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刑事裁判と被害者参加制度

2019-10-30

刑事裁判と被害者参加制度

刑事裁判被害者参加制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
見知らぬ女性に性的暴行を加えたとして、兵庫県福崎警察署に強制性交等の容疑で逮捕されたAさん。
逮捕・勾留後に、神戸地方検察庁姫路支部に同罪で起訴されました。
Aさんは、弁護人から被害者刑事裁判参加する予定であることを聞かされました。
(フィクションです)

刑事裁判は、犯罪を起こした疑いのある人が本当に犯罪を行ったのか、もし行ったのであればどの程度の刑罰を与えるのか、といったことを決める裁判です。
この刑事裁判では、犯罪を起こしたと疑われている被告人、その被告人を弁護する弁護人、そして、被告人を起訴した検察官が、それぞれの立場の意見を主張し、その意見を根拠づける証拠を提示して、自らの意見が正しいことを証明しようとします。
被告人・弁護人および検察官から提出された証拠に基づいて、被告人が犯罪を行ったと判断することに合理的な疑問を感じないかどうかを判断するのは、裁判官です。
裁判員裁判制度対象事件であれば、裁判官および裁判員が上の判断を行います。
このような刑事裁判において、犯罪の被害に遭った被害者は、検察側の証人として出席するだけでなく、被害者参加人として刑事裁判参加することができます。
この制度を「被害者参加制度」といい、平成20年12月1日から導入されました。

被害者参加制度について

被害者参加制度は、一定の事件の被害者やその家族が、刑事裁判参加し、公判期日に出席したり、被告人質問などを行うことができる制度です。

1.誰か参加できるの?

すべての刑事事件の被害者が、被害者参加制度を利用して刑事裁判参加することが出来るわけではありません。
対象となる刑事事件は、以下のものとなります。(刑事訴訟法第316条の33)

一 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
二 刑法第百七十六条から第百七十九条まで、第二百十一条、第二百二十条又は第二百二十四条から第二百二十七条までの罪
三 前号に掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(第一号に掲げる罪を除く。)
四 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第四条、第五条又は第六条第三項若しくは第四項の罪
五 第一号から第三号までに掲げる罪の未遂罪

つまり、
1.殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
2.強制わいせつ、強制性交等等の罪
3.逮捕及び監禁の罪、
4.略取、誘拐、人身売買の罪
5.2~4の犯罪行為を含む他の犯罪
6.過失運転致傷などの罪
7.1~5の未遂罪

これらの犯罪の被害者本人や法定代理人、犯罪被害者本人が亡くなった場合や心身に重大な支障がある場合の犯罪被害者の配偶者、直系親族、兄弟姉妹が参加することができます。
被害者等は、起訴された後であれば、いつでも参加の申請をすることが出来ます。

2.参加すると何ができるの?

被害者等は、検察官を通じて、裁判所に対して刑事裁判への参加を申し出ます。
裁判所は、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときには、被害者等の参加を認めます。
刑事裁判への参加が認められた被害者等は「被害者参加人」となり、次のような方法により刑事裁判に参加することができます。

・公判期日に出席すること。
・検察官の権限行使に関し、意見を述べ、説明を受けること。
・証人に尋問すること。
・被告人に質問をすること。
・事実関係や法律の適用について意見を陳述すること。

被害者参加制度を利用し被害者が刑事裁判参加することにより、犯罪により被害を被った者が事件の真実追及に貢献し、刑事司法へのより積極的な関与が可能になったと評価される一方で、被告人に保障されるデュープロセスとの関係で問題点がないわけでもありません。
被害者参加により、被告人の防御に支障をきたすことがないよう、刑事事件に精通した弁護士に刑事裁判を任せ、公正な裁判を受けることができるようしっかりと準備することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件を起こしお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

2019-10-28

強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

強制わいせつ致傷事件と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県川西市に住むVさんは、アルバイトが終わり最寄駅から自宅まで徒歩で帰宅していました。
すると、人気のない場所で、突然背後から何者かに羽交い絞めにして引き倒され、「大声出したらしばくからな。」と言われ、服の中に手を入れられ胸を鷲掴みにされました。
Vさんは必死に抵抗したため、犯人はそのまま走り去っていきました。
Vさんは引き倒された際に膝や腕に怪我をしていました。
Vさんは兵庫県川西警察署に被害届を提出し、同署は捜査に着手しました。
後日、兵庫県川西警察署は、市内に住むAさんを強制わいせつ致傷の容疑で逮捕しました。
強制わいせつ致傷事件は裁判員裁判対象事件やからな。」と警察から言われたAさんは、接見に訪れた弁護士に裁判員裁判について質問しました。
(フィクションです)

強制わいせつ致傷罪について

強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ罪または強制わいせつ未遂罪を犯し、その結果人を負傷される犯罪です。
強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ罪には暴行・脅迫という手段をもって実行され、被害者に致傷結果が生じることが多いため、これを重く処罰するものです。
強制わいせつ致傷罪の法定刑は、無期または3年以上20年以下の有期懲役です。

裁判員裁判とは

通常、裁判は、裁判官が行います。
これは、民事事件も刑事事件も変わりありません。
しかし、一定の事件については、裁判官3名と、一般市民から選ばれた裁判員6名の合計9名で裁判が開かれます。
このような裁判のことを「裁判員裁判」といいます。

裁判員裁判対象事件は、①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件、そして、②法定合議事件(短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪の事件の一部)であって故意の犯罪により人を死亡させた事件(①に当たるものを除く)です。
殺人罪や放火罪は①に当たり、傷害致死罪は②になります。
また、法定刑に死刑又は無期の刑がある事件は、人が死亡したかどうかを問いませんから、殺人未遂罪も①によって対象事件となります。
これらに対し、過失運転致死罪は、故意の犯罪ではありませんから、①②のいずれにも当てはまらず、裁判員裁判対象事件ではありません。
Aさんは、強制わいせつ致傷罪で起訴される可能性がありますから、そうなればAさんは裁判員裁判で裁かれることになります。

裁判員裁判の進み方

裁判員裁判は、通常の裁判とは異なる進み方をします。
通常の裁判では、法廷に裁判官・検察官・弁護人・被告人が出席したうえで、公開の法廷で議論が進められます。
これに対し、裁判員裁判では、実際の裁判が開かれる前に、公判前整理手続という手続きが行われます。
公判前整理手続とは、裁判員に実際に審理をしてもらう前に、裁判官・検察官・弁護人の三者により、本件事件の争点や、実際に裁判に提出する証拠を整理する手続きをいいます。
このような手続きの中で、事件の争点や、重要な事実が整理され、裁判員には、最初から争点や判断の対象が提示されるようになっています。
公判前整理手続を経た事件の場合、この手続きが終結した後には、特別の事情がない限り新たな証拠の提出が許されなくなります。

このように、裁判員裁判は、裁判員には負担が少ないように設計されていますが、当事者の立場から見れば、適切な時期に適切な主張をしなければならないという制度になっています。
裁判員裁判には、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱っており、裁判員裁判を経験した弁護士も多数所属しております。
ご家族が裁判員裁判対象の事件を起こしてしまいお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

刑事事件と時効の成立

2019-10-22

刑事事件と時効の成立

刑事事件時効の成立について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県川西警察署は、平成21年に10代の女性に性的暴行を加えたとして、兵庫県内に住むAさんを強姦の疑いで逮捕しました。
時効成立まで27時間と差し迫っており、警察は逮捕後すぐに神戸地方検察庁にAさんを送致し、検察はAさんを時効完成直前に起訴しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

時効について

一定の事実状態が一定の期間継続することにより、権利を取得しあるいは喪失するという法律効果を認める制度を「時効」といいます。
時効は、大きく分けて、民法上の時効と刑法上の時効とがあります。
今回は、刑法上の時効についてみていきましょう。

刑法上の時効

刑法上の時効には、刑の時効と公訴の時効の2種類があります。

刑の時効

死刑を除く刑の言渡しが確定した後、刑が執行されずに一定の期間が経過したときに、刑の執行を免除する制度です。

公訴の時効

「公訴時効」とは、一定の期間が経過したことによって公訴の提起ができなくなるという制度です。
公訴時効が完了した場合には、判決で免訴の言渡しをしなければなりません。

この公訴時効の本質については、いろいろと論じられていますが、時の経過によって生じる状態に着目して説明する考え方と、公訴時効制度の機能面から説明する考え方とがあります。
前者には、時の経過によって犯罪に対する社会の応報・必罰感情が沈静し、刑の威嚇力や特別予防力が微弱になるため、刑罰権が消滅するとする実体法説、証人の記憶が曖昧になり、証拠も散逸するため、刑事訴追が困難になるとする訴訟法説、そして、実体法説と訴訟法説とが挙げる両方の現象が併存すると説明する混合説とに考え方が分かれています。
しかし、時の経過によって社会の応報感情が必ずしも弱まっていくわけではないし、証拠の観点からの考え方では、刑の軽重に応じて時効期間を定めている点が十分説明できていないとの批判がなされてきました。
一方、機能面から公訴時効の本質を説明する立場には、犯人が一定期間訴追されていない状態が訴追の利益に優先するという新訴訟法説、そして、長期間訴追されないという事実が処罰制限の根拠となるとする新実体法説とがあります。

公訴時効の期間は、刑の軽重に応じて決められています。

刑事訴訟法
第二百五十条 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
○2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年

以前は人を死亡させた罪であって死刑にあたるものについても公訴時効は適用されていましたが、平成22年の改正法により、これらの罪については時の経過により一律に公訴権を消滅させることは適当ではないとして、公訴時効の対象から除外されました。

時効期間は、訴因として掲げられた犯罪事実の法定刑を基準にして算定されます。
法定刑が複数ある場合は、最も重い刑に従い、刑を加重減軽すべき場合には、処断刑ではなく法定刑に従って算定されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件を起こしてしまい対応に困っている」、「家族が逮捕されたがどうしたらよいのか」、とお悩みであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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少年保護事件と観護措置

2019-10-21

少年保護事件と観護措置

少年保護事件観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市に住むAくん(16歳)は、同級生の女子児童に対して無理わいせつな行為をしたとして、兵庫県丹波警察署に強制わいせつの容疑で逮捕されました。
その後、勾留され、神戸家庭裁判所に送致後、観護措置がとられました。
(フィクションです)

観護措置について

観護措置」というのは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。

この観護措置には、2種類あります。
ひとつめが、家庭裁判所調査官の保護に付する措置です。
これを「調査官観護(または在宅観護)」といいます。
調査官観護は、少年の身柄を拘束することなく、少年を家庭等に置いたまま、調査官が随時少年と接触しながら、調査官の人格的影響力により、少年に一種の心理的拘束を与えることなどにより、観護の目的を達成しようとするものです。
しかし、調査官観護は、少年の身柄の保全としての実効性に乏しく、実務上調査官観護はめったにとられることはありません。

ふたつめは、少年鑑別所に送致する措置で、単に「観護措置」といったり「収容観護」と呼んだりします。
実務上は、「観護措置」といえば少年鑑別所に収容する措置を指すことが通例となっています。
観護措置は、少年を少年鑑別所に送致し、現実に少年を少年鑑別所に収容し身柄を保全しようとするものです。
少年鑑別所は、観護措置により送致された者等を収容し、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識及び技術に基づいて少年の鑑別を行うとともに、必要な監護処遇等を行うため、法務大臣の管理する国立の施設です。

観護措置の要件

観護措置は、少年保護事件の継続している家庭裁判所が、適正妥当な調査・審判を行うために少年の身柄を保全する措置です。
この観護措置は、「審判を行うため必要があるとき」にとり得ることができると抽象的かつ包括的に少年法第17条1項に規定されています。
このように条項の文言では観護措置の要件は明らかではありませんが、実務上では、次のような要件が必要であると言われています。

1.審判条件があること

観護措置は、審判を行うためにとられる措置であるので、審判条件がある場合でなければなりません。

2.少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること

観護措置は、少年の意に反してその身柄を拘束する強制的措置であることから、人権保障の観点から非行事実の存在について、勾留の場合と同様の心証が必要であるとされています。

3.審判を行う蓋然性があること

観護措置は「審判を行うため必要があるとき」とされていることから、審判を行う蓋然性のある場合でなければなりません。

4.観護措置の必要性が認められること

観護措置をとる実質的な必要性として、次の事由のうちいずれかの事由が存在していればよいとされています。
(ア)調査、審判及び決定の執行を円滑かつ確実に行うため、少年の身柄を拘束する必要があること。
具体的にいえば、勾留の理由と同様に、住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに該当し、身柄を確保する必要性があることです。
(イ)緊急的に少年の保護が必要であること。
少年が保護を必要とする状態にある場合、これを放置するのは相当ではなく、終局決定に至る間においても保護的措置をとる必要があります。
例えば、自殺自傷のおそれがある場合、家庭環境が劣悪で、家庭で虐待を受けたり悪影響を受けるおそれがある場合、不良集団等の影響により審判までに少年の非行性が急速に進行するおそれがある場合などです。
(ウ)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。
心身鑑別の必要性とは、少年の更生に向けて、相応の心理検査や継続的な行動観察を踏まえて、その有する問題性全般について詳細な鑑別を行う必要性が高い場合をいうとされています。
心身鑑別に必要性のみで観護措置がとれるかについては、これを否定する見解もありますが、これを肯定するのが通説となっています。

観護措置は、家庭裁判所に事件が係属中であれば、いつでもとることができます。
一般的には、逮捕・勾留により身柄拘束中の少年の事件の場合は、当該事件が家庭裁判所に送致されたときに観護措置をとることが多くなっています。
逮捕・勾留されていな少年であっても、家庭裁判所に送致された後に、観護措置をとる必要性が認められれば、観護措置がとられる可能性もあります。

観護措置において、少年鑑別所に収容する期間は、原則2週間、更新が必要な場合にはさらに2週間更新されることになります。
しかし、実務上は、少年鑑別所において行われる行動観察や心身鑑別に相当の日時を要することから、通常の事件については、1回更新することが多く、ほとんどの事件で収容期間は1か月ほどとなっています。

このような長期間少年鑑別所に収容されることになると、当然少年が社会に戻った後の生活にも影響が出てきます。
ですので、不要不当な身体拘束は回避する必要があります。
一方、観護措置の趣旨は、少年の心情の安定を図りながら心身鑑別等を行うことにあることを考慮すると、少年にとって外界から離れた環境で事件や自分自身と静かにゆっくりと向き合うことができる重要な機会とも言えます。
どちらが少年の更生にとって適切であるかは、少年や事件によっても異なりますので、少年事件に詳しい弁護士にぜひご相談ください。

お子様が事件を起こしてしまい対応にお困りであれば、少年事件・刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

2019-10-19

少年の刑事事件~家庭裁判所送致前~

家庭裁判所送致前少年刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市長田区の路上で、帰宅途中の女性に対して背後から抱きつき、胸などを触るなどしたとして、同市に住む中学生のAくん(14歳)が兵庫県長田警察署に強制わいせつの疑いで逮捕されました。
逮捕後、Aくんは勾留に代わる観護措置で神戸少年鑑別所に収容されることになったと連絡を受けたAくんの両親は、今後どのような流れになるのか分からず少年事件に詳しい弁護士に相談の連絡を入れました。
(フィクションです)

少年法第1条は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うとともに、少年刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする旨を規定しています。

少年の犯罪事件は、原則、成人の刑事事件の場合と同様に被疑事件として捜査機関による捜査が行われ、その後、全事件が家庭裁判所送致されます。
これを「全件送致主義」といいます。
少年法は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合及び犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、全ての事件を家庭裁判所送致することを義務付けています。
これは、非行事実が軽微なものであったとしても、その背後には様々な問題がある場合が多いため、家庭裁判所に全ての事件を送致させ、そこで行われる少年に対する調査を踏まえて保護処分と刑事処分のいずれが相当かを判断させようという趣旨に基づくものです。
ただし、犯罪の嫌疑がなく、ぐ犯少年にも該当しないときには、不起訴処分に付されることもあります。

少年刑事事件というのは、「少年の犯罪事件」が
家庭裁判所送致される以前の段階における少年の被疑事件
家庭裁判所から検察官への逆送から刑事裁判所へ公訴を提起される以前の段階における少年の被疑事件
③公訴提起後の被告事件
をいいます。

20歳未満の者であっても、犯罪を犯したと疑われる場合には、成人の場合と同様に逮捕されることがあります。
犯罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
ただし、14歳未満の者は、刑事責任を問われませんので、犯罪とはならず逮捕されることもありません。
(もちろん、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所送致されると、少年審判を受け保護処分が言い渡される可能性はあります。)
犯罪を犯した14歳未満の少年を「触法少年」と呼びます。

犯罪少年が警察に逮捕された後の流れは、基本的に成人の刑事事件と同じです。
逮捕から48時間以内に、検察に送致される、若しくは釈放されます。
検察に送致されると、検察官は少年の身柄を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求をする、あるいは釈放するかを決めます。
勾留請求を受けた裁判官は、少年と面談した上で、少年を勾留するか釈放するかを判断します。
勾留となった場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、勾留延長が認められると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

勾留に代わる観護措置について

少年法は、刑法、刑事訴訟法、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の一般法に対する特則を定めている。
身体拘束に関するものでいえば、「拘留に代わる観護措置」の手続が設けられています。

検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して、勾留に代わる観護措置を請求することができ、裁判官は、当該措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されていますが、以下の点が勾留と異なります。
・身体拘束を伴う少年鑑別所収容の観護措置のほかに、家庭裁判所調査官による観護措置の方法もとることができるとされています。
・勾留は延長することができるのに対し、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求した日から10日で、延長は認められません。
・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容されていた事件が家庭裁判所送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

少年事件の場合、成人の刑事事件の手続と異なる点もありますので、少年事件については専門の弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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検察官の事件処理~不起訴処分~

2019-10-18

検察官の事件処理~不起訴処分~

不起訴処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
会社員のAさんは、SNSを通じて知り合った中学生のVさんに、裸の自撮り画像をAさんの携帯に送信させたとして、児童ポルノ規制法違反の疑いで兵庫県赤穂警察署に逮捕されました。
Aさんは容疑を認めており、なんとか不起訴で事件が終了できないものかと悩んでいます。
(フィクションです)

検察官事件処理には、終局処分と中間処分とがあります。
そして、終局処分には、起訴処分と不起訴処分があります。
不起訴処分とは、検察官が公訴を提起しないとする処分のことです。
公訴を提起するか否かの決定権限は、検察官にあります。
検察官が起訴しないとする不起訴処分には、主に以下のような種類があります。

1.罪とならず

被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき、または犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確な時にする処分をいいます。
被疑者が被疑事実とされる行為の行為者であった場合でも、その行為が犯罪構成要件に該当しないとき、又は被疑者に責任阻却事由、あるいは法令若しくは正当の業務に基づく行為、正当防衛、緊急避難、盗犯等の防止及び処分に関する法律第1条第1項、第2項該当などの違法性阻却事由のあることが明白となったとき、つまりその行為が犯罪に当たらないことが明らかな場合に限って行われる処分です。

2.嫌疑なし

被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、またあ犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なときに行う処分です。
例えば、真犯人が現れたとき、被疑者が行為者であるという唯一の証拠であった目撃者の供述が虚偽であることが明らかになった場合などがこれに当たります。

3.嫌疑不十分

被疑事実について、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときに行う処分です。
例えば、正当防衛に該当することが明らかな場合には「罪とならず」となりますが、防衛の程度を超えた疑いがあり、かつ、その証拠が十分でない場合には「嫌疑不十分」と裁定されます。

4.親告罪の告訴取り下げ

親告罪の告訴が取り下げられた場合、検察官は告訴なく公訴を提起することはできませんので、訴訟条件を欠くため、不起訴処分とします。

5.起訴猶予

被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年令及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに行う処分です。
刑事訴訟法第248条は、起訴猶予処分に付することについて、一応の基準を示しています。

第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

しかし、その裁量は検察官に任せています。

不起訴処分を獲得するために

上記ケースのような被害者がいる事件では、被害者との示談が成立しているか否かといった点が、不起訴処分を獲得する上では非常に重要です。
親告罪では、被害者との示談を成立させ、告訴を提起しない若しくは告訴を取り下げてもらうことで、検察官不起訴処分としますし、親告罪でない場合でも、被害者との示談の有無は検察官が起訴・不起訴を判断する上で重量な考慮要素となります。
ですので、刑事事件を起こしてしまったら、早期に被害者との示談交渉を開始する必要があるのです。

しかし、被害者との示談交渉を加害者やその家族が直接行うことはお勧めできません。
一般的に、被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていることが多く、加害者に連絡先を教えることはあまり多くありませんし、仮に連絡先を教えたとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく交渉が難航する傾向にあります。
被害者との示談交渉は、弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士限りであれば連絡先を教えてもよいと回答する被害者も多く、被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
また、弁護士を介することで、冷静な話し合いができ、示談を円滑に成立させることも期待できるでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼することで、このようなメリットがあります。

刑事事件を起こし、被害者対応にお悩みであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
これまで数多くの示談交渉を行ってきた刑事事件専門弁護士が無料で法律相談を行います。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

勾留に対する準抗告認容

2019-10-14

勾留に対する準抗告認容

勾留に対する準抗告について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県淡路市に住むAさんは、ストーカー規制法違反の疑いで兵庫県淡路警察署に逮捕されました。
Aさんは、元交際相手のVさんにメールや電話を複数回したり、Vさんの自宅前に待ち伏せをするなどし、Vさんに復縁を迫ったということです。
Aさんは、逮捕に引き続き勾留となったことを受けて、会社をクビになるのではと大変心配しています。
(フィクションです)

勾留が決定したら

あなたやあなたの家族が、刑事事件の被疑者として逮捕・勾留されてしまったら、逮捕から最大で23日もの間、警察施設に身柄拘束されることになります。
当然ながら、その間は、学校や職場に行くことができません。
ですので、最悪の場合、退学や解雇となってしまうおそれがあります。

そのような事態を回避するためにも、勾留に対する不服申しててをすることにより、勾留の裁判の取消しおよび勾留請求却下で身柄解放となるよう早期に動くことが必要となります。
勾留に対する不服申し立ての方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下、主なものを紹介します。

1.勾留決定に対する準抗告

刑事訴訟法
第四百二十九条 裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。
一 忌避の申立を却下する裁判
二 勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判
三 鑑定のため留置を命ずる裁判
四 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判
五 身体の検査を受ける者に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判

準抗告」とは、裁判官がした裁判のうち一定のものについては不服申立てを認めるべき必要があるので、その裁判官所属の裁判所に対して、原裁判の取消しまたは変更を請求できる手続です。
裁判官がした勾留に関する裁判に不服がある者は、その取消しや変更を請求することができます。

準抗告が認められた場合、勾留の裁判は取り消されますので、身柄を拘束されていた被疑者は釈放されることになります。

2.準抗告棄却に対する特別抗告

刑事訴訟法
第四百三十三条 この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、第四百五条に規定する事由があることを理由とする場合に限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

勾留に対する準抗告が棄却された場合、その決定に対して不服があれば当該棄却決定に対して特別抗告を申し立てることができます。
申立期間は、当該決定書が被疑者ないし弁護人に送達された日の翌日から5日間です。
申立理由は、①憲法違反と②判例違反に限られます。

3.勾留取消請求

刑事訴訟法
第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

勾留の理由または勾留の必要がなくなった場合には、裁判官は、被疑者・弁護人等、あるいは検察官の請求を受けて、または職権で、勾留を取り消さなければなりません。
勾留に対する準抗告が、1つの勾留に対して1回しか認められないのに対し、勾留取消請求は、事情の変更があれば何度でも認められます。

以上のように、勾留が決定してしまった場合であっても、被疑者の身体拘束を解く可能性は0ではありません。

ご家族が刑事事件を起こし、逮捕・勾留されてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、身柄解放活動に従事します。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~

2019-10-12

逮捕から勾留決定まで~取調べ対応~

逮捕から勾留決定までの取調べ対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住むAさんは、友人と居酒屋で飲んだ後、バーに入りました。
そこで、隣に座ったVさんと意気投合し、次の店に移ろうという話になりました。
しかし、Aさんは、Vさんといい雰囲気になったと思い、その場の流れでホテルに行けると思い、タクシーでホテル街へ向かいました。
Vさんはタクシーで移動中に眠ってしまっており、ホテルへ入る際も、Aさんが肩をかして入店する状態でした。
Aさんは、Vさんの合意があったと思い、性交渉に及びましたが、翌日Aさんが目覚めるとVさんの姿はなく、「合意なく行われた。警察に被害届を出します。」との置手紙が置いてありました。
後日、兵庫県垂水警察署の警察官がAさん宅を訪れ、準強制性交等の疑いでAさんを逮捕しました。
Aさんは、逮捕後あれよあれよという間に勾留決定がなされ、今後どのような流れになるのかとても不安になってきました。
(フィクションです)

刑事事件で逮捕されたら

逮捕から検察への送致まで

Aさんは、「強制性交等罪」という犯罪を犯した疑いで警察に逮捕されました。
Aさんの身柄は警察署に移され、警察署で取調べを受けることになります。
この取調べで供述した内容は、「調書」として記録されます。
調書は、検察にも送られる資料で、刑事裁判となった場合には証拠として取り扱われ得る重要なものです。
逮捕された直後に作成される調書は、「弁解録取書」と「身上経歴調書」です。
前者は、被疑者の事件についての弁解を記すものです。
後者は、被疑者自身のことについて記されており、履歴書のような内容となります。

このように、逮捕されると、すぐに警察による取調べが始まります。
この取調べにおいて、被疑者は必ず取調官の質問に答えなければならないわけではありません。

黙秘権

憲法第38条 
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

刑事訴訟法第198条2項 
前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

取調べに際して、被疑者は自己の意思に反して発言しない権利が保障されています。
どのような場合に黙秘するのがより効果的であるのかはケースにより異なりますでの、弁護士と相談した上で、当該権利を効果的に使われるのがよいでしょう。

また、取調べで被疑者が話した内容が「調書」として記録されることは前述したところですが、その調書に被疑者が署名押印することで、「調書に記載されている内容は被疑者が発言したもので間違いない」ものとして後の裁判で証拠として取り扱われます。
そのような重大な意味を持つものですから、出来上がった調書に署名押印する際にはしっかりとその内容を確認しなければなりません。
この署名押印もまた義務ではありません。
調書の内容が納得できるものでなければ、修正を求めることもできます。
納得できなければ、署名押印を拒否することもできますので、少しでも迷った場合には、署名押印する前に弁護士に相談するのがよいでしょう。

逮捕されたとしても、警察が取調べを行った上で、被疑者の身体拘束を継続する必要がないと判断した場合には、被疑者は釈放されます。
一方、警察が書類とあわせて被疑者の身柄を検察に送った場合には、今度は検察官からの取調べを受けることになります。
これらの判断は、逮捕から48時間以内に行われます。
逮捕により身柄が拘束された場合には、被疑者も多くの不利益を被ることになるので、手続にも厳格な時間的制約が設けられています。

逮捕から勾留決定までの間は、被疑者の家族であっても、原則として被疑者と面会することは出来ません。
しかしながら、弁護士であれば、いつでも逮捕された方と面会(接見)することが可能ですので、ご家族が逮捕されてお困りの方は、すぐに弁護士に接見を依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~

2019-10-10

取調べ~被疑者の権利:弁護人選任権~

被疑者の権利弁護人選任権)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の駅構内で、見ず知らずの女性の身体を触ったとして、会社員のAさんは迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
Aさんは兵庫県尼崎南警察署に連れて行かれ取調べを受けています。
(フィクションです)

取調べにおける被疑者の諸権利

あなたが、何らかの罪を犯し、刑事事件の被疑者として捜査の対象となれば、捜査機関からの取調べを受けることになります。
また、身体拘束が必要と判断されれば、逮捕・勾留により長期の身体拘束となる可能性もあります。

被疑者」とは、公訴の提起前において、犯罪の嫌疑により捜査の対象となっている者のことです。
「被告人」は、公訴を提起された者です。
両者とも、刑事訴訟におけるもっとも実質的な当事者として、刑事手続における権利義務の主体となります。

ここでは、取調べに関連した被疑者の権利についてご説明したいと思います。

1.弁護人選任権

弁護人選任権に関して、憲法は次のように定めています。

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
○2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
○3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

憲法第34条の前段は、身体拘束を受けている者に対して、また憲法第37条3項は、被告人に対して、弁護人選任権を保障しています。
これを受けて、刑事訴訟法は、被告人または被疑者はいつでも弁護人を選任できることを定めています。

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
○2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

被疑者・被告人は、法律知識に乏しく、身体拘束されて活動の自由が奪われている場合が多いため、相手方当事者である検察官と対等の立場で防御活動をすることが困難な立場にいます。
そこで、検察官と同等の法律的能力を持つ弁護人に被疑者・被告人を補助させ、当事者主義を実質的に保障する目的を有しています。

被疑者・被告人が選任する弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」の2種類あります。

(1)私選弁護人

「私選弁護人」は、被疑者・被告人またはその一定の関係者が選任した弁護人です。
弁護士費用は自己負担となりますが、被疑者・被告人またはその家族が弁護人を選ぶことができますので、弁護人の専門性や経験、人柄などを考慮して選任することができる点でメリットがあると言えるでしょう。

(2)国選弁護人

「国選弁護人」は、裁判所または裁判長が被告人のために選任した弁護人です。
被疑者・被告人が経済的理由により弁護人を自ら選任することができない場合に、国がその費用で弁護人を付することにより、被疑者・被告人の権利を守ることを目的とする国選弁護制度に基づき、就任した弁護人です。
国選弁護制度には、起訴後の被告人国選弁護と、起訴前の被疑者国選弁護との2つに分けられます。

●被告国選弁護●
被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができます。
被告人が国選弁護人を請求するためには、自身の資力申告書を提出しなければなりません。
資力が50万円に満たない場合には、その請求が認められます。
また、法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件、公判前整理手続若しくは期日間整理手続に付された事件又は即決裁判手続による事件については、既に私選弁護人が選任している場合を除き、裁判所は国選弁護人を選任しなければなりません。

●被疑者国選弁護●
被疑者の国選弁護人の請求は、次の要件を満たす場合に認められます。
・死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる事件であること。
・被疑者に対して勾留状が発せられていること。
・貧困その他の事由で弁護人を選任することができないこと。
被疑者国選弁護制度は、被疑者が勾留されており、かつ一定の重い事件に限られるため、全ての被疑者に認められるものではありません。

私選弁護人と国選弁護人は、選任方式の違いによる手続上の差異を除けば、基本的な権利義務は同じです。
しかし、被疑者段階においては、身体拘束の有無や起こした事件の種類により国選弁護人を選任することができない場合があります。
上記ケースでは、迷惑防止条例違反事件であり、Aさんは被疑者国選弁護制度の対象外となります。
逮捕後、更なる身体拘束を阻止するため、また早期事件解決のため被害者との示談を成立させるためにも、刑事事件で逮捕されたら早期に弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所(フリーダイヤル0120-631-881)までご連絡ください。

刑事事件で逮捕~現行犯逮捕~

2019-10-09

刑事事件で逮捕~現行犯逮捕~

現行犯逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県篠山市の公園で、下半身を露出した男性がいるとの目撃者からの通報を受けて兵庫県篠山警察署の警察官が現場に駆け付けました。
警察官は、現場にいたAさんに話を聞いたところ容疑を認めたので、公然わいせつの容疑で現行犯逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、このまま身体拘束が長引くと会社をクビになってしまうのではないかと心配し、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

前回まで、3種類ある逮捕のうち「通常逮捕」と「緊急逮捕」について説明しました。
今回は、残りの「現行犯逮捕」についてみていきましょう。

現行犯逮捕について

現行犯逮捕は、現に罪を行っている、あるいは行い終った直後の者の場合に、逮捕状なしに逮捕できるというものです。

現行犯逮捕については、刑事訴訟法第213条に規定されています。

第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

現行犯逮捕は、現行犯は逮捕者の面前における犯行であるから、嫌疑が明白で、犯人を誤認して逮捕する危険が少なく、緊急性があるため、令状主義の例外として無令状の逮捕を認められています。

「現行犯人」については、刑事訴訟法第212条で次のように定められています。

第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
○2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。

「現行犯人」の定義について

(1)「現に罪を行う者」
「現に罪を行う」とは、逮捕者の面前で犯罪の実行行為を行いつつある場合をいいます。
「罪」は特定されたものであることが必要となります。

(2)「現に罪を行い終った者」
「現に罪を行い終った」とは、犯罪の実行行為を終了した直後をいいます。
この判断は、時間的接着性および場所的接着性を考慮して行われます。
時間的接着性というのは、犯行と逮捕との間が時間的にそれほど隔たっていないことをいい、場所的接着性は、犯行と逮捕が場所的にも近接していることを指します。

「準現行犯人」の定義について

刑事訴訟法第212条は、その第2項で、現行犯人とみなす者(「準現行犯人」)について規定しています。
準現行犯人は、現行犯人とのものではないけれど、罪を行い終って間がない犯人であることの明白性が価値的に現行犯と同視できることから、現行犯とみなされます。

(1)「罪を行い終ってから間がない」
「間がない」というのは、時間的・場所的に近接した時点をいいます。
「罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるとき」という文言は、刑事訴訟法第212条第2号の各号とあわせて、犯罪と被逮捕者との結びつきが逮捕者に明白であることを必要とします。

①追呼
「犯人として追呼されているとき」というのは、犯人として追われている、或いは呼びかけられている状態です。

②贓物等の所持
「贓物(ゾウブツ)」とは、他人の財産を侵害する犯罪行為によって不法に領得された財物を意味します。
「兇器」とは、人を殺傷し得る器物で、一般人をして危険を感じさせるものであればよいとされます。
この兇器は、「明らかに犯罪の用に供したと思われ」なければなりません。

③犯罪の顕著な証跡
その犯罪を行ったことが外部的に、客観的に明らかといえる痕跡が身体あるいは服に認められる場合です。

④誰何されて逃走
「誰何」という言葉は、相手が何者かわからないときに、呼び止めて問いただすことを意味しますが、ここでは、これに類似する行為も含まれます。

現行犯逮捕は、警察などの捜査機関のほか一般人でも可能です。
一般人が現行犯逮捕した場合、直ちに検察官または司法警察職員に現行犯人を引き渡さなければなりません。

公然わいせつ事件は、目撃者が警察に通報し、現場に駆け付けた警察官が現行犯逮捕するケースが多いです。
刑事事件逮捕されたら、できるだけ早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に動くのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が刑事事件逮捕されてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

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