事件の流れ

少年法は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合及び犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべく事由がある場合には、全ての事件を家庭裁判所に送致することを義務付けています。
これの趣旨は、たとえ非行事実が軽微なものであっても、その背後には様々な問題が存在する場合が多く、家庭裁判所に全ての事件を送致させ、そこで行われる少年に対する科学的調査を踏まえて保護処分と刑事処分のいずれかが相当であるかを判断させようとする点にあります。
家庭裁判所に送致される「少年」は、大きく次の3つに分けられます。
①罪を犯した少年(「犯罪少年」)
②14歳未満の者で刑罰法令に触れる行為をした少年(「触法少年」)
③次に掲げる事由があり、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年(「ぐ犯少年」)
 イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
 ロ 正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと
 ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人との交際、又はいかがわしい場所に出入りすること
 二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

①の犯罪少年については、家庭裁判所送致前の捜査段階では、刑事訴訟法が適用されるので、成人の刑事事件の場合とほぼ同様の手続を踏むことになります。
ですので、「被疑者」として捜査の対象となれば、少年は「弁護人」を選任することもできます。
弁護人は、違法・不当な捜査活動がなされないよう監視したり、被害者がいる事件では被害者と示談交渉を行う等、被疑者である少年の権利や利益を擁護する役割を担っており、早期に弁護人を選任し弁護活動を行ってもらうことが重要です。
弁護人は、「国選弁護人」と「私選弁護人」とに分けられます。
ここでいう国選弁護人は、被疑者国選弁護制度を利用し国が選任した弁護人です。
被疑者に対して勾留状が発せられており、被疑者が貧困その他の事由によって弁護人を選任することができない場合に、裁判官に対して国選弁護人の選任を請求することができます。
しかし、被疑者国選弁護の対象事件は、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」に限れらますので、上記ケースにおいては被疑者国選弁護の対象事件には当たらないことになります。
一方、少年やその家族によって自由に選任する弁護人を「私選弁護人」といい、費用は自己負担ですが、身柄在宅にかかわらず、どの段階でも選任することが可能です。

先述しましたが、原則すべての少年事件は家庭裁判所に送致されます。
少年事件では、捜査段階の弁護人選任の効力が家庭裁判所に送致された時点で失われ、家庭裁判所送致後に改めて「付添人」として選任される必要があることに注意が必要です。
家庭裁判所送致後、少年の権利を擁護し、その代弁者としての性格と、少年保護事件の目的が適正に実現されるよう家庭裁判所に協力し援助するという役割を付添人は担っています。
この付添人にも、私選付添人と国選付添人とがあります。

少年法は、国選付添人の場合を除き、付添人の資格について特に設けていません。
少年及び保護者は、私選付添人を家庭裁判所に事件が係属した後はいつでも選任することができます。
国選付添人には、次の2つがあります。
①裁量的国選付添人
家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年のうち、死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪に該当する非行に及んだ者について、観護措置がとられており、かつ、弁護士の付添人がいない場合には、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付すことができます。
②必要的国選付添人
家庭裁判所は、前述した裁量的国選付添人対象事件のうち、非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもって、審判に検察官を出席させることができ、この決定をした場合において、家庭裁判所は少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなけらばなりません。

このように、被疑者国選弁護人と同様に、国選付添人対象事件は一定の重大事件に限られており、上記ケースは該当せず、国選付添人を選任することはできません。

少年審判においては、非行事実のみならず要保護性も審理対象となり、非行自体が軽微なものであっても、要保護性が高いと判断されれば、身体拘束を伴う保護処分が言い渡される可能性もあります。
そのような事態を回避するためにも、早期の段階から刑事事件・少年事件に精通する弁護士を弁護人付添人として選任するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。

強制わいせつ事件と示談

2019-08-28

強制わいせつ事件と示談

~ケース~
兵庫県丹波市に住むAさんは、市内のマンションエレベーター内において、未成年の女性Vさんに対して、無理やり身体を触るなどわいせつな行為をしたとして、兵庫県丹波警察署強制わいせつの容疑で逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、被害者に対して謝罪と被害弁償をしたいと申し出ています。
接見に訪れた弁護士に、「被害者と示談ができれば処分はどうなりますか?」とAさんは質問しています。
(フィクションです)

強制わいせつ罪とは?

上記のケースにおいて、Aさんは「強制わいせつ罪」という罪に問われています。
強制わいせつ罪は、刑法第176条に規定されています。

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪の構成要件は、以下のとおりです。

①13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いて、わいせつな行為をする。
②13歳未満の男女に対して、わいせつな行為をする。

被害者の年齢によって、わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫が必要となるか否かは異なります。

「わいせつな行為」というのは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
胸や陰部を触るなどの行為だけでなく、キスも「わいせつな行為」に当たる可能性があります。
わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、犯行を著しく困難にする程度のものであることが必要です。
この判断は、犯人や被害者の年齢、犯行の状況、凶器の有無等に基づいてされます。
なお、暴行自体がわいせつな行為である場合にも、強制わいせつ罪が成立します。
つまり、殴るといった暴行を加えずとも、胸を触るという行為それ自体が強制わいせつ罪の手段でる「暴行」であると同時に「わいせつな行為」でもある場合です。

また、13歳未満の者を13歳以上であると誤信して、暴行・脅迫によらずわいせつな行為をした場合には、故意がなく強制わいせつ罪が成立しないことになります。

強制わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の懲役と、罰金刑がなく比較的重い罪です。

示談で不起訴となる可能性は?

強制わいせつ事件は、被害者がいる事件ですので、重要な弁護活動のひとつに被害者との示談交渉があげられます。
示談とは、加害者が被害者に対して相応の弁償金を支払う一方で、被害者は被害届の提出を行わない等、当事者間では今回の事件は解決したと約束することをいいます。

強制わいせつ罪は親告罪ではありませんので、被害者との示談が成立し、告訴が取り下げられたとしても、検察官は公訴を提起することができます。
しかし、被害者との示談が成立しており、被害者からの許しも得ることができている場合には、検察官が公訴を提起しない決定をする可能性が高いと言えます。
被害者との示談交渉は、通常、弁護士を介して行われます。
多くの場合、被害者は加害者と直接連絡をとることを嫌がられますが、弁護士限りであればコンタクトをとり話を聞いてもよいというケースが多くなっています。
また、当人同士で交渉すると、感情論的になり、交渉が決裂したり、不相当に過大な金額での示談解決となってしまう可能性もあります。
弁護士が間に入ることにより、冷静な交渉により両者が納得できる内容での示談締結が図りやすいでしょう。
ですので、ご家族やご友人が強制わいせつ事件で逮捕されてしまいお困りの方、被害者との示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までお問い合わせください。

盗撮目的でのカメラの設置

2019-08-27

盗撮目的でのカメラの設置・差し向け

~ケース~
兵庫県小野市にある施設内の女子トイレに盗撮目的で侵入したAくん(16歳)は、利用中の個室トイレの上から持っていたスマートフォンを差し入れ盗撮しようと試みました。
ところが、個室トイレに入っていた女性Vさんに見つかり大声をあげられ、Aくんは慌ててその場から逃げ出しました。
その後、防犯カメラの映像等からAくんが特定され、事件から数か月後に兵庫県小野警察署に建造物侵入と迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

迷惑防止条例で禁止される盗撮行為

兵庫県の迷惑防止条例は、第3条の2において盗撮行為を禁止しています。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動
(2) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置する行為
2 何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向ける行為
(2) 前項第2号に掲げる行為
3 何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない。

上の規定は、平成28年7月1日から施行されたもので、改正条例では、盗撮を禁止する場所が拡大され、盗撮の目的でカメラなどの撮影機器を設置する行為、差し向ける行為が新たに禁止されました。

本条例が禁止している行為は、次の3つです。

カメラ等を用いて撮影する行為。
撮影する目的で、カメラ等を設置する行為。
撮影する目的で、カメラ等を差し向ける行為。

①が典型的な盗撮行為で、スマートフォンを用いて盗撮する行為はこれに当たります。
②は、盗撮しようとしてトイレや更衣室などにカメラ設置する行為です。
そして、③は、盗撮する目的でスマートフォンを差し向ける、つまり、被写体へ向ける行為を意味します。
上記ケースは、③の行為に当たるでしょう。
②や③に関しては、実際に盗撮に成功していなくとも既遂となります。

また、盗撮行為や、正当な理由なく盗撮目的カメラ等撮影機器を差し向ける設置する行為は以下の場所で禁止されます。

①公共の場所・公共の乗物
②学校の教室・集会所・事務所・タクシー内、貸し切りバス内など
③浴場・更衣室・便所など

改正前は、電車や駅などでの盗撮は「公共の場所・乗物」における盗撮行為として迷惑防止条例違反が成立したものの、トイレなどは「公共の場所・乗物」に該当しないとして本条例が適用できないという状況にありました。
しかし、改正により、トイレ内の盗撮等の行為も禁止対象となり、迷惑防止条例違反が成立し得るようになりました。

このように、盗撮目的でスマートフォンを差し向けたAくんの行為は、兵庫県の迷惑防止条例違反に当たると考えられます。
また、盗撮目的で女子トイレに入った行為については、建造物侵入罪が成立するでしょう。

少年であっても逮捕される可能性はあります。
お子様が盗撮事件を起こし逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、刑事事件・少年事件を専門とした法律事務所です。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

少年事件における環境調整②~環境調整の重要性~

2019-08-22

少年事件における環境調整②~環境調整の重要性~

前回の続き

少年審判の審理対象~非行事実と要保護性~

「非行事実」は、刑事裁判における「公訴事実」に該当するものです。
「要保護性」というのは、以下の3つの要素により構成されるものと理解されます。
①再非行の危険性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行を犯す可能性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を取り除くことができる可能性があること。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な措置であること。

審判では、上の「非行事実」と「要保護性」の両方が審理されます。
そのため、少年事件では、犯罪行為の軽重が直接量刑に影響する成人の刑事事件と異なり、非行事実が軽微であっても、要保護性が高い場合には、少年院送致といった身体拘束を伴う処分が選択されることがあります。
他方、非行事実は重い罪名の付くものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために適切であると判断されれば、保護観察といった社会内処遇が選択されることもあります。
そのため、「要保護性の解消」は少年事件においては非常に重要な要素となるのです。

少年事件における環境調整の重要性

上述のように、要保護性が低ければ低いほど、少年を身体拘束して更正する必要がなくなるというわけですが、要保護性の解放に向けては「環境調整」がとても重要な役割を果たします。

環境調整」というのは、保護者の関係の調整、就業先の開拓、帰住先の確保等、少年の社会復帰を円滑にするために少年をとりまく環境を調整することをです。
つまり、少年が更生に向けて生活するために必要な環境を整えることです。
この環境調整は、少年本人への働きかけ、家庭や学校、職場などへの働きかけ、交遊関係の調整、被害者への対応といった多岐に渡る活動を含みます。

(1)少年本人への働きかけ

少年本人が真に事件、そして自分自身と向き合うことができなければ、どんなに外部的環境調整に尽力したとしても、要保護性を解消することは難しく、少年の更生にはつながりません。
自分が何故今回の事件を起こしてしまったのか、それにより誰を傷つけてしまったのか、二度と同じ過ちを繰り返さないためにはどうすべきなのか等、しっかりと考えていかなければなりません。
勿論、このようなことを考え、答えを見つけることは、少年のみでは容易ではありません。
少年の家族や、学校の先生方、家庭裁判所の調査官など、協力してくれる大人はいます。
また、弁護士は弁護人・付添人として、少年が事件や自分自身の問題と向き合いあえるよう支援し、解決策を見出せるよう共に考えていきます。

(2)家庭への働きかけ

家庭は少年にとって最も身近な環境であり、家庭内の問題が非行の背景にあることが多く、家庭への働きかけは環境調整をする上でも重要であると言えるでしょう。
弁護士は、少年と保護者との間に入り仲介役的な役割を担うこともあれば、両者に対して問題点を指摘したり改善のアドバイスをしたり学校の先生のような役割を担うこともあります。
勿論、これらは弁護士から一方的に行うものではなく、少年や保護者との話し合いを重ね、ともに考える中で行うものです。

(3)学校や職場への働きかけ

学校に在籍している少年の場合、今後も在籍できるか、学校側が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考えるうえで重要な事項です。
公立の学校は、警察・学校相互連絡制度によって警察から学校に逮捕の連絡がいってることがあります。
学校に知られている場合には、学校側に少年事件の手続や少年が真摯に反省し更生に向けて努力している点などを報告し、少年を積極的に受け入れてくれるよう協力を求めます。
学校が事件について把握していない場合、私立学校のように事件を起こしたことを知れば退学処分とするようなところもあるため、学校に知られないように働きかける必要もあるでしょう。
働いている少年についても、学校と同様、少年が職場で働き続けることができるよう職場の上司などに協力を求めていきます。

(4)交遊関係の調整

少年の交遊関係が事件の背景にある場合もそう少なくありません。
ケース②のように薬物事件では、恋人や友人から勧められて薬物に手を出すといったケースも多く、薬物を断つためにはこのような関係を解消する必要があります。
ケース②では、Aさんは交際相手の勧めで大麻に手をだしているわけですので、この交際相手との関係を終わらせることはもとより、大麻の入手先を知っている場合には、入手先とも一切連絡をとれなくするなど、薬物に関連する関係を一切断ち切る必要があるでしょう。

(5)被害者への対応

成人の刑事事件のように、被害者との示談成立により、不起訴処分で事件終了というわけにはいきませんが、被害者への謝罪・被害弁償、示談が成立していることにより、少年が事件を真摯に反省し、被害者にも配慮していると判断される要素にはなります。
勿論、少年が反省せず、単に形式上被害弁償をしたという事実だけでは、要保護性を解消させる要素となり得ません。
ケース①の盗撮事件のように、被害者がいる事件では、一刻も早く被害者に被害弁償を!と急がれる場合がありますが、形だけの被害弁償を急ぐのではなく、少年自身が真に反省し、被害者に対してきちんと謝罪する気持ちを持つことができてから、それに基づいて被害者対応を行うことが、要保護性の解消につながるでしょう。

このように、少年事件においては、成人の刑事事件とは異なる視点で対応しなければならないことも多くあります。
そのため、少年事件については、少年事件に精通する弁護士に相談されることをお勧めします。

お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件における環境調整①~少年事件の流れ~

2019-08-21

少年事件における環境調整①~少年事件の流れ~

~ケース①~
兵庫県内に住む中学生のAくん(15歳)は、駅構内のエスカレーターにおいて女子高生のスカート内にスマートフォンを差し入れ盗撮したとして、目撃者の男性に身柄確保されました。
Aくんは兵庫県垂水警察署で取調べを受けた後、両親が身元引受人となり夜に釈放となりました。
「余罪もあるようなので、また何回か取調べを受けてもらうことになる。捜査機関の捜査が終了したら、家庭裁判所が事件を担当することになる。」と警察官から簡単な説明を受けたAくんと両親は、少年事件の流れや最終的な処分について分からず心配になってきました。
(フィクションです)

~ケース②~
大学生のAさん(18歳)は、交際相手から大麻を勧められ、大麻を使用するようになりました。
交際相手の自宅に居た際に、兵庫県垂水警察署がやってきて、家宅捜索後に、Aさんと交際相手を大麻取締法違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、すぐに弁護士に接見を依頼し、事件について報告を受けることができました。
逮捕後に勾留が付く可能性が高いことや薬物事件では接見禁止となる可能性もあることを弁護士から聞き、Aさんの更生を第一にと弁護士に弁護を依頼することにしました。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者(「少年」といいます。)が刑罰法令に反する行為を行った場合、少年法に基づく手続に従って処分を受けることになります。
少年の年齢や非行内容により少年事件の流れは異なりますが、ここでは14歳以上20歳未満の犯罪行為を行った少年(「犯罪少年」といいます。)の少年事件の流れについて説明しましょう。

(1)捜査段階

警察に事件が発覚すると、捜査が開始されます。
捜査段階では、成人の刑事事件とほとんど同様の手続がとられます。

ケース①

Aくんは盗撮をし、目撃者によって私人逮捕されています。
容疑を認めており、前歴・補導歴もないこと、スマートフォン内のデータ等の証拠を押収していること、そして身元引受人がいること等から、逮捕に引き続き身柄を拘束する必要がないと警察が判断したものと考えられます。
こうして、Aくんは逮捕の日に釈放され、余罪の件も含めてあと何回か警察に出頭し取調べを受けることになりました。
身柄を拘束せずに捜査を行う事件を「在宅事件」と呼びます。
警察での捜査が終わると、事件は検察に送致されます。
法定刑が罰金以下の比較的軽微な犯罪を犯した疑いがある場合は、警察から直接家庭裁判所に送致されます。
Aくんの場合は、迷惑防止条例違反に問われていると考えられますので、警察での捜査が終了すると、次は検察が事件を担当することになり、検察官から呼び出しがあります。
検察官は捜査を終えると、事件の記録を管轄の家庭裁判所に送致します。

ケース②

身柄を拘束する必要がある場合には、少年であっても逮捕されます。
逮捕から48時間以内に警察から検察官に事件が送致され、被疑者である少年の身柄を受けた検察官は24時間以内に少年を釈放するか勾留請求を行うかを決めます。
検察官が勾留請求した場合、裁判官は少年と面談した上で、勾留するか否かを判断します。
勾留となれば、検察官が勾留請求した日から原則10日間、延長が認められれば最長で20日間、警察署の留置場で身柄が拘束されることになります。
ここまでは成人の刑事事件の流れと同じですが、少年事件の場合には、「勾留に代わる観護措置」がとられる点が成人の刑事事件とは異なります。
少年事件の場合には、検察官は裁判官に「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
当該措置がとられると、収容場所が少年鑑別所となります。
収容期間も10日で、延長は認められません。

(2)家庭裁判所送致後

警察や検察での捜査を終えると、事件が家庭裁判所に送られます。

家庭裁判所は、事件が係属している期間中いつでも「観護措置」をとることができます。
「観護措置」は、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護しその安全を図る措置で、そのほとんどが少年鑑別所に送致する措置がとられています。
捜査段階で「勾留に代わる観護措置」がとられていた場合、家庭裁判所に事件が送致されると当然に「観護措置」とみなされます。
逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所は送致された時に観護措置をとることがほとんどです。
ケース②の場合、薬物事件ということもあり、逮捕後勾留されることがほとんどです。
そのため、送致後に観護措置がとられる可能性は高いでしょう。

一方、ケース①のように在宅事件であっても、観護措置をとる必要があると判断されることもありますので、在宅事件だからと安心していると、家庭裁判所送致後に観護措置がとられ少年鑑別所に収容となることもあります。

家庭裁判所は事件を受理すると、家庭裁判所の調査官による調査、及び審判を経て最終的な処分が決定されます。

最終的な処分は、次の通りです。
①保護処分決定
 (a)保護観察
 (b)少年院送致
 (c)児童自立支援施設等送致
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始
中間的な処分として、試験観察があります。

以上、少年事件の流れを見てきましたが、少年であっても身柄がとられる可能性もあります。
長期の身体拘束により退学や解雇といった不利益を被るおそれもありますので、お子様が逮捕・勾留されお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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