危険ドラッグ~薬物の認識~
危険ドラッグの薬物の認識について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
兵庫県三田市に住むAさんは、兵庫県三田警察署の家宅捜索を受けた後に、三田署へ連行され、医薬品医療機器等法違反の容疑で逮捕されました。
取調べでは、知人のBさんから購入した危険ドラッグについて聞かれましたが、Bさんからは「合法なもので、リラックス効果があるアロマのようなもの」だと聞いていたAさんは、それが危険ドラッグだとは知らなかったと供述しました。
しかし、取調べでは「違法薬物の認識があっただろう」と詰められており、どう対応すればよいか分からず困っています。
(フィクションです)
危険ドラッグとは?
覚せい剤や大麻が法律で厳しく規制されていることは、みなさんご存知のことと思います。
有名人による薬物事件が相次いで報道される昨今、薬物に対する認識も高まっています。
それでは、「危険ドラッグ」についてはどの程度その危険性を認識されているのでしょうか。
覚せい剤は覚せい剤取締法で、大麻は大麻取締法で規制されていますが、「危険ドラッグ」は危険ドラッグ取締法なるもので規制されてはいません。
「危険ドラッグ」は、医薬品医療機器等法で規制されています。
一般的に「危険ドラッグ」は、覚せい剤、大麻、麻薬、向精神薬、あへん及びけしがらなどの規制薬物または医薬品医療機器等法第2条15項に規定する指定薬物に化学構造を似せて作られ、これと同様の薬理作用を有する物品と定義されます。
規制薬物や指定薬物を含有しない物品であるといいながら、実は違法な成分が含まれていたり、違法な成分が含まれていないけれども規制薬物や指定薬物よりも有害な成分が含有している場合もあり、非常に危険なものです。
「危険ドラッグ」には、乾燥植物片状、粉末状、液体状、固体状と様々な形態があり、「合法ハーブ」「アロマ」「リキッド」「お香」などと称して販売されています。
ネットでも簡単に購入することもできるため、それほど危険なものではないと誤認し、輸入する、使用するケースも少なくありません。
このような「危険ドラッグ」自体を医療機器等法が規制しているわけではなく、同法における「指定薬物」に該当する「危険ドラッグ」が規制対象となります。
指定薬物とは?
それでは、医療機器等法でいう「指定薬物」とはどのようなものなのでしょうか。
医療機器等法第2条15項は、以下のように「指定薬物」について定義しています。
15 この法律で「指定薬物」とは、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。以下「精神毒性」という。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に規定する大麻、覚せヽ いヽ剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に規定する覚醒剤、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に規定する麻薬及び向精神薬並びにあへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に規定するあへん及びけしがらを除く。)として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
このような指定薬物については、疾病の診断、治療又は予防の用途や人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用することを禁止されています。
違反に対する罰則は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその両方です。
業として行った場合は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はその両方と加重されます。
規制薬物との認識がない場合は?
「危険ドラッグ」を「合法」「違法でない」ものと言われ所持・使用したというケースも少なくありません。
犯罪が成立するためには、所持・使用等していたものが規制薬物であると認識していたことが必要となります。
ですので、規制薬物の認識がなければ罪に問うことはできません。
といっても、単に「合法だと思っていました!」と言うだけで責任を免れることは難しいのです。
「ちょっと怪しいけど、ま、いっか。」と少しでも違法なものかもしれない程度の認識があれば罪は成立する可能性があります。
使用した状況や入手した経緯などから、規制薬物であると想像できたはずだと判断されることもありますので、危険ドラッグで逮捕されたらすぐに弁護士にしましょう。
弁護士に事件の詳細を説明し、取調べに対してどのように対応すべきかについてきちんとアドバイスを受けることが何よりも大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が危険ドラッグで逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881まで。