兵庫県加東市の強制わいせつ事件で弁護士 性的意図なくても強制わいせつが成立!?

兵庫県加東市の強制わいせつ事件で弁護士 性的意図なくても強制わいせつが成立!?

兵庫県加東市に住むAさんは、知人から金を借りるために、13歳未満の女児の体を触っている様子を携帯電話で撮影するなどしたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反及び強制わいせつの容疑で兵庫県加東警察署に逮捕されました。
Aさんは、「金を借りる条件として言われたことをやっただけ。性的意図はなかった。」と容疑を一部否認しています。
(産経ニュース2017年11月29日10時51分掲載記事を基にしたフィクションです)

強制わいせつ罪における主観的要素とは?】
強制わいせつ罪は、刑法第176条に規定されています。
「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」
13歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合には、暴行や脅迫をしていなくとも強制わいせつ罪が成立することになります。
強制わいせつ罪が成立するためには、「行為」と「故意」が必要となります。
《行為》
強制わいせつ罪の行為は、
①13歳以上の者に対する場合は、「暴行又は脅迫」を用いて「わいせつな行為」をすること、
②13歳未満の者に対する場合は、「わいせつな行為」をすること、
です。
《故意》
強制わいせつ罪の故意は、上記の行為をすることの認識・容認の他に、主観的要素である性的意図が必要であると理解されていました。
つまり、その行為が犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図のもとにおこなわれることが必要となっていました。
この理解は、昭和45年1月29日の最高裁判例に基づくものであり、当該裁判例では、被害者を脅迫して裸にし、写真撮影をしたが、もっぱら報復・侮辱・虐待などの意図にでた場合には、強制わいせつ罪は成立しないとしました。
しかし、2017年11月29日の最高裁判決は、強制わいせつ罪の成立には性的意図は不要であるとの判断しました。
同被告事件の1審神戸地裁は、「犯人の性的意図の有無によって、被害者の性的自由が侵害されたか否かが左右されるとは考えられない」とし、昭和45年の最高裁判例は「相当ではない」と判断し、2審大阪高裁も支持していました。
約半世紀ぶりの判例変更となり、各メディアも大々的に報道しています。
この最高裁判決により、今後は性欲を満足させる考えがない場合でも、性的自由を侵害する行為であれば強制わいせつ罪に問われる可能性が出てくるでしょう。

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