口座売買で犯罪収益移転防止法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
~ケース~
ネットの掲示板で「口座を売ってください。」という書き込みを見た留学生のAさんは、留学期間を終えて帰国する予定だったので、開設していた自分名義の口座を売ることにしました。
その後、Aさんは、銀行からAさんの口座が犯罪に利用されていたため凍結したとの連絡を受けました。
驚いたAさんは、友人に相談したところ、口座の売買が犯罪となることを聞きました。
心配になったAさんと友人は、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
口座売買
インターネットやダイレクトメールで、「銀行口座一口を高値で買い取ります」といった甘い言葉で口座売買を勧誘するケースが多発しています。
大金を稼ぐことが出来ないような主婦や学生を狙って、振り込め詐欺等の犯罪集団が、振込先の口座として使用することを目的に口座売買の話を持ち掛けることが多いようです。
最近では、留学生や技能研修生が、口座売買が法律で禁止されているとは知らずに、帰国前に口座を売ってしまうケースも多いようです。
日本語ではなく、彼らの母国語で口座売買募集のメッセージを挙げていること多く、国際的な犯罪組織が関係している可能性もあります。
しかし、自己又は他人名義の口座を有償又は無償で、譲り渡す又は譲り受けることは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(通称、「犯罪収益移転防止法」といいます。)によって禁止されています。
第二十八条 他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十六号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十七号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
自分の口座を、他人が自分になりすまして使うと認識して、預金通帳等を渡した場合、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科せられる可能性があります。(犯罪収益移転防止法第28条2項前段)
そして、他人がどのように口座を使用するかは知らなかったが、通常の商品取引・金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で預金通帳などを売ったり貸したりしてしまった場合でも、犯罪収益移転防止法第28条2項後段に当たります。
一方、他人に売ったり、貸すつもりで、新たに銀行の口座を開設し、開設した口座を他人に譲渡したり、販売した場合には、刑法上の詐欺罪に当たる可能性が高いです。
詐欺罪で起訴された場合、10年以下の懲役が科される可能性があります。
罰金刑は設けられていません。
口座売買で逮捕されたら
売買した口座が振り込め詐欺等の犯罪に利用されていた場合、捜査機関は口座を売った者も犯罪集団の仲間であると疑う場合があります。
そのような場合には、振り込め詐欺の共犯若しくは幇助犯としての嫌疑がかけられます。
組織犯罪が疑われる場合、逮捕に引き続き勾留となり長期間の身体拘束を強いられる可能性が高く、勾留と共に接見禁止に付されることもあります。
口座売買で逮捕されるのかご不安な方、ご家族が犯罪収益移転防止法違反で逮捕されてお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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