Archive for the ‘財産犯事件’ Category

公判欠席で保釈の取消

2019-07-21

公判欠席で保釈の取消

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町内のスーパーで商品を万引きしたとして窃盗容疑で逮捕されたAさん。
その後、神戸地方検察庁姫路支部に窃盗罪で起訴され、7月1日の第一回公判神戸地方裁判所姫路支部で開かれました。
しかし、判決期日にAさんは姿を現さず、延期された期日も欠席し、再度延期された期日にやっと姿を現したAさんですが、欠席した理由は「判決を受ける覚悟がなかった。」と説明しました。
検察官が準備をしていなかったため、裁判官は3回目の延期を決めましたが、Aさんは保釈取消となり、判決期日には手錠と腰縄姿で入廷しました。
(朝日新聞DIGITAL 2019年7月1日21時48分掲載記事を基にしたフィクションです)

保釈制度について

保釈」は、一定額の保釈保証金を納付することで、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判とその執行です。
被疑者が逮捕され、その後勾留された場合、検察官から勾留請求をされた日から原則10日間、延長が認められれば最大で20日間の身体拘束を強いられることになります。
検察官が起訴する前の段階で、身柄解放となるには、「勾留理由開示請求」、「勾留決定に対する準抗告」、「勾留取消請求」、「勾留執行停止の申立」といった方法があります。
被疑者が置かれた状況や手続の進展状況によって採るべき方法は異なりますが、「勾留決定に対する準抗告」が最も利用される方法でしょう。
これらの申立が認められない場合には、起訴まで勾留により身体拘束を受けます。
保釈請求ができるのは、検察官が起訴してからです。

保釈には次の3つがあります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許さなければなりません、
例外として、権利保釈の除外事由がある場合には、裁判所は請求を却下することができます。
①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる物若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合でも、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。

保釈の取消

裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を収納すれば、身体拘束を受けていた被告人は、釈放されることとなります。
保釈は、被告人の出廷を確保するための制度ですので、当然その約束が守れない場合には保釈は取り消されますし、納付した保釈保証金も没収されることになります。

裁判所は、次に該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができます。
①被告人が、召喚を受け正当な理由なく出頭しないとき。
②被告人が逃亡又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
③被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑う相当な理由があるとき。
④被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
⑤被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。

上のいずれかに該当し、保釈が取り消されてしまった場合には、納付した保釈保証金の全部又は一部が没収される可能性があります。

逮捕後に勾留が付き、起訴前段階では身柄解放ができなかったとしても、起訴後には保釈となる可能性も十分あります。
ご家族が刑事事件を起こし、保釈で身柄解放をとお考えであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

詐欺罪と業務上横領罪

2019-07-16

詐欺罪と業務上横領罪

~ケース~
Aさんは、兵庫県宍粟市にある会社の経理課長です。
普段から会社の預金通帳や取引印は、Aさんが保管していました。
Aさんは、消費者金融に返済するため、架空の取引伝票を起票し、会社の経理部長に対し、この架空の取引伝票を見せて現金支出の決裁を受けていました。
部長の決裁を受け、Aさんは預金通帳や取引印を用いて、決裁を受けた現金を引き出し、現金を自分の物にしていました。
Aさんが自己都合により退職した後に、Aさんの行為が発覚し、会社から全額返済する旨の連絡を受けました。
返済できなければ兵庫県宍粟警察署に被害届を提出すると言っており、Aさんは自分の行為が何罪に当たるのか、できれば事件化することなく穏便に解決したいと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

詐欺罪か?業務上横領罪か?

上記ケースでは、Aさんは会社のお金を扱う経理担当者です。
しかし、社内ルールでは、Aさんの上司である経理部長の決裁がなければ請求金額を支払うことができません。
この場合、Aさんは経理部長を騙して会社の現金を引き出し、自分の物にしており、詐欺的手段を用いて横領しているので、この行為は詐欺罪となるのか、それとも横領罪になるのか、という問題が生じます。

それでは、まず詐欺罪業務上横領罪がどのような罪であるのかみていきましょう。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪は、①人を欺いて財物を交付させた場合(1項詐欺)、および②人を欺いて、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合(2項詐欺)に成立する罪です。
詐欺罪が成立するためには、「人を欺く行為」をし、それにより「相手方が錯誤に陥り」、「物や財産上の利益が交付され」、「物や財産上の利益が移転する」といった一連の流れがあることが必要となります。

業務上横領罪

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、業務上の委託に基づき自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する罪です。
業務上横領罪における「業務」とは、委託を受けて物を管理することを内容とする事務のことをいいます。
典型例は、経理など会社のお金の出し入れを担当している人が、会社のお金をくすねた場合には、業務上横領罪となります。
一方、そのような地位にない社員が会社の金庫に保管していたお金を勝手にとった場合には、業務上横領罪ではなく窃盗罪となります。

さて、上記ケースでは、詐欺罪業務上横領罪のどちらが成立し得るのでしょうか。

詐欺罪横領罪は、客体の「占有が行為者にあるか否か」が分かれ目のポイントです。
詐欺罪が、「他人の占有する他人の財物」を欺く行為により取得する罪であるのに対して、横領罪は、「自己の占有する他人の財物」を自分の物とする罪です。
よって、両者の違いは、「目的となる財物の占有が行為者にあるか他人にあるか」という点です。
ですので、財物を自己の物とするに当たり、詐欺的手法が用いられていたのであっても、当該財物の占有が行為者にあれば横領罪となり、その財物の占有が他人にあり、自己の者とするに当たり詐欺的手法が用いられたのであれば、欺く行為により財物の占有を取得したものとして詐欺罪となる、というわけです。

Aさんは、会社の経理課長で、普段から会社の預金通帳や取引印を保管しています。
預金から引き出した現金はAさん自ら保管=占有していました。
Aさんは、その現金を自分の物とするために、会社にルールに従い架空の取引伝票を上司に見せて決裁を得たにすぎず、Aさんに対しては業務上横領罪が成立すると考えられます。

業務上横領事件では、会社も横領した額を回収したいと考えているので、ちきんと被害弁償をすれば、刑事事件として警察に相談しないケースも少なくありません。
事件化する前に、被害者に被害弁償を行い示談をすることが、事件を早期に解決する有効な手段です。

業務上横領事件で会社に発覚し対応にお困りの方は、一度刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談されてみてはいかがでしょう。
無料法律相談のご予約は、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

値札詐欺で逮捕

2019-07-09

値札詐欺で逮捕

~ケース~
兵庫県加古郡播磨町にあるディスカウントストアに訪れた一組の男女。
女性客Aは、スポーツブランドの帽子やシャンプーなどをレジで購入しようとしていましたが、防止に付けられていた値札の表示が760円となっており、定価の5400円を大きく下回る価格となっていたことにレジを担当していた店員が気づきました。
値札の価格が本来の価格とは異なることを女性客Aに説明したところ、連れの男性客Bが「そっちの間違いやないか!」といって店を出ていきました。
その後、店員が店長と防犯カメラの映像を確認したところ、女性客Aが防止を手に取りこそこそと作業している様子、そして男性客Bが店員を確認している様子が映っていたので、すぐに兵庫県加古川警察署に通報しました。
AとBは詐欺容疑で逮捕され、店のメンバーズカードの購入履歴から他にも値札を付け替えて商品を購入したことが発覚しています。
(フィクションです)

値札を付け替えてレジで精算する行為は詐欺罪

支払いを済ませずに店の商品を持ち去る「万引き」行為は、窃盗罪に当たります。
一方、もともと付いている値札を他の商品のものと勝手に交換したり、割引シールを貼り替えて安く商品を購入する行為は、詐欺罪に当たる可能性があります。

詐欺罪

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪の構成要件は、以下の通りです。
【1項】①人を欺いて
    ②財物を
    ③交付させたこと
【2項】①人を欺いて
    ②財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させたこと

ここでは、1項詐欺について説明したいきます。

1.客体
詐欺罪の客体は、「他人の財物」、つまり、自然人と法人とを含めた他人の占有する他人の動産および不動産です。
上記ケースでは、本来よりも安く購入しようとした店の商品が客体となりますが、これは客が購入する前は店の所有物ですので、他人の財物に当たります。

2.行為
「人を欺いて財物を交付させること」が詐欺罪(1項詐欺)の行為となります。
つまり、①欺く行為をして、②それに基づき相手方が錯誤に陥り、③その錯誤によって相手方が処分行為をし、④それによって財物の占有が移転し、⑤財産的損害が生ずることが必要となり、①~⑤が客観的に相当因果関係にあることが必要となります。

①欺く行為
「欺いて」とは、一般人として財物・財産上の利益を処分させるような錯誤に陥らせることをいいます。
②錯誤
錯誤は、財産的処分行為をするように動機付けられるものであれば足り、法律行為の要素の錯誤であるか動機の錯誤であるかを問いません。
③処分行為
「財物を交付させ」るというのは、相手方の錯誤に基づく財産的処分行為により財物の占有を取得することです。
この処分行為には、財産処分の意思と、財産を処分する事実とが必要となります。
幼児や高度の精神病者などは、財産を処分する意思をまったく有さないので、これらによる財産的処分行為は認められません。
④財物の移転
財物の移転とは、財物の占有が移転することをいいます。
⑤財産的損害
詐欺罪は財産罪であるので、成立要件として被害者に何等かの財産的損害が生じたことが必要となります。

さて、値札を付け替えて商品を購入する行為について検討してみましょう。
本来付いていた値札を、より安い値段で売られている他の商品の値札と付け替え(①)、レジ担当者は、あたかも購入しようとする商品の値段が付け替えた値札に記されている値段であるかのように勘違いさせています(②)。
レジ担当者は、その値段が正しいと思い、そのままの値段で商品を客に渡します(③、④)。
客は、本来の値段より安く商品を購入したことになるので、店としても利益を損なったことになります(⑤)。
よって、上記ケースのように安い商品の値札を買いたい商品の値札と交換し、当該商品を購入する行為は、詐欺罪に当たる、というわけです。

「ちょっとでも安く物を買いたい!」と思う気持ちは理解できますが、店員を騙してまで安く物を購入したとしても、詐欺罪で逮捕されてしまうと元も子もありません。

ご家族が刑事事件を起こし逮捕されてお困りであれば、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

保釈制度について

2019-07-07

保釈制度について

~ケース~
覚せい剤取締法違反の疑いで兵庫県須磨警察署に逮捕されたAさんは、その後、窃盗、傷害でも再逮捕されました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反、窃盗、傷害で神戸地方検察庁に起訴されました。
第一審では、神戸地方裁判所は懲役18年9月の実刑判決を言い渡しましたが、Aさんは控訴し、その後保釈されました。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

保釈制度

控訴審中に保釈されていた実刑確定者が収監に抵抗して刃物を持ったまま逃走するという事件が起きたことは、ニュースでも大々的に報じられていますので、多くの方がご存知のことと思います。
この事件を契機に、保釈制度について注目が集まっているようです。
そこで、今回のブログでは保釈制度について説明してみたいと思います。

保釈って何?

保釈」というのは、一定額の保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判とその執行のことをいいます。

さて、保釈によってその執行を停止する「勾留」についてはご存知でしょうか。
勾留は、被疑者または被告人を拘禁(身柄を拘束)する裁判およびその執行のことです。
逮捕から48時間以内に警察は被疑者を釈放するか検察へ送致するかを決定します。
警察から検察へと被疑者の身柄が送致されると、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、釈放するか裁判所に対して勾留請求をするかを決めます。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は被疑者を勾留するか否かを判断し、勾留決定を行います。
勾留期間は、検察官が勾留請求した日から原則で10日間、延長が認められれば最長で20日間の身体拘束となります。
これは、起訴前の勾留であり、「被疑者勾留」と呼ばれます。
検察官は、勾留期間中に被疑者を起訴するか否かを判断します。
検察官が被疑者を起訴すると、その段階から被疑者は「被告人」という立場になります。
起訴後の勾留を「被告人勾留」といいます。
被疑者段階で検察官の請求により勾留されていた者が、勾留期間中に同一の犯罪事実について起訴された場合には、起訴と同時に被疑者勾留は、自動的に被告人勾留に切り替わります。
被告人勾留の期間は、公訴の提起があった日から2か月とされており、特に必要がある場合は1か月ごとに更新されます。
長期間の身体拘束は、被告人に大きな影響を及ぼすことは容易に想像できるでしょう。

被疑者勾留は保釈が認められませんが、被告人勾留については保釈が認められます。
ですので、検察官が公判請求した場合には、すぐに保釈請求を行い、身柄解放に向けて動く必要があります。

保釈保証金っていくらになるの?

保釈保証金を預ける代わりに身体拘束をとくのが「保釈」ですので、裁判官・裁判所が保釈を許可したとしても、保釈保証金を納付しなければ被告人は釈放されません。
保釈保証金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性格や資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な額でなければなりません。
重大な犯罪を行い実刑が見込まれる場合には、逃亡を防止するため保釈保証金額が高くなりますし、被告人の経済力から高額でなければ逃亡を躊躇させる抑止力としての効果は望めませんので、その場合も高額となります。
しかし、そのような事情がない場合、一般的な相場は150~200万円となっています。

保釈はいつからいつまで?

先述したように、検察官が公判請求した時点から保釈請求を行うことはできます。
保釈請求書を提出後、裁判官・裁判所は、検察官からの意見を聴いた上で判断を下します。
その後、許可がでれば、許可書を受領し、裁判所の出納係に保釈保証金を納め、検察官が釈放指揮をとってから被告人が釈放されるという流れになります。
判決期日に実刑判決が言い渡されると、保釈は失効し、判決後すぐに身柄が拘束されることになります。
しかし、一審判決後に再度保釈請求をし、認められた上で保釈保証金を納めれば再び釈放されることは可能です。

保釈中に逃亡したら?

保釈保証金は、没収されなければ判決後に返還されます。
保釈保証金が没収される場合とは、①保釈が取り消されたとき、そして②刑の言渡しを受け、その判決が確定した後に、執行のために呼び出しを受けても正当な理由なく出頭しないときや逃亡したとき、です。
刑が言い渡される前に逃亡した場合にも、保釈が取り消される可能性がありますので、保釈後に被告人や受刑者が逃亡すれば、保釈は取り消され、保釈保証金が没収されるということになります。

刑事事件でご家族が逮捕・勾留され、保釈による身柄解放をお望みであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

刑罰の種類と刑の執行猶予

2019-07-06

刑罰の種類と刑の執行猶予

~ケース~
兵庫県朝来市にあるドラッグストラで商品を5点(計1万円相当)を万引きしたとして、警備員に現行犯逮捕されたAさん。
実は、Aさんには同種の前科前歴があり、直近では3年ほど前に懲役6月執行猶予3年の判決が言い渡されており、犯行時は執行猶予期間中でした。
また、5年前には罰金20万円の刑を受けており、こんどばかりは実刑となるだろうと警察から言われているAさんは、不安で仕方ありません。
(フィクションです)

刑罰の種類

刑罰は、犯罪に対する反作用であり、犯罪を行った者に対して科される制裁であるとされます。刑法および特別刑法において「刑」とされる刑罰は、刑法第9条に定められる主刑または付加刑としての7種類の刑を指します。

第九条 死刑、懲役、禁錮こ、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

「主刑」とは、独立に科し言い渡すことができる刑罰をいい、「付加刑」とは、主刑に付加してのみ科し言い渡すことができる刑罰をいいます。

刑罰を科せられることによって受刑者がはく奪される法益という観点から、刑罰を種類分けすると、次のように分けられます。

①生命刑:受刑者の生命を剥奪する刑罰(死刑)
現行法上最も重い究極の刑罰です。
死刑は、刑事施設内において、絞首して執行されます。

②自由刑:受刑者の自由を剥奪する刑罰(懲役刑、禁錮刑、拘留刑)
(a)懲役…懲役は、最も主要な刑罰ですが、死刑に次ぐ重い刑罰となっています。
     「所定の作業を行わせる」点で禁錮や拘留とは異なります。
     無期及び有期の場合があり、有期は1月以上20年以下とされています。
     ただし、有期懲役を加重減軽する場合には、30年にまで引き上げることができ、1月未満に引き下げることができます。
(b)禁錮…所定の作業がない点で懲役と異なりますが、希望により許可されることもあります。
(c)拘留…30日未満の短期自由刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。

③財産刑:受刑者から一定額の財産を剥奪する刑罰(罰金刑、科料刑、没収)
(a)罰金…1万円以上の財産刑です。
(b)科料…千円以上1万円未満の軽微な財産刑で、軽微な犯罪に対する刑として定められています。
罰金・科料を完納することができない場合には、労役場に留置されます。
(c)没収…上の主刑に付加して科される財産刑で、物の所有権を剥奪して、国庫に帰属させる処分をいいます。
     没収の対象となるのは、以下のものです。
     ・偽造通貨行使罪における偽造通貨など、犯罪行為を組成した物
     ・殺人に使用された凶器であるナイフなど、犯罪行為のために用い、又は用いようとした物
     ・通貨偽造罪における偽造通貨など、犯罪行為によって生じた物、又は賭博によって得た金銭など、犯罪行為によって得た物、                           犯罪行為の報酬として得た物
     ・犯罪行為によって生じた物、犯罪行為によって得た物、犯罪行為の報酬として得た物の対価として得た物
     没収は、その物が共犯者を含む犯人以外の者に帰属しない場合に限り許可されます。

検察官に起訴され、有罪となった場合、必ずしも言い渡された刑罰がすぐに執行されるわけではありません。

執行猶予

執行猶予とは、一定の期間他の刑事事件を起こさないことを条件として、執行猶予する制度をいいます。
執行猶予付きの判決が言い渡された場合、すぐに刑務所に行くことはなく、執行猶予期間中に無事に経過すれば、裁判官から言い渡された刑罰を実際に受けなくて済むのです。

執行猶予の対象となる要件は、
①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、
②前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
について、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡す場合となります。
しかし、以上の要件は執行猶予の対象となる要件であり、執行猶予を付けるか否かは、裁判官が決めます。
上の要件を満たしており、かつ、「本人が反省している」「犯罪が悪質でない」「執行猶予を付しても再犯のおそれがない」といった情状が考慮され、執行猶予を付けるか否かを判断します。

この執行猶予期間中に罪を犯した場合に、もう一度執行猶予となる可能性もあります。
再度の執行猶予の要件は、以下の通りです。
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間中に更に罪を犯した場合には、執行猶予することはできません。
②1年以下の懲役または禁錮の言い渡しをする場合であること。
初度の場合と異なり、罰金刑の言い渡しを受けたときは執行猶予することはできません。
③情状が特に酌量すべきものであること。

要件に「特に酌むべき事情」があるように、再度の執行猶予となるのはそう簡単なことではありません。
刑事事件専門の弁護士に、刑務所への収容よりも社会内処遇がより被告人にとって更生に資することを説得的に裁判官に主張してもらう必要があります。

刑事事件でお困りであれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

接見禁止の解除に成功!②

2019-06-25

接見禁止の解除に成功!②

~ケース~
6月1日の早朝、Aさんは、特殊詐欺の受け子と出し子をしていたとして兵庫県芦屋警察署に詐欺及び窃盗の容疑で逮捕されました。
同日の昼過ぎに、警察からAさんの両親に逮捕の連絡が入りました。
Aさんの両親は、すぐにでも面会に行きたいと申し出ましたが、3日以降でなければ会えないと言われました。
翌日の夕方に、Aさんの両親は面会の件で警察署に問い合わせたところ、「本日付で勾留が決定しているが、接見禁止が付されているので弁護士以外は家族であっても面会できない。」と言われました。
困ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談することにしました。
(フィクションです)

前回のブログでは、逮捕から勾留までの段階では、原則、逮捕された方とその家族が面会することが出来ないことを説明しました。
勾留となった後から面会することが出来るのですが、勾留後でも家族との面会が叶わない場合もあります。
それは、接見禁止が付されている場合です。

接見禁止決定について

接見禁止」とは、被疑者や被告人が、弁護人以外の一切の者と連絡を取ることを禁止する処分のことです。
この接見禁止が付される理由は、大きく分けて3つあります。
①住所不定であったり、重大な犯罪を犯した者であるなど、逃亡するおそれがある。
②被疑者が容疑を否認しており、証拠隠滅や共犯者などとの口裏合わせの可能性がある。
③組織犯罪の場合も、証拠隠滅や口裏合わせをするおそれがある。
組織的な特殊詐欺事件であると疑われる場合には、接見禁止となるケースが多くなっています。

接見禁止の期間は、いつまでという期間制限はありません。
勾留満期後に起訴された時点で接見禁止が解除されることが多いようです。

接見禁止が付されている場合であっても、弁護士は接見することが出来ます。
被疑者は、外部との接触が断たれ、連日の取調べにより、身体的にも精神的にも大変な負担を感じられることでしょう。
そのような中で、弁護士との接見により、ご家族への伝言やご家族からの伝言を伝えることができ、また取調べ対応についてアドバイスを受けることができます。

接見禁止解除に向けた活動

接見禁止が付されている中でも弁護士との接見は可能ですが、ご家族と会えないことは勾留されている方にとっても精神的に大きな
また、弁護士は、ご家族が事件とは全く関係がないことを主張し、ご家族との接見を許可してもらうよう接見禁止一部解除の申立を行うなど、ご家族の方との面会が可能となるよう活動します。
(1)準抗告・抗告
裁判官がした接見禁止決定に対して異議申立てを行います。
これらの異議申立ては、刑事訟廷法によって認められている法律上の制度です。

(2)接見禁止処分の一部解除の申立て
前述の準抗告・抗告と異なり、一部解除の申立ては法律上認められている制度ではありません。
裁判官の職権発動を促すものにすぎないとされています。
しかし、一般人である配偶者や両親等の近親者について、事件とは関係のないことを主張することにより、罪証隠滅のおそれが低いと判断されると、これらの近親者について接見禁止の一部解除が認められる可能性があります。

このような活動は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
接見禁止解除に向けた弁護活動にも迅速に対応します。

兵庫県の特殊詐欺事件でご家族が逮捕されてお困りの方、接見禁止が付されていて面会できないとお悩みの方は、今すぐ弊所にご相談ください。
刑事事件専門の弁護士が、直接逮捕・勾留されている方のところに行き接見をする「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

接見禁止の解除に成功!①

2019-06-24

接見禁止の解除に成功!①

~ケース~
6月1日の早朝、Aさんは、特殊詐欺の受け子と出し子をしていたとして兵庫県芦屋警察署に詐欺及び窃盗の容疑で逮捕されました。
同日の昼過ぎに、警察からAさんの両親に逮捕の連絡が入りました。
Aさんの両親は、すぐにでも面会に行きたいと申し出ましたが、3日以降でなければ会えないと言われました。
翌日の夕方に、Aさんの両親は面会の件で警察署に問い合わせたところ、「本日付で勾留が決定しているが、接見禁止が付されているので弁護士以外は家族であっても面会できない。」と言われました。
困ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士を探して、事件について相談することにしました。
(フィクションです)

家族が逮捕されたらすぐに面会できるの?

あなたのご家族が逮捕されたとの連絡を受けたとしたら、まっさきに逮捕されたご家族に会いたい、話が聞きたいと思われることでしょう。
警察から事件について詳しく教えてもらえず、一体何があったのか、ご家族が本当に事件を起こしたのか、知りたいと思われるでしょう。
しかし、原則逮捕されてから勾留が決定するまでの間は、逮捕された方のご家族であっても面会することはできません。
逮捕から勾留が決定するまで最大で3日かかります。
上記ケースを例にとると、6月1日の早朝に逮捕ということであれば、48時間以内に釈放する場合を除いて、翌日の午前に留置先の警察署を出発し、管轄の検察庁に送られます。
兵庫県の場合、午前中に検察官による取調べを受け、検察官が勾留請求をすれば、午後には裁判所に移送され、今度は裁判官と面談することになります。
そして、同日中に勾留するか否かが判断され、勾留決定となれば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長されれば最大で20日間の身体拘束となるのです。
さて、さきほど、ご家族が逮捕された方と面会できるのは勾留が決定した後からであるといいましたが、実際に裁判官が勾留決定を出した直後からご家族が面会できるのかといえばそうではありません。
ご家族との面会は「一般面会」と呼ばれ、警察署での面会時間は概ね9時から17時です。
兵庫県では、裁判官との面談(「勾留質問」)が行われるのが午後、上記ケースで言えば6月2日の午後で、その面談後に裁判官が勾留決定を出す、若しくは勾留請求を却下し釈放とするかを判断するので、実際にその判断が出るのは2日の夕方ごろとなります。
仮に15時に勾留の決定がなされたとしましょう。
「2日の15時~17時までの間に面会できるのでは?」と思われるかもしれませんが、警察署から検察庁・裁判所までたった1人の被疑者だけを移送しているわけではなく、その日に送致される者や検察庁で取調べを受ける者など何人もの被疑者・被告人を一斉に移送しています。
また、移送する警察車両はいつでも動けるわけではなく、決まった時間に複数人まとまって移送することになります。
ですので、勾留決定が出た日に警察署に戻ってくるのが17時を回ることも多く、当日に面会することが出来ないことがほとんどです。
というわけで、逮捕されてから2日、最大で3日、ご家族と面会することができない事態が発生してしまうのです。

弁護士による接見はいつでも可能!

突然の逮捕の連絡。
逮捕という事実自体で連絡を受けたご家族が被る精神的ダメージは大きいのですが、事件の詳細も分からない状態で職場などの関係各所にどのように対応すればよいのか分からず困惑してしまいます。
そんな時には、弁護士への接見依頼をご検討ください。
逮捕から勾留段階であっても、弁護士であればいつでも時間制限なく逮捕された方と面会(接見)することができるからです。
逮捕された方から事件の詳細について伺った上で、弁護士は、今後の流れや処分見込みを丁寧に説明し、取調べ対応についてのアドバイスをすることができます。
逮捕されている方も、刑事手続に精通している方なんてほとんどいらっしゃらないので、どのような流れになるのか、取調べにどのように対応すればよいのか分からず大変不安でいらっしゃるでしょう。
また、ご家族からの伝言やご家族への伝言も弁護士を通じて伝えることもできますので、逮捕されている方もそのご家族も精神的な不安を和らげることができます。

今回は、勾留がなされればご家族との面会が可能だという前提でお話しましたが、勾留後も面会することが出来ないケースもあるのです。
それについては、次回のブログで取り扱います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺事件を含めた刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
もし、あなたのご家族が特殊詐欺事件で突然逮捕されてしまったのであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
刑事事件専門弁護士が留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内させていただきます。
詳しくは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

2019-06-23

子供が事件を起こしたら学校に通報されるの?

~ケース~
兵庫県神戸市灘区にある商業施設内の店舗で商品を万引きしたとして、私立中学に通うAさん(15歳)は警備員に捕まってしまいました。
その後、Aさんは通報を受けて駆け付けた兵庫県灘警察署の警察官に警察署に連れて行かれ、取調べを受けました。
その日の夜、Aさんの両親が身元引受人となり、Aさんは釈放されました。
警察からは「また連絡します。」と言われており、警察から学校通報されるのではとAさんもAさんの両親も心配でたまりません。
翌日、少年事件に精通する弁護士のところに相談に行くことにしました。
(フィクションです)

子供が事件を起こしたら

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に触れる行為をした場合、少年法に従った手続を踏むことになります。
14歳以上20歳未満の場合には、捜査段階では、ほぼ成人の刑事事件と同じ流れを踏むことになり、逮捕や勾留の要件を満たす場合には、逮捕・勾留され身体拘束を強いられることになります。
一方、少年が14歳未満の場合、刑事責任が問われませんので、罪を犯したことにはならず逮捕されることもありません。
原則、児童福祉法による処置が行われますが、都道府県知事または児童相所長から送致を受けた場合に限り、家庭裁判所の審判の対象になることがあります。
その場合、家庭裁判所は当該少年に対して保護処分を決定します。

少年が警察などの捜査機関から捜査(若しくは調査)を受けることになると、警察などから少年が通う学校事件のことが通知される可能性があります。
特に、公立の学校には、「警察・学校相互連絡制度」に基づき、警察などから学校側に事件について連絡がいくことになっています。
「警察・学校相互連絡制度」というのは、都道府県の警察本部と教育委員会が協定を結び、児童生徒の健全育成を目的として、警察と学校が連絡をとりあう制度です。
兵庫県においても、県や各市の教育委員会が兵庫県警察本部と協定を結び、本制度を運営しています。

例えば、神戸市では、神戸市教育委員会と兵庫県警察本部とが平成28年に協定を結んでいます。
この協定に基づき、以下の事項について警察から学校に連絡することになります。

・逮捕した犯罪少年に係る事件
・児童相談所に送致し、又は身柄を同行して児童相談所に通告した触法少年に係る事件
・身柄を同行して、家庭裁判所に送致し、又は児童相談所に通告したぐ犯少年に係る事件
・その他非行少年又は不良行為少年に係る事案であって、次に掲げるもの
 ①次のいずれかに該当し、かつ、学校との連携による継続的な対応が必要であると通報責任者が認めるもの
 (ア)学校内外において、粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 (イ)非行や不良行為を繰り返し、保護者の正当な監護に服さないなどぐ犯性が強い者であること
 (ウ)周辺の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 (エ)関係する児童生徒が複数であること
 ②その他その内容に鑑み、児童生徒に対する指導を促進するため、連絡責任者が、特に学校通報が必要であると認めるもの

この制度によって、少年や保護者が知らないうちに、警察から学校に連絡が入り、事件のことが学校側に発覚してしまう可能性があります。
私立の学校の場合には、このような協定を結んでいないことが多く、すぐには連絡がいかない場合もあります。

既に警察から事件のことが学校に連絡がいっている場合には、弁護士は、少年が退学させられないように学校側に働きかけることになりますが、まだ伝わっていない場合には、弁護士から警察に学校に連絡しないよう、連絡した場合に少年が被り得る不利益等を説明し、説得していくことになります。

また、事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所の調査官が少年が所属する学校学校照会を行うことがあり、それによって学校側に事件が発覚してしまうおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、調査官に学校照会をしないよう申し入れを行い、学校側への事件発覚を阻止できるよう働きかけます。

お子様が事件を起こしてしまい、容疑を認めている場合には、お子様がきちんと反省し更生するよう周囲と協力していく必要はあるでしょう。
しかし、学校事件について知ることによりお子様が被る不利益があまりにも大きく、更生への道に大きな影響を及ぼす可能性がある場合には、そのような事態を回避しなければならないでしょう。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、まずは少年事件に精通する弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

自首と出頭

2019-06-12

自首と出頭

~ケース~
兵庫県洲本市のスーパーマーケットにパートとして勤務するAさんは、度々店の商品を無断で持ち帰ったり、レジから売上金を持ち出したりしていました。
ある日、店長が、商品や売上金がデータと合わないことを不審に思い、各従業員に聞いて回っていました。
店長は、Aさんによる犯行の可能性が高いと思っており、Aさんに対して、「従業員の誰かが商品や売上金を盗んだ可能性が高いようだ。このまま誰も名乗り出なければ、警察に被害届を出そうと思う。」と言いました。
しかし、Aさんは店長に罪を告白しないまま、一身上の都合という理由で退職しました。
後日、元同僚を通じて店長が兵庫県洲本警察署に被害届を出しにいったという話を聞いて、このままではいずれ自分の犯行だということがバレてしまうのでは、と心配になったAさんは、自首することを考えています。
(フィクションです)

自首が成立するためには

刑事ドラマやサスペンスドラマで、「自首しに来ました。」といって警察署に出向く姿を時折目にします。
警察署に行って自分の犯した罪を言えば「自首」が成立すると思っていませんか?
実は、「自首」については法律できちんと規定されており、成立するためには満たさなければならない要件がいくつかあるのです。

罪を犯した人が、自ら捜査機関に対して、自分が犯した罪を自発的に申告し、その処分を求める意思表示のことを「自首」といいます。
単に、警察署などに自ら出向くだけでは、法律上の自首が成立するとは限らないのです。

刑法第42条は、以下のように、自首について規定しています。

第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
つまり、自首の成立要件は、以下の4つになります。

(1)犯罪を起こした本人自らが自発的に犯罪事実を申告していること。
「自ら自発的に」自分の犯した犯罪を申告しなければならず、取調べで単に犯罪事実を自白しただけでは自首したことになりません。
(2)犯罪を行った本人が自身の罰則や処分を求めていること。
申告内容が、犯罪事実の一部を隠すためにされたものであったり、自己の責任を否定するようなものであったりした場合には、自首は成立しません。
(3)捜査機関に申告していること。
司法警察員または検察官に対して申告している必要があります。
(4)捜査機関が犯罪事実や犯人を特定していない段階で申告していること。
犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合や、犯罪事実は発覚していたとしても、その犯人が誰であるか発覚していない場合を含みます。
犯罪事実や犯人が誰であるか判明しているけれども、単に犯人の所在だけが不明である場合は、これに含まれません。
犯罪事実の申告を受けた警察官等が犯罪事実を知らなくても、捜査機関の誰かが犯罪事実を知っていた場合には、自首は成立しません。

これらの要件を充たしてはじめて「自首」が成立することになります。

一方、「自首」とよく混同される「出頭」とは何を意味するのでしょうか。
出頭」というのは、役所や裁判所など特定の場所に出向くことです。
犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚している場合に、犯人が警察署等に出向いたとしても「自首」ではなく「出頭」ということになります。

自首のメリット

自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります。
どの程度刑が減軽されるかについても、刑法第68条が定めています。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
有期懲役の場合、長期及び短期の2分の1に、罰金の場合、多額及び寡額の2分の1に減軽されるので、窃盗罪の場合には、5年以下の懲役又は25万円以下の罰金の範囲内で刑罰が科されることになります。
しかし、あくまで「刑を減軽することができる」とありますので、絶対的に軽減されるものではありません。
また、自首したことそれ自体が、逮捕の要件である逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれを否定する事情となり、逮捕されず在宅のまま捜査が進む可能性もあります。

刑事事件を起こし、自首しようかお悩みであれば、自首する前に一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
自首するメリット・デメリットを理解し、自首した後の流れや取調べ対応についてしっかりと説明やアドバイスを受けることにより、取調べに対する不安を少しでも和らげることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、一度弊所にご相談ください。

前科と前歴

2019-06-11

前科と前歴

~ケース~
Aさんは、兵庫県赤穂市のスーパーマーケットで、商品5点(5000円相当)を会計を済ませずに店を出たとして、店の警備員に呼び止められました。
その後、Aさんは、通報を受けて駆け付けた兵庫県赤穂警察署の警察官に窃盗容疑で逮捕され、同署において取調べを受けました。
Aさんの夫が身元引受人としてAさんを引き取ることで、Aさんは釈放となりました。
Aさんは、同じような万引きをして捕まったことがあり、その時は警察署で話を聞かれて終わったのですが、今回はどのような処分となるのか非常に不安でたまりません。
Aさんは、夫と共に、刑事事件に強い弁護士のところに相談に行きました。
(フィクションです)

逮捕されたら前科が付くの?

刑事事件を起こし、逮捕されてしまったら、必ず「前科」が付くと思われている方が多くいらっしゃいますが、逮捕されたからといって必ずしも前科が付くわけではありません。
そもそも、前科とはどのようなものを指すのでしょうか。

前科」という用語は、正確な法律上の用語ではなく、通俗的に使用されているにすぎず、その意味は必ずしも明らかではありません。
しかし、一般的には、前に刑に処せられた事実のことを「前科」と称します。

「前に刑に処せられた」というのは、全ての有罪の確定判決のことを意味します。
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料である場合から、刑の免除、刑の執行免除が言い渡された場合も含みます。
裁判所で言い渡されたものであっても、過料等の行政罰や没収、追徴等のいわゆる付加刑は前科ではありません。

前科が付いてしまったら

前科が付くと、法律において一定の不利益を被ることになります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
・執行猶予に付し得ない事由
・執行猶予の取消事由
・再犯加重の事由
・仮釈放の取消事由
・常習犯の認定事由
・必要的保釈を消極とする事由
・特定の法令が定める資格制限事由

一度付いてしまった前科は消えないの?

前科が付くことにより、上のような法律上の不利益を被ることになるわけですので、一度付いてしまった前科がいつまでも消えないのかどうかといった点は気になるところですね。
刑の執行を受け終わった者に対して、いつまでも法律上の不利益を負わせておくことは、その者の改善や構成の意欲を阻害し、善良な社会人として社会復帰する機会を失わせることになるので、現行法では刑の消滅に関する規定が設けられており、執行終了または免除後の一定期間を罰金以上の刑に処せられることなく経過した場合に、その抹消が認められ、刑が消滅することになります。

第三十四条の二 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

刑の消滅の効果は、刑の言渡しに基づく法的効果が将来に向かって消滅するというものであって、過去において刑を受けたことがあるという事実まで消滅させるものではありません。

前歴とは?

最後に、よく「前科」と混同される「前歴」について説明します。
前歴」というのは、警察などの捜査機関から犯罪捜査を受けたことです。
前歴は検察や警察が保管・管理していますが、前歴についてはその記録は抹消されることはありません。

上記ケースの場合、Aさんは前に万引きで警察に逮捕されたことがあるようです。
警察での調べで事件は終了しているとのことですので、警察から検察に送致されてはおらず、おそらく警察段階で「微罪処分」として終了しているのだと考えられます。
しかし、窃盗容疑で逮捕されていますので、Aさんには窃盗の「前歴」が付いています。
その記録は警察や検察で保管・管理されていますので、Aさんがまったくの初犯ではないことはすぐにわかります。
その事実がAさんにとって良い方向に働くことはありません。
しかし、同種の前歴があっても、被害店舗への被害弁償や示談締結、家族の監督やカウンセリング等により再犯防止策がきちんととられている等、Aさんにとって有利な事情について説得的に主張することで、検察官が起訴猶予で事件を終了させる可能性も十分あります。

このような活動は、刑事事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。
窃盗事件をはじめとして刑事事件でお困りならば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。

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