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少年事件②:虞犯少年と触法少年

2020-02-22

虞犯少年触法少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
前回のブログでは、家庭裁判所の審判対象となる非行少年のうち、「犯罪少年」について説明しました。
今回は、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(2)触法少年

触法少年」とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年のことをいいます。
14歳未満の者は、刑事未成年とされており、刑罰が科されることはありません。
ですので、14歳未満の者が何か刑罰法令に触れる行為を行ったとしても、犯罪は成立しません。
しかし、少年法における審判や保護処分の対象となります。

触法少年の多くが、警察官によって発見されます。
警察官は、触法少年を発見した場合、要保護児童として児童相談所へ通告するか、事件を児童相談所に送致します。
警察は、送致前に、事件の調査を行うことができ、場合によっては少年を一時保護所等に入所させた上で調査を継続することもできます。
被疑者ではないので、逮捕や捜査を行うことはできません。

触法少年については、第一次的に児童相談所による調査や福祉的措置がなされます。
家庭裁判所での審理が必要な事件については、家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致された後の手続については、犯罪少年の場合と同じです。
異なる点は、次の通りです。
・家庭裁判所による観護措置の更新は1回に限られる。
・少年審判に検察官を出席させることができない。
・12歳未満は少年審判の傍聴の対象とならない。
・家庭裁判所は刑事処分を相当として検察官送致決定をすることができない。
おおむね12歳以上であれば、最終処分として少年院送致となる可能性もあります。

(3)虞犯少年

虞犯少年」は、次に挙げる虞犯事由のいずれかに該当し、かつ、その性格または環境に照らして、将来、罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年です。
【虞犯事由】
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること、
②正当な理由がなく家庭に寄りつかないこと。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

虞犯少年については、犯罪少年とは異なる手続が用意されています。

(a)警察官が該当補導等によって虞犯少年を発見する場合
警察官が、街頭補導や少年相談等を通じて、虞犯少年と認められる者を発見した場合、警察官は、当該少年の調査を行います。
少年が14歳以上であり、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときは、少年を家庭裁判所に送致します。
少年が14歳以上18歳未満であって、保護者がいないとき、又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、家庭裁判所に直接送致するよりも、一度児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認められる場合には、少年を児童相談所に通告します。
少年が14歳未満であり、保護者がいない又は保護者に監護をさせることが不適当であると認められる場合、少年を児童相談所に通告します。
14歳未満の虞犯少年は、都道府県知事又は児童相談所長からの送致がない限り、家庭裁判所で審判に付することができないため、まずは児童相談所に通告されます。

(b)司法警察員等が犯罪捜査の過程で虞犯少年を通告・送致する場合
司法警察員等は、14歳以上の少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑はないけれども、虞犯事件として家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
捜査の結果、嫌疑不十分と判断された場合であっても、虞犯として家庭裁判所に送致される可能性もあります。

虞犯少年が家庭裁判所に送致された後の手続は、犯罪少年等と同様です。
必要があれば観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもありますし、審判の結果、少年院送致となる可能性もあります。

Bくんの場合、触法少年として、児童相談所から家庭裁判所に送致される可能性が高いでしょう。

お子様が事件を起こし、触法少年虞犯少年、犯罪少年として家庭裁判所に送致されて対応にお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

少年事件①:犯罪少年

2020-02-21

犯罪少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市灘区内の路上で、高齢女性をナイフで脅して現金1万円を奪ったとして、県内に住む14歳のAくんが強盗容疑で兵庫県灘警察署に逮捕されました。
13歳のBくんは、Aくんと共謀して事件を起こしたとして、同警察署に補導されました。
警察から連絡を受けたBくんの両親は、Bくんにどのような処分が下るのか不安になり、少年事件に詳しい弁護士に相談しています。
(フィクションです)

少年事件の流れについて

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、事件を起こした場合、犯行時の年齢や犯行内容によって、その後の流れは異なります。
以下、家庭裁判所の審判対象となる「犯罪少年」、「触法少年」、「虞犯少年」それぞれについて説明していきます。

(1)犯罪少年

罪を犯した少年を「犯罪少年」といいます。
刑法は、14歳未満の者の行為については罰しないと定めています。
ですので、「罪を犯した」少年とは、14歳以上20歳未満で、犯罪行為を行った者を意味します。

捜査段階では、少年と成人で手続に顕著な差異はなく、少年であっても逮捕・勾留により身体拘束を強いられる可能性はあります。
特に、重大犯罪や共犯事件などは、逮捕・勾留となる可能性が高いと言えます。
少年を勾留するときは、成人と同様の勾留要件(「勾留の理由」と「勾留の必要性」)を充たしていることに加えて、「やむを得ない場合」であることが必要とされます。
少年を警察留置施設で勾留する場合でも、少年を成人とは分離して留置することになっています。
また、検察官は、刑事訴訟上の勾留要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して「勾留に代わる観護措置」を請求することができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的に勾留に関する規定が準用されるのですが、以下の点で勾留とは異なります。

①勾留に代わる観護措置は、少年鑑別所収容のほか、家庭裁判所調査官による観護の方法もとることができます。
②勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日で、延長は出来ません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容された少年の事件が、家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、すべての事件を家庭裁判所に送致します。

勾留されている少年の事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。
観護措置は、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置です。
被疑者段階で逮捕・勾留されている少年については、引き続き観護措置がとられることが多いですが、観護措置が必要ではないと判断され、観護措置がとられないケースもあります。
また、捜査段階では在宅で捜査が進められていたとしても、家庭裁判所送致後に、観護措置がとられ、少年鑑別所に収容されることもあります。

家庭裁判所は、事件を受理し、審判に付すべきか否かを判断するために、家庭調査官に対する調査命令を出します。
観護措置がとられている事件については、実務上、調査命令と審判開始決定が同時になされる運用となっています。
調査の結果、審判を開始するのが相当でないと認めるときは、審判不開始決定がなされます。
審判不開始となれば、そこで事件は終了です。

一方、審判開始決定がなされると、審判の期日が決まります。
審判までに、調査官は、少年や保護者に対して面会を行い、少年に関する社会調査を行います。
調査が終了すると、調査官は社会調査の結果を書面で裁判官に報告します。
裁判官は、調査官の報告書と捜査機関から送られてきた法律記録を参考にし、少年の更生に適した処分を決定します。
審判では、最終的に、少年に対する不処分、保護処分、または検察官送致が決定されます。

少年審判では、非行事実および要保護性が審理の対象となります。
非行事実は、刑事事件でいう公訴事実です。
要保護性とは、次の要素で構成されるものとされます。
①再非行の危険性:少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性:保護処分による矯正教育を施すことによって、再非行の危険性を除去できる可能性。
③保護相当性:保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。

このように、審判では、非行事実および要保護性について審理されるので、非行事実が重大な罪名に該当する場合であっても、要保護性が解消されたと判断された場合には、少年院送致といった矯正施設収容の処分ではなく、保護観察処分となることもあるのです。
上のケースのように、強盗事件であっても、事件後、少年の環境調整がしっかりと行われ、要保護性が解消されたと認められれば、保護観察処分が言い渡される可能性も十分あります。

そのためにも、早い段階から少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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刑事事件:窃盗と器物損壊

2020-02-20

窃盗器物損壊について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市長田区の店に勤務していましたが、解雇されました。
解雇されたことを逆恨みしていたAさんは、「看板を壊してやろう。」と思い立ち、店のスタンド看板を持ち去って、1キロほど先の公園で看板を叩き割って投棄しました。
後日、兵庫県長田警察署から連絡があり、「看板の件で話が聞きたい。」と言われ、1週間後に出頭することになりました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪になるのか、今後どのように対応すべきか分からず不安になったので、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

盗んだ物を使用する目的がない持ち去りは何罪?

他人の物を勝手に持ち去る行為は、通常「窃盗」に当たります。
盗んだ物を使用・利用するためがほとんどですが、中には、嫌がらせ目的など使用・利用する目的以外で他人の物を持ち去るケースもあり、そう珍しいことではありません。
それでは、盗んだ物を積極的に使う目的のない場合も、窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、窃盗罪(刑法第235条)についてみていきましょう。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと
により成立する罪です。

◇客体:他人の財物◇

他人の占有する他人の財物が、窃盗罪の客体です。
「占有」とは、人が財産を事実上支配し、管理する状態をいいます。

◇行為:窃取◇

窃盗罪の行為は、「窃取」です。
「窃取」は、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。(大判大4・3・18)

◇主観的要件:故意と不法領得の意思◇

窃盗罪の故意は、①財物が他人の占有に属していること、および、②その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識・認容していることです。
故意は、次の「不法領得の意思」とは別の要件です。
目的物を遺失物と誤認していた場合には、窃盗の故意を書き、遺失物横領の限度でしか認められません。(東京高判昭35・7・15)
また、目的物を自己の所有物と誤認していたが、他人が占有していることを認識・認容していれば、窃盗の故意は認められます。

不法領得の意思は、条文にはありませんが、判例上認められる要件です。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」です。(最判昭26・7・13)
この不法領得の意思は、窃盗と一時使用行為や毀棄隠匿とを区別する上で重要です。

次に、器物損壊罪(刑法第261条)について説明します。

第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、
①他人の物を
②損壊又は傷害した
場合に成立します。

◇客体:他人の物◇

器物損壊罪の客体は、他人の所有する財物で、公用文書、私用文書、建造物・艦船以外の物です。
財物には動物も含みます。

◇行為:損壊・傷害◇

「損壊」とは、広く物の効用を害することをいい、物理的に破壊するなどして効用を害する他に、事実上や感情上使用できなくさせて効用を害することも含まれます。
「傷害」は、動物を殺傷することの他、飼っている動物を逃がすなど本来の効用を失わせる行為も含みます。

◇主観的要件:故意◇

器物損壊罪の故意は、他人の財物を損壊・傷害することの認識・認容です。
窃盗罪には、故意とは別に、不法領得の意思が必要となりますが、器物損壊罪の成立には必要とされません。

さて、Aさんの行為を分析してみましょう。
Aさんは、店の看板を「壊す」ために、看板を盗み、実際に壊しています。
看板は店が所有するものですので、看板を勝手に持ち去る行為は、窃盗の行為である「窃取」に当たるでしょう。
と同時に、Aさんは店の看板を壊していますので、器物損壊の「損壊」にも該当することとなります。
それでは、Aさんの行為は、窃盗罪と器物損壊罪のどちらが成立することになるのでしょうか。
この点、不法領得の意思があるか否かが判断の分かれ目となります。
つまり、Aさんに「権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、これを利用し又は処分する意思」があったかどうかという点です。
「権利者を排除」する点では、窃盗器物損壊も同じですが、持ち去った物を「経済的用法に従って利用し又は処分する意思」があったか否かが判断の分かれ目です。
「経済的用法に従って利用・処分する意思」は、経済的に利益を受ける意思、その物の用途にかなった使用をする意思、財物から生じる何等かの効用を受ける意思を意味します。(最判昭33・4・17)
この点、Aさんは、解雇されたことへの逆恨みで、嫌がらせ目的で看板を持ち去り、看板を何ら使用することなく壊しているので、看板を利用する意思はなく、また何ら効用も得ていないため、不法領得の意思がなく、窃盗ではなく器物損壊が成立するものと考えられます。

どのような罪が成立するかは、事件内容によって異なることがありますので、刑事事件を起こしてお困りであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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特殊詐欺事件で少年院送致回避

2020-02-11

特殊詐欺事件で少年院送致を回避する活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県小野市の民家を訪れ、弁護士秘書を名乗り、高齢女性からキャッシュカードと窃取したとして、関西地域に住むAくん(17歳)が窃盗の容疑で兵庫県小野警察署に逮捕されました。
Aくんは、他にも2件同様の手口で特殊詐欺事件に関与しています。
逮捕の連絡を受けたAくんの家族は、Aくんが少年院送致となるのではないかと心配し、急いで少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

特殊詐欺事件の終局処分

事件が家庭裁判所に送られると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その終局処分には、次のものがあります。
①保護処分決定(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)
②検察官送致
③不処分
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤審判不開始

⑤の審判不開始は、調査官による調査が終了した後に決定され、審判は開かれません。

少年院とは

終局処分の①保護処分決定には、保護観察、少年院送致、そして児童自立支援施設等送致の3種類があります。
少年が再び非行を犯すおそれが強く、社会内での更生が難しいと判断された場合には、少年を少年院に送致して矯正教育が行われることになります。
この処分を「少年院送致」といいます。

「少年院」は、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年や懲役・禁錮の言い渡しを受けた16歳に満たない少年を収容し、これらの少年に対して、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う施設です。
少年院には4種類あり、年齢、犯罪傾向の程度、心身の著しい障害の有無に応じて、以下のように区分されています。
●第1種:心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者を収容。
●第2種:心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者を収容。
●第3種:心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容。
●第4種:少年院において刑の執行を受ける者を収容。

「少年刑務所」や「少年鑑別所」と混同されることがありますが、前者は、懲役又は禁錮の言渡しを受けた少年の相対的不定期刑を執行する施設であり、少年院が少年の矯正教育をその目的とし、少年の健全育成の理念のもとで処遇が実施されるのに対し、少年刑務所はあくまで刑を執行する刑事施設である点で異なります。
また、「少年鑑別所」は、家庭裁判所等の求めに応じて鑑別対象者を鑑別すること、観護措置が執られて少年鑑別所に収容されている者に対して必要な監護処遇を行うこと、そして、非行及び犯罪の防止に関する援助を行う施設です。

少年院送致回避に向けた活動について

特殊詐欺事件は、その被害の大きさに鑑みて、厳しく罰せられる傾向にあります。
被害額や犯行態様によっては、初犯であっても、いきなり実刑となるケースも少なくありません。
少年事件においても、同様の傾向が見られ、これまで非行歴がない少年であっても、少年院送致が言い渡されることもあります。
少年院送致となれば、少年院に収容中は通常の生活を送ることが出来ませんので、退院後の社会復帰にも影響を及ぼす可能性はあります。
そのような事態を回避するためにも、少年院送致ではなく保護観察のような社会内処遇となるよう働くことが重要です。
少年事件では、非行事実とともに要保護性について審判で審理されます。
要保護性というのは、少年が将来再犯するおそれがあり、保護処分によって再犯のおそれが除去できる可能性があり、かつ保護処分が適切であることです。
非行事実を行ったと認定された場合でも、将来、非行を繰り返すおそれがないと判断されれば、保護処分でも保護観察といった社会内処遇となる可能性があります。

特殊詐欺事件について言えば、非行事実が重い罪名の付くもので会ったり、社会的に問題視されているものであっても、要保護性が解消されていると判断されれば、少年院送致ではなく保護観察となることもあるのです。
要保護性の解消には、少年を取り巻く環境をしっかりと調整することが重要です。
少年自身がきちんと反省し、少年が抱く問題点を理解し、解決策を見出すなど、少年本人の内部の環境を調整することや、保護者や学校などと協力し、少年の更生に資する周囲の環境を調整することも大切です。
また、被害者に対して謝罪や被害弁償を行うことも、少年事件においても重要です。

これらの要保護性を解消する活動は、出来る限り早期に着手するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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恐喝事件で保護観察処分

2020-02-08

少年の恐喝事件と保護観察処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市に住むAくん(16歳)は、知人のVくんにお金を貸していました。
「すぐ返すから。」と言って、いつまでも返済しないVくんについて、Aくんの友人のBくんが、「お前のことなめとんから返さへんのとちゃうか?」と発言したことを受けて、Aくんは、自分がVくんに甘く見られていることに腹を立て、ビビらせてお金を返してもらおうと考えました。
Aくんは、Vくんを市内の公園に呼び出し、Bくんと一緒にVくんに対して返済を求めましたが、Vくんはいつも通り「すぐに返すから待って。」と言うだけでした。
Aくんは、「お前痛い目みんと分からんのか!」と言って、Bくんと一緒になってVくんに殴る蹴るの暴行を加えました。
Aくんは、Vくんが所持していた現金3千円を出させ、「後の分もちゃんと返してな。」と言ってその場を立ち去りました。
翌日、兵庫県丹波警察署の警察官がAくん宅を訪れ、Aくんを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

恐喝罪について

恐喝罪は、刑法第249条に規定される罪です。

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪とは、
①人を恐喝して財物を交付させた場合、又は、
②人を恐喝して財産上不法の利益を得又は他人にこれを得させた場合
に成立する犯罪です。

◇人を恐喝して◇

恐喝」とは、暴行又は脅迫により被害者を畏怖させることを意味します。
それは財物又は財産上の利益の交付に向けられたものでなければなりません。
また、畏怖させる手段である暴行・脅迫は、被害者の犯行を抑圧する程度に至らないものであることが必要となります。

◇財物を交付させ◇

恐喝罪の成立のためには、畏怖により生じた瑕疵ある意思に基づき、物・財産上の利益が交付される必要があります。
交付行為により、物・財物上の利益が移転した場合、恐喝罪は既遂となります。

しかし、行為者の権利実現のために恐喝が用いられた場合、恐喝罪が成立するかどうかが問題とされてきました。
上記事例のように、金銭債権を有する者が、恐喝を用いて返済を受ける場合が典型例です。
この点、判例は、権利の実行は、その権利の範囲内でありかつその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り何ら違法の問題を生じさせないが、その範囲程度を逸脱する場合には違法となり、恐喝罪が成立するとしています。(最判昭和30・10・14)
殴る蹴るの暴行を加えた上で、相手に金銭を出させる行為は、借金返済を求める方法としては一般的に容認されるものではないでしょう。

保護観察処分について

事件が捜査機関から家庭裁判所に送致されると、調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
その最終的な処分のなかには、保護処分というものがあり、①保護観察、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致、の3つがあります。

保護観察」は、少年を施設に収容することなく、社会生活をさせながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。
保護司と定期的に面談し、現状を報告しながら、改善更生に向けた助言や支援をもらいます。

保護観察は、少年院送致や児童自立支援施設等送致の収容措置とは異なり、社会内で改善更生を行うものですので、少年の審判後の生活も大きく異なります。

しかし、誰でも保護観察となるわけではありません。
裁判官が、少年は社会内で更生することができるだろうと認めてもらわなければなりません。
そのためには、審判が開かれるまでに、少年が更生施設ではなく社会生活を送りながら更生することができる環境が十分に整っていなければなりません。
具体的には、少年自身が事件や自分が抱える問題と向き合い、再び非行に走らないためにはどうすればいいのか解決策を見つけることや、家庭環境や交際関係の改善など、保護者や学校と協力して少年の更生に適した環境を整える必要があります。

少年事件において、弁護士は、成人の刑事事件と同様に、少年の権利がきちんと守られるように支援するという役割もありますが、家庭裁判所や保護者・学校などと協力して、少年が更生できる環境を整えるという重要な役割も担います。
ですので、お子様が事件を起こして対応にお困りの方は、刑事事件・少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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万引き事件で審判不開始

2020-01-31

審判不開始について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県姫路市の書店で、漫画本を2冊万引きしたとして、中学生のAさん(15歳)は店員に呼び止められました。
Aさんは、その後、兵庫県姫路警察署で取調べを受け、Aさんの母親を身元引受人としてその日の夜に釈放されました。
翌日、今後のことが心配になったAさんの母親は、少年事件に詳しい弁護士に法律相談を頼みました。
(フィクションです)

審判不開始について

捜査機関は、少年の被疑事件について、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、そして犯罪の嫌疑は認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これは「全件送致主義」と呼ばれ、少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関限りで事件を終了させることは認められません。

家庭裁判所に事件が送致される手順には、①捜査機関からの送致と②簡易送致とがあります。

①捜査機関からの送致

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を検察官に送致することになっています。
ですので、通常は、司法警察員から検察官に事件が送致され、捜査終了後に、検察官が事件を家庭裁判所に送致します。
しかし、少年の被疑事件では、罰金以下の刑に当たる犯罪については、検察官に送致せず、直接事件を家庭裁判所に送致することになっています。
これは「直送」と呼ばれるもので、検察官に事件が送致されないので、少年を勾留することはできません。

②簡易送致

原則、少年の被疑事件は、軽微な事件であっても、全て家庭裁判所に送致されます。
しかし、一定の極めて軽微な少年の被疑事件については、通常の手続よりも簡易な手続に基づいて家庭裁判所に送致することもあります。
この手続を「簡易送致」といいます。
簡易送致の対象となる事件は、各家庭裁判所とそれぞれに対応する地方検察庁、警察本部との協議によって基準が定められています。
少額の万引きや自転車の占有離脱物横領などが、簡易送致の対象事件です。

少年の被疑事件が家庭裁判所に送致され、事件が受理されると、家庭裁判所の調査官は、少年や保護者に対して調査を行います。
調査官による調査は、単なる事情聴取ではなく、少年に内省を促したり、事件の背景にある問題に踏み込み、少年が更生するためにはどのような処分が適切かを調査します。

家庭裁判所は、その調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定をしなければなりません。
審判を開始しないとする決定を「審判不開始決定」といい、これには、(1)形式的審判不開始、および、(2)実体的審判不開始とがあります。

(1)形式的審判不開始

法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
 非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
 調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他

(2)実体的審判不開始

審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
例えば、①事案が軽微な場合、②別件保護中の場合、③保護的措置による要保護性解消の場合などがあります。

審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。

このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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業務上横領事件における示談

2020-01-30

業務上横領事件における示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県西脇市の中小企業に勤めていたAさんは、経理を担当していました。
Aさんは、帳簿を修正し、差額を自分の物にするという行為を2年ほど続けており、くすねた金はギャンブルにつぎ込んでいました。
Aさんは転職を機に退社しましたが、その後、会社がAさんの不正に気付き、Aさんに連絡を入れました。
会社からは、「全額返済できなければ、兵庫県西脇警察署に被害届を出す。」と言われています。
困ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

業務上横領罪

業務上横領罪は、刑法第253条に次のように規定されています。

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪の構成要件は、
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領したこと
です。

①業務上
「業務」とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続しておこなう地位をいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限定されません。

②自己の占有する他人の物
業務と関連して保管・占有する他人の物を指します。

③横領
判例・通説によれば、「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。
「不法領得の意思」の内容については争いがありますが、判例は、他人の物の占有者が委託の任務に背いてその者につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思と解しています。(最判昭24・3・8)

業務上横領事件における示談

業務上横領事件で法律相談に来られる方の多くが、会社に横領行為が発覚し、上司や顧問弁護士から話を聞かれ、対応に困っていらっしゃるケースです。
会社側からは、「弁償しなければ、警察に被害届を出す。」と言われていることが多く、横領行為が会社に発覚した時点では、刑事事件として捜査機関が捜査を開始していない場合が多く見受けられます。
ですので、この場合の対応としては、会社が警察に被害届を提出する前に、被害弁償を行い、示談を成立させることにより、刑事事件化を阻止することを目指します。

横領事件、特に業務上横領事件の場合には、被害者に多大な経済的損害が発生しており、加害者が横領した金額を回収することが被害者にとって最優先事項となることがほとんどです。
警察に被害を訴え、加害者が刑事事件の被疑者・被告人として刑事罰を受けたとしても、加害者が横領した金額がすべて被害者に戻ってくるとも限りません。

ですので、被害者が警察に被害を申告する前に、横領した金額を返済すること(もしくは、返済する約束)が出来れば、被害者が警察に被害届等を出さないと約束してもらえる可能性も十分あるのです。

このように、被害弁償を行う代わりに被害届の提出などを行わないとし、当該事件に関しては当事者間で解決したとする約束を「示談」といいます。
の示談に向けた話し合いは、当事者間で行った場合には、感情論で交渉が円滑に進まないなどのデメリットもありますので、示談交渉には弁護士を介して行うのがよいでしょう。

業務上横領事件でお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件の流れ:特殊詐欺事件で逮捕されたら

2020-01-28

特殊詐欺事件で逮捕された場合の少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
特殊詐欺の事件において、関東地方に住む大学生のAさん(18歳)は、他の共犯者らと共謀の上、現金の受け取り役として兵庫県洲本市の被害者宅に赴き、被害者から現金500万円を詐取しようとしたところを兵庫県洲本警察署に現行犯逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも同様の特殊詐欺事件に関与し、別の被害者2名から現金を詐取していました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、慌てて少年事件に精通する弁護士に接見依頼をしました。
(フィクションです)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が刑罰法令に触れる行為を行った場合、捜査段階では、基本的に刑事訴訟法が適用されることになります。
ですので、少年であっても、成人の刑事事件と同様に、捜査段階で身体が拘束される可能性はあります。
ただし、少年が14歳未満の場合、刑事責任が問われませんので犯罪は成立せず、被疑者として逮捕されることはありません。

身体拘束が少年に与える影響の大きさから、少年の身体拘束については、成人とは異なる手続がとられます。

①検察官は、勾留に代わる観護措置をとることができます。(少年法43条1項)
②検察官は、やむを得ない場合でなければ、勾留を請求することができません。(少年法43条3項)
③勾留状は、やむを得ない場合でなければ発することができません。(少年法48条1項)
④少年鑑別所を勾留場所とすることができます。(少年法48条2項)
⑤少年を警察留置施設に勾留する場合であっても、少年を成人と分離して収容しなければなりません。(少年法49条3項)

少年事件については、捜査機関が捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断した場合、すべての事件を家庭裁判所に送致することとなっています。(少年法41、42条)
これを「全件送致主義」といいます。
少年事件では、成人の刑事事件のように起訴猶予に相当する処分はありません。
また、犯罪の嫌疑がなくとも、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがある場合には、「ぐ犯事件」として送致されることがあります。

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の調査官による調査、少年審判を経て最終的な処分が言い渡されます。
送致後、家庭裁判所はいつでも「観護措置」を決定することができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置です。
この観護措置には、調査官の観護に付するものと、少年を少年鑑別所に収容するものとがありますが、前者はほとんど実務では活用されておらず、「観護措置」というときは後者を指すものとなっています。

調査官は、審判の前に、少年事件の調査を行います。
調査官は、少年や保護者と面会したり、学校や被害者に文書等で照会を行うなどして調査を行い、調査の結果とそれに基づく処遇意見をまとめた少年調査票を作成し、裁判官に提出します。

審判は、非公開で行われ、非行事実と要保護性について審理されます。
そして、審判において、裁判官は少年に対して処分を言い渡します。

特殊詐欺事件で逮捕された場合

特殊詐欺事件で逮捕された場合、逮捕後、勾留される可能性は高いでしょう。
また、特殊詐欺は組織犯罪であることが多く、共犯者と通じて罪証隠滅をおこなうおそれがあると認められ、勾留とともに接見禁止に付される可能性もあります。
特殊詐欺事件では、被疑者が本件のみならず他にも事件を起こしているケースも多いため、本件で逮捕・勾留された後に別件で再逮捕され、身体拘束期間が長期に渡ることも予想されます。
捜査段階で身体拘束となっている少年が家庭裁判所に送致されると、引き続き観護措置がとられることがほとんどです。

長期の身体拘束は、退学や解雇といった少年の大きな影響をもたらす結果を伴うおそれがあります。
勾留や観護措置に対する不服申立てを行うこともできますので、お子様が事件を起こして逮捕・勾留されてお困りであれば、刑事事件・少年事件に精通する弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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刑事事件と刑罰:刑罰の決め方

2020-01-25

刑罰の決め方について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

刑罰の決め方

刑法や特別刑法には、どのような行為が犯罪にあたり、犯罪を行った者に対してどのような刑罰が科されるが予め定められています。
このように法律で定められている刑を「法定刑」といい、法定刑から、刑罰を加重・減軽する理由がある場合には、加減して科し得る刑(「処断刑」)を導き出し、具体的情状を考慮し、処断刑の範囲内で特定した量の刑(「宣告刑」)が言い渡されます。

法定刑について

上記ケースでは、窃盗罪と住居侵入罪に問われています。
それぞれの罪については、刑法で以下のように規定されています。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

各条項で表記されている通り、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」であり、住居侵入罪のそれは「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

法定刑は、あくまで罪名と刑の対応となります。
具体的に事件の内容によって実際にどのような刑の範囲が適当であるか、ということとは異なります。
具体的事件の形に合わせて、実際に処罰することが可能な刑の範囲、つまり「処断刑」の定め方には様々あります。

処断刑について

先の述べたように、「処断刑」は、法定刑に法律上または裁判上の加重・減軽を加えたものです。

刑法上、刑を加重する事由としては、併合罪と累犯の場合が予定されています。

(1)併合罪

「併合罪」は、確定裁判を経ていない2個以上の罪、または、ある犯罪について禁固以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪のことです。
併合罪の場合、それらの罪に対する刑を合わせて科したり、加重したり、場合によっては吸収したりします。
併合罪のうち2個以上の罪について、有期懲役・禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします。
例えば、刑の長期が懲役20年の罪と懲役15年の罪を1度に犯した場合、長期は20年×1.5=30年となります。
「長期」とは、法定刑の「○○年以下」という場合の○○年を指します。

(2)累犯

懲役に処せられた者がその執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合であって、その者を有期懲役に処するときは、「再犯」とし、再犯の刑について定めた懲役の長期を2倍以下とします。
これを「再犯加重」といいます。

減軽事由には、法律上のものと酌量減軽とがあります。

(3)法律上の減軽

心身耗弱、従犯、中止犯のように必ず減軽すべき事由と、過剰防衛、過剰避難、法律の不知、自首等、未遂、偽証罪・虚偽申告罪における自白などのように、減軽が裁判所の任意に委ねられているものとがあります。

(4)酌量減軽

法律上の減軽事由がない場合でも、「犯罪の事情を酌量すべきものがあるときは」、任意に刑を減軽することができます。

処断刑は、累犯加重、法律上の減軽、併合罪の加重、酌量減軽の順に形成されます。
しかし、実務上、加重減軽を行う前に、科刑上の一罪の処理および刑種の選択をすることになっています。
刑法は、観念的競合と牽連犯の関係にある数罪については、科刑上は一罪であるとして、その最も重い刑により処断することとしています。
「観念的競合」とは、1つの行為が2個以上の罪名に触れる場合をいい、「牽連犯」とは、犯罪の手段または結果である行為が他の罪名に触れる場合をいいます。
空き巣は、後者の「牽連犯」に当たり、住居侵入罪と窃盗罪の法定刑の重い罪により処断されるので、窃盗罪の刑が適用されることになります。

このように、法定刑の幅は広く、加えて、広範な法定の加減事由や情状による減軽が認められています。
しかし、裁判の実務においては、一定の事情がある場合にどの程度の刑罰が言い渡されるかは、過去の裁判例も参考にした相場のようなものがあります。
どのような事件でどの程度の刑罰が見込まれるのかご不安であれば、刑事事件に詳しい弁護士に一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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刑事事件と刑罰:刑罰の種類

2020-01-24

刑事事件における刑罰刑罰の種類)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県宍粟市の民家に侵入し、現金や宝石類を盗んだとして、県内に住むAさんが窃盗および住居侵入の疑いで兵庫県宍粟警察署に逮捕されました。
Aさんは、本件以外にも複数同様の手口で空き巣を行ったと供述しています。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、事件について何も分からず、急いで弁護士に接見に行ってくれるよう頼みました。
弁護士からAさんが本件以外にも同種の余罪があることを聞いたAさんの家族は、Aさんにどんな刑罰が科されれるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

刑罰とは

犯罪者に対して刑罰が科されることは広く知られるところです。
刑罰というのは、形式的には、犯罪に対する法的効果として、国家・地方自治体によって犯罪者に課せられる一定の法益の剥奪を意味します。
一体どのような目的の下、刑罰が科せられるのかという点について、様々な議論がなされていますが、概ね、刑罰は犯罪に対する国家的応報であり、一般予防と特別予防という目的を持つと解されます。
つまり、法に違反することをしたのだから罰が与えられるというだけでなく、犯罪者に対して一定の不利益が科されるということを通じて、社会一般の人が犯罪を行わないようにする「一般予防」と罪を犯した者が再び罪を犯すことがないようにする「特別予防」の機能が刑罰にあると考えられています。

刑罰の種類

刑罰の種類には、生命刑、身体刑、自由刑、名誉刑、財産刑の5種類が存在してきました。
現在の日本の刑法においては、生命刑としての「死刑」、自由刑として「懲役」「禁錮」「拘留」、財産刑として「罰金」「科料」「没収」の7種類が設けられています。
このうち、「没収」は、主刑である死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に付加してのみ科すことができる付加刑です。

(1)死刑

生命刑である「死刑」は、現行法上最も重い極刑です。
ただし、少年法では、犯行時に18歳未満であった者には死刑を適用することができないとしています。

(2)懲役・禁錮・拘留

自由刑には、「懲役」、「禁錮」、「拘留」の3種類があります。
まず、「懲役」と「禁錮」には、無期と有期の場合があります。
有期の場合、その期間は、1月以上20年以下の範囲で決められます。
ただし、有期懲役・禁錮を加重減軽する場合には、30年まで上げることができ、また、1月未満に提げることができます。
「懲役」と「禁錮」の違いは、前者は労働義務があるのに対して、後者はありません。
また、「懲役」と「禁錮」には、その刑に処せられた者に「改悛の状」があるときは、有期刑については刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放すること(「仮釈放」)が認められます。

「拘留」は、30日未満の短期の自由刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
「拘留」の刑に処せられた者の「情状により」、いつでも行政官庁の処分によって仮に出場を許すこと(「仮出場」)ができます。

(3)罰金・科料

強制的な金銭の徴収を内容とする財産刑は、1万円以上を「罰金」、1万円未満を「科料」と区別して設けられています。
「罰金」「科料」を完納することができない場合には、労役場に留置されます。

このように刑罰には様々な種類があり、その内容も大きく異なります。
また、懲役や禁錮となった場合であっても、刑の執行が猶予されるか否かでは、判決後の生活が全く違ってきます。

刑事事件を起こし、罪を認めている場合には、不起訴で前科が付くことを回避することを目標として、また、起訴が見込まれる事件では、罰金や執行猶予付き判決といった出来る限り寛大な処分となるよう早い段階から動くことが重要です。
具体的にどのような活動を行うべきかは、事件の内容によって異なりますので、刑事事件に精通する弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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