先日、51年前の暴動事件に関与した被告人が殺人罪等で起訴されたましたが、51年前の事件でなぜ起訴されたのか?公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
事件概要
今回起訴されたのは、51年前に起きた「渋谷暴動事件」の犯人で、46年間にわたって逃亡を続けていた男性です。
中核派の活動家であるこの男性は、51年前に、他の活動家の仲間と共謀して、暴動の警備にあたっていた警察官に対して、鉄パイプで殴打したり、火炎瓶を投げつける等の暴行を加えて殺害した容疑がもたれています。
25日の初公判で被告の男性は起訴事実を全面的に否認して無実、無罪を主張しているようです。
(10月26日に配信された報道各社の記事を引用)
さて、このニュースを聞いて「51年前の事件で起訴?公訴時効になっているのでは?」と疑問を持った方もいるのではないでしょうか?
すでに殺人事件等の時効が撤廃されているので、現在であれば殺人罪については公訴時効という概念はありませんが、今回起訴された事件が発生したのは51年前で、当時は殺人罪についても公訴時効が規定されていました。
ですから当時の、殺人罪の公訴時効が25年であったことを考慮すると、51年前に起こった殺人事件については、少なくとも25年ほど前には公訴時効が成立していることになります。
それなのになぜ、今回の被告人は起訴されたのか?
公訴時効
公訴時効とは、簡単に言うと、事件を起こし終わってある一定期間が経過すると、犯人を処罰できなくなる(検察官が起訴できなきなる)ことです。
殺人罪については上記したように、平成22年の法改正で時効が撤廃されているので公訴時効の概念は存在しません。
『じゃぁいつまで警察は捜査を続けるの?』
時効が撤廃された以上、理論上は警察は犯人を逮捕するまで捜査を続けるでしょう。
ただ総合的に見て、被疑者(犯人)が死亡している蓋然性が高い場合は被疑者死亡で検察庁に書類送致することもあるようです。
その場合は、警察の捜査は終了することになります。
なぜ公訴時効が成立していないの?
さてここで本題の「51年前の殺人事件なのに公訴時効が成立していないのか?」について解説します。
結論から申しますと、公訴時効の進行が停止していたからです。
公訴時効の進行が停止するのは
①事件について起訴をされた場合
②被疑者(加害者)が国外にいる場合
です。
今回の事件は①を理由に、公訴時効の進行が停止していたのです。
①については共犯者についても適用されますので、今回の事件は、共犯とされる男性の公判が病気を理由に停止されていたため、時効の進行が停止していたようです。
ただこの点に関して、起訴された男性の弁護人は「男性は公訴棄却とすべきだったのに、違法に被告の立場にとどめ置かれた」と公訴時効が成立している旨を主張しています。
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