痴漢事件の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
会社の飲み会の帰りに電車に乗車したAさんは、膝上のスカートをはいた若い女性の隣に座りました。
酒に酔っていたこともあり、Aさんは気が大きくなって、眠っている様子の女性の太ももやお尻を手で何度も触りました。
電車を乗り換えるため下車したAさんでしたが、後から女性が追いかけてきて、「痴漢しましたよね。駅員室に行きましょう。」と声をかけられ、女性に腕を掴まれたAさんは、抵抗することなく駅員室に行きました。
その後、Aさんは駆け付けた警察官に逮捕され、兵庫県芦屋警察署に連れて行かれました。
翌朝、逮捕の連絡を受けたAさんの家族は、会社には「体調が悪く休む。」とだけ連絡を入れましたが、このまま釈放されなければ会社に発覚してしまうのではと大変心配しています。
Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に身柄解放活動について相談しました。
(フィクションです)
刑事事件を起こし逮捕されたら
あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
被害者から被害届が提出された、目撃者からの通報を受けた、警察の職務質問から発覚した、などなど、事件が捜査機関に発覚するケースは幾つか考えられますが、捜査機関が事件を認知すると、捜査が開始されます。
被疑者が特定されれば、被疑者に対する取調べが行われることになりますが、被疑者の身体を拘束する理由や必要性があると判断された場合には「逮捕」されます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも、被疑者の身柄、書類や証拠物とともに事件を検察に送る(これを「送致」といいます。)かを決めます。
検察に送致した場合には、検察官が被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放する、もしくは勾留請求を行います。
検察官が勾留請求を行うと、今度は、請求を受けた裁判官が被疑者を勾留するか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合、被疑者は、検察官が勾留請求を行った日から原則10日、延長が認められれば最大で20日もの間、留置場で身柄が拘束されることになります。
身柄解放活動
このように、逮捕から勾留まで3日ほどしかありません。
「逮捕された!」と思ったら、あっという間に勾留となり、長期間の身体拘束を余儀なくされてしまう可能性があるのです。
長期の身体拘束は、退学や解雇といった結果を生じさせる可能性も高く、その後の生活にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのような事態を回避するためにも、早期の釈放に向けた身柄解放活動を行うことが重要です。
(1)勾留が決まる前
勾留が決まる前の段階においては、検察官や裁判官に対して勾留請求・勾留をしないよう働きかけることが重要です。
具体的には、勾留の要件を満たさないことを主張した意見書を客観的な証拠と共に検察官や裁判官に提出したり、検察官や裁判官と面談しその旨を伝えます。
これにより、検察官が勾留請求をせず被疑者を釈放したり、検察官が勾留請求したとしても裁判官がこれを却下することにより被疑者が釈放される可能性を高めることができます。
(2)勾留が決まった後
一旦勾留が決まってしまっても、勾留を決定した裁判に対する不服申立てを行うことが法律で認められています。
ここでも、勾留の要件を満たさないため勾留とした原裁判は取り消されるべきであり、検察官が行った勾留請求も却下されるべきであるとの主張を展開することになります。
痴漢事件の場合、容疑を認めており、家族などの身元引受人による釈放後の監視監督が期待できるなど、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断されれば、早期に釈放される可能性はあります。
逆に言えば、痴漢事件であっても、否認している場合や、被害者に接触するおおれがあると判断されると、身体拘束が長引く可能性もあります。
ですので、痴漢事件だと軽く考えずに、ご家族が逮捕されたのであれば、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、身柄解放活動を依頼されるのがよいでしょう。
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