痴漢で少年事件

痴漢で少年事件

痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県丹波市の路上で、会社から帰宅途中の20代の女性に対して、背後から近づき胸を触ったとして、市内に住む中学生のAくん(14歳)が兵庫県丹波警察署に任意同行を求められました。
取調べを受けて、その日のうちに帰宅したAくんとAくんの両親は、今後の対応に不安を覚え、少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
Aくんは、容疑を否認しているとのことです。
(フィクションです)

痴漢行為は何罪に?

人に対して、その意思に反して、衣類の上から胸やお尻などに触れたり、衣類の中に手を入れて下着や身体を触る行為を「痴漢」といいます。
痴漢は、混み合う電車やバスといった公共交通機関で行われるケースが多いですが、上記ケースのように、路上で追い越し際に何者かに身体を触られるケースも少なくありません。
痴漢は、その犯行様態によって、成立し得る犯罪は異なります。

迷惑防止条例違反
兵庫県の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下、迷惑防止条例)は、卑わいな行為等を禁止しており、痴漢行為はこの卑わいな行為等に該当する可能性があります。
迷惑防止条例の該当条文をみてみましょう。

第3条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)人に対する、不安を覚えさせるような卑わいな言動

まず、迷惑防止条例では、卑わいな行為等が禁止されている場所は、「公共の場所又は公共の乗物」に限定されています。
この「公共の場所」には、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場などが含まれており、路上も「公共の場所」となります。
また、「不安を覚えさせるような卑わいな言動」とは、「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」をいうと理解されています。
衣服の上から胸を触る行為は、卑わいな行為等に該当するでしょう。
痴漢行為での迷惑防止条例違反の罰則は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
常習として違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

強制わいせつ罪
痴漢行為であっても、刑法上の強制わいせつ罪が成立する可能性もあります。
強制わいせつ罪の規定をみてみましょう。

第176条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

こちらは、「暴行・脅迫を用いて」「わいせつな行為」をした場合に成立します。
ただし、13歳未満の者にたいしては、「暴行・脅迫」による手段は問われません。
ここでいう「暴行・脅迫」は、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要となります。
また、「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。

どのような行為が迷惑防止条例違反、或いは、強制わいせつ罪となるのかは、犯行時の状況等も総合的に考慮されて判断されることにはなりますが、一般的には、衣類の上から胸・お尻等を触った場合には、迷惑防止条例違反となり、下着の中に手を入れて身体を触った場合には、下着の中に手を入れる行為を暴行とみて強制わいせつ罪が適用されるようです。
上記ケースにおいて、Aくんが被害女性を追い越しざまに、被害者の胸を触ったのであれば、迷惑防止条例違反が適用されると考えられるでしょう。
もし、被害者を背後から羽交い絞めにした上で服の中に手を入れて胸を触ったとしたら、強制わいせつ罪に問われる可能性があるでしょう。

少年事件においては、原則刑罰が科されることはありませんが、すべての事件が家庭裁判所に送られ、少年の更生に適した処分が下されることになります。
少年事件の手続は、成人の刑事事件の手続とは異なりますので、少年事件に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件・刑事事件を専門に扱う全国でも数少ない法律事務所です。
少年事件に精通する弁護士が、少年一人ひとりに合った活動を行い、少年の更生に向けて尽力致します。
お子様が事件を起こしてお困りの方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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