Archive for the ‘財産犯事件’ Category

業務上横領罪と窃盗罪

2019-05-16

業務上横領罪と窃盗罪

~ケース~
兵庫県朝来市にある美容室に勤めるAさんは、売上金の一部をレジから抜き取ることを度々していました。
ある日、美容室の店長が異変に気付き、従業員に「売上金が盗まれた可能性がある。場合によっては、警察に通報する。」と話しました。
いずれ自分の仕業であることがバレるのではないかと不安になったAさんは、自身の行為がどのような犯罪になり、警察に通報された場合にはどのような流れになるのか、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

勤務先のお金をネコババ~業務上横領罪?窃盗罪?~

自身が勤務する会社のお金をくすねた場合、人の物を勝手に自分のものにしているのですから、それが悪いことだとは容易に理解することができますよね。
それでは、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
実は、お金をくすねた人が会社でどのような立場であったかによって、成立する犯罪が変わってくるのです。

業務上横領罪

まずは、業務上横領罪について説明しましょう。
業務上横領罪は、刑法第253条に規定されています。

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪の構成要件(犯罪類型)は、次のとおりです。
①業務上
②自己の占有する他人の物を
③横領したこと。

業務上横領罪の主体は、「業務上他人の物を占有する者」となり、本罪は身分犯です。
身分犯というのは、構成要件において行為者が一定の身分をもつことを必要とする犯罪のことです。
ここでいう「業務」とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位をいいます。
業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限られません。
従業員が仕事上会社から預かる場合の他にも、運送業者が荷主の荷物を預かる場合や部活やサークルの会計担当者が金品を預かる場合も「業務」に含まれます。
また、「横領」とは、委託物につき不法領得の意思を実現するすべての行為をいうものと解するのが通説となっています。
「不法領得の意思」の内容については、争いがありますが、判例では、他人の物の占有者が委託の任務に背いてその者につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思であるとされます(最判昭24・3・8)

上のケースにおいて考えてみましょう。
Aさんが、レジの管理を任されている場合には、Aさんは「業務上他人の物を占有する者」に該当することになります。
また、店の売上金を勝手に自分のものにしているので、「自己の占有する他人の物を横領した」と言え、業務上横領罪が成立し得ると考えられます。

他方、Aさんがレジの管理を任されていない場合はどうでしょう。

窃盗罪

その場合には、窃盗罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は、刑法第235条に規定されています。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪の構成要件は、以下の通りです。
①他人の財物を
②不法領得の意思をもって
③窃取したこと。

「他人の財物」は、「他人の占有する他人の財物」です。
また、「窃取」の意義についてですが、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

このように、窃盗罪の場合は、「他人の占有する他人の財物」を占有者の意思に反して財物の占有を移転することにより成立します。
他人の物を勝手に自分の物にするという点では、業務上横領罪窃盗罪も同じですが、その者が「自己の占有にある」か、「他人の占有にある」かという点で異なります。
ざくり言えば、人から預かっている物を自分のものにすると業務上横領罪が、預かっていない物を自分の物にすると窃盗罪に問われることになるのです。

もし、あなたやあなたの家族が刑事事件を起こしてしまい、刑事責任を問われているのであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
どのような罪が成立し、どのような流れでどんな処分を受けると考えられるのか、刑事事件専門弁護士がお話を伺った上で、丁寧にご説明いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881へお電話ください。

窃盗罪と詐欺罪

2019-05-15

窃盗罪と詐欺罪

~ケース~
Aさんは、兵庫県たつの市にあるコンビニエンスストアで、100円のホットコーヒーレギュラーサイズを注文しました。
注文を受けた店員は、100円コーヒー用のカップをAさんに渡し、Aさんは100円を支払いました。
Aさんは、カップをコーヒーメーカーにセットし、150円のカフェオレのボタンを押し、カフェオレをカップに注ぎました。
Aさんは度々同様の行為を行っており、その様子を目撃した常連客が店員に報告し、店長は兵庫県たつの警察署に相談しました。
ある日、店にやってきたAさんは、100円のホットコーヒーを購入し、150円のカフェオレをカップに注ぎました。
すると、待機していた兵庫県たつの警察署の警察官に、Aさんの行為は窃盗罪に当たると言われ、警察署へ連れて行かれました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

コンビニコーヒーで刑事事件~窃盗罪?詐欺罪?~

手軽に本格的なコーヒーが楽しめるとあって、コンビニのコーヒーは人気がありますよね。
コンビニのコーヒーはセルフ方式となっており、まずレジでコーヒーの種類や大きさを伝え、料金を払い、専用のカップを受け取ります。
そして、専用機器にカップをセットし、自分が注文した商品のボタンを押す。
簡単なプロセスですが、初めての人にとっては、「どのボタンを押せばよいのか分からない」、何回か使用している人でも「押し間違えてしまいそう」という意見が少なくありません。
しかし、わざと購入したものではない飲料をカップに注いでしまったら?
犯罪が成立し、刑事責任が問われる可能性があるのです。

上記ケースをみてみましょう。
Aさんは100円を支払ってホットコーヒーのレギュラーサイズを購入しました。
店員も、Aさんが注文した通り、ホットコーヒーレギュラーサイズの専用カップを渡しました。(①)
しかし、Aさんは、ホットコーヒーレギュラーサイズのボタンではなく、150円のカフェオレのボタンを押して、カフェオレをカップに注ぎました。(②)
上のケースでは、この行為が、「窃盗罪」に問われています。

窃盗罪

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

犯罪が成立するためには、構成要件に該当し、違法性が認められ、かつ、責任能力があることが必要です。
構成要件というのは、刑罰法規によって定義された犯罪行為の類型であり、窃盗罪を例にとれば、「他人の財物を窃取した」ことが構成要件です。
「他人の財物」とは、「他人の占有する他人の財物」のことで、自己の財物といえども、他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは、他人の財物とみなされます。
不動産については、刑法第235条の2の客体となるので、窃盗罪の客体からは除かれます。
ここでいう「占有」というのは、「人が財物を事実上支配し、管理する状態」をいいます。

また、「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことをいうと解されています。
窃取の方法や手段に制限はありません。
欺罔行為を手段とする場合、窃盗罪が成立するのか、或いは詐欺罪が成立するのかが問題となります。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺罪の構成要件は、以下の通りです。
1項…人を欺いて、財物を交付させた。
2項…人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた。
詐欺罪は、人を騙して、それによって相手が錯誤に陥り、その錯誤によって相手方が処分行為をし、財物の占有を移転又は行為者或いは一定の第三者が不法に財産上の利益を取得することにより成立します。

財物奪取の手段として人を騙しても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪窃盗罪の区別は、占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否かということによります。
この点、上記ケースでは、店員から100円用のカップの交付を受けた①の場面において、100円のコーヒーを買うとみせかけて150円のカフェオレを注ぐつもりで、店員を騙してカップの交付を受けたのであれば、店員は瑕疵ある意思に基づいて100円のカップの占有をAさんに移転しているので、子の場合には詐欺罪が成立するでしょう。
しかし、この時点で相手を騙す意図がなければ詐欺罪は成立しません。

一方、①の場面で騙す意図がなく、実際にカップにコーヒーを注ぐ②の場面で、コーヒーを注ぐべきであるのに、わざと150円のカフェオレを注いだのであれば、窃盗罪となるでしょう。
この場合、店員から財物が交付されたのではなく、機械から財物を取得したのですから、人を騙す行為はこの場面ではありません。
もちろん、窃盗罪の場合にも、故意がなければ犯罪は成立しません。
窃盗罪の成立には、主観的要件として、他人の財物を窃取することの認識(故意)のほかに、不法領得の意思(権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用、処分する意思)を要求するのが判例および通説となっています。

たかが50円のことですが、理論上は犯罪が成立する可能性もありますし、実際に逮捕された事例もあります。
コンビニコーヒーの件に限らす、ご自身の行った行為が犯罪と成り得るのかお悩みであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談されてはいかがでしょう。
お問い合わせは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイアル0120-631-881まで。

窃盗事件で間接正犯

2019-05-11

窃盗事件で間接正犯

~ケース~
兵庫県芦屋市のコンビニで、Aは、幼稚園児の実の子供Bに商品棚に並んでいたパンを渡し、「これもって外に出てて。」と言い、Bは会計を済ませずにパンを店外に持って出ました。
売上金額と商品の在庫数が合わないことから、店長が防犯カメラをチェックすると、子供が会計せずにパンを外に持ち出している姿と、その後に続く女性の姿を確認しました。
後日、AとBが再度来店した際に、店長は兵庫県芦屋警察署に通報し、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

間接正犯とは

犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で有責な行為」をいいます。
つまり、犯罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があるのです。
①問題となる行為が構成要件に該当すること。
②構成要件に該当する行為が違法であること。
③構成要件に該当し、違法である行為が有責に行われたこと。

要件①の構成要件については、様々な見解がありますが、基本的には「立法者が犯罪として法律上規定した行為の類型」と理解されます。
構成要件該当性が認められる場合には、行為者が実行行為を自ら行い結果を直接引き起こす場合(直接正犯)と、他人に行わせ、その他人によって結果が引き起こされる場合(間接正犯)とがあります。
間接正犯は、外見上、実行行為を自ら行っていないにもかかわらず、自らが行った場合と同視するものであるので、如何なる場合に同視し得るのかが問題となります。
間接正犯が認められるためには、他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といいうることが必要となります。
それでは、どのような場合に他人の行為を「自己の犯罪実現のための道具として利用した」といえるのか、以下類型ごとに説明します。

(1)被害者の行為の介入
行為者の行為後、自由で瑕疵のない意思に基づく被害者の行為が介入した場合、間接正犯の成立は認められません。
しかし、行為者が被害者の行為をもたらし、その被害者に構成要件的結果についての認識が欠ける場合、被害者が欺罔により錯誤に陥っている場合、被害者の行為を強制した場合には間接正犯が成立します。

(2)非故意行為の介入
行為者が、構成要件的結果について故意のない媒介者の行為を介入させた場合、媒介者を「道具のように利用」して構成要件を実現させたとみることができ、間接正犯の成立を肯定することができると解されます。

(3)責任なき行為の介入
行為者が意思能力を欠く者を媒介して構成要件的結果を生じさせた場合、その者を思うがまま「道具のように利用」していたといえるので、間接正犯が成立すると解されます。
媒介者が責任能力が欠ける者(心神喪失)であっても、この者が是非弁別能力に欠けるときには、間接正犯が成立するものと解されます。
媒介者が14歳未満の刑事未成年者の場合であっても、是非弁別能力があるときには、意思の抑圧などの事情が存在しない限り、間接正犯の成立を肯定することはできません。

(4)構成要件非該当行為の介入
媒介者に構成要件要素である身分や目的がないため、媒介者の行為に構成要件該当性を肯定することができない場合、媒介者に結果を引き起こす認識・意思があったとしても間接正犯が成立し得ると考えられてきました。

上記ケースのように、幼稚園児に指示し窃盗行為をさせた場合には、当該児童は意思能力を欠く者であり、児童を「道具のように利用」したといえるので、Aの間接正犯は成立すると考えられるでしょう。

このように、直接自分が実行行為に着手していなくとも、正犯として刑事責任が問われることもあります。
どのような場合に間接正犯が成立するのかは、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

兵庫県の窃盗事件で間接正犯に問われてお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐお問い合わせください。
フリーダイアル0120-631-881まで今すぐご連絡を!

美人局で逮捕

2019-05-10

美人局で逮捕

~ケース~
Vさんは、出会い系サイトで知り合った女性Aさんと会う約束をしました。
Vさんは既婚者で、Aさんも既婚者であるが現在別居中だと聞いていました。
VさんとAさんは、食事のあと、ホテルへ行き肉体関係を持ちました。
ホテルから出ると、Aさんの夫だと名乗るBが突然現れ、「俺の嫁になにしてるんや!お前、独身か?結婚しとるんやったら、お前んとこの嫁に言うぞ!」と言い、金銭で和解することを持ち掛けられました。
妻にバレるのを恐れたVさんは、言われた通り金銭で解決することに合意し、手持ちの3万円を支払いました。
その後、Bと名乗る男から、更に金を無心する連絡が続き、困ったVさんは、兵庫県加西警察署に相談しました。
捜査の結果、AとBは、これまで同じような手法で多くの被害者から金銭を巻き上げていることが分かり、AとBを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

美人局で問われ得る犯罪とは?

美人局とは、一般的に、ターゲットとなる男性に対し、男女が共謀して金銭をゆすり取る行為をいいます。
出会い系サイトで出会った女性と性的関係を持った直後に、夫や両親と名乗る男性から因縁をつけられ、事件解決名目で金銭を要求するケースが多くみられます。
未成年者がかかわる場合、18歳未満の少女と性的関係を持つことが刑罰法令に触れる可能性があることを逆手にとり、警察沙汰にしないことを条件に多額の金銭を要求するといった手法が多くなっています。
被害者側も、未成年者と性的関係を持った事実を公にされることを嫌いますので、美人局であると疑っても、被害を警察に相談・報告することが出来ないという点があるようです。

美人局は、恐喝罪・詐欺罪・脅迫罪・強要罪・暴行罪・傷害罪・強盗罪などに該当する可能性があります。

強盗罪

第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪における「暴行・脅迫」は、「相手方の反抗を抑圧するにたりる程度のもの」であることが必要となります。
そのような強度の暴力や脅迫で相手の反抗を抑圧し、相手の意思によらずに財物を自己または第三者の占有に移した場合には、強盗罪が成立することになります。
暴行・脅迫と財物奪取との間に因果関係が必要となるのです。
上記ケースでは、BがVさんに暴行・脅迫を用いて、Vさんから金銭を奪い取ったのであれば、強盗罪に問われるでしょう。

恐喝罪

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、脅迫・暴行を手段として、その反抗を抑圧するに足りない程度に相手を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。
この恐喝行為の結果、畏怖した相手の処分行為に基づく交付によって、財物を取得した場合に、恐喝罪は成立します。
強盗罪との違いは、暴力・脅迫の程度、そして相手の処分行為の有無です。
脅迫の結果、Vさんが畏怖を原因としてBに金銭を渡したのであれば、恐喝罪となるでしょう。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

人を欺いて財物を交付させる犯罪です。
詐欺罪は、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じる、一連の相当因因果関係にあることが必要となります。
美人局の場合、恐喝罪との違いは、「錯誤に基づく財産的処分行為」であるか「畏怖に基づく財産的処分行為」かという点です。
相手が18歳未満ではないのに18歳未満だと虚偽の事実を示して、児童買春が成立するとして示談金を求めるケースでは、詐欺罪が問われる可能性もあります。

美人局事件でも、事案によって成立する罪名は異なりますので、一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ご家族が美人局事件で逮捕されている場合には、刑事事件専門弁護士が接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881まで。

窃盗罪と詐欺罪

2019-05-08

窃盗罪と詐欺罪

~ケース~
主婦のVさんは、神戸市灘区の商店街で買い物をしていると、見知らぬ女性たちから声を掛けられました。
女性たちは、「あなたには悪い霊がついている。すぐに除霊しないと、子供が死ぬことになる。」と言われ、Vさんは指示された通り、急いで自宅から貴金属品や現金などを新聞紙に包み、バックに入れて商店街に戻りました。
女性たちは、「今から除霊するから、目をつぶって。」と言われ、Vさんは目をつぶりました。
その後、女性たちはVさんにバックを返し、「これで大丈夫。悪い霊はいなくなった。」と言って去っていきました。
Vさんが家に帰ってバックの中身を確認すると、貴金属や現金が他の物と取り換えられていたことが分かり、慌てて兵庫県灘警察署に被害届を出しに行きました。
同署は、窃盗事件として捜査を開始しました。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

窃盗罪と詐欺罪の違い

上記ケースでは、犯人たちがVさんを「騙して」Vさんの財物をとったことから、「詐欺罪」に問われるのでは?と思われる方が少なくないのではないでしょうか。

まず、詐欺罪とはどのような場合に成立するのか、以下説明していきます。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の基本的な構成要件(犯罪類型)は、「人を欺いて財物を交付」させることです。
つまり、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって才物の占有が移転し、⑤財産的損害が生じることが必要となります。
①欺く行為
「欺く」というのは、一般人をして財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
「人」を欺くものでなければならないので、機械に対して虚偽情報を入力した場合には、詐欺罪にいう「欺く行為」にはあたりません。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであればたります。
③処分行為
相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
処分行為には、財産処分の意思と財産を処分する事実とが必要となります。
④財物の移転
財産の占有が移転することを「財物の移転」といいます。
⑤財産的損害
詐欺罪は財産罪であるため、被害者に何らかの財産的損害が生じたことが成立要件として必要となります。

さて、上記ケースで詐欺罪が成立するか?ということですが、Vさんは犯人に「除霊をしなければ子供が死ぬ」と言われ信じ込んでいます。
除霊のために現金や貴金属を持ってくるよう言われ、Vさんはそれらを自宅から持ってきて犯人に手渡しています。
しかし、Vさんはあくまでその場で除霊をしてもらうために現金や貴金属を持ってき、商店街で除霊のために財物を犯人に手渡しました。
Vさんは、犯人らが「除霊をしている」という点について誤信をして目をつぶっており、「財物に対する自己の占有を解き、これを犯人に終局的に移転することを容認する意思」があったとまでは言えず、「人を欺いて財物を交付」させたことにはなりません。
よって、詐欺罪は成立しません。

窃盗罪

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪の基本的な構成要件は、「他人の財物を、不法領得の意思をもって、窃取」することです。
「他人の財物」とは、他人の占有する他人の財物のことで、「占有」とは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいいます。
この「占有」は、占有の事実と占有の意思という2つの要素により構成されます。
除霊のために財物を一瞬手渡したことにより、Vさんが当該財物を占有していないことにはなりません。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを指します。
財物奪取の手段として人を騙したとしても、占有移転行為時に瑕疵ある意思に基づく占有移転がなければ、窃盗罪が成立することになります。
つまり、詐欺罪と窃盗罪の大きな違いは、「占有移転が被害者の意思に基づく処分行為によるか否か」という点にあるのです。
よって、犯人はVさんの意思に反してVさんの財物の占有を自己に移転したので、窃盗罪が成立するものと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
あなたやご家族が、詐欺事件、窃盗事件で被疑者・被告人となってしまいお困りであれば、一度弊所の弁護士にご相談ください。

詐欺事件で接見禁止

2019-04-21

詐欺事件で接見禁止

~ケース~
大学生のAさん(20歳)は、高額アルバイトの募集をSNSで知り、応募することにしました。
Aさんは、Bという男から、兵庫県赤穂市にある家に行き、その家に住む女性からキャッシュカードを受け取るよう指示されました。
Aさんは、指示通り、女性宅に行き、金融庁職員を名乗りキャッシュカードを受けとりました。
すると、Aさんは、女性宅の外に待ち伏せしていた兵庫県赤穂警察署の警察官に詐欺の疑いで逮捕されてしまいました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、警察にAさんとの面会を希望しましたが、勾留まで会うことはできないと言われました。
その後、勾留の連絡と接見禁止がなされているため会うことができないことが分かり、Aさんの両親はどうしたらいいのか分からず、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

逮捕後の接見・一般面会

あなたが、刑事事件を起こして、警察などの捜査機関に逮捕された場合、一般的に、逮捕された後に勾留されるまでの間は、あなたは家族と面会することはできません。
この間、弁護士であれば、立会人なく、時間制限もなく、逮捕されている被疑者と会う(「接見」)ことができます。
勾留が決定されると、あなたは、あなたの家族と面会することができるのが通例となっています。
しかし、弁護士との接見とは異なり、被疑者の家族などとの面会は、以下のような点で制限があります。
・面会日:平日の月曜から金曜まで
・面会時間:概ね午前9時から午後5時まで
・面会人数:1日に1組3名まで

接見禁止

原則、勾留が決定した後には、被疑者の家族との一般面会が認められることになるのですが、一定のケースでは、勾留後も家族と面会することができない場合があります。
裁判所は、弁護士以外との面会を禁止する「接見禁止」処分を付すことが出来ます。

第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

このように、外部との接見により、罪証隠滅のおそれがあると判断された場合には、勾留後に接見禁止となることがあります。
接見禁止になりやすいケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
・共犯者がいる場合
・証拠の確保が未了の場合
・組織的犯罪の場合
・加害者関係者と被害者・目撃者の接触を回避すべき場合
特殊詐欺は組織的に行われていることが多く、特殊詐欺の受け子として逮捕された場合には、勾留後に接見禁止が付されることが多くなっています。

接見禁止により、弁護人または弁護人になろうとする者以外との面会が禁止されます。
また、手紙のやり取りも禁止されます。

逮捕・勾留により身体拘束を受け、外界と処断された生活を余儀なくされる被疑者は、身体的にも精神的にもかなりの影響を被ることになります。
そのような場合に、更に家族に会えないとなると、益々ダメージは大きくなるでしょう。

接見禁止が付された場合の活動

接見禁止を解除し、面会するため、弁護人は、次のような活動を行います。
(1)準抗告・抗告
裁判所に対して、接見等禁止決定の取消または変更を請求します。
準抗告・抗告が認められると、接見禁止が解除され、その後被疑者・被告人と家族が接見できるようになります。
(2)接見禁止処分の解除申立て
接見禁止処分について解除を申し立てる権利は、被疑者・被告人、弁護人に認められた権利ではなく、裁判官の職権発動を促す「お願い」になります。
一般人である配偶者・両親などの近親者については、罪証隠滅のおそれが低く、これらの近親者について一部解除を申し立てると、解除が認められることが多くなっています。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が、詐欺事件で逮捕され、勾留後に接見禁止が付されており面会できずにお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。

占有離脱物横領で微罪処分

2019-04-16

占有離脱物横領で微罪処分

~ケース~
会社員のAさんは、電車で会社まで通勤していました。
ある日、会社の最寄り駅にあるトイレを利用した際、トイレの個室に財布が置き忘れられていることに気が付きました。
Aさんは魔が差して、その財布を自分のカバンの中にいれて持ち帰りました。
財布から現金を抜き取り、財布は駅のゴミ箱に捨てました。
その後、兵庫県明石警察署から連絡が来て、「財布の件で話が聞きたいから署まで来てもらえませんか。」と言われました。
Aさんは、警察署に出頭する前に、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

占有離脱物横領罪とは

誰かが置き忘れた財布や荷物をそのまま自分のものにしてしまう、いわゆるネコババ行為は、ちゃんとした犯罪になります。
多くの場合、「占有離脱物横領罪」という罪に問われることになります。

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

占有を離れた他人の物

占有者の意思に基づかずにその占有を離れたもので、誰の占有にも属していないもの、及び、委託関係に基づかずに行為者の占有に属したものをいいます。
占有者が手にもっている場合はもちろんですが、手にもっていなくても占有者の傍に置いておいたり、占有者が近くにいなくても場所どりのために置いている場合には「占有を離れた」とは言えません。
これは、「他人のもの」でなければならず、所有者が所有権を放棄したものや無主物は客体から除かれます。

横領

占有離脱物を「不法領得の意思」に基づいて自己の支配下に置いたときに、既遂に達します。
「不法領得の意思」とは、その内容については争いがありますが、判例は、他人の物の占有者が委託の任務に背いてそのものにつき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思であると解しています。

以上より、Aさんがトイレで発見した財布は、持ち主がうっかり置き忘れていたものであるので、持ち主がまだ近くにいてすぐに取りに戻ってきた場合は別として、「占有を離れた他人の物」と言えるでしょう。
そして、その財布を勝手に自分のものにして、現金は抜き去り、財布は処分してしまったので、占有離脱物横領罪が成立すると考えられます。

微罪処分

さて、占有離脱物横領罪が成立した場合であっても、微罪処分となる可能性があります。
微罪処分」というのは、検察官に送致する手続をとらず、他の同一事件とともに月まとめで一括して検察官に報告することで事件を処理する処分のことです。

この微罪処分の対象となる犯罪は、
①過去10年以内に同種の前科前歴のない者、又は
②常習者でない者の犯した
窃盗、盗品等関係、詐欺、単純横領、単純賭博、暴行です。
これらの犯罪の内容が、軽微と認められ処罰を要しないと明らかなものが、微罪処分の対象となります。
例えば、窃盗であれば、犯情悪質でなく、被害額が少ない事件、また、被害届が出されていない事件や被害回復がなされている事件は、軽微な事案として微罪処分となる可能性があるでしょう。
しかし、以下のような場合は微罪処分の対象から除外されます。
①被害者不明等の理由により証拠品の還付不能の事件、
②通常逮捕・緊急逮捕の規定によって被疑者を逮捕した事件、
③現行犯逮捕の規定により被疑者を逮捕した事件で24時間以上被疑者を留置した事件、
④告訴・告発・自首のあった事件、
⑤法令が公訴を行わなければならないことを規定している事件、
⑥検事正が特に送致すべきものと指示した事件。

微罪処分となると、家族などの身元引受人が警察署まで迎えにきて釈放となります。
微罪処分になると、処罰されることはありませんが、「前歴」が付くことになります。
前歴は、警察、検察、本籍のある市区町村に記録として残りますが、法的に不利益になることはありません。
しかし、再び犯罪を犯してしまうと、初犯として扱われないことに注意が必要です。

兵庫県の占有離脱物横領事件で被疑者となり警察からの呼び出しを受けている、取調べ対応にお困りの方は、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
数多くの刑事事件を取り扱ってきた経験豊富な弁護士が、丁寧に相談対応いたします。
初回の法律相談無料です。
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侵入盗で逮捕

2019-04-11

侵入盗で逮捕

~ケース~
兵庫県丹波市内で夜間や住人が留守にしている日中に住宅に侵入し現金やクレジットカードなどを盗む侵入盗が多発していました。
これを受けて、兵庫県丹波警察署は、巡回などの警備を強化していました。
防犯カメラの映像から身元が判明し、同署は、県内に住むAさんとBさんを窃盗と住居侵入の容疑で逮捕しました。
(フィクションです)

侵入盗で成立し得る犯罪

人の住居や建物に忍び込み金品を盗む犯罪を「侵入盗」といいます。
その手口により、「空き巣」「居空き」「金庫破り」「事務所荒らし」などと呼ばれます。
兵庫県警察のデータによれば、平成30年度中の侵入盗の認知件数は2,741件、検挙件数は1,514件となっています。

侵入盗を行った場合、「住居侵入等罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。

住居侵入等罪

まず、人の住居や建物に勝手に忍び込んだ行為については、「住居侵入等罪」が成立する可能性があります。

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入等罪の客体は、「人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船」です。
「人の住居」とは、犯人がその住居において単独で、あるいは他の者と共同で生活を営んでいるものではない住居のことを指します。
共同生活を営んでいた者であっても、それから離脱した場合には、その住居は「人」の住居となります。
例えば、家出中の子供が実父の家に強盗目的で深夜に侵入する行為は、住居侵入罪を構成することになります。
ここでいう「住居」というのは、人の起臥寝食に使用される場所で、旅館やホテルなどの客室に関しても、その利用が短時間であっても、起臥寝食に使用されるものである限り「住居」にあたると解されます。(名古屋高判昭26・3・3)
また、「人の看守する邸宅・建造物・艦船」についてですが、「人の看守する」とは「人が事実上管理・支配している」を意味し、「邸宅」は「人の住居の用に供せられる家屋に付属し、主として住居者の利用に供されるために区画された場所」をいい、「建造物」とは、住居・邸宅以外の建造物およびこの付属地も含みます。
「艦船」は、軍艦その他の船舶をいいます。

そして、住居侵入盗の行為は、「正当な理由がないのに侵入すること」です。
「侵入」の意義については、住居者や看守者の意思に反して立ち入ることであると解されます。
「正当な理由がないのに」とは、「違法に」という意味です。

窃盗罪

次に、人の者を盗むという行為については、「窃盗罪」に問われ得ます。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取するこ犯罪です。
窃盗罪の客体である「他人の財物」は、他人の占有する他人の財物であり、自己の財物であっても他人の占有に属し、または公務所の命令によって他人が看守しているものは他人の財物とみなされます。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことを意味します。
窃取の手段や方法は問いません。
窃盗罪の成立には、上の要件に加えて、主観的要件を満たす必要があります。
主観的要件として、故意の他に「不法領得の意思」が必要であるか否かには争いがあります。
故意については、「財物が他人の占有に属していること」と「その占有を排除して財物を自己または第三者の占有に移すことを認識すること」が必要となります。
また「不法領得の意思」とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思」をいいます。(大判大4・5・21)

上記ケースのような侵入盗は、住居侵入等罪ならびに窃盗罪が成立すると考えられます。
そうすると、この2つの罪はどのような関係にあるのでしょうか。
侵入盗の場合、住居侵入盗罪と窃盗罪の牽連犯となります。
牽連犯とは、犯罪の手段もしくは結果である行為が、他の罪名に触れる場合をいいます。
住居侵入は、窃盗の手段であるからです。
この場合、その最も重い刑により処断することになりますので、法定刑が10年以下の懲役又は50万円以下の罰金である窃盗罪の刑により処断されることになります。

侵入盗は、人の住居や建物に忍び込み盗みを働いている点で犯行が悪質であると判断されるでしょう。
また、侵入盗を複数回行っている場合も、被害額も大きくなり、初犯であっても、公判請求され、有罪となれば実刑が言い渡される可能性もあります。
実刑を回避するには執行猶予付き判決を獲得する必要がありますが、そのためには被害者への被害弁償や示談締結、家族からの監督が期待できることや専門的な治療を受けていることなどといった再発防止のための環境が整っていることを、公判において客観的な証拠に基づき主張することが必要となります。
このような弁護活動は、刑事事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

ご家族が侵入盗逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

執行猶予中の窃盗

2019-04-10

執行猶予中の窃盗

~ケース~
兵庫県淡路市のスーパーで商品3点を万引きしたとして、主婦のAさんが兵庫県淡路警察署に逮捕されました。
家族が身元引受人となり、翌日釈放されましたが、Aさんは、窃盗での前科があり、犯行当時は執行猶予期間中でした。
Aさんは、どうにか実刑を免れたいと思っており、すがる思いで刑事事件専門の弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです)

刑の全部の執行猶予の取消

刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたにもかかわらず、その執行猶予が取り消される場合があります。
刑の全部の執行猶予の取消事由には、必要的取消事由と裁量的取消事由とがあります。

必要的取消事由
①猶予の期間中に更に罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

裁量的取消事由
①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
②刑法第25条の2第1項(保護観察の付与)の規定により保護観察に付せられたものが遵守すべき事項を遵守せず、その事情が重いとき。
③猶予の言渡し前に他の罪について禁固以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

必要的取消事由に該当する場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません。
上記ケースの場合には、執行猶予期間中の万引きですので、この万引き(=窃盗罪)について刑の全部について執行猶予が言い渡されない限り、前の事件で言い渡された刑の執行猶予が取り消されてしまうことになります。
ですので、今回の事件においても、実刑を回避するためには、「再度の執行猶予」を獲得する必要があるのです。

再度の執行猶予

再度の執行猶予が認められる要件は、次の①から④の全てを満たす必要があります。
①以前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁錮の判決を受けていること。
執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受ける場合であること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものではないこと。
再度の執行猶予に付すか否かは裁判官の裁量によりますので、上の要件全てを満たした場合であっても、必ずしも再度の執行猶予が付されるわけではありません。
また、執行猶予期間中に再び罪を犯しているのですから、反省が足りていないと考えられるでしょう。
ですので、再度の執行猶予が認められるのは、非常に限られたケースであると言えます。

万引きを繰り返しているケースでは、クレプトマニアである可能性もあります。
クレプトマニアとは、窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう精神疾患のひとつです。
お金がないから物を盗むのではなく、盗むことに快感を得るなど、利益目的ではない窃盗行為です。
クレプトマニアと診断された場合には、再犯を防止するため、医師による専門的な治療やクレプトマニアの方の更生を支援する団体からの支援等を受けることが重要です。
裁判では、再犯防止のためには刑罰ではなく専門の治療を受ける必要があることを特に酌量すべき事情として主張することになるでしょう。

万引きを繰り返し執行猶予期間中に再び万引きをしてしまいお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
初回の法律相談無料です。

窃盗事件で審判不開始

2019-04-06

窃盗事件で審判不開始

~ケース~
兵庫県宍粟市に住むAさん(15歳)は、市内のコンビニさんで商品を万引きしたとして、店員に呼び止められました。
Aさんは、通報を受けて兵庫県宍粟警察署から駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
警察で取調べを受けたAさんは、両親が身元引受人となり、釈放されました。
後日、今後どのような処分を受けることになるのか不安になり、少年事件に強い弁護士に相談し、弁護を依頼することになりました。
(フィクションです)

終局決定の種類

家庭裁判所が少年保護事件について行う決定には、事件自体について判断し、最終的な少年の処分を決定する終局決定と、終局決定前の中間的な措置としてなされる中間決定とがあります。
終局決定としては、次の5種類があります。

審判不開始
②不処分
③保護処分
 (ア)保護観察
 (イ)児童自立支援施設又は児童養護施設送致
 (ウ)少年印送致
④検察官送致
⑤知事又は児童相談所長送致

審判不開始

家庭裁判所は、調査を行った結果、審判に付することができず、又は審判に付することが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。
この決定を「審判不開始決定」といいます。
審判不開始決定は、調査の結果に基づいてなされる決定であり、その要件は、審判に付することができないとき、及び審判に付するのが相当でないときです。
(1)審判に付するのが相当でないとき
審判に付するべき事由はあるけれども、少年に要保護性の存在する蓋然性が認めらず、裁判官による直接の審理を必要としないため、審判を行う必要性がない場合をいいます。
つまり、上の②~⑤のいすれの処分も必要がない場合に限られます。
(2)審判に付することができないとき
法律上または事実上、審判を行うことができない場合をいいます。
これは、次の3つに分けられます。
・非行なし
 非行事実の存在の蓋然性が認められないときで、これは、少年の行為が非行構成要件に該当せず 、非行として成立しない場合と、証拠上、非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合を指し ます。
・所在不明等
 調査・審判を行うことが法律上又は事実上不可能であると認められる場合で、少年の心神喪失、 死亡、所在不明、疾病、海外居住等の場合です。
・その他

審判不開始をめざす活動

審判不開始を目指す場合、付添人である弁護士は、捜査段階から弁護人として活動していたのであれば、それまでの弁護活動の成果を早期に裁判所に伝え、審判不開始を求める意見書を提出するなどの活動を行います。
例えば、事件後すぐに、被害者に謝罪と被害弁償、示談ができていることや、少年が自身の行為を振り返りしっかりと反省できていること、保護者や学校の監督が期待でき、カウンセリング等を受けており更生に向けた環境が整っていることなど、少年に要保護性がないことを主張します。
家庭裁判所の調査や付添人である弁護士の活動の結果、少年への教育的な働きかけにより、要保護性が解消された場合、あえて審判を行う必要はなく、審判不開始となる可能性があります。

このような活動を依頼するのは、少年事件に精通した弁護士がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
少年の更生のため、少年一人ひとりに適した弁護活動、付添人活動を行えるよう尽力します。

お子様が事件を起こしてしまった、家庭裁判所に送致されたがどのような処分を受けるのか不安だ、とお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

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