Archive for the ‘薬物事件’ Category

覚せい剤密輸でコントロールド・デリバリー

2019-05-18

覚せい剤密輸でコントロールド・デリバリー

~ケース~
兵庫県神戸市北区に住むAさんは、国際郵便を使ってアメリカから覚せい剤密輸しようと兵庫県神戸北警察署の警察官に逮捕されました。
関西国際空港に到着した税関当局は問題の国際郵便に覚せい剤が入っていることを確認しました。
郵便物の真の受取人が誰であるかを突き詰めるために、コントロールド・デリバリーを用い、中身を他の物と入れ替えた当該郵便物を警察の厳重な監視の下、受取人のところまで配達させ、現に受け取らせた上で検挙することになりました。
すると、Aと名乗る男が郵便局に当該郵便物に関する問い合わせがあり、荷物を受け取りに現れたところを張り込んでいた警察官に逮捕されたということです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

捜査

警察などの捜査機関は、犯罪があると考えるときは、犯人や証拠を捜査します。
「捜査」というのは、公訴の提起・追行・維持のために、被疑者の身柄を確保し、証拠を収集する捜査機関の活動のことです。
捜査は、「任意捜査」と「強制捜査」とに分けられます。
前者は、任意処分による捜査をいい、参考人取調べ、実況見分などが挙げられます。
一方、後者は、強制処分による捜査で、逮捕、捜索・差押え・検証などです。

捜査には、「おとり捜査」というものがあります。
おとり捜査は、捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの」です(最決平16・7・12)
薬物事件など、国民生活に対する弊害を大きい重大な罪であって、極めて秘密裡に組織的に行われるため、通常の操作方法では検挙することが困難な場合に有効だとされます。
しかし、国家がおとりを用いて人を犯罪行為に誘い込むため、捜査の公正性や廉潔性の観点から疑問視する見解もあります。
この点、判例は、「少なくとも、直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査においては、通常の操作方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは、刑訴訟197条1項に基づく任意捜査として許容される」と解しています(最決平16・7・12)

コントロールド・デリバリー

コントロールド・デリバリー(監視付移転:controlled delivery)とは、捜査機関が禁制品の取引であることを知りつつ、その場では押収せず、監視の下に禁制品を流通させ、不正取引の関係者を特定するという捜査手法のことをいいます。
コントロールド・デリバリーは、規制薬物の不正取引が行われている場合に、その事情を知る捜査機関が検挙のタイミングを遅らせるだけの措置であって、犯人に対し、何らの強制力を用いるものではなく、特定の受忍義務を課すものではないので、任意捜査の一種と考えられています。

禁制品をそのまま流通させる「ライブ・コントロールド・デリバリー」と、禁制品を無害の物品に入れ替えて流通させる「クリーン・コントロールド・デリバリー」とに分けられます。
上のケースでは、郵便物に入っていた覚せい剤を他の物と入れ替えてから流通させていますので、クリーン・コントロールド・デリバリーが用いられました。
その荷物を受け取ったAさんは、監視していた警察官に逮捕されたわけなのですが、中身が偽物であっても何故逮捕されたのでしょうか。

実は、麻薬特例法は、以下のような条項を設けているのです。

第八条 薬物犯罪(規制薬物の輸入又は輸出に係るものに限る。)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

薬物犯罪の輸出入の罪を犯すつもりで、「その他の物品」を輸出入した場合にも該当することになるので、本物と入れ替えられた偽物を手にしたとしても麻薬特例法違反は成立することになります。

覚せい剤をはじめとする薬物を密輸し、ご家族が逮捕されてお困りの方は、薬物事件も取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年事件と環境調整

2019-04-25

少年事件と環境調整

~ケース~
兵庫県洲本市に住む高校生のAさん(16歳)は、親の勧めで私立の進学校を受験し入学しましたが、あまり学校に馴染めずにいました。
そのようなことから、地元の友人らとつるむことが多くなりました。
地元の友人らは、集まると大麻を吸うことがあり、最初はAさんは断っていましたが、結局Aさんも一緒に吸うようになりました。
ある日、地元の友人の一人が大麻取締法違反違反(所持)で逮捕されました。
その後、兵庫県洲本警察署の警察官がAさん宅を訪れ、「大麻のことで話を聞かせてほしい」と警察署までAさんを連れて行きました。
Aさんは大麻取締法違反違反で逮捕され、Aさんの両親は慌てて少年事件に強い弁護士に連絡を入れました。
(フィクションです)

少年事件における環境調整の重要性

環境調整とは、少年を取り巻く人的および物的条件、周辺環境を、少年の立ち直りと今後の成長に資するよう調整し、「要保護性」を解消することを目的とする活動をいいます。
ここで「要保護性」という聞きなれない言葉が出てきましたが、これは少年審判の審理の対象となる非常に重要なものです。
事件が捜査機関から家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、調査・少年審判を経て、少年の更生に資する処分を決定します。
この少年審判で審理されるのは、非行事実と要保護性の2つです。
犯罪行為の軽重がストレートに量刑に影響する成人の刑事事件とは異なり、少年事件では、非行事実自体が軽微なものであっても、要保護性が高いと判断された場合には、少年院送致等の身体拘束を伴う処遇が選択されることもあります。
他方、非行事実が重い犯罪に該当するものであっても、要保護性が解消され、社会内での更生を図ることが少年の健全育成のために望ましいと判断された場合には、社会内処遇が選択されることもあるのです。
ですので、少年事件においては、環境調整は非常に重要な活動であり、環境調整少年事件の付添人に期待されるもっとも大きな役割の1つだとも言えます。

(1)少年本人への働きかけ

少年の心が、事件と向き合い、自身の更生に向けて前に進む準備が整っていなければ、家庭や学校、職場、交友関係等の外部環境の調整を行うことはできません。
まずは、少年自身が、事件についての内省を深め、被害者に対する謝罪の気持ちを持てるようにし、なぜ事件を起こしてしまったのか、再び事件を起こさないためにはどのように対処すればよいのか、自身が抱える問題点や解決策を自分なりに考えられるよう支援していきます。

(2)家庭

少年にとって、家庭は一番身近な環境であり、少年に最も影響を与えるものです。
家庭の問題が非行の原因となっていることも少なくありません。
一件問題がなさそうなごく普通の家庭に見えても、非行の背景を探るにつれて、実は家庭の問題に行きつくことは多いのです。
付添人は、少年の保護者にもなぜ少年が非行を起こしてしまったのか、その原因を考えてもらい、今後の対応を一緒に話し合っていきます。
当事者である家族だからこそ、家庭内の問題に気づきにくいこともあり、付添人が間に入って、改めて家庭環境を見直す機会を持つことで、その問題に気づき、家族関係が修復されることもあります。
その中で、家庭にしっかりと少年の居場所を作り、家族間のコミュニケーションを活発にするよう少年や家族と一緒になって家庭の環境調整に取り組みます。

(3)学校

少年が学校に通っている場合には、今後も少年が学校に通うことができるのか、学校が少年を受け入れて適切な指導をしてくれるかどうかは、少年の更生を考える上で重要です。
しかし、学校によっては、事件を起こして逮捕されたということにより退学とする場合もありますので、学校の状況や学校の先生との関係等を考慮し、適切なアプローチをすることになります。

(4)交際関係

非行の背景に不良交友関係がある場合には、そうした関係をいかに解消するかが重要です。
大人からみれば不良交友関係であっても、少年からすれば、自身の居場所であると感じていることもあるので、単に交際関係を断つよう少年に求めることは逆効果になることもあります。
そのような場合には、付添人は、少年と一緒に非行の原因がなんであったのかを考え、少年が交際関係に問題があったことに気づくことで、問題解決に至るよう手助けをします。

以上のような環境調整を行い、その成果を担当調査官や裁判官に報告し、少年の要保護性が解消されたことを主張し、最終的に社会内処遇となるよう努めます。

このような活動は、少年事件に精通した弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りの場合は、弊所の弁護士にご相談ください。
詳しくは、0120-631-881までお電話ください。

覚せい剤事件における弁護活動

2019-04-14

覚せい剤事件における弁護活動

~ケース~
兵庫県姫路市に住むAさんは、ある日突然兵庫県姫路警察署の警察官による家宅捜索を受け、その後、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。
Aさんは罪を認めていますが、今後どのような処分を受けるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反

覚せい剤取締法は、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関する取締りについて定めています。

覚せい剤取締法14条は、覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤の所持を禁止しています。
ここでいう「所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうものであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
つまりは、「覚せい剤を自己の支配内に置く行為」が「所持」にあたるというわけです。
判例によれば、以下の場合にも「所持」が認められると判示しています。
・物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合。
・直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合。
・比較的短時間の携行にすぎない場合。
また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していることが必要です。
積極的に覚せい剤を自己または他人のために保管する意思や、自己使用または第三者に使用させる意思などは必要とされず、その動機や目的、態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立することとなります。
「知人が勝手に置いて行ったので仕方なく保管していただけだ」と主張したとしても、置いて行ったものが覚せい剤だと認識しており、それでも自己の支配内に置いていたのであれば、所持罪の罪に問われ得るのです。

覚せい剤事件における弁護活動

覚せい剤事件で逮捕された場合、そのご勾留がなされ長期の身体拘束となるケースがほとんどです。
覚せい剤のような薬物事件では、共犯者がいることを疑われる場合には、接見禁止が付されることがあります。
接見禁止となると、弁護士以外の者と面会できなくなります。
このような場合、弁護人である弁護士は、被疑者の家族は事件に無関係であることを主張し、家族との面会を許可してもうえるよう接見禁止一部解除申立てを行います。
また、起訴後には保釈請求を行い、身柄解放活動を行います。
覚せい剤の所持や使用は、初犯であり、犯罪事実を認めている場合には、執行猶予がつく可能性があります。
一方、執行猶予中の再犯は実刑となる可能性が高いと言えます。
覚せい剤の被疑者・被告人は、薬物の依存症となっている場合が多く、治療やカウンセリングにつなげ、薬物をやめられる環境をつくることが大切です。
保釈された段階から、治療やカウンセリングを開始し、公判では既に専門的治療を受けており再犯防止の環境が整っている旨を主張することにより、社会内での更生が期待できると裁判官に判断してもらうことで執行猶予が獲得できる可能性が高まるでしょう。

ご家族が覚せい剤事件で逮捕されお困りであれば、薬物事件も数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ご家族が逮捕されている場合には、弊所の弁護士が留置先に赴き直接接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
まずは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡を。
兵庫県姫路警察署までの初回接見費用:39,900円)

少年逮捕で弁護士が接見

2019-04-12

少年逮捕で弁護士が接見

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区に住む高校生のAさんは、大麻を所持していたとして兵庫県垂水警察署に大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、Aさんとの面会を警察に求めましたが、逮捕段階では面会できないと言われました。
事件の詳細も分からず、Aさんのことも心配でならない両親は、藁にも縋る想いでネットで少年事件に強い弁護士を探し、接見を依頼しました。
(フィクションです)

少年が逮捕されたら

少年逮捕された後の流れは、基本的に成人の刑事事件と同じです。
逮捕されてから48時間以内に、警察は少年を釈放するか検察に送致するかを判断します。
検察に送致する場合、検察官は少年から話を聞いた上で、検察官は少年の身柄を受けてから24時間以内に少年を釈放するか勾留請求をするかを決定します。
検察官が勾留請求すると、今度は裁判官が少年と面談し、少年を釈放するか勾留するかを決めます。
勾留決定がなされると、検察官が勾留請求した日から10日間、勾留延長がなされると最大で20日間身柄が拘束されることになります。

少年の場合、長期の身体拘束は、少年の心身に過度に負担を強いるものであり、退学や解雇となると少年の更生に大きな不利益を及ぼすおそれがあります。
そのため、少年法も、少年の勾留については、①勾留についての特則や、②勾留に代わる観護措置の制度を設けています。

①勾留に関する特則(勾留の要件、勾留場所、勾留の裁判をする裁判所)
少年を勾留するときには、成人と同様の勾留要件を満たしていることに加え、「やむを得ない場合」でなければ勾留をすることができないと定められています。(少年法43条3項、48条)
勾留場所については、少年鑑別所とすることもできますし、少年を警察留置施設で勾留する場合であっても、少年を成人と同じ留置施設に勾留することには様々な悪影響があるため、成人とは分離されます。
少年を勾留する要件に「やむを得ない場合」が設けられていますが、実務上はこれは非常に緩やかに解釈されており、多くのケースで少年の勾留が認められています。

②勾留に代わる観護措置
少年の場合には、勾留に代わる観護措置の制度が設けられており、検察官は、刑事訴訟法上の勾留要件を満たすと判断した場合であっても、裁判官に対して勾留に代わる観護措置を請求することができます。
勾留に代わる観護措置は、以下の3つの点で勾留とは異なります。
少年鑑別所収容の観護措置の他に、家庭裁判所の調査官による観護の方法もとることができます。
・勾留は延長することができますが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求した日から10日間で、延長することはできません。
・勾留に代わる観護措置がとして少年鑑別所収容がとられた事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。

弁護士との接見

少年は、心身共に未発達であるため、逮捕により身体拘束を受けることで、心身両面への大きな負担となることも多いと言えます。
また、取調べに対しても、取調官の誘導にのったり、少年の意に反した供述調書が作成されてしまいやすいでしょう。
ですので、弁護士接見し、少年の意に反した供述調書が作成されないように、取調べ対応について適切なアドバイスをもらうことは重要です。
加えて、弁護士から手続の流れや処分見通しなどを詳しく丁寧な説明を受けることで、精神的にも安心することができるでしょう。
特に、逮捕から勾留までの間は、原則として少年の家族であっても少年と面会することはできませんので、早期の段階で弁護士接見を依頼することをお勧めします。
接見を依頼する弁護士は、刑事事件だけでなく少年事件にも精通した弁護士がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
少年事件・刑事事件を専門とする弁護士が、留置先に赴き接見を行う「初回接見サービス」をご案内いたします。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。
兵庫県垂水警察署までの初回接見費用:37,800円)

薬物事件で執行猶予付き判決

2019-04-09

薬物事件で執行猶予付き判決

~ケース~
兵庫県須磨警察署は、兵庫県神戸市須磨区に住むAさんがMDMAを自宅で所持していたとして、麻薬取締法違反(所持)の疑いでAさんを逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、薬物事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
Aさんはその後起訴され、公判では懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されました。
Aさんは、実刑判決を受けずに済んだことに感謝し、これからは心を入れ替え新しい人生を歩んでいくことを心に誓いました。
(フィクションです)

執行猶予とは

刑を言い渡すにあたり、犯情により一定の期間その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度を「執行猶予」といいます。
上記ケースでは、「懲役1年、執行猶予3年」が言い渡されたいますが、これは、刑の言渡しを受けてから3年間、罪を犯すことなく過ごすことができれば、この刑の言渡しそのものが無効となり、刑務所に行かなくてもよくなる、ということです。
執行猶予期間中に罪を犯さないこと」を条件としていますので、この期間中に何らかの罪を犯し有罪となると、執行を猶予されていた刑も受けなくてはなりません。

執行猶予には、刑期全部の執行猶予と刑の一部執行猶予の2種類があります。

刑の全部執行猶予の要件

(1)初度の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
 または、
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免   除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50年以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる事情があること。

(2)再度の場合
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
 (ただし、刑の執行猶予中保護観察に付され、その保護観察期間内に更に罪を犯した場合には、 執行を猶予することは許されません。)
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。

刑の一部執行猶予の要件

宣告刑の一部だけの執行を猶予する制度です。
例えば、「懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する。」と言い渡されたとします。
この場合、まず、猶予されなかった1年8か月の懲役刑の執行を実際に受けて服役することになります。
服役後、猶予された4か月の執行猶予期間である2年間が始まり、この2年間を無事に経過すれば、4か月の懲役刑は執行されないことになります。

(1)初めて刑事施設に入所する者の場合
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがない者
 または
 (b)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者
 あるいは、
 (c)前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除   を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐため必要であり 、かつ、相当であると認められること。

(2)薬物使用者の場合
①薬物使用等の罪を犯した者であること。
②3年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けたこと。
③犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められること。

以上のように、実刑を回避し、執行猶予となるためには満たすべき要件が設けられています。
裁判では、このような要件を被告人が満たしていることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
このような弁護活動は、薬物事件に詳しい刑事事件専門弁護士にご依頼されるのがよいでしょう。

ご家族が薬物事件で逮捕・起訴されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

刑事事件と勾留

2019-03-16

刑事事件と勾留

~ケース~
兵庫県宝塚市に住む大学生のAくん(21歳)は、大麻取締法違反(単純所持)の疑いで兵庫県宝塚警察署に逮捕されました。
Aくんは、大学の学期末試験期間中で、必須科目の単位が取れなかった場合には、留年してしまう可能性もあり、どうにか勾留されずに釈放とならないかと困っています。
Aくんの願いとは裏腹に、勾留決定となり、Aくんは頭を抱えています。
(フィクションです)

勾留について

被疑者または被告人を拘禁する裁判とその執行を「勾留」といいます。
あなたが、刑事事件をおこし、警察などの捜査機関に逮捕されると、逮捕から48時間以内に、あなたは釈放されるか、若しくは検察に送致されることになります。
検察に送致された場合、検察官は、あなたの身柄を受けてから24時間以内に、あなたを釈放するか、或いは、あなたを勾留する必要があると判断し、裁判官に対して勾留請求を行います。
裁判官は、勾留請求を受けて、あなたを釈放するか、勾留するかを決定します。
勾留するか否かを判断する際、勾留の要件を満たしているか否かを検討しなければなりません。
勾留の要件とは、(1)勾留の理由があり、かつ、(2)勾留の必要性があることです。

勾留の理由

「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること」かつ、①住所不定、②罪証隠滅のおそれ、または③逃亡のおそれがあることが勾留の要件です。

罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」とは、具体的根拠に基づいて犯罪の嫌疑が一応是認できる程度の理由をいいます。

住所不定
「定まった住居を有しない」ことで、住所や居所を有しないという意味です。

罪証隠滅のおそれ
「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」とは、証拠に対して不正な働きかけを行い、終局的判断を誤らせたり、捜査や公判を紛糾させるなどのおそれがあることをいいます。
この「おそれ」は、抽象的可能性では足りず、具体的な資料に基づいた当該事案における具体的蓋然性であることが必要とされます。
罪証隠滅の有無を判断するにおいて、考慮される要素は以下のものがあげられます。
①罪証隠滅の対象
②罪証隠滅の態様
③罪証隠滅の余地
④罪証隠滅の主観的可能性

逃亡のおそれ
「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」とは、被告人が所在不明となり、召喚も勾引もできなくなること、またはできなくなるおそれがあることをいいます。
逃亡のおそれについても、抽象的可能性では足りず、具体的な資料に基づいた具体的蓋然性であることが必要となります。
例えば、生活が不安定であるので所在不明になる可能性がある、あるいは、処罰を免れるために所在不明になる可能性があることが想定されるでしょう。

勾留の必要性

勾留の理由がある場合であっても、勾留の必要性がなければ勾留は認められません。
勾留の必要性とは、勾留の相当性のことであると解され、被疑者・被告人を勾留することによる「公益的な利益」と、これにより被疑者・被告人が被る「不利益」とを比較衡量して総合的に判断されます。
この必要性の判断には、事案の軽重、予想される処分、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれの強さの度合いなどが影響すると考えられます。

ここで、上記ケースを例に勾留の要件を満たしているかどうか考察してみたいと思います。
Aくんは、大麻所持で逮捕されました。
Aくんが大麻所持の現行犯で逮捕された場合や、家宅捜索で大麻が見つかった場合など、Aくんが大麻を所持していたと疑うに足りる相当な理由があると言えるでしょう。
そして、罪証隠滅のおそれについて検討すると、本件は薬物事件ですので、その入手経路や密売組織との関係など、罪証隠滅の対象となる事実にあたると解され、釈放した場合に、関係者と口裏合わせをするなどの可能性が指摘されるでしょう。
その結果、罪証隠滅のおそれありと判断され、勾留が決定される可能性があります。

しかし、そのような場合においても、刑事事件に強い弁護士は、勾留の理由および勾留の必要性がないことを客観的な証拠に基づいて主張し、勾留決定に対して不服申立てを行います。
例えば、逮捕時から素直に容疑を認めており、それまでの取調べで入手先などについて述べており、大麻、携帯電話やパソコン、その他証拠物が既に警察に押収されているなど、罪証隠滅をする余地がないこと、更に、保護者と同居しており監視監督が期待できるといった理由により、罪証隠滅のおそれがないことを主張します。
また、Aくんは、学期末試験期間中であり、必須科目の試験が近日中に予定されています。
Aくんは、この科目の単位をとらないと、留年することになり、そうなれば内定が決まっている会社への就職にも影響するなど、勾留によって被る不利益が大きいことも、必要性の観点から主張することになるでしょう。

このような主張が認められれば、勾留を決定した原判決は取り消され、検察官が行った勾留請求は却下されることとなり、被疑者は釈放されます。
弁護人からの勾留決定に対する準抗告が容認される確率は、決して高いとは言えません。
しかし、不当な身体拘束を避けるため、客観的な証拠に基づいた説得的な主張を行い、身体拘束を解くことは不可能ではありません。

逮捕・勾留されお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
お問い合わせは、0120-631-881まで。

覚せい剤所持罪で逮捕

2019-03-15

覚せい剤所持罪で逮捕

~ケース~
兵庫県警察は、覚せい剤の密売グループの捜査をしている過程で、Aさんが関与しているとの情報をつかみました。
その情報をもとに、警察は、兵庫県加東市に住むAさん宅を訪れ家宅捜査したところ、覚せい剤が見つかりました。
Aさんは、覚せい剤所持の疑いで現行犯逮捕となりました。
Aさんは、「覚せい剤は恋人が勝手に置いて行っただけで、自分は関係ない」と供述しています。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反事件

覚せい剤取締法は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤および覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受および使用に関して必要な取り締まりを行うことを目的とする法律です。
覚せい剤取締法の規制対象となる覚せい剤は、以下のものです。
①「フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパンおよび各その塩類」(法2条1項1号)
②「前号に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって、政令で指定するもの」(2号)
③「①、②の物のいずれかを含有する物」(3号)
このことから、規制対象となる覚せい剤は、必ずしも純粋な覚せい剤に限らず、他の物と混合された物であっても「覚せい剤」に当たります。

覚せい剤所持罪

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。

覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合等を除き、覚せい剤所持を禁止しています。

第四十一条の二 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤を「みだりに」「所持」する行為を処罰することとし、営利の目的があった場合を加重処罰することとしています。
つまり、覚せい剤所持罪は、「覚せい剤」を「みだりに」「所持」することにより成立します。

所持」とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」(最大判昭30・12・21)と解されます。
覚せい剤所持に関する判例では、「物理的に把持する必要はなく、その存在を認識して管理し得る状態にある場合」、「直接所持しなくてもよく、他人の行為を介して自己の所持を実現したと認められる場合」、「所有者でない場合」、「比較的短時間の携帯にすぎない場合」においても所持を認めています。

また、所持罪が成立するためには、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること(=故意)が必要です。
しかし、覚せい剤所持事件では、上記ケースのように、「知人が勝手に置いて行った」、「知人から預かっただけ」と主張するケースが多いようです。
つまり、覚せい剤所持罪の成立には、「所持」という行為と犯意(故意)の他に、「積極的に覚せい剤を自己又は他人のために保管する意思」や「自ら所有し又は使用、処分する意思」などが必要だと主張されることがありますが、所持罪の成立には、そのような意思まで必要とされません。
所持は、あくまで覚せい剤を自己の実力支配内に置く行為であればよく、その態様の如何を問いません。
ですので、覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けば、所持罪は成立すると解されます。

覚せい剤事件で逮捕された場合、そのまま勾留となる可能性は高いと言えるでしょう。
また、犯罪組織とのつながりが疑われる場合には、接見禁止が付されることもあります。
逮捕から勾留までの間や、接見禁止が付された場合、例え被疑者の家族であっても被害者と面会することはできません。
しかし、そのような場合でも、弁護士であればいつでも面会(接見)することができます。

ご家族が覚せい剤事件で逮捕された、勾留禁止がなされ面会できずお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご連絡ください。
薬物事件も含めた刑事事件を専門とする弁護士が、逮捕・勾留された方のもとへ赴き接見をする「初回接見サービス」をご案内いたします。
詳しくは、0120-631-881までご連絡ください。

弁護人・付添人の選任

2019-02-26

弁護人・付添人の選任

~ケース~
兵庫県明石市に住むAくん(18歳)は、深夜の公園で仲間数人と集まっていました。
警戒中の兵庫県明石警察署の警察官は、Aくんらに職務質問をしました。
しかし、Aくんらの様子がおかしいことから、所持品検査を行うと、ポケットから大麻とみられる植物片が見つかりました。
そのままAくんらは兵庫県明石署に連行され、その後、逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

少年事件における弁護人・付添人

被疑者段階

事件の発覚から家庭裁判所送致までの被疑者段階では、少年と成人の手続に顕著な差異はありません。
少年であっても、少年または少年と一定の関係にある者は、いつでも、弁護人選任することができます。(刑事訴訟法第30条)

第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

弁護人は、違法・不当な捜査活動がなされないよう監視したり、被疑事実を認めている場合には示談交渉を行うなど、被疑者である少年の権利・利益を擁護する役割を担っています。
この弁護人には、「私選弁護人」と「国選弁護人」とがあります。

私選弁護人
少年または少年の家族などから選任された弁護人で、弁護士費用は自己負担となります。
身体拘束の有無にかかわらず、被疑者その他の選任権者は、いつでも弁護人選任することができます。
私選弁護人は最大3人までつけることができます。

国選弁護人
捜査段階においては、少年事件も成人事件と同様に、刑事訴訟法の適用を受けます。
被疑者国選弁護人選任される要件に該当する場合には、国がその費用を負担する国選弁護人選任することができます。
被疑者国選弁護人選任される要件とは、以下のものです。
・対象事件が、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件」。
・少年が「貧困その他の事由により弁護人を選任することができない」。
被疑者国選弁護人制度は、逮捕後勾留前の段階では、利用することはできません。
少年事件では、「勾留に代わる観護措置」により少年鑑別所に収容された場合にも、被疑者国選弁護人選任が可能です。
被疑者国選弁護人制度は、身体拘束されていない在宅事件には適用されません。

家庭裁判所送致後

少年が家庭裁判所に送致された後、少年及び保護者は、家庭裁判所の許可を得て、付添人選任することができます。
ただし、弁護士を付添人とする場合には、家庭裁判所の許可は要りません。
付添人は、少年の権利を擁護し、その代弁者としての役割と、少年の更生に向けて家庭裁判所と協力し援助する役割を担っています。

私選付添人
少年及び保護者は、自ら付添人選任することができます。
捜査段階で私選弁護人選任している場合であっても、弁護人選任の効力は家庭裁判所送致時に失われるので、同じ弁護士を付添人として選任するのであっても、家庭裁判所送致後に改めて家庭裁判所に付添人選任届を提出しなければなりません。

国選付添人
私選弁護人の場合と同様に、捜査段階で被疑者国選弁護人選任効力は失われるので、被疑者国選弁護人が当然に国選付添人になるわけではありません。
平成26年施行の改正少年法によって国選付添対象事件の範囲が拡大し、被疑者国選弁護対象事件と同じ範囲にまで拡大されましたが、国選付添人を選任するか否かは、家庭裁判所の裁量に委ねられています。
家庭裁判所は、犯罪少年又は触法少年のうち、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪」に該当する非行に及んだ者について、「観護措置」がとられており、弁護士の付添人がいない場合に、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付けることができます。
ただし、検察官関与決定がなされた事件で、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所は弁護士である付添人を付けなければなりません。

少年事件も、成人の刑事事件と同様に、少年の権利・利益の擁護や少年の更生に向けた活動を行う弁護士の役割は大きいと言えるでしょう。
しかし、医者にも内科医や外科医といった専門性があるように、必ずしもすべての弁護士が少年事件・刑事事件に精通しているわけではありません。
少年事件・刑事事件でお困りであれば、専門の弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門とする法律事務所です。
お子様が事件を起こしてお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
フリーダイアル0120-631-881へご連絡ください。
兵庫県明石警察署までの初回接見費用:37,800円)

神戸市垂水区で緊急逮捕

2019-02-19

神戸市垂水区で緊急逮捕

~ケース~
兵庫県神戸市垂水区にある交番を訪れたAさんは、対応した警察官に対して「覚せい剤を打った」と申告しました。
警察官は、Aさんを兵庫県垂水警察署に任意同行し、尿検査をしたところ、覚せい剤の陽性反応が出たため、Aさんを覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕しました。
Aさんは、「仕事でのストレスが原因で覚せい剤を使用した」と供述しているとのことです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

緊急逮捕とは

一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要する場合に、逮捕後「直ちに」逮捕状を請求することを条件として認められる無令状の逮捕を「緊急逮捕」といいます。
緊急逮捕をする際には、その理由を告げることが必要とされます。
その理由には、被疑事実の要旨および急速を要する事情にあることが含まれます。

第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

緊急逮捕の要件
①死刑・無期・長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があること。
②急速を要し、裁判官の逮捕状を請求することができないこと。
③理由を告知したこと。
④逮捕後直ちに逮捕状請求の手続きをすること。
⑤逮捕の必要性があること。

このように、緊急逮捕には厳しい要件が課されています。

逮捕状によらず被疑者を逮捕することができるとする刑事訴訟法210条は、現行犯逮捕のみを例外とする逮捕状による逮捕の原則を規定している日本国憲法33条に反するとの主張が過去にありました。

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

これに対し、最高裁判所は、緊急逮捕は合憲であるとする判決を下しました。

「しかし刑訴二一〇条は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足る充分な理由がある場合で、且つ急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができるとし、そしてこの場合捜査官憲は直ちに裁判官の逮捕状を求める手続を為し、若し逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を釈放すべきことを定めている。かような厳格な制約の下に、罪状の重い一定の犯罪のみについて、緊急已むを得ない場合に限り、逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発行を求めることを条件とし、被疑者の逮捕を認めることは、憲法三三条規定の趣旨に反するものではない、されば所論違憲の論旨は理由がない。」(最判昭30・12・14)

上記ケースでは、Aさんは、覚せい剤取締法違反(使用)を自ら申告しており、尿検査でも陽性反応が出ています。
覚せい剤取締法違反(使用)の法定刑は、10年以下の懲役です。
ですので、①の要件はクリアしています。
次に、②の要件ですが、逮捕状を請求している間に被疑者が逃亡してしまうおそれ、また証拠隠滅されるおそれがある場合には、当該要件を満たしていると言えるでしょう。
同じく、⑤の要件についても、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断される場合に、当該要件を満たすと言えます。
更に、③および④を欠く場合には、違法逮捕となってしまいますので、これらの要件も満たしていれば、Aさんに対する緊急逮捕は適法であると言えるでしょう。

緊急逮捕された後の流れは、警察は、逮捕時から48時間以内に釈放するか検察に送致されるか判断します。
検察に送致された場合には、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に被疑者を釈放するか勾留請求するかを決めます。
勾留請求がされると、裁判官は被疑者を勾留するか釈放するかを決定し、勾留された場合には、検察官が勾留請求した日から原則10日間(延長されると最大で20日間)身体拘束となります。

兵庫県神戸市垂水区でご家族が薬物事件で緊急逮捕となりお困りであれば、薬物事件にも適切かつ迅速に対応する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

薬物事件(コカイン)で逮捕

2019-01-15

薬物事件(コカイン)で逮捕

兵庫県神戸市兵庫区の路上で、Aさんは、巡回中の兵庫県兵庫警察署の警察官に職務質問を受けました。
言動を不審に思った警察官は、所持品検査を行ったところ、Aさんがコカインを所持していることが発覚しました。
Aさんは、そのまま麻薬及び向精神薬取締法違反(所持)で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、急いで接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

薬物事件~コカイン~

コカインの所持や使用による摘発が近年増加傾向にあるようです。(中國新聞アルファ 2019年1月6日掲載記事を参照)
コカインとは、南米原産のコカの木の葉を原料とした薬物です。
コカインは、覚せい剤と同じように、神経を興奮させる作用を有するため、気分が高揚し、眠気や疲労感がなくなった、体が軽くなった、といった錯覚を起こすようになります。
その効果は、持続時間が短く、精神的に依存しやすい薬物と言われています。
コカインを乱用すると、幻覚や思考の異常、精神錯乱、そして、皮膚の下を無視がはい回っているような「コーク・バグ」と呼ばれる特殊な感覚に襲われます。

このような恐ろしい効果を持つコカインですが、その所持・使用が増加しているという事実は、コカインの危険性がきちんと理解されていない現実が浮き彫りになっていると言えるでしょう。

コカインの所持・使用等は、麻薬及び向精神薬取締法によって規制されています。
麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬・向精神薬の輸出入・製造・製剤・譲渡し等についての取り締まりについて規定している法律です。
コカインは、この「麻薬」に該当します。
コカインの輸入・輸出・製造・栽培は、1年以上10年以下の懲役、営利目的の場合には、1年以上の有期懲役または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金となる可能性があります。
また、コカインの製造・小分け・譲渡・譲受・交付・所持・使用・使用のための交付は、7年以下の懲役、営利目的であれば、1年以上10年以下の懲役または情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金となる可能性があります。

薬物事件で逮捕されたら

コカインを含む薬物事件で逮捕された場合、入手先の共犯者との口裏合わせや、証拠を隠滅したりする可能性があると判断され、そのまま勾留され長期間身柄が拘束される可能性は高いと言えるでしょう。
また、接見禁止が付されることも多く、接見禁止となれば、家族であっても被疑者と面会することは出来ません。
そのような場合であっても、弁護士であれば、何時でも被疑者と面会(接見)することが出来ます。
初犯であれば、薬物に対する依存性がそれほど高くないと言えますので、再犯防止のために薬物治療を受けることが重要です。
また、入手ルートを断ち切るためにも、薬物に関与している人との関係を一切断つ必要があります。
容疑を認めている場合には、弁護士は、二度と薬に手を出せない環境を作り出し、そのような環境下では再犯可能性が低いことを主張し、不起訴処分や罰金、執行猶予等を獲得し、実刑を回避するよう活動します。

このような活動は、薬物事件に強い弁護士に依頼されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が、「コカイン所持で逮捕された」、「薬物事件で接見禁止となり会えない」、「実刑を回避したい」とお困りであれば、今すぐ弊所の刑事事件専門弁護士にご相談ください。

初回の法律相談無料
兵庫県兵庫警察署までの初回接見費用:35,100円
問合せ先:フリーダイアル0120-631-881

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