覚醒剤輸入事件で故意否認

覚醒剤輸入事件で故意否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~事例~
兵庫県警察は、兵庫県神戸市東灘区に住むAさんを覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いで再逮捕しました。
約1か月前に税関で化粧品等と申告されていた荷物の中に大量の覚醒剤が見つかりました。
兵庫県警察は中身を他の物に入れ替えて配送し、当該荷物を受け取りに来たAさんを麻薬特例法違反の疑いで現行犯逮捕していました。
Aさんは、調べに対し、「友人から荷物を送るからと言われており、指示通り受け取っただけ。中身が覚醒剤であるとは全く知らなかった。」と容疑を否認しています。
(フィクションです。)

覚醒剤輸入事件

覚醒剤取締法は、「覚醒剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締りを行う」ことをその目的としています。

覚醒剤輸入については、覚醒剤取締法13条で、「何人も、覚醒剤輸入し、又は輸出してはならない。」と規定されており、その輸出入について絶対的に禁止しています。
これに違反した場合の罰則は、1年以上の有期懲役と厳しいものになっています。
また、営利の目的で輸入した場合は、無期若しくは3年以上の懲役、又は事情により1000万円以下の罰金を併科することとされています。

ここで規制対象となる行為である「輸入」とは、覚醒剤取締法自体で定義してはいませんが、一般的に「輸入」とは国外から日本国内へ物品を搬入することと理解されています。
しかし、どの段階に至ったときに日本国内に搬入されたと考えることができるか、という点については様々な見解がありますが、海路又は空路による場合は、船舶から覚醒剤を日本領土内へ陸揚げした時点又は航空機の場合は機内から地上へ持ち出された時点で日本国内に搬入されたとする陸揚げ説が通説・判例となっています。

故意の否認

覚醒剤輸入罪を含む覚醒剤取締法違反が成立するためには、まず当該犯罪の対象となった薬物が覚醒剤でなければなりません。
これについては、捜査機関が当該対象物件が覚醒剤であるかどうかについて正式な鑑定をすることで明らかになります。
そして、覚醒剤取締法違反は故意犯ですので、罪を犯す意思(=故意)がなければ犯罪は成立しません。
覚醒剤取締法違反の成立には、被疑者が当該対象物件が覚醒剤であることの認識を有していたことが必要となります。
上の事例でいえば、Aさんが受け取った荷物(もしくはその一部)が覚醒剤であると知っていることが求められるのであって、Aさんが覚醒剤であると知らなかった場合には覚醒剤輸入罪は成立しないことになります。
この点、Aさんが覚醒剤であることの認識がどの程度あれば犯罪成立となるのか、が問題となります。
覚醒剤輸入罪については、その構成要件が「覚醒剤輸入すること」であり、故意としては、自分が輸入する対象物が覚醒剤であることを、少なくとも未必的には認識・認容している必要があります。
故意の内容としては、未必的な認識・認容で足りるため、「これは覚醒剤かもしれないし、他の違法薬物かもしれない。」と認識・認容していた場合には、故意が認められます。

このような故意については、人の心の内のことですので、捜査機関は、故意があったと認定できるような状況証拠を収集し犯罪の立証にかかります。
例えば、Aさんと覚醒剤の送り主などの関係者との事前のやり取り、Aさんや関係者の前科前歴などを収集し、取調べにおいてAさんに送られてきた荷物が覚醒剤であることを知っていたのではないかと問いただすことが想定されます。

しかしながら、全く知らなかった場合には、その旨をしっかりと主張し、自己に不利な供述がとられることがないよう対応する必要があります。
そのためにも、早期に弁護士に相談するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
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