盗撮・のぞき

盗撮やのぞきで問われる罪・成立する犯罪

【兵庫県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(迷惑防止条例)】
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下、「写真機等」という。)を設置する行為をしてはならない。(兵庫県迷惑防止条例3条の2第2項)

何人も、集会所、事業所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用する場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、正当な理由がないのに、人の通常衣服で隠されている身体又は下着を写真機等を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機を向ける行為や写真機等を設置する行為をしてはならない(兵庫県迷惑防止条例3条の2第2項1号2号)。

何人も、正当な理由がないのに、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影し、撮影する目的で写真機等を向け、又は撮影する目的で写真機等を設置してはならない(兵庫県迷惑防止条例3条の2第3項)。
この規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(兵庫県迷惑防止条例15条)。

【軽犯罪法】
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者は、拘留又は科料に処する(軽犯罪法1条23号)。

盗撮やのぞきで捕まってしまった場合、通常は迷惑防止条例違反で立件されることになります。ただ、盗撮やのぞきをした場所や態様によっては、迷惑防止条例違反とならない場合もあります。その場合には、軽犯罪法違反に該当する可能性があります。

盗撮やのぞき事件では、初犯であれば、不起訴処分や罰金処分で済むことも多いですが、繰り返し捕まった場合や悪質な態様であった場合には、正式裁判により懲役刑が下されることもあります。

【性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律】

次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

2 前項の罪の未遂は、罰する。

3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

「盗撮罪」の成立

「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」は、いわゆる「盗撮罪」と呼ばれるものであり、これまで各都道府県の条例によって処罰されていた盗撮行為について、全国一律の「法律」という形式で、より重く処罰をするというものになります。

これまで各都道府県条例で処罰をしていた際には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」「6月以下の懲役又は50万円の罰金」という法定刑の範囲内で処罰されていましたが、今度からの盗撮罪においては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と非常に重い罪となります。

各要件については、条例違反で問題となっていた際と基本的には同じです。

基本的にはスカート内をひそかに撮影する行為(従前のカメラ等の設置行為は、未遂罪として処罰されることになると思われます)などが問題となりますが、法律化する際に追加されたものとして、不同意性交、不同意わいせつ罪をしている際の行為の撮影や、13歳未満の者の性的姿態若しくは13歳以上16歳未満の者を5歳以上年長の者が撮影した性的姿態が盗撮罪として処罰されることとなります(こちらは従前の児童ポルノと重なるところがあります)。

~盗撮・のぞき事件における弁護活動~

・ 示談交渉

盗撮やのぞき事件には、当然被害者が存在します。ですから、被害者の方に精神誠意謝罪をし、あるいは慰謝料という形で金銭的な賠償をすることで、被害者から許しを得られることができれば、事件の早期解決につながります。

盗撮やのぞきの被害にあわれた方は、盗撮された記録が残ることや見られたことなどで、加害者に強い嫌悪感や恐怖感を持つことが多いです。ですから、通常、被害者が加害者本人や加害者家族に直接会ってくれることは稀ですし、交渉も余計にこじれることがあります。示談交渉に当たっては、基本的に弁護士を通じて行うことをお勧めします。

・ 無罪の主張

盗撮・のぞき事件での冤罪を防ぐためには、被害者やその他目撃者の供述の信用性を争い、捜査機関が十分な証拠なく立件しようとしていることを強く主張していくことが必要です。また、決して虚偽の自白をしてしまわないように注意する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、逮捕後すぐに容疑をかけられた本人のもとに向かい、取調べにおける適切な対応をアドバイスすると同時に、独自の捜査により新たな目撃者やその他の客観的証拠を探し出し、依頼者の無実を証明します。

・ 再発防止や環境の改善

捜査の過程で、立件されている事件以外にも大量の盗撮画像や動画が発見されることがあります。過去にも繰り返し盗撮行為を行ってしまった場合などは、通常よりも重い処分となりやすいです。そして、常習的に盗撮を行ってしまう方の中には、ダメなこととはわかっていながら、自らをコントロールできずに繰り返してしまうケースが多いです。

そのような場合には、専門の医療機関への受診や治療が必要な場合もあります。二度と盗撮に手を染めないように、治療環境を整えることにより、根本からの改善を試みるように促します。再犯防止のための環境調整を図ることで、穏便な処分がなされるようアピールすることができます。

・ 早期の身柄解放

盗撮・のぞき事件で逮捕されてしまった場合、その後勾留されてしまうと、身柄拘束期間が長期にわたってしまうことがあります。身柄拘束が長く続くほど事件のことが周囲に知られるリスクが上がり、事件前の生活を取り戻すことは難しくなります。

そこで、逮捕されてしまった場合は、勾留されることを阻止し長期にわたる身柄拘束を回避することが重要です。そのためには、早期に弁護士に相談し適切な取調べ対応についてアドバイスを受けるとともに、早期に柄解放してもらえるように検察官や裁判官に交渉してもらうことが必要です。

~どんな場合に犯罪が成立するか~

ケース

Aさんは、兵庫県加西市に住むBさんの家の敷地内に入り、浴室にいたBさんを、スマートホンを使用して動画を撮影しました。

浴室にいたBさんをスマートホンで撮影する行為は盗撮行為です。しかし、Aさんが盗撮をした場所は、Bさんの家の敷地内ですからかつての条例で問題とされていたころは「公共の場所」性が問題となることがありました。

しかし、現在では問題なく盗撮罪の成立が認められます。

 

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