Archive for the ‘薬物事件’ Category

薬物事件で強制採尿

2020-03-24

薬物事件での強制採尿について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市中央区を警ら中の兵庫県生田警察署の警察官は、路上を歩いている男性が挙動不審な行動をとったため、男性に対する職務質問を開始しました。
薬物使用を疑った警察官は、男性に任意での尿検査を提案しましたが応じなかったため強制採尿したところ、覚せい剤の陽性反応が出たので、男性を逮捕しました。
逮捕された男性は、「強制採尿は違法だ。」と主張しています。
(フィクションです)

薬物事件における尿鑑定

薬物の使用事犯においては、被疑者の尿を採取し、採取した尿から薬物の反応が出るかどうかの鑑定をすることは、薬物事犯として起訴するためにも非常に重要な証拠となるため、必要不可欠な手続です。
しかしながら、被疑者の立場からすれば、尿鑑定の結果によって自分が逮捕、起訴されるおそれがあることから、進んで自分の尿を提出することを嫌がることも少なくありません。

薬物を使用したと疑われる者に対して、尿鑑定を行うために尿を採取する行為は、捜査の実行であり、証拠の収集であって、きちんと法律に基づいたやり方で行われなければなりません。
捜査は、任意捜査と強制捜査に分けられます。
任意捜査というのは、任意処分による捜査のことです。
法律は、捜査は、できるだけ任意捜査によるべきとし、強制処分による捜査(強制捜査)は特別の必要がある場合にのみ許されるとの考えにあります。
ですので、薬物の使用事犯についても、可能であれば被疑者の同意の下に尿を採取し鑑定にかけるべきです。

強制採尿について

上のケースのように、薬物の使用が疑われている場合に、被疑者が尿の採取を拒否する場合が少なくありません。
そのような場合、強制処分として「強制採尿」が行われることがあります。
強制採尿とは、尿道にカテーテルを挿入して強制的に尿を採取する捜査手法のことをいいます。
強制採尿は強制処分ですので、事前に令状を得ることが前提となります。
過去の裁判例(最決昭55・10・23)が、捜索差押許可状によって行うことができると判断して以来、実務に置いてはこの決定に従った運用がされています。

この判例によれば、「被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたっては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解する」としています。
つまり、判例は、強制採尿について、
①犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められる場合に、
②最終的手段として、
③適切な法律上の手続を経て、
④被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な考慮が施される限り
許される、との立場を採るものと言えるでしょう。

また、強制採尿の手続について、判例は、「右の適切な法律上の手続について考えるのに、体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである」としていますが、「右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法218条5項が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であると解さなければならない。」としています。

強制採尿に求められる要件を欠くような方法で行われた場合には、違法な捜査であることを主張していく必要があります。

強制採尿を行うに当たっては、職務質問で薬物使用が疑われ、被疑者の同意の下、最寄りの場所まで連行し、そこで尿を採取するという流れではなく、上のケースのように、尿採取を拒否したため強制採尿を行う必要が生じる場合もあります。
そのような場合、警察官は令状請求のために関係書類を作成し裁判所に提出するなど法律に従って様々な手続きを踏む必要があり、実際に令状を手にするまで時間がかかります。
そうすると、職務質問をした場所に被疑者を長時間留めておくことになりやすく、留めておくための手段も強度なものになりやすいので、違法性が問題となることがあります。

以上の様に、強制採尿を実施するにあたっては様々な要件を満たしていることが必要となります。
それらの要件を満たしていない、つまり違法だと主張する場合、単にその旨を主張するだけでは捜査機関や裁判所を納得させることはできません。
きちんと客観的な証拠に基づいて主張を展開する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
薬物事件でご家族が逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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覚せい剤使用の否認事件

2020-02-23

覚せい剤使用否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県尼崎市の路上をふらつきながら歩く女性Aさんを警ら中の兵庫県尼崎東警察署の警察官が発見し、職務質問を行いました。
Aさんの言動から薬物使用を疑った警察官は、Aさんを警察署に連れて行き、尿検査を実施したところ、覚せい剤の陽性反応が出ました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反(覚せい剤使用)容疑で逮捕されましたが、Aさんは容疑を否認しています。
Aさんの供述によれば、昨夜交際相手から無理やり何等かの薬物を注射器で打たれたということです。
Aさんは、否認事件にも対応してくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

覚せい剤使用罪

覚せい剤取締法は、覚せい剤の使用を以下の場合を除いて禁止しています。

①覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合。
②覚せい剤施用期間において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合。
③覚せい剤研究者が研究のため使用する場合。
④覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合。
⑤法令に基づいてする行為につき使用する場合。

覚せい剤使用罪が成立するための要件は、以下の通りです。
(1)法定の除外事由がないのに、
(2)覚せい剤を
(3)使用する。

「使用」の意義については、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいうとされます。(札幌高判昭54・7・3)
その目的や方法の如何については問いません。

裁判で、「使用」に当たるとされた事例をいくつかご紹介します。
・覚せい剤結晶を、自分の虫歯の痛みを緩和させようとして、虫歯内に詰め込んで、覚せい剤を嚥下して使用した事例。(宇都宮地判昭53・2・3)
・覚せい剤若干量を含有する水溶液を、自分の膣内に注入して使用した事例。(東京地判昭55.10.21)
・覚せい剤粉末を陰部に塗布して使用した事例。(松江地判昭53・2・23)
・覚せい剤結晶性粉末を唾液で溶かして自己の亀頭、尿道口などに塗布して使用した事例。(新潟地判昭55・12・23)

さて、先ほども述べたように、覚せい剤取締法における「使用」とは、覚せい剤をその用途に従って用いる一切の行為をいいます。
そのため、他人の身体に覚せい剤を注射する行為も、その注射を受ける行為も「使用」に当たります。
一方の依頼を受けて他方が注射をした場合、注射をした者および注射をされた者との関係は、一般的に使用罪の共同正犯が成立すると考えられるでしょう。
依頼した者が、覚せい剤だと知りながら、それを自分に注射するように頼み、依頼された者もまた同様に、覚せい剤だと知りながら、それを相手方に注射している場合、両者が意思を相通じて使用罪を共同して実行したことになるからです。
しかし、一方が他方の意思に反して覚せい剤を注射した場合は、注射された者に対して使用罪は成立しません。
覚せい剤使用罪も、故意犯ですので、同罪の成立には、覚せい剤の使用を認識・認容したことが必要となります。
ですので、無理やり注射された場合、覚せい剤を使用することを認容していないので、覚せい剤使用罪は成立しないことになります。

他人から知らない間に覚せい剤を飲まされた、あるいは、無理やり覚せい剤を注射された場合には、被疑者本人に覚せい剤使用の認識・認容がなかったことを主張していくことになります。
否認事件の弁護活動は、刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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薬物事件:保釈で釈放

2020-02-14

薬物事件における保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたAさんは、逮捕後に勾留となり兵庫県赤穂警察署に勾留されています。
勾留決定と共に、接見禁止が付されており、Aさんは家族と面会することはできません。
勾留延長の満期日に、Aさんは麻薬取締法違反の罪で神戸地方検察庁姫路支部に起訴されました。
Aさんは、弁護人に保釈請求をしてほしいと話しています。
(フィクションです)

薬物事件で逮捕されたら

麻薬取締法違反を含めた薬物事件で逮捕された場合、その後勾留となる可能性は非常に高いでしょう。
勾留とは、被疑者および被告人の身柄を拘束する裁判ならびにその執行のことをいいます。
起訴前の勾留を「被疑者勾留」、起訴後の勾留を「被告人勾留」と呼びます。
薬物事件の場合、薬物の入手先や譲渡先など、被疑者本人だけでなく複数人が事件に関与しているため、釈放されることにより被疑者・被告人が関係者と接触し、罪証隠滅を図るおそれがあると判断されることが多くなっています。

そのため、捜査が終了する起訴前の段階では、釈放される可能性はそう高くありません。
しかし、起訴後であれば保釈制度を利用することにより釈放される可能性はあります。

保釈制度について

保釈」というのは、一定額の保釈保証金を納付することにより、勾留されている被告人を暫定的に釈放する制度です。

保釈には、次の3種類があります。

1.権利保釈(必要的保釈)

第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

裁判所は、保釈の請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
例外として、刑事訴訟法第89条の1号~6号の除外事由がある場合には、請求を却下することができます。

2.裁量保釈(任意的保釈)

第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

裁判所は、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することができます。

3.義務的保釈

第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により又は職権で、保釈を許可しなければなりません。

上記ケースにおいて、Aさんは麻薬取締法違反の罪で起訴されています。
まずは、権利保釈が認められるか検討しましょう。

麻薬取締法違反の罪の法定刑は、規制薬物の種類及び違反形態により異なりますが、ここでは所持についてみていきましょう。
ジアセチルモルヒネ等の所持は、10年以下の懲役、ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の所持は7年以下の懲役、向精神薬の所持は3年以下の懲役です。
「短期一年以上の懲役」には該当しないので、除外事由1号には当たりません。
Aさんに前科がないとすれば、2号も該当しません。
しかし、問題は3号です。
Aさんが1件のみで起訴されたとしても、同じ犯罪を複数回(2回以上)繰り返していた場合には「常習」犯とみなされます。
また、法定刑が「長期3年以上の懲役」の罪となっていますので、上限が3年以上である上の所持罪も含まれますので、3号に該当する可能性はあります。
また、4号の「逃亡・罪証隠滅のおそれ」についても、余罪が複数ある場合や共犯者が複数いる場合など捜査が終了していなければ、罪証隠滅のおそれが高いと判断される可能性があります。

権利保釈が認められない場合であっても、裁量保釈が認められる可能性もあります。
形式的には逃亡・罪証隠滅のおそれが残る場合であっても、その程度が低く、身体拘束によって被る被告人の不利益の程度等を考慮して、裁判所の裁量によって保釈が許可されるのです。
権利保釈と同時に裁量保釈を請求することが出来ますので、弁護人に頼んで両方の保釈を請求してもらうのがよいでしょう。

裁判所に保釈が許可され、保釈保証金を納付すれば、被告人は釈放されることになります。
保釈保証金の額は、犯罪の性質や被告人の資力にもよりますが、150~200万円が相場となっています。
出頭を拒んだり、逃亡したりしなければ保釈保証金は、裁判終了後に戻ってきます。

ご家族が薬物事件で逮捕・勾留され、長期の身体拘束を受けてお困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大麻所持で逮捕されたら

2020-02-01

大麻所持逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県東灘警察署は、大学生のAさん(21歳)を大麻所持の疑いで逮捕しました。
離れて暮らすAさんの両親は、警察から逮捕の連絡を受けました。
Aくんの両親は、警察から詳しいことは教えてもらえず、何をしたのかもはっきりと分かりませんでした。
心配になったAくんのお父さんが、面会の申出をしましたが、「すぐには面会できない。明後日には面会できるかもしれない。」と言われました。
「そんなに待っていられない。どうしたらいいのか。」と藁にも縋る想いで、ネットで検索したところ、すぐに接見に行ってくれる刑事事件専門弁護士がいることが分かりました。
Aくんのお父さんは、急いで刑事事件専門弁護士に接見依頼の電話をしました。
(フィクションです)

大麻所持罪

有名人が大麻事件で逮捕されるというニュースが後を絶ちません。
大麻は、有名人に限らず、一般人でも比較的手に入りやすい薬物です。

許可された者以外が大麻所持することは、大麻取締法で禁止されています。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

所持」は、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」です。
大麻について所有権や処分権を有していることまで求められません。
所持の形態は、自ら保管・携帯している場合だけでなく、他人に保管させる場合、他人の依頼によって保管する場合、運搬する場合、隠匿する場合など社会通念上実力支配関係にあると認められるすべての場合が含まれます。

大麻所持で逮捕されたら

大麻をはじめ薬物事件で逮捕された場合、その後に勾留となる可能性は高いでしょう。
「勾留」とは、被疑者・被告人の身柄を拘束する裁判およびその執行をいいます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、検察官に被疑者の身柄とともに証拠や関係書類を送致するかを決めます。
検察官に送致された場合、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、もしくは裁判官に勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するかどうかを判断し、勾留しないとの決定(勾留請求却下)がなされた場合は、被疑者の身柄は釈放されます。(ただし、検察官からの勾留に対する準抗告が申し立てられ、準抗告が認められれば、当該被疑者の身柄は引き続き拘束されることになります。)
勾留となった場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、延長が認められれば、最大で20日間身柄が拘束されることになります。
逮捕から勾留までの間は、原則、家族であっても逮捕された被疑者と面会することはできません。
しかし、弁護士は、いつでも被疑者と面会(接見)することが法律で認められており、勾留前でもすぐに接見することができます。

加えて、薬物事件の場合、その背後に犯罪組織の存在が疑われたり、売人や譲受け人など共犯者がいるため、罪証隠滅のおそれがあると判断され、勾留とともに接見禁止が付されることもあります。
接見禁止は、弁護人以外の者との面会を禁止する決定です。
接見禁止が付せられると、事件には無関係な被疑者の家族とも面会することができない可能性があります。
外界から閉ざされた空間で連日の取調べを受けるといった非日常的な生活の中、被疑者は身体的にも精神的にもストレスを感じるものです。
そのような状態で、家族との面会も出来なくなれば、被疑者も精神的に益々追い詰められてしまいかねません。
そのような場合には、弁護士に相談し、家族との面会を許可してもらうよう接見禁止一部解除申請を行い、家族との接見禁止を解除してもらうよう動く必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻を含む薬物事件も取り扱う刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
大麻所持でご家族が逮捕されてお困りの方は、すぐに弊所の弁護士にご相談ください。
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麻薬取締法違反事件で即決裁判

2020-01-19

麻薬取締法違反事件での即決裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古川警察署は、麻薬取締法違反(コカイン所持)の容疑で外国籍のAさんを逮捕しました。
逮捕後、勾留となったAさんは、接見にやってきた弁護士に、早期に釈放とならないか相談しています。
日本に親族などがいないためAさんは保釈も厳しい可能性があり、弁護士は、即決裁判手続が早期釈放の最良の手段ではないかと考えています。
(フィクションです)

麻薬取締法違反

コカインとは、南米原産のコカの木の葉を原料とした薬物です。
コカインは、覚せい剤と同じように、神経を興奮させる作用を有するため、気分が高揚し、眠気や疲労感がなくなった、体が軽くなった、といった錯覚を起こすようになります。
その効果は、持続時間が短く、精神的に依存しやすい薬物と言われています。
コカインを乱用すると、幻覚や思考の異常、精神錯乱、そして、皮膚の下を無視がはい回っているような「コーク・バグ」と呼ばれる特殊な感覚に襲われます。

コカインの所持・使用等は、麻薬及び向精神薬取締法(以下、「麻薬取締法」といいます。)によって規制されています。
麻薬取締法は、麻薬・向精神薬の輸出入・製造・製剤・譲渡し等についての取り締まりについて規定している法律です。
コカインは、麻薬取締法において規制の対象である「麻薬」に該当します。
コカインの輸入・輸出・製造・栽培は、1年以上10年以下の懲役、営利目的の場合には、1年以上の有期懲役または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金となる可能性があります。
また、コカインの製造・小分け・譲渡・譲受・交付・所持・使用・使用のための交付は、7年以下の懲役、営利目的であれば、1年以上10年以下の懲役または情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金となる可能性があります。

即決裁判

即決裁判手続とは、事案が明白であり、軽微で争いがなく、執行猶予が見込まれる事件について、速やかに公判期日を指定して相当な方法により審理を行い、原則即日に執行猶予判決を言い渡す手続のことです。

即決裁判手続の要件は、
①事案が明白、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれる場合で、即決裁判手続で審理するのが相当と認められる事件であること。
②死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮に該当する罪でない事。
③被疑者の書面による同意があること。
④被疑者に弁護人があるときは、弁護人の書面による同意があるか、少なくとも意見を留保していること。

これらの要件を満たす場合に、検察官による即決裁判手続の申立が行われます。
即決裁判手続は、起訴から出来るだけ早い時期に公判期日が指定され、原則1回の審理で即日執行猶予判決が言い渡されるので、被告人にとっては、起訴後速やかに公判期日が開かれ、執行猶予判決になるというメリットがあります。
一方、即決裁判手続による審理でなされた判決については、事実誤認を理由とする控訴・上告が出来ません。
ですので、即決裁判手続の趣旨、審理手続、メリット・デメリットなどをしっかりと把握した上で、即決裁判手続に同意する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、麻薬取締法違反事件などの薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
麻薬取締法違反事件でご家族が逮捕されてしまいお困りの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)事件で逮捕

2020-01-06

覚せい剤取締法違反営利目的輸入)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
Aさんは、海外から帰国するにあたり、覚せい剤約1㎏を引越荷物内に隠匿して密輸入しようと企てたが、神戸税関が実施した引越荷物の別送品検査において覚せい剤を発見しました。
神戸税関は、兵庫県警察と共同調査を実施し、神戸地方検察庁に告発しました。
Aさんは、覚せい剤取締法違反営利目的輸入)の容疑で逮捕されました。
調べに対してAさんは、「友人から日本の知人に渡してほしいと頼まれただけで、中身が覚せい剤だとは知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです)

覚せい剤取締法違反:営利目的輸入

覚せい剤取締法は、覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚せい剤及び覚せい剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用について必要な取締を行うことを目的に、昭和27年7月30日に施行されました。

覚せい剤取締法の規制対象となる「覚せい剤」は、
①フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
②①に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
③①及び②のいずれかを含有する物
です。

第十三条 何人も、覚せい剤を輸入し、又は輸出してはならない。

第四十一条 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

覚せい剤取締法は、覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。
覚せい剤をみだりに輸入した者については、これを1年以上の有期懲役に処し、営利目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により1000万円以下の罰金を併科することとされています。

覚せい剤取締法第41条は、覚せい剤をみだりに本邦に輸入する行為を処罰することとしており、覚せい剤輸入罪が成立するためには、「覚せい剤を輸入する行為」がなければなりません。

「輸入」とは、「国外から我が国へ物品を搬入すること」と理解されます。
どの段階に至った時に我が国内に搬入されたと理解するのかが問題となります。
陸路による密輸入については、「国境線を踰越して我が国内へ搬入した時点」と解する見解が有力です。
海路・空路については、船舶から覚せい剤を我が国領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で既遂に達するとする見解が、通説・判例の立場となっています。

覚せい剤を密輸入した場合、覚せい剤は関税法で輸入を禁止される貨物に当たり、関税法違反(禁制品輸入罪)が成立することとなります。
覚せい剤取締法上の輸入罪と関税法上の禁制品輸入罪の罪数関係については、両者は観念的競合の関係(1個の行為が2つ以上の罪名に触れる場合)に立つと判例・実務上ともに解されています。
観念的競合の処罰については、その最も重い刑によって処断されます。

さて、Aさんのように「覚せい剤だとは知らなかった。」と弁解している場合、覚せい剤の輸入罪は成立しないのでしょうか。

覚せい剤の輸入罪は、覚せい剤であることを知りつつそれを我が国内に搬入することによって成立します。
そのため、覚せい剤の認識に欠ける場合、輸入罪は成立しません。
しかし、認識の程度については、「被告人は本件物件を密輸入して所持した際、覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物類であるとの認識があったというのであるから、覚せい剤であるかもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物であるかもしれないとの認識はあったことに帰する。そうすると覚せい剤輸入罪、同所持罪の故意に欠けるところはない」とした判決(最決平2・2・9)があるため、状況証拠から被告人が覚せい剤もしくは体に有害な薬物「かもしれない」と思っていたと判断された場合、覚せい剤輸入罪が成立することになります。

覚せい剤取締法違反事件では、逮捕後、勾留される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
また、組織犯罪が疑われた場合には、勾留と同時に接見禁止に付されることも多く、家族であっても被疑者・被告人と接見することができない可能性もあります。
そのような場合でも、弁護士であれば、いつでも接見することができます。

ご家族が覚せい剤取締法違反事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大麻の営利目的輸入で逮捕

2019-11-21

大麻営利目的輸入について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古郡稲美町に住むAさんは、大麻営利目的輸入したとして逮捕されました。
輸入した大麻製品は約50グラムと多く、Aさんは営利目的輸入したとの疑いがもたれています。
Aさんは、調べに対して大麻の輸入に関しては認めていますが、営利目的であったことは否認しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

有名人の薬物事件は、マスコミにも大きく取り上げられます。
その多くは、規制薬物の所持や使用などですが、中には薬物を海外から密輸するケースも少なくありません。
今回は、大麻の密輸事件についてどのような罪に問われ得るのかについて説明していきます。

大麻輸入罪

大麻取締法は、大麻の栽培・輸出入・所持・譲渡・譲受などについて必要な取締を行う法律です。
覚せい剤などの規制薬物とは異なり、大麻の使用自体は禁止されていません。

大麻輸出入に関しては、以下のように規定されています。

第四条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻をみだりに輸入した場合、7年以下の懲役が科せられる可能性があります。
また、営利目的大麻輸入した場合には、法定刑は加重され、10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金が科される可能性があるのです。
このような加重処罰規定が設けられているのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復・累行され、規制薬物の濫用を助長・増進させ、国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いため、それだけ違法性が高いためだとされます。
営利目的」というのは、「犯人自らが財産上の利益を得、または第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」と解されます。
ですので、営利目的は、単なる認識だけでは足りず、犯罪の積極的動因となっている場合であることが必要とされます。

大麻取締法違反が成立するためには、故意が必要となります。
つまり、大麻取締法違反の行為をしている認識・認容がなければならないのです。
大麻輸入であれば、「大麻」を「輸入」することを認識・認容していることです。
規制薬物に関する認識は、その物が依存性のある薬理作用をもつ有害な薬物であることを未必的であれ認識していれば足ります。
大麻取締法違反においても、大麻に関する認識は、それが大麻であることを未必的にせよ認識していれば足ります。
大麻の学名や成分、薬理効果などについて正確に把握している必要はなく、大麻という名称の他にもマリファナなどの認識で足ります。
大麻大麻取締法により規制されていることを知らなかった場合は、法の不知にあたり、アサが大麻取締法の規制を受ける大麻に該当することを知らなかった場合は、あてはめの錯誤にとどまり、それ自体で故意を阻却するものとはなりません。

大麻の単純所持の場合、初犯であればいきなり実刑が言い渡される可能性はそう高くはありません。
しかし、営利目的での大麻輸入した場合には、前述のように法定刑も加重され、初犯であっても実刑となる可能性は高いでしょう。
営利目的を否認しているのであれば、単にそのように主張するだけでは、輸入した量から考えても、なかなか合理的な主張とはならないでしょう。
客観的な証拠に基づき営利目的ではない旨の主張をしっかりとしていくことが重要です。

大麻取締法違反事件でご家族が逮捕されお困りであれば、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見のご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。

覚せい剤所持事件で故意を否認

2019-11-19

覚せい剤所持罪故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県たつの市に住むAさんは、ある日突然兵庫県たつの警察署の家宅捜索を受けました。
自宅から覚せい剤が見つかったとして、Aさんは覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持罪)の疑いで逮捕されました。
Aさんは、取調べにおいて、「知人から借金の担保として預かっていただけで、自分で使用したり誰かに売ったりする気は一切なかった。」と供述しています。
(フィクションです)

覚せい剤所持罪について

覚せい剤の所持については、覚せい剤取締法第14条で次のように禁止されています。

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。
一 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚せい剤を所持する場合
二 覚せい剤製造業者が覚せい剤施用機関若しくは覚せい剤研究者に覚せい剤を譲り渡し、又は覚せい剤の保管換をする場合において、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第二項に規定する信書便(第二十四条第五項及び第三十条の七第十号において「信書便」という。)又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚せい剤を所持する場合
三 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚せい剤を所持する場合
四 法令に基いてする行為につき覚せい剤を所持する場合

覚せい剤製造業者等の一定の資格を有する者が所持する場合などを除いて、覚せい剤の所持行為を禁止しています。
覚せい剤所持罪は、①覚せい剤を、②みだりに、③所持すること、によって成立します。

①覚せい剤

覚せい剤の定義については、覚せい剤取締法第2条第1項で次のように規定されています。

第二条 この法律で「覚せい剤」とは、左に掲げる物をいう。
一 フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
二 前号に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するもの
三 前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

②みだりに

「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
つまり、第14条に規定されるような除外事由が存在するときは、所持罪の構成要件該当性が阻却され、本罪は成立しません。

③所持

所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)

また、所持罪が成立するためには、故意、つまり、覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。

所持罪の故意について

覚せい剤所持罪が成立するには、「覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること」が必要となります。

他人の覚せい剤所持していたケースでは、「自分のために置いていたのではない!」といった故意否認をすることが多くあるようです。
しかし、覚せい剤所持罪の成立には、積極的に覚せい剤を自己または他人のため保管する意思、自ら所有し又は使用、処分する意思などは必要でなく、ともかく覚せい剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立すると解されます。
ですので、上記ケースにおいては、Aさんは「知人から借金の担保として預かっていただけで、自分で使用したり誰かに売ったりする気は一切なかった。」と供述しています。
Aさんは自分のための持っていたんじゃないと容疑を否認していますが、この内容からすると「覚せい剤」を借金の担保として知人から預かっていたとなり、自分のために自宅においていたかどうかは問題ではなく、「覚せい剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していた」と言え、所持故意は認められるでしょう。
また、そもそも預かった物を「覚せい剤」であるとは知らなかった場合にはどうでしょう。
これについては、所持していた物が「覚せい剤」であることを少なくとも未必的には認識・認容している必要があります。
つまり、所持していた物が「覚せい剤である」と確信していた場合のみならず、「覚せい剤かもしれない」「なんらかの有害で違法な薬物かもしれない」との認識・認容を有していた場合もアウトです。

覚せい剤所持事件は、初犯であれば執行猶予付き判決となる可能性もありますので、覚せい剤所持事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年事件:家庭裁判所送致されたら

2019-11-16

少年事件:家庭裁判所送致されたら

少年事件として家庭裁判所送致された後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加東市に住むAさんは、乾燥大麻を所持した疑いで兵庫県加東警察署に逮捕されました。
10日の勾留の後に、神戸家庭裁判所姫路支部送致されました。
Aさんの両親は、逮捕の連絡を受けてすぐに少年事件に精通する弁護士に弁護を依頼しており、家庭裁判所送致後も同弁護士に付添人として動いてもらうよう頼んでいます。
(フィクションです)

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を管轄の家庭裁判所送致しなければなりません。
これを「全件送致主義」と呼び、少年保護の専門機関である家庭裁判所に、少年に対して如何なる処遇が適当であるかの判断をゆだねるものです。
少年事件では、成人の刑事事件における起訴猶予や微罪処分のような捜査機関で事件が終了するといったことはありません。

被疑者段階で逮捕・勾留されている少年が家庭裁判所送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、「観護措置」をとるか否かを決定します。

観護措置について

「観護措置」は、家庭裁判所が調査・審判を行うため、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護する措置です。
観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置(在宅観護)と、少年鑑別所に送致する措置(収容観護)の2種類がありますが、実務上前者はほとんど活用されていません。
被疑者段階で身体拘束を受けた少年については、家庭裁判所送致後も引き続き少年鑑別所に収容する観護措置がとられることが多くなっています。

調査について

家庭裁判所では、審判に付すべき少年について、事件の調査が行われます。
実施される調査には、非行事実の存否等に関する調査(法的調査)と要保護性に関する調査(社会調査)とがあります。
社会調査は、家庭裁判所の調査官によって行われます。
調査官は、少年や少年の保護者と面会したり、学校に文書等で照会を行う等して調査を行います。
調査官は、実施した調査の結果とそれに基づく処遇意見をまとめた少年調査票を作成し、裁判官に提出します。
調査官の意見は、裁判官が少年に対する処分を決定する際に参考にされるため、最終的な処遇に大きく影響します。

審判について

家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときには、審判開始決定をしなければなりません。
観護措置がとられている事件については、調査官に対する調査命令と審判開始決定が同時になされ、審判期日が指定されるのが実務上の運営となっています。
審判開始決定がなされると、審判期日が指定されます。
審判には、裁判官、書記官、調査官、少年本人、少年の保護者、付添人が出席します。
審判では、非行事実についての審理が行われた後に、要保護性の審理が行われます。
続いて、調査官・付添人の処遇意見の陳述が行われ、少年の意見陳述が続きます。
最後に、裁判官より決定が言い渡されます。
審判にかかる時間は、非行事実に争いがなく、1回の審判で決定まで言い渡す事件の場合、40~50分程度となります。

少年事件は、成人の刑事事件とは異なる手続に基づいて処理されるため、少年事件についての相談・依頼は、少年事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こし、対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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覚せい剤取締法違反で起訴~公判手続の流れ~

2019-10-27

覚せい剤取締法違反で起訴~公判手続の流れ~

公判手続の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県神戸市須磨区に住むAさんは、覚せい剤取締法違反の疑いで兵庫県須磨警察署に逮捕されました。
逮捕・勾留後に、神戸地方検察庁は同罪で神戸地方裁判所公判請求を行いました。
Aさんは、公判手続の流れについて、弁護人に説明を受けています。
(フィクションです)

検察官が裁判所に対して公判請求を行うと、裁判所、検察官、被告人・弁護人が出席し公開の法廷で審理を行うことになります。

公判期日における手続は、(1)審理手続、そして、(2)判決の宣告手続とに大きく分けられます。

1.審理手続

審理手続は、①冒頭手続、②証拠調べ手続、③弁論手続から成ります。

①冒頭手続
冒頭手続とは、(a)人定質問、(b)起訴状朗読、(c)権利告知、(d)被告人および弁護人の陳述という手続からなるものです。

人定質問
裁判長は、出席した被告人に対し、人違いでないことを確かめるため、被告人の氏名・年齢・職業・住所・本籍などを質問します。

起訴状朗読
人定質問に続いて、検察官が起訴状を朗読します。
これは、裁判所に対して審理の対象を、被告人に対して防御の対象を明らかにするために行われるものですので、起訴状に記載されている公訴事実、罪名、罰条が朗読されます。

権利の告知
裁判長は、被告人に対して、黙秘権やその他の権利を告知します。

被告人および弁護人の陳述
裁判長は、被告人および弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければなりません。
この際に、被告人に対し、起訴状の記載内容に間違いはないどうかを尋ね、公訴事実の認否をさせ、争点を明確にします。

②証拠調べ手続
裁判所が書証や証人等の証拠を取り調べる手続で、最初に検察側から立証が行われ、その後被告人側の立証が行われます。
証拠調べ手続は、検察側の立証が先立ち、(a)冒頭陳述、(b)証拠調べ請求、(c)証拠調べ請求に対する意見、(d)証拠決定、(e)証拠調べとなり、次に弁護側の立証に移り、(a)証拠調べ請求、(b)証拠調べ請求に対する意見、(c)証拠決定、(d)証拠調べ、(e)被告人質問という流れとなります。

冒頭陳述
証拠調べの始めに、証拠により証明すべき事実を明らかにするための手続です。
これは、証拠調べの冒頭で検察官に事件の全貌を明らかにする主張を行わせることにより、裁判所に対し、審理方針の樹立及び証拠の関連性等の判断材料を提供するとともに、被告人の防御の便に資するようにする趣旨に基づくものです。
検察官の冒頭陳述の後に、裁判所の許可を得て、被告人・弁護人も冒頭陳述をすることができます。

証拠調べ請求
検察官、被告人及び弁護人の請求に基づき証拠調べの請求がなされます。
証拠調べとは、証人などの尋問、証拠書類・証拠物の取調べ、検証、鑑定などをいいます。

証拠決定
証拠調べ請求に対して、裁判所は、証拠調べの決定または請求却下の決定を行います。
証拠決定を行うにあたって、裁判所は、請求に基づく場合は相手方の意見を聴きます。

証拠調べ
証拠書類や証拠物の取調べ、証人尋問、鑑定人の尋問などを実施します。

被告人質問
被告人は黙秘権を有しているので、終始沈黙したり、ここの質問に対し供述を拒むことができます。
被告人が任意でした供述は、証拠となります。

③弁論手続
証拠調べ手続が終ると、検察官は事実および法律の適用について意見を陳述しなければなりません。
これを「論告」といいます。
検察官が有罪を主張する際、量刑についても意見を述べるのが通常であり、この意見を「求刑」といいます。
被告人・弁護人は、最後に意見を陳述する機会が与えられています。

2.判決の宣告手続

判決は、公判廷において宣告し、これを告知します。
裁判長が、主文および理由を朗読し、または主文の朗読と同時に理由の要旨を告げなければなりません。

公判では、無罪や無実を訴える、執行猶予や減刑を求めるなど争い方も事件により異なります。
公判における弁護活動については、法廷における弁護士の技術が判決結果に大きく影響を与えることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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