少年事件と検察官送致

2020-04-02

検察官送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。

~ケース~
兵庫県加古川市に住むAくん(18歳)は、高性能爆薬を製造したなどとして、爆発物取締罰則違反などの非行内容で神戸家庭裁判所姫路支部に送致されました。
神戸家庭裁判所姫路支部は、刑事処分が相当として、検察官送致する決定を出しました。
AくんとAくんの家族は、今後どのように対応すべきか困っています。
(フィクションです)

検察官送致について

少年の被疑事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されることになっています。
これを「全件送致主義」といいます。
しかし、家庭裁判所での審判までに少年が既に20歳に達していることが判明した場合や、家庭裁判所が刑事処分相当だと判断した場合には、家庭裁判所は事件を検察官に送致し、刑事手続に付すことになります。
これを「検察官送致」と呼んでいます。

家庭裁判所が検察官に送致するのは、次の3つの場合です。
(1)少年が20歳以上であることが判明したとき
(2)刑事処分が相当であると認めるとき
(3)故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上であったとき

(1)年齢超過による検察官送致

家庭裁判所は、調査を行った結果、少年が20歳以上であることが判明したときは、審判が開けないので、検察官送致を決定しなければなりません。
年齢の基準は、行為時ではなく、調査・審判時です。
家庭裁判所に送致されたときには20歳にはなっていなくても、審判が開かれるころには20歳になっている可能性がある少年(「年齢切迫少年」といいます。)については、審判までに20歳に達した場合、自動的に検察官送致となってしまうので、対応に注意が必要です。

(2)刑事処分相当による検察官送致

家庭裁判所は、死刑、懲役または禁錮に当たる罪の事件について、調査を行った結果、「罪質及び情状に照らして」刑事処分を相当と認めるときは、検察官送致を決定しなければなりません。

「刑事処分を相当と認めるとき」とは、保護処分では少年の矯正の見込みがないと判断される場合をいいますが、その他にも、事案の重大性、悪質性、社会に与える影響、被害感情なども考慮し、保護処分に振ることが社会的に許容されない場合も、刑事処分相当の場合に含むとされます。

実務においては、保護処分が不相当な場合だけでなく、交通事件等で罰金刑が見込まれる事件のように、刑事処分の方が有効な処遇であるといえる場合にも、検察官送致が行われています。

(3)原則検察官送致

殺人などの重大事件について、原則として検察官送致を行うことを義務付ける規定が、平成12年の少年法改正により新たに設けられました。
行為時に16歳以上の少年が、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、家庭裁判所は、原則として、検察官送致の決定をしなければなりません。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、検察官に送致せずに保護処分を選択することができます。

検察官送致になった場合

検察官に送致されると、保護処分手続から刑事手続に移行することになります。
嫌疑が存在する限り、成人と同様に起訴され、公判審理を経て、家庭裁判所に再度送致されない限りは、判決により刑罰が科されることになります。
刑事手続に付されると、被告人として再び勾留されることになります。
判決までの間、保釈の可能性はありますが、拘置所で勾留されることとなります。
また、公判は、少年審判とは異なり、公開で審理されます。
そのため、少年の氏名、容貌、事件の内容などが傍聴人や報道関係者に対して明らかにされることとなります。
公判での審理の結果、有罪となり少年に実刑が科されると、少年は少年刑務所に収容されることとなります。
少年刑務所は、刑罰を執行する行政施設であり、矯正教育施設である少年院とは目的が異なります。
刑罰が必ずしも少年の更生に資するとは限りませんので、少年の成長発達や更生にとっての阻害要因となってしまうおそれがあるでしょう。

このような少年にとっての不利益を考えると、可能な限り検察官送致を回避することが望ましいでしょう。

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