~再審とは~
再審は、有罪が確定した判決に対して、主として事実認定の不当を救済するために認められた非常救済手続きです。
判決が言い渡されてから、不服申立て期間の経過や不服申立てが功を奏しなかった場合、判決は確定します。
けれども、確定判決に重大な誤りがある場合にもこれを是正することができないとするのは、妥当ではありません。
そこで、一定の理由がある場合に限って、再審の制度が認められているのです。
そして、この再審は被告人の利益のためにのみ認められています。無罪判決が確定した場合には、争うことは出来ません。
なお、略式手続きによる罰金(略式命令)の場合も再審の対象になります。
~再審の理由~
1 第一審判決について認められる再審事由
有罪を言い渡した確定判決について、以下のいずれかの事由があった場合、再審が認められます(刑訴法435条各号)。
- 原判決の証拠となった証拠書類・証拠物が偽造・変造であったことが確定判決で証明された場合
- 原判決の証言、鑑定などが虚偽であっことが確定判決で証明された場合
- 有罪判決が虚偽告訴罪にあたる行為によるものであることが確定判決で証明された場合
- 原判決の証拠となった裁判が確定判決により変更された場合
- 特許権などを侵害した罪により有罪を言い渡した事件で、その権利が無効とされた場合
- 有罪判決を受けた者に無罪やより軽い罪などを言い渡すべきことが明らかな証拠が新たに発見された場合
- 裁判官や検察官、検察事務官、警察官が当該事件について職務犯罪をしていたことが確定判決で明らかになった場合
実務上、重要なのは6の理由による場合です。「明らかな証拠」とは、原判決の事実認定について合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいいます。
「新たに発見」とは、原判決後に発見されたものだけでなく、原判決以前から存在していた場合でも構いません。
2 控訴棄却判決・上告棄却判決の確定判決について認められる再審事由
①②及び原判決又は証拠書類の作成に関わった裁判官に⑦の事由があった場合
~再審の手続き~
再審の請求は、法定された請求権者が、再審の目的である確定判決をした裁判所に対して行います。
請求権者は、検察官、有罪の確定判決を受けた者、又はその者の法定代理人等、その者が死亡若しくは心神喪失状態の場合は配偶者や直系親族・兄弟姉妹が規定されています(刑訴法439条)。
再審には名誉回復、刑事補償の効果もありますので、請求に期間の制限はありません。
刑の執行が終わり、又はその執行を受けることがないようになった後も行うことができます。
再審請求がなされると、裁判所は請求が不適法かどうか、請求に理由があるかどうかを判断し、請求に理由があるときには、再審開始決定がなされます。
再審開始の決定がなされた場合、裁判所は刑の執行を停止することが出来ます。
再審開始決定が確定すると、審級に応じて原判決の手続きとは別に手続きがやり直されます。
再審において、無罪が言い渡された場合には、刑事補償の対象となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部では、再審事由が存在するかをしっかりと見極めたうえで、あなたとともに戦います。冤罪や不当な判決を受け、再審を検討されている方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。