量刑不当で控訴

2020-04-04

量刑不当を理由とした控訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
傷害罪で神戸地方検察庁に起訴されたAさんに対して、4月4日、神戸地方裁判所は懲役5年の有罪判決を言い渡しました。
Aさんは、判決を量刑不当を理由に控訴するつもりですが、第一審の弁護人に控訴審もお願いするのか、刑事事件を専門とする弁護士に控訴審の弁護人をお願いすべきか悩んでいます。
(フィクションです)

控訴とは

裁判官といえども、人間である以上、裁判の内容に誤りがあったり、手続上の違法があったりする可能性も否定できません。
そのため、そのような誤りを是正する手段を講じる必要があります。
そのような手段の一つに、「上訴」があります。
「上訴」というのは、裁判を受けて不利益を被る者が、その裁判が確定してしまう前に、上級の裁判所に不服を申し立て、原裁判の変更や取消しを求めることです。

裁判に対する不服申立という点で、身柄解放活動として行う勾留に対する準抗告のような「準抗告」とも共通しますが、「上訴」は「上級の裁判所」に対する不服申立であるのに対して、「準抗告」は、「上級の裁判所」ではなく、「原裁判所とは違う裁判所」に対して行う点で異なります。

「上訴」のうち、第一審判決を不服として高等裁判所へ不服申立を行うものを「控訴」といいます。
控訴の申立てをすることができるのは、第一審判決を受けた当事者である検察官と被告人です。
他にも、被告人の法定代理人や保佐人、第一審の代理人や弁護人は、被告人のために控訴を行うことができます。
検察官は、不当と判断した全ての判決について控訴することができますが、被告人は、自己に利益な内容を主張して申し立てなければなりません。
つまり、原判決よりも重い刑を主張して控訴を申し立てることはできないのです。

控訴ができるのは、第一審判決が宣告された日から14日以内です。
上のケースであれば、4月4日に判決が言い渡されていますので、翌日の5日から数えて14日目である18日までであれば、控訴を申し立てることができます。

控訴が申立てられると、原判決の確定は阻止され、その執行は停止されます。
そして、事件は控訴審に係属します。

控訴を申立てると、定められた期限内に、控訴趣意書を控訴裁判所に提出しなければなりません。
控訴趣意書」とは、控訴の理由を簡潔に明示した書面です。
控訴審は、書面審理であるため、この控訴趣意書が審理を決する重要な要素となります。
控訴理由は刑事訴訟法377条以下に定められており、法定の控訴理由を主張しなかった場合、決定で控訴が棄却されます。

控訴理由

(1)訴訟手続の法令違反

刑事訴訟法277条および378条に列挙されている訴訟手続の法令違反については、原判決への影響の有無を問わず控訴の理由となります。
このような控訴理由を「絶対的控訴理由」と呼びます。
それ以外の訴訟手続の法令違反は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるときに控訴の理由とすることができます。
絶対的控訴理由に対して、後者は「相対的控訴理由」と呼ばれます。

(2)法令適用の誤り

認定された事実に対する実体法の適用を誤った場合、法令適用の誤りに該当します。
認定された事実に対して、適用すべき法令を適用しなかった場合、適用すべきてはない法令を適用した場合、法令の解釈を誤って適用した場合などです。
認定された事実に対する実体法の適用を誤ったことに加えて、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである場合に、控訴の理由とすることができます。

(3)刑の量刑不当

処断刑の範囲内での刑の量定が不当であることを理由に控訴することができます。
情状事実の誤認や評価の誤りといった裁量的加重減免、酌量減軽、刑種の選択や刑期の長短、刑の執行猶予、罰金の換刑処分、選挙権・被選挙権の停止・不停止等も量刑問題となります。

(4)事実の誤認

原判決の事実認定が論理即、経験則等に照らして不合理である場合であり、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであるときに、控訴の理由とすることができます。

(3)量刑不当、および、(4)事実の誤認を控訴理由として申し立てる場合、第一審の訴訟記録および証拠に現れている事実に加えて、一定の限度で控訴審での新証拠に基づく事実を主張することができます。
やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった証拠によって証明することのできる事実、あるいは、第一審の弁論取穴後判決前に生じた事実であり、量刑不当または事実誤認の控訴理由がある場合には、訴訟記録および原裁判所において取り調べた証拠に現れている事実以外の事実であっても、控訴趣意書に援用することができます。
量刑不当を主張する場合、原判決後に被害者との示談が成立したことは、被告人の有利に働きます。

単に、第一審で主張した事情を繰り返すことでは意味がありません。
量刑相場との対比、余罪の評価が適切であるか、前提事実に誤認がないか、原審の事情で正当に評価されなかったものはないか、被告人に有利となる弁論終結後の事情はないか、など注意深く検討する必要があります。

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