兵庫県川辺郡猪名川町の殺害予告事件 業務妨害で取調べを受ける前に弁護士に相談
殺人予告事件で業務妨害となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
インターネット上の掲示板に、兵庫県川辺郡猪名川町内の駅で無差別殺人を起こすという殺害予告の書き込みがありました。
Aさんは、兵庫県川西警察署から呼び出しを受けており、取調べを受ける前に、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
殺害予告は業務妨害罪?
「●月×日に、△△で無差別に殺害します」などといった他人に対して危害を加えることを予告することは、脅迫罪や業務妨害罪に該当することがあります。
《脅迫罪》
「脅迫罪」は、相手方またはその親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加えることを告知して人を脅迫することにより成立する犯罪です。
脅迫罪の保護法益は、個人の意思決定の自由です。
脅迫罪における「脅迫」というのは、恐怖心を生じさせる目的で、相手方またはその親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対し、害を加えることを告知することです。
告知する害悪の内容は、相手方の対応および客観的状況から判断して、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものであることが必要となります。
脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円の罰金です。
特定の個人に対して殺人予告などをした場合には、脅迫罪に問われる可能性があります。
《威力業務妨害罪》
一方、爆破予告や無差別殺人予告の場合には、脅迫の対象が広範囲に及び、警察や対象とされた機関への「業務妨害」などに問われることがあります。
「業務妨害罪」は他人の業務を妨害することで成立する犯罪ですが、妨害の方法により、「偽計業務妨害」と「威力業務妨害」に分かれます。
「偽計業務妨害罪」とは、虚偽の風説の流布または偽計を用いて、人の業務を妨害する犯罪です。
つまり、嘘のうわさを流したり、人を騙したりすることで、業務を妨害するものです。
「威力業務妨害罪」は、威力を用いて人の業務を妨害する犯罪です。
ここで言う「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を抑圧するに足りる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を抑圧されたことは必要としません。
これらの犯罪は、異なる手段によって人の業務を妨害する犯罪です。
その手段である「偽計」と「威力」は、相手の錯誤を誘発する行為である「偽計」と、相手の意思を抑圧する行為である「威力」として区別されます。
これらの区別はしばしば困難ですが、概ねそれが有形的な方法か無形的な方法かで区別されていると言えるでしょう。
この点、爆破予告や殺害予告のように、一見言葉や情報などの無形的な方法で相手の業務を妨害している場合でも、そのような予告メールや電話は、脅迫という有形的な行為が威力とされることが多く、威力業務妨害罪に問われることがあります。
偽計業務妨害罪および威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
このように、いたずらのつもりでネットに殺害予告や爆破予告を書き込むと、犯罪が成立してしまう可能性があるのです。
兵庫県川辺郡猪名川町の殺害予告事件で、警察から呼び出しを受けてお困りの方、取調べにどのように対応してよいのかお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。