姫路駅前で職務質問され、採尿後に覚醒剤使用容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部が解説します。
参考事件
無職のAさんは、3日前に、姫路駅前を歩いていたところ、兵庫県姫路警察署の警察官に職務質問されました。
覚醒剤の使用事件で逮捕されたことのあるAさんは、警察官に任意採尿を促されて、警察署に任意同行されて採尿されました。
この日は、その後帰宅することができたAさんですが、実は、採尿される2,3日前に覚醒剤を使用しています。
Aさんは、いつ警察に逮捕されるのかが不安で、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談しました。(フィクションです)
~覚醒剤使用事件の流れ~
1 採尿
覚醒剤の使用は、尿に覚醒剤成分が含まれているかどうかで判断されるので、覚醒剤の使用が疑われた方は、まず警察に採尿されます。
採尿には、任意採尿と強制採尿の2種類があり、Aさんの場合は警察署において自ら排尿しているので任意採尿です。
強制採尿は、任意採尿を拒否した場合、警察官が裁判官に対して強制採尿の許可状(捜索差押許可状)を請求し、その許可状をもとに強制的に採尿されることで、自ら排尿しない場合は、病院に連行されて尿道にカテーテルを挿入して、膀胱にたまっている尿を強制的に排出させられます。
2 尿の鑑定
鑑定は
①採尿直後に警察官が専用のキットや、機械を使用してその場で行う場合
②採尿した尿が科学捜査研究所に持ち込まれて鑑定される場合
の2種類があります。
①は簡易鑑定と呼ばれており、簡易鑑定は数分で鑑定結果が出るので、もし覚醒剤反応が陽性だった場合は、その場で緊急逮捕される可能性が非常に高いです。
簡易鑑定が行われた場合も、その後、科学捜査研究所に残りの尿が持ち込まれて鑑定を受けますが、簡易鑑定の結果が覆る可能性は非常に低いです。
また鑑定結果は、基本的に「陽性」か「陰性」に二分されますが、簡易鑑定では、ごくたまに「擬陽性(ギヨウセイ)」という結果が出ることがあります。
尿から何らかの覚醒剤成分が検出されて限りなく陽性に近いが、覚醒剤の使用を約束するまでではないといった結果ですので、その場で逮捕されることはなく、いったん解放されて、科学捜査研究所での鑑定結果を待つことになります。
②の場合、Aさんのように採尿後、いったん帰宅が許されますが、科学捜査研究所の鑑定によって覚醒剤反応が陽性だった場合は、警察官が逮捕状を請求して、後日、通常逮捕されることとなります。
採尿から逮捕されるまでの期間は定まっておらず、短い方は数日以内に逮捕されますが、長い方は半年近く経って逮捕される場合もあります。