家庭内暴力(DV)で刑事事件
家庭内暴力(DV)で刑事事件となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県神戸市西区に妻と長男(2歳)と暮らす会社員のAさんは、普段はとても温厚な性格ですが、酒に酔うと気が荒くなり、妻からの小言に対し、妻に物を投げつけたり、妻の顔を殴るなどの暴行を加えることが多々ありました。
ある夜、酒に酔って帰ってきたAさんに対し、「帰りが遅い」「子供の面倒をもっと見てほしい」などと妻が言ってきたため、Aさんはカッとなり妻の顔面を思いっきり殴ってしまいました。
妻は殴られた衝撃で床に倒れ、頭部から出血が確認されました。
妻は自ら救急車を呼びましたが、搬送先の病院から兵庫県神戸西警察署に通報され、Aさんは傷害罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
家庭内暴力(DV)事件
近年、家庭内暴力(DV)により大きな怪我を負ったり、死亡してしまう事件が社会的に問題となっています。
一昔前までは、家庭内の出来事については警察も介入することがそう多くはありませんでしたが、残虐な暴力により幼い命が犠牲になった事件が相次ぎ、警察も家庭内の問題、特にDV事件については積極的に介入するようになりました。
DVに関する特別法として、DV防止法があります。
DV防止法(正式名:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」)は、平成13年に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、都道府県における配偶者暴力相談支援センターの機能の充実、配偶者からの暴力発見者による通報等の仕組みの整備、裁判所の保護命令制度の創設等を内容として制定・施行されました。
DV法における「配偶者からの暴力」とは、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響力を及ぼす言動」と定義されています。(DV防止法1条1項)
「配偶者」というのは、婚姻の届出をしていない「事実婚」も含まれ、男性、女性を問いません。
離婚後も引き続き暴力を受ける場合も、「配偶者」に含まれます。
「配偶者からの暴力」とは、身体に対する暴力である「配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの」、又は「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」が含まれます。
後者に当たるものとしては、脅迫にあたるような言動や、精神的暴力、性的暴力が挙げられます。
また、配偶者や元配偶者だけでなく、生活の本拠を共にする交際する関係にある相手からの暴力及びその被害者についても、本法は準用されます。
DVの被害者の申立てにより、裁判所が、被害者の生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、身体に対する暴力や生命等に対する脅迫を行った配偶者等に対して、一定期間、被害者又は被害者の子や親族等へのつきまとい等の禁止、住居からの退去等をさせるために発する命令を「保護命令」といいます。
この保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
この保護命令には、接近禁止命令、退去命令、子への接近禁止命令、親族等への接見禁止命令、電話等禁止命令の5つがあります。
また、被害者が警察に相談し、被害の届出を行った場合には、警察は刑事事件として捜査を開始します。
問われ得る刑事責任は、暴力の態様によって異なりますが、主に以下のような犯罪が成立する可能性があるでしょう。
身体的暴力:傷害罪、暴行罪
精神的暴力:脅迫罪、名誉棄損罪
性的暴力:強制性交等罪
家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら
家族に対して暴力を振るい、刑事事件の被疑者として逮捕されると、被害者との関係から、逮捕後勾留が付き、長期の身体拘束を余儀なくされる可能性が高いでしょう。
ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談し弁護を依頼されるのがよいでしょう。
事件を認めている場合には、反省し二度と同じようなことを行わないことを誓約した上で、被害者との接触をしない・できない環境を整え、身体拘束をする必要がないことを主張します。
一方、事件を認めない場合には、疑われている犯罪が成立しない旨を客観的な証拠と共に説得的に主張し、不起訴(罪とならず、嫌疑なし、嫌疑不十分)や無罪を狙います。
逮捕されてから勾留されるまでの間は、逮捕された方の家族であっても面会することはできません。
逮捕された方は、どのように対応すればよいのか分からず自己に不利な供述をしてしまうこともありますので、逮捕されたらすぐに弁護士に接見を依頼してください。
ご家族が家庭内暴力(DV)事件で逮捕されたら、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に詳しい弁護士が、逮捕された方のところに行き接見を行います。
詳しくは、フリーダイアル0120-631-881までご連絡ください。
(兵庫県神戸西警察署までの初回接見費用:37,400円)