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元彼女を連れ去り 生命身体加害目的略取罪で逮捕
元彼女を連れ去り 生命身体加害目的略取罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件内容
加古川市に住むAさんは、1か月ほど前まで交際していた女性が、自分と別れてすぐに別の男性と交際し始めたことを共通の知人から聞き、交際中に浮気をしていたのではないかと疑念を抱いていました。そんな中、車で走行中に偶然、元彼女を見つけたAさんは、元彼女を追及してやろうと思いつき、路上で元彼女に声をかけると、無理矢理車に押し込んで拉致してしまったのです。
その様子を目撃した通行人が110番通報したらしく、元彼女を乗せて車を走行させていたAさんは、それからしばらくして加古川警察署の警察官に職務質問を受け、生命身体加害目的略取罪で逮捕されてしまいました。※フィクションです。
生命身体加害目的略取罪とは
生命身体加害目的略取罪は、生命身体加害目的誘拐罪とともに、刑法225条に規定されている法律で、違反して有罪が確定すると「1年以上10年以下の懲役」が科せられます。
法定刑に罰金が規定されていない非常に厳しい犯罪で、起訴されて有罪が確定した場合は、執行猶予を得なければ刑務所に服役しなけらばなりません。
生命身体加害目的略取罪の成立には、犯人が生命身体加害目的を有することが必要とされています。
ここでいう生命身体加害目的とは、自己または第三者が被害者を殺害・傷害・暴行する目的を意味します。
ちなみに略取罪と誘拐罪の違いは、人を生活環境から不法に離脱させて、自己・第三者の事実的・実力的支配化におく際の手段の違いです。
欺罔・誘惑を手段とした場合が誘拐罪となり、それ以外の暴行や脅迫その他を手段とした場合が略取罪となります。
生命身体加害目的略取罪で逮捕されると
生命身体加害目的略取罪で警察に逮捕されると、取調べ後に警察署の留置場に収容されるでしょう。
収容されるのは、捜査を担当している警察署の留置場となるケースが大半ですが、女性の場合や、共犯者と共に逮捕されている場合は、別の警察署の留置場に収容されることになります。
そして48時間以内に検察庁に送致されて、勾留が決定する可能性が高いでしょう。
勾留期間は10日から20日ですが、弁護活動次第では、勾留期間を短縮させることも可能です。
起訴されると
生命身体加害目的略取罪で起訴された場合は、その後の刑事裁判で刑事罰が決定します。
先述したように、生命身体加害目的略取罪には罰金の規定がないので、事実を認めている場合、裁判では執行猶予を目指すようになるでしょう。
そのために最も有効なのは被害者との示談です。
被害者に謝罪し、示談が成立している場合は、執行猶予を得る可能性が高くなります。
刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、兵庫県内で刑事事件を起こしてしまったからの ご相談 や、ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方からの 初回接見サービス を承っております。
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口座売却・譲渡で刑事事件に
口座売却・譲渡で刑事事件に発展する事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
Aさんは、金遣いが荒く、金融機関から借り入れを行うなどしていました。
簡単に稼ぐ方法はないかと、インターネットで探していたところ、預金通帳・キャッシュカードの高額買取を謳う広告を見つけ、さっそく相手方に連絡をとりました。
すると、△△銀行の口座を開設するように指示され、Aさんは指定された銀行の口座を開設しました。
そして、手に入れた銀行のキャッシュカードを指定された住所に送ると、Aさんが指定した銀行口座に5万円が振り込まれました。
しばらくしたある日、△△銀行から、Aさんが開設した口座が犯罪に使用されているため凍結した旨の連絡を受けました。
Aさんは、犯罪に使われたことは身に覚えがないと回答しましたが、△△銀行から、口座売却・譲渡は犯罪に当たるため、後日警察から連絡があると言われ、心配になったAさんは、警察に行く前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
口座売却・譲渡は犯罪です
ネット上で、銀行口座の売却や譲渡を募る書き込みやメッセージを見たことがある方は、少なくないのではないでしょうか。
銀行の預金通帳やキャッシュカードを渡すだけで、融資を受けたり、高額な報酬を得られるなんて、おいしい話だと飛びついてしまう方もいらっしゃいますが、銀行口座の売却や譲渡は法律で禁止されており、違反した場合には刑罰が科せられることになる犯罪行為なのです。
以下、(1)他人に売却したり、使用させる目的で、銀行口座を新たに開設し、その銀行の預金通帳やキャッシュカードを他人に売却・譲渡した場合と、(2)もともと自分で持っていた銀行の預金通帳やキャッシュカードを他人に売却・譲渡した場合とに分けて、どのような罪が成立する可能性があるのかについて説明します。
(1)他人に売却したり、使用させる目的で、銀行口座を新たに開設し、その銀行の預金通帳やキャッシュカードを他人に売却・譲渡した場合
自分の名義で銀行の預金口座を開設することは、何ら違法なことではありません。
しかし、銀行は、その規定等によって、預金口座の契約者に対して、預金契約に関する一切の権利、通帳、キャッシュカードを名義人以外の第三者に譲渡、質入れさせまたは利用させるなどすることを禁止しています。
そのため、銀行側において、契約者が、他人に預金口座を売却する、または他人に使用させる目的で口座を開設しているとわかっていれば、口座を開設させることはありません。
しかし、契約者が、その目的を秘して、自分で利用するために口座開設を申し込んだ(積極的に自分のための口座開設であることを申し込み時に主張していることまで必要とされず、預金口座の開設等を申し込むこと自体、申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する意思があることを示しているものと理解されます。)のであれば、それを信じて銀行が口座の開設や、預金通帳・キャッシュカードの交付に応じた場合、契約者による口座開設の申し込み行為は、銀行を騙す行為(欺罔行為)であり、騙された銀行が、当該契約者の真意を知っていれば応じなかった行為、つまり口座の開設や預金通帳・キャッシュカードの交付が行われ、契約者は、預金通帳・キャッシュカードを取得するに至っており、詐欺罪が成立するものと考えられます。
(2)もともと自分で持っていた銀行の預金通帳やキャッシュカードを他人に売却・譲渡した場合
他方、もともと自分自身が利用する目的で適法に開設した銀行の預金口座の預金通帳やキャッシュカードを他人に売却したり、譲渡した場合には、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、「犯罪収益移転防止法」といいます。)に違反する可能性があります。
①自分の預金口座を、他人がなりすまして利用することを知った上で売却・譲渡した場合
自分名義の預金口座を、他人が自分になりすまして利用することを認識していながら、当該口座の預金通帳やキャッシュカードを売却したり譲渡した場合には、犯罪収益移転防止法第28条2項前段に当たり、それに対する罰則は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方となります。
②自分の預金口座を他人がどのように利用するかを知らずに、売ったり有償で貸したりした場合
相手方が自分名義の預金口座を自分になりすまして利用することを認識していなかった場合であっても、通常の商取引または金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で通帳やキャッシュカードを売ったり、貸したりした場合には、犯罪収益移転防止法第28条2項後段で規定されている行為に当たり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
以上のように、口座の売却や譲渡は、犯罪に当たる可能性があります。
売却・譲渡した口座が特殊詐欺などの犯罪に利用されている場合には、遅かれ早かれ捜査機関に発覚することとなります。
そうなれば、口座の名義人は、捜査機関の取り調べを受けることになります。
問題の行為が上の犯罪に当たるか否かは、行為の目的をどのように認識していたかに依拠するため、銀行や警察から連絡を受けた場合には、速やかに刑事事件に強い弁護士に相談し、刑事手続を理解し、取り調べ対応についてのアドバイスを受けるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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覚醒剤所持の再犯 執行猶予の可能性は?
覚醒剤所持の再犯で起訴された事件を参考に、一部執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
Aさんは、3年前、神戸地方裁判所で覚醒剤の使用および所持で懲役1年6月執行猶予3年が言い渡されました。
その後、Aさんは覚醒剤とは縁を切り、真面目に仕事をしていました。
しかし、職場の人間関係のトラブルから強いストレスを感じるようになったAさんは、再び覚醒剤に手を出すようになりました。
そして、Aさんは、兵庫県葺合警察署に、覚醒剤所持の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは、再び覚醒剤に手を出してしまったことを大変後悔していますが、今度こそは実刑になるのではと不安でなりません。
(フィクションです。)
覚醒剤の使用および所持については、10年以下の懲役が法定刑となっています。
懲役刑というのは、刑務所に収容され、刑務作業を負う刑罰のことです。
懲役刑が執行されると、刑務所に収監されることになります。
ただ、刑の執行が猶予されると、直ちに刑務所に収監されることはなく、社会で通常の生活を起こることができます。
言い渡された刑の執行が猶予されることを「執行猶予」といいます。
執行猶予について
執行猶予は、判決で刑を言い渡すにあたり、一定の期間その刑の執行を猶予し、その猶予期間中罪を犯さず経過すれば、刑の言い渡しの効力を失わせる制度です。
執行猶予の要件
執行猶予には、刑の全部の執行猶予と刑の一部の執行猶予とがありますが、まずは前者の要件について説明します。
刑の全部の執行を猶予することができるのは、
①前に禁固以上の刑に処せられたことがない者、または、
②前に禁固以上の刑に処せられた者であっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑の処せられたことがない者
が、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金の言い渡しがなされる場合です。
この場合、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間で刑の全部の執行を猶予することができます。
覚醒剤の使用・所持の法定刑は10年以下の懲役ですので、3年以下の懲役を言い渡すことは可能です。
初犯であれば、執行猶予が付くことが多いようです。
覚せい剤事件で再度の執行猶予の可能性は?
覚醒剤のような薬物事犯は、残念ながら再犯率が高いです。
上のケースのように、執行猶予期間中に再び薬物に手を出してしまう事案は少なくありません。
実は、執行猶予期間中に再び罪を犯してしまった場合でも、再度執行猶予となる可能性はあります。
それを「再度の執行猶予」といいます。
再度の執行猶予となるには、以下の要件を全て満たす必要があります。
①前に刑の全部の執行猶予が付された懲役または禁固の判決を受けていること。
②執行猶予期間中に、1年以下の懲役または禁錮の判決を受けること。
③情状に特に酌量すべきものがあること。
④保護観察中に罪を犯したものでないこと。
覚醒剤事件では、初犯で懲役1年6月執行猶予3年となるのが相場となっています。
再犯の場合、1年以上の懲役の判決が言い渡される可能性が極めて高く、覚醒剤事件で、再度の執行猶予となる可能性はかなり低いと言えるでしょう。
一部執行猶予について
執行猶予期間中に覚醒剤の再犯で有罪判決を受けた場合、実刑となる可能性は極めて高いです。
しかしながら、実刑の場合にも、刑の一部の執行を猶予することを目指すという選択肢もあります。
服役期間の一部の執行を猶予する「一部執行猶予制度」は、2016年6月から施行されています。
一部執行猶予を定めているのは、刑法と、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律です。
◇刑法上の一部執行猶予◇
(1)前科要件
・初めて刑に服する者。
・禁固以上の前科の執行終了または免除後、5年以内に禁固以上の刑に処せられていない者。
(2)宣告刑
3年以下の懲役または禁固。
(3)再犯防止の必要性・相当性
犯情の軽重及び犯人の境遇その他の事情を考慮して、再犯防止に必要かつ相当であること。
◇薬物法上の一部執行猶予◇
(1)前科要件
刑法、大麻取締法、毒物及び劇物取締法、覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法及びあへん法に定める薬物使用等の罪を犯した者。
(2)宣告刑
3年以下の懲役または禁錮。
(3)再犯防止の必要性・相当性
刑法上の要件に加えて、刑事施設内処遇に引き続き、薬物依存の改善に資する社会内処遇を実施する必要性があること。
こちらは、保護観察が必要的に付されます。
一部執行猶予は、全部実刑と比べると、刑務所に服する期間が短くなる等のメリットがあります。
他方、ほぼすべての一部執行猶予に保護観察が付されるため、全部実刑に比べ、服役期間と出所後の猶予期間の全体をみれば、公的機関の干渉を受ける期間は長い等といったデメリットもあります。
一部執行猶予を目指すべきか否かは、刑事事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、覚醒剤事件も含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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路上で女性に痴漢 不同意わいせつ罪で逮捕
路上で女性の体に触った痴漢事件で、不同意わいせつ罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
高校生のA君は、高校からの帰宅途中の路上で、歩いていた女性のお尻を触って逃げるといういわゆる痴漢行為を、数か月前から何度か繰り返していました。
そうしたところ、ある日の朝、自宅を訪ねてきた警察官に「不同意わいせつ罪」で逮捕されてしまったのです。
※実際の事件報道を参考にしたフィクションです。
路上痴漢事件
参考事件は、典型的な路上痴漢事件ですが、痴漢罪という法律はなく、痴漢行為は、迷惑防止条例違反や刑法で規定されている不同意わいせつ罪となります。
不同意わいせつ罪は、昨年に施行されたばかりの新しい法律で、それまでは「強制わいせつ罪」とされていましたが、成立要件、規制内容が大きく変わり、不同意わいせつ罪となって新たに施行されました。
A君のような少年の場合は、警察に逮捕されたとしても、警察や検察による犯罪捜査が終われば家庭裁判所に送致されて、少年法に則って手続きが進むので、刑事罰が科せられることはありません。(逆走された場合は刑事罰が科せられることもある。)
少年事件の終わり
成人の場合だと、刑事手続きは、何らかの刑事罰が確定するか、検察官が不起訴を決定したところで刑事手続きが終了しますが、少年事件の場合はどうでしょうか?
少年事件の手続きの終わりは、家庭裁判所の少年審判で処分が言い渡されることによって終了します。※少年審判が開かれない(審判不開始)の場合もある。
少年事件の処分
少年審判で決定する処分は以下のとおりです。
不処分
家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができないと認めた場合、または保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならないとされており、この決定を、不処分決定といいます。
保護観察
保護観察とは、少年を施設に収容することなく、社会の中で生活させながら、保護観察所の指導監督及び補導援護という社会内処遇によって、少年の改善更生を図ることを目的として行う保護処分のことをいいます。
児童自立支援施設等送致
児童自立支援施設送致が選択される少年は、少年院送致が選択される少年と比べると、非行性が進んでおらず、少年自身の素養よりも保護者が養育を放棄していたり、少年を虐待していたりするなど家庭環境等に問題がある場合です。
少年院送致
少年院では、特別の場合以外は外出を許さず、非開放的な施設で生活させ、規律ある生活に親しませて生活訓練を行い、規律に違反した者に対しては懲戒を行うなどして、少年に対して矯正教育を授ける施設です。
少年院送致は、少年の自由を拘束する点で保護処分のうち、最も厳しい決定といえます。
検察官送致(逆送)
家庭裁判所は
①少年が20歳以上であることが判明したとき
②犯行時の年齢が16歳以上で故意の犯罪行為によって被害者を死亡させる事件を起こしたとき
③特定少年(犯行時の年齢が18歳、19歳)が、死刑、無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件を起こしたとき
④調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるとき
は、事件を検察官に送致を決定しなければならないとされています。
少年事件に強い弁護士
少年事件の手続きは、成人の刑事手続きとは異なり、特殊ですので、少年の弁護活動や付添人活動については、少年法に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、これまで数多くの少年事件の手続きに携わってきた実績がございますので、少年事件にお困りの際はぜひ、ご相談ください。
車で男性を引きずり 殺人未遂罪等で逮捕
車で男性を引きずったとして、殺人未遂罪等で逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件内容
会社員のAさんは、姫路市内の市道を車で走行中に、バイクに乗った男性とトラブルになり口論をしてしまいました。その後、Aさんはその場を離れようと車に乗り込み車を発進させようとしたのですが、相手の男性は、それを阻止しようと、車の運転席の窓に手をかけてきたのです。しかしAさんは、そのまま車を急発進させ、運転席のドアにしがみついている男性を100メートル以上も引きずりました。その結果、事件を起こして数日後に、殺人未遂罪と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で兵庫県飾磨警察署に逮捕されました。
それでは上記の事件について解説します。
殺人未遂罪
殺人未遂罪とは、人を殺そうとした時に適用される法律で、「人の命を奪おうとする」という意味で非常に悪質な犯罪として、厳しい刑事責任に問われる可能性が高いでしょう。
殺人未遂罪の刑事責任は、殺人罪の法定刑「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」が適用されますが、未遂なので刑法第43条に規定されている「未遂減免」の適用を受け、減軽されるでしょう。
報道によりますと、今回逮捕された男は、警察の取調べに対して「殺すつもりはなかった」と供述しているようです。
この供述は、殺人(未遂)罪の成立に絶対的に必要とされる「殺意(殺人の故意)」を否定している内容です。
もし、この供述のとおりであれば逮捕された男の刑事責任は「傷害罪」が限界となるでしょうが、実際に人がドアにしがみついていることを認識しながら車を走行させていたとなれば「殺してやろう」という明確な殺意までないにしても、「このまま車を走行させたら、しがみついている男性が手を離した際に死んでしまうかもしれない。」ということぐらいは認識できた可能性があり、その場合は、殺人についての未必の故意が認められるかもしれません。
今後はどうなるの?
今回逮捕された容疑は、殺人未遂罪と、道路交通法違反(ひき逃げ)です。
上記したように殺人未遂罪は、非常に厳しい刑事罰の予想される事件ですので、10日~20日の勾留を受けて警察署の留置場で過ごすことになるでしょう。
そして勾留の満期と共に、検察官が起訴するかどうかを決定します。
起訴された場合は、保釈が認められない限り、起訴後の勾留が続くでしょうが、不起訴処分となった場合は、釈放されるでしょう。
また罪名が、傷害罪に変更された場合は、略式命令による罰金刑となり罰金の納付とともに刑事手続きが終了する可能性もありますが、被害者を車で100メートル以上も引きずったという犯行の悪質性から略式命令による罰金刑となる可能性は低いでしょう。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
警察に逮捕されてしまった方の早期釈放や、刑事処分の軽減を求める方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の初回接見サービスをご利用ください。
闘病中の妻を殺害 嘱託殺人罪で逮捕
闘病中の妻を殺害したとして、嘱託殺人罪で逮捕された事件を参考に、嘱託殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
兵庫県赤穂市に住むAさんは、病気の妻を介護するために、1年前に、それまで勤めていた会社を早期退職し、妻を介護しています。
しかし数カ月前から妻の体調が悪く、妻から「もうこれ以上生きていくのは苦しい。私が寝ている間に首を絞めて殺してくれないか。」と懇願されていました。
苦しむ妻の姿を見ているのが辛くなったAさんは、ある日、寝ている妻の首を絞めて殺害しました。
犯行後、Aさんは兵庫県赤穂警察署に自首し、そこで逮捕されました。
(フィクションです)
嘱託殺人罪
刑法第202条に、自殺関与及び同意殺人についての規定があります。
同意殺人とは、本人の意思に反しない死の惹起に関与する行為を処罰するものです。
同意殺人は、嘱託殺人罪と承諾殺人罪に分かれます。
嘱託殺人罪とは、被殺者から行為者に対して自らの殺害を依頼して、その依頼に基づいて行為者が被殺者を殺害する事です。
当然、被殺者の自らの殺害依頼は、被殺者の真意に基づき、かつ明示的なものでなければならず、これらが欠けての殺害行為は、刑法第199条の殺人罪が成立します。
嘱託殺人罪は、被殺者による、自身に対する殺人教唆に基づく殺人罪とみることができます。
続いて承諾殺人罪ですが、これは行為者が被殺者に殺害を申し出て、行為者が被殺者の承諾を得て殺害する行為です。
承諾殺人罪は、被殺者による被殺者本人に対する殺人幇助に基づく殺人罪とみることができます。
ちなみに被殺者の承諾は、殺害行為の前になされていなければなりませんが、それは必ずしも明示的である必要はなく、黙示的でもよいとされています。
嘱託殺人罪で起訴されると、6月以上7年以下の懲役又は禁固が科せられる可能性がありますが、被害者の同意を得て、被害者の真意に基づいての殺害行為であることから、刑法第199条の殺人罪に定められた「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」に比べると相当軽い処罰規定となっています。
早期に弁護士を派遣
ご家族、知人が嘱託殺人罪で逮捕された方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼する事をお勧めします。
刑事事件を専門に扱う、法律に精通した弁護士から取調べのアドバイスを受けていただく事によって、逮捕された方の不安を取り除く事ができます。
特に嘱託殺人罪は、「人を殺す」という行為では殺人罪と変わらないため、取調べにおいて供述する内容は注意しなければなりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、電話で初回接見を依頼していただく事ができ、刑事事件に強い弁護士が即日対応いたします。
初回接見サービスをご希望の方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
川西市のスーパー銭湯における窃盗事件で川西警察署に逮捕されたら~①~
川西市のスーパー銭湯における窃盗事件で川西警察署に逮捕された場合の、刑事手続きの流れ等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
Aさんは、川西市にあるスーパー銭湯をよく利用するのですが、ある日、脱衣所で服を着ていたところ、他の客がロッカーの中に入れていた財布が目に入りました。
魔が差したAさんは、その財布を自分のポケットに入れ、すぐに脱衣所を後にしました。
被害者は銭湯のスタッフに財布を盗まれたことを報告したらしく、すぐに警察に通報されてスーパー銭湯には、兵庫県川西警察署の警察官が臨場し防犯カメラ映像の分析などの捜査をしていました。
既にその時Aさんは帰宅していたのですが、駐車場において現金を抜き取った財布を投棄している状況が防犯カメラに映っていたらしく、その映像が証拠となってAさんは窃盗罪で逮捕されてしましました。
(フィクションです)
脱衣所での窃盗
温泉等の温浴施設の脱衣所は、ロッカーなどの防犯設備がしっかりしていれば問題ありませんが、古い温泉などでは設備が不十分なこともあり、自分の責任でしっかり防犯対策を取る必要があります。
しかし、防犯対策が不十分だった場合、Aさんのように貴重品を盗んでしまうという事態が起きてしまう可能性があります。
財布を盗んだAさんには、窃盗罪が成立します。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
今後の刑事手続きの流れ
逮捕されてしまったAさんですが、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されるでしょう。
その間、まずは警察官の取調べを受け、その後に検察庁に送致されて検察官の取調べ(弁解録取)を受けることになります。
検察官が、取調べや警察から送られた資料を見て「この被疑者は逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と考えた場合、勾留請求を行います。
勾留請求がなされると、今度は裁判官がAさんから事情を聞き(勾留質問)、やはりこの被疑者は逃亡や証拠隠滅のおそれがあると考えた場合は、勾留決定がなされます。
勾留決定がなされると、さらに10日間の身体拘束を受けることになります。
この勾留期間はさらに10日間まで延長(合計で20日間まで)されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、懲役や罰金などの刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
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~次回の「川西市のスーパー銭湯における窃盗事件で川西警察署に逮捕されたら~②~」に続く~
大麻所持事件 職務質問から1年以上して逮捕
職務質問で押収されてから1年以上が経過して逮捕された大麻所持事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
Aさんは、1年以上前に、神戸三宮の繁華街で兵庫県葺合警察署の警察官から職務質問をされて、その際に、カバンの中に隠し持っていた乾燥大麻を押収されました。
その乾燥大麻は、職務質問を受ける数時間前に友人からもらったものでしたが、使用する前に押収されてしまったのです。
職務質問の際に警察官から「この乾燥大麻を鑑定して大麻成分や違法薬物の成分が検出されたら逮捕するかもしれない。」と言われていたので、Aさんは逮捕されることを覚悟して日常生活を送っていましたが、1年以上が経過しても警察官が来なかったので、もう逮捕されることはないのではないかと、最近は安心していました。
しかし、数日前にアルバイトに行こうと自宅を出たところで、張り込んでいた警察官に声をかけられて逮捕されてしまったのです。
(実話を基にしたフィクションです。)
この参考事件はフィクションですが、実際に職務質問で大麻が警察に押収されて、1年以上も経過してから逮捕されることはあるのでしょうか?
レアなケースですが、実際にそういったことはあります。
鑑定に時間がかかるの?
鑑定にはそれほど時間はかかりません。
乾燥大麻であれば、早ければ1日、遅くても1週間以内に鑑定結果は出るでしょうし、様々な違法薬物の成分を鑑定する場合でも1ヶ月もかかることは滅多にありません。
どうして時間がかかるの?
考えられる理由の一つとしては逮捕状を請求するのに時間がかかってしまう事でしょう。
警察は、鑑定結果が出たからと言ってすぐに犯人を逮捕できるわけではなく、今回のように、押収から時間が経過している場合、警察官は、逮捕状を裁判官に請求し、逮捕状を取得しなければ犯人を逮捕できません。
この逮捕状を請求する準備に時間がかかってしまうために、犯人の逮捕が遅れるという事はよくあるようです。
逮捕までの間にできることは?
今回のようなケースですと、大麻が押収されてから実際に逮捕されるまでの間に、弁護士相談し、できることなら弁護人として選任しておいた方がよいでしょう。
そうすることによって、警察に対して、逮捕せずに在宅で捜査するように交渉することができますし、逮捕されたとしても、逮捕後の釈放が早くなる可能性があります。
また仮に違法な手続きな行われていた場合、職務質問時の記憶が鮮明なうちに弁護士にその時の状況を相談しておけば、その後の手続きによる不利益を最小限にとどめることができます。
薬物事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、薬物事件に関するご相談を初回無料で受け付けております。
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またフリーダイヤルでは、警察に逮捕されてしまった場合に、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス も受け付けております。
名誉棄損の疑いで逮捕 親告罪と示談について
名誉棄損の疑いで逮捕された事件を参考に、親告罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~事例~
兵庫県赤穂警察署は、元交際相手の男性を中傷するビラをばらまいたとして、Aさんを名誉棄損の疑いで逮捕しました。
Aさんは、男性から性的被害を受けたなどと書いたビラを男性の勤務先に郵送したことを認めています。
Aさんは嫌がらせ目的で行いましたが、今は反省しており、男性に謝罪したいと思っており、接見に来た弁護士に相談しています。
(フィクションです。)
親告罪とは
Aさんは、名誉棄損の罪に問われています。
名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に、その事実の有無にかかわらず成立する罪です。
名誉棄損罪は、「親告罪」と呼ばれる罪です。
「親告罪」というのは、被害者等の告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない罪のことです。
親告罪が設けられているのは、被害者の意思を無視して訴追する必要性がなく、訴訟の場において被害者の名誉がさらに侵害されるおそれがあるため、訴追の有無を被害者の意思にかからせることが適当と判断されるからです。
名誉棄損罪は親告罪ですので、告訴がなければ起訴することができないというわけです。
「告訴」というのは、被害者等が、検察官や司法警察員に犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示のことです。
告訴を似ているものとして「被害届」がありますが、被害届は被害を受けた事実を申告するのみであって、犯人の処罰を求めるという点で告訴と異なります。
告訴をすることができるのは、原則として被害者となりますが、被害者が未成年の場合には、親権を有する父親や母親も告訴することができます。
被害者が死亡したときは、被害者の遺族も告訴することができます。
不起訴を目指した示談交渉
先の述べたように、名誉棄損罪は親告罪です。
告訴がなければ公訴を提起することができません。
つまり、被害者が告訴しなければ、不起訴で事件が終了するということです。
名誉棄損事件で不起訴の獲得を目指す場合には、被害者との間で示談を成立させることが何よりも重要です。
「示談」というのは、一般的に、加害者が被害者に対して被害弁償を行う一方、被害者は被害届を提出しない、告訴を取下げるなど、当事者間では今回の事件は解決したと約束することです。
被害者との間で交渉し、告訴を行わない、あるいは、告訴を取下げるとの内容で合意することができれば、検察官は当該被疑者について不起訴処分とします。
不起訴処分獲得には欠かせない示談ですが、示談交渉は弁護士を介して行うのが一般的です。
被害者と面識がない場合には、捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手しますが、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
加害者が被害者の連絡先を知っている場合でも、被害者が加害者との直接交渉を望まないことも多々ありますし、仮に交渉に応じたとしても、当事者同士の話し合いは感情的になり難航するケースが多く見受けられます。
その点、弁護士との交渉であれば、連絡先を教えてくれたり、話し合いに応じてもらえることが多く、話し合いも冷静に行うことができます。
加害者側も、直接被害者と交渉することに不安を感じ、弁護士を介した示談交渉にメリットを感じられる方も少なくありません。
刑事事件における示談交渉は、刑事事件に強く示談交渉に豊富な経験のある弁護士に任せるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
名誉棄損事件で被害者との示談交渉でお悩みであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
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死体遺棄罪で逮捕 執行猶予を目指す弁護活動
死体遺棄罪で逮捕された方の執行猶予を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
フリーターのA子さんは、パパ活で知り合った男性と肉体関係をもち妊娠してしまいました。
妊娠したことを家族や友人にも相談できなかったA子さんは、病院にも行かず、結局自宅で出産をすることになってしまったのです。
しかし、出産後しばらくして生まれてきた子どもは死んでしまい、どうすればよいかわからなくなったA子さんは、自宅近くにあるコンビニのトイレに子どもの遺体を置き去りにしたのです。
この事はすぐに発覚し、A子さんは兵庫県網干警察署に死体遺棄罪で逮捕されてしまいました。
A子さんの両親は、捜査を担当している兵庫県網干警察署の捜査員から「娘さんは犯行を自供していますし、コンビニ店内の防犯カメラ映像からも娘さんの犯行であることは間違いありませんん。」と言われました。
A子さんんが起訴されてしまうと感じた両親は、刑事裁判で執行猶予を獲得できる弁護士を探しています。
(この事例はフィクションです。)
死体遺棄罪
死体を遺棄した場合、刑法第190条の死体遺棄罪となります。
第190条
「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」
死体遺棄罪の対象となるのは「死体」で、身体の一部や、人の形体を備えた死胎を含むとされています。
「遺棄」とは通常、場所的移転を伴い、死体の現存する場所から他の場所に移動させて放棄することを指しますが、ほかにも、葬祭の義務を有する者が社会通念上埋葬と認められない方法で放棄することも含まれます。
A子さんの行為は、この死体遺棄罪に該当するでしょう。
また今後は、生まれてきた子供が死亡するに至った経緯についても取調べを受けることになり、死体遺棄罪以外の刑責も追及される可能性があるので、早めに弁護士のアドバイスを受ける事をお勧めします。
執行猶予
死体遺棄罪の法定刑は、「3年以下の懲役」と罰金刑が規定されていないため、起訴されると、刑事裁判を受けることになってしまいます。
刑事裁判において弁護士は、事実関係を争う場合は、無罪を目指した活動を行いますが、事実関係を認めて無罪を目指すことができない状況では、この執行猶予を目指していきます。
刑の全部の執行猶予は刑法第25条第1項に規定されており、裁判の確定日から「1年以上5年以下」の期間、その刑の執行を猶予することができるとされています。
刑の全部の執行猶予を受けることができるのは、
前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
前に禁固以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者
とされています。
上記の者が「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の言い渡し」を受けた場合に執行猶予となる可能性があります。
まずは弁護士を派遣
死体遺棄事件で逮捕されてしまった場合には、できる限り早く弁護士を選任し、取調べのアドバイスを受けるようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部は、死体遺棄事件の弁護活動に対応している刑事事件専門の弁護士が多数在籍していますので、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する、初回接見サービスをご利用の方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。