自転車事故

自転車事故の危険性

自転車は、老若男女誰もが、免許なしで利用することのできる便利な乗り物です。
全国各地いたるところで自転車が利用されています。

しかし、自転車も速いものでは時速30㎞程度の速度が出ますし、そのような速度で生身の人間と衝突すれば、相手に大怪我を負わせたり、場合によっては死亡させるといった大事故につながることもあります。

実際、自転車の対人事故が増加してきており、問題視されています。

自転車で人身事故を起こした場合

過失傷害罪

過失により人を傷害した場合は、30万円以下の罰金又は科料となります(刑法209条)。

過失致死罪

過失により人を死亡させた場合には、50万円以下の罰金となります(刑法210条)。

重過失致傷罪

重大な過失によって人を死傷させた場合、5年以下の懲役若しくは禁錮、又は100万円以下の罰金が科せられます(刑法211条)。

救護義務・危険防止措置義務・報告義務違反(ひき逃げ)

交通事故があったときは、負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置を取り、警察に事故について報告しなければなりません。
これに違反すると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります(道路交通法117条2項)。

自転車による人身事故が発生した場合には、刑法上の過失傷害罪や過失致死罪、重過失致死傷罪の適用が問題となります。

自動車の場合であれば、自動車運転死傷行為処罰法によって刑罰に問われますが、自転車には自動車運転死傷行為処罰法に相当する特別法が規定されていないため上記のような刑法上の規定によって処罰されます。

もちろん、事故を起こした場合に、酒酔い運転をしていたり、ひき逃げをしたような場合では、道路交通法上の罪についても刑責を問われることとなります。

最近では、自転車事故に関する任意保険も増えてきました。
民事責任として損害賠償金を支払うという際に、非常に役に立ちます。

しかし、実際の利点はそれだけではありません。被害者に対する被害弁償や早期の示談金の支払いは、刑事責任を回避・軽減することにつながります。

したがって、刑事責任が問題となる場面においても、任意保険に加入しているかそうでないかは、非常に重要なのです。

自転車について刑法以外の法規制

自転車は、道路交通法上、軽車両という形で規定されています。
軽車両には自転車のほかにも、エンジンが付いておらずかつ免許を要しない乗物が含まれます。自動車と比べるとやや少なくなるものの、自転車についても多くの道路交通法上の規制があります。

具体的には、道路交通法上、自転車による酒酔い運転やひき逃げなどは自動車の場合と同じ法定刑の下で処罰対象とされています。
その他にも、自転車による信号無視や通行禁止違反、一時停止違反、追い越し方法違反、整備不良等、様々な規制が設けられています。
これらのほとんどには罰則が設けられています。罰則が設けられていないものには、交差点進入禁止違反や酒気帯び運転などがあります。

ここで注意しないといけないのは、自転車の場合、軽微な違反であっても、検挙されてしまうと全てが刑事手続きとなってしまう点です。
自転車には、自動車やバイクのような行政上の交通反則金制度がありません
通常、皆さんが想起される青切符ではなく、全て赤切符の対象となっています。

自転車の交通違反の場合、その態様が軽微なものが多く捜査機関側も軽々に立件することは少ないですが、交通違反の態様が悪質である場合や死傷事故などの被害結果が大きい場合には、刑事罰に問われる可能性が出てきます。

刑事処罰の対象となり、罰金や懲役判決を受ければ、自転車での交通違反でも前科が付くことになりますので、大いに注意が必要です。

~自転車事故における弁護活動~

被害弁償・示談交渉

自転車事故事件では、自動車事件よりも比較的被害の程度が軽微であることが多いです。
このような場合は、被害者と早期に示談を成立させることにより、不起訴処分を得られる可能性が高まります。

被害が深刻な場合でも、被害者の方に誠心誠意謝罪をするとともに、賠償することで、許しが得られることもあります。
被害者との示談は、穏便な処分へとつながるため、非常に重要です。

無罪の主張

自転車における人身事故で罪に問われるのは、過失が認められる場合です。
通常の過失に止まる場合は、略式手続きによる罰金処分が科せられることが多いですが、重大な過失があるとされれば、重い刑責が問われます。

もっとも、自転車の運転上、避けようとしても避けることのできなかった事情があるような場合には、過失は否定されます。
そのような事情がある場合には、事故当時の運転状況や事故態様、被害者の行動、現場の状況などから、事故を起こした運転者に不注意がなかったことを説得的に主張し、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。

減刑(情状)の主張

事件につき争いがない場合であっても、容疑者に有利な事情を客観的な証拠に基づいて主張することによって、起訴猶予による不起訴処分、執行猶予付き判決や減刑を勝ち取ることができる可能性があります。

具体的には、被害者との示談成立ことや、十分に反省していること、二度と事故を繰り返さないように具体的な防止策や環境づくりに取り組んでいることなどの事情を主張していきます。

 

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