なりすましで不正アクセス禁止法違反

なりすまし不正アクセス禁止法違反となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
同僚の女性になりすまし、SNSで女性のアカウントにアクセスし、勝手にコメントやメッセージを送ったとして、兵庫県有馬警察署は被害者の同僚の男性Aさんを不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

不正アクセス禁止法とは

「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下、「不正アクセス禁止法」といいます。)は、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則や再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定めることにより、コンピュータ・ネットワークを通じて行われるコンピュータに係る犯罪の防止と、アクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として平成11年に制定された法律です。

不正アクセス禁止法は、その第3条において、「不正アクセス行為」を禁止しています。
ここでいう「不正アクセス行為」とは、以下の3つの場合をいいます。

①アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(不正アクセス禁止法2条4項1号)

②アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為。(同法2条4項2号)

③電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をしうる状態にさせる行為(同法2条4項3号)

ややこしい言葉がいろいろと出てきていますね。
順に解説しましょう。

インターネットに接続しているコンピュータのような「電気通信回線に接続している電子計算機」を「特定電子計算機」といい、特定電子計算機を電気通信回線を通じて利用することを「特定利用」といいます。
インターネットへの接続、電子メールの送受信、ウェブサイトの閲覧などが「特定利用」に当たります。
単に、電気通信回線を通じないで手元の端末機器を利用する行為は「特定利用」には当たりません。

コンピュータ・ネットワークにおいて、特定電子計算機を誰にどの範囲で特定利用をさせるのかについて管理する時、コンピュータでの情報処理の際に、特定利用をさせることを許可した相手方を識別できるようにするため、その相手方に対して、特定利用を許可した相手方ごとに異なったその相手方以外に用いることができない番号や記号などを与えることが必要となっています。
不正アクセス禁止法では、この番号や記号を「識別符号」と呼んでおり、IDやパスワードなどが含まれます。

ネットワークに接続されたコンピュータの動作を管理するアクセス管理者は、利用権利者等に識別符号を与えて、利用権利者等であるかを識別符号で認識し、識別符号が入力された場合にその利用を認めるという機能が「アクセス制御機能」です。

①は、他人の識別符号を無断で入力する、いわゆる不正ログインです。
②と③は、識別符号の入力によらずに、アクセス制御機能による特定利用の制限を免れる情報・指令を入力する、いわゆるセキュリティ・ホール攻撃といわれるものです。

①~③に該当する「不正アクセス行為」を行った場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

不正アクセス禁止法は、これらに「不正アクセス行為」の他にも、他人の識別符号を不正に取得する行為、不正アクセス行為を助長する行為、他人の識別符号を不正に保管する行為、識別符号の入力を不正に要求する行為を禁止しており、違反者に対しては罰則が定められています。

興味本位で他人になりすまし行為を行うと不正アクセス禁止法違反となる場合がありますのでご注意ください。

自分の行為が不正アクセス禁止法違反に当たるのではと心配されていらっしゃるのであれば、一度刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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